デジタルマーケティングソリューション ポイント管理システム PointInfinityの導入事例
株式会社エムアイカード様提携クレジットカードのポイントシステムをデジタルマーケティングソリューション「PointInfinity」の利用で短期間、低コストで構築
三越伊勢丹グループのクレジットカード会社である株式会社エムアイカードは、同グループ向けクレジットカードを発行運用しています。同社では外部提携先への提携クレジットカードの発行運用サービスを提供しており、その最初の提携先となったのが福岡の商業施設VIOROです。エムアイカードでは「VIOROカード」のポイントシステム提供に日立ソリューションズのポイント管理ソリューション「PointInfinity」を活用することで、開発期間の短縮とコストを抑えた導入を実現しました。
この事例に関するソリューション・商品
導入の背景
グループ外提携先の提携カード発行への取り組み開始
村山 和宏 氏
エムアイカードは三越伊勢丹グループのクレジットカード会社で、同グループ向けのカードの発行運用を行っています。百貨店系でオリジナルの自社カードシステムを持っている数少ないカード会社のひとつです。エムアイカードは1988年に伊勢丹ファイナンスとして誕生しました。設立当初は百貨店向けのハウスカードという位置づけでしたが、2008年にVISAブランドを付帯した提携カードを、2011年からはアメリカン・エキスプレスブランドを付帯した提携カードを発行し、ハウスカードから汎用クレジットカードへ進化。現在では会員数280万人、カードの取扱高は1兆円を超えています。また、同社は約30年の歴史の中で培われた詳細なカード利用データの分析能力を持っているのが特徴です。
エムアイカードの会員は40代以上の富裕層の女性が中心ですが、百貨店業界が伸び悩む中、2013年の中期戦略で百貨店以外のカード会員獲得方針を定め、他企業との提携カード発行への取り組みを開始しました。
その最初の提携ユーザーとなったのが、福岡の商業施設VIORO(ヴィオロ)です。VIOROではポイントをVIOROのテナントに還元するため独自のポイント提携カード「VIOROカード」の導入をエムアイカードに依頼しました。
導入の経緯
ポイントシステム選定の決め手はベンダーへの信頼
小暮 亮博 氏
「VIOROカード」発行には、カードシステムとともに新たなポイントシステムの開発が必要でした。エムアイカードのポイントシステムはポイントと百貨店のPOSがセットになっており、百貨店、グループ店舗内でしか使用できない仕様です。しかし、外部提携カードの場合は柔軟なポイント制度の設計が可能なシステムが必要になります。多くの大手カード会社は各社ポイントを持っておりますが、これはどこで使用されるかがわかりません。独自のポイントシステムを作ることで、確実に提携先に還元されるポイントを持つことが可能になります。
エムアイカードとVIOROとの提携カードの話が始まったのは2015年4月で、カードの発行予定は翌年4月でした。このタイミングに向けてカードシステムと同時にポイントのシステムも作らなくてはならないため、スピードが要求されました。ポイントシステムの自社での開発は期間的にもコスト面でも負荷が大きいため、他社ポイントソリューションの利用を考えたのです。今後、提携先を増やしていく予定で、提携先ごとにポイントの還元先が異なるため、ポイントプログラムは提携先ごとに独立して持てることが必要でした。
「こういうポイントシステムを作ってほしいというダイレクトな要求は提携先からはありませんが、失効のタイミングやポイント付与率、ボーナスポイントの調整などは提携先ごとに異なってくるため、ひとつのポイントシステムではうまく構築できません。クレジットカードとともに専用のポイントシステムを提供する形で、各提携先に価値を感じてほしいと考えました。そこで短期間で自由にポイントを設計でき、コストも妥当なソリューションを探しました」(村山氏)
エムアイカードは「VIOROカード」ポイントシステムの開発について2015年6月にベンダー4社に提案依頼、7月にベンダーを決定、8~9月に要件定義を行いました。
今回、エムアイカードでは初の提携カードの開発であったため失敗は許されず、ベンダーには豊富な経験が求められました。また、リリース時期が確定しており、スケジュールはタイトになります。このため、検討したのはすべてSaaS型のサービスです。また、当初の会員数がさほど多いとは予測できないため、コストを抑えてスモールスタートできることが重要でした。エムアイカード側でポイントシステムの開発にあたるチームは、提携カードの開発も行っている20名ほどのチームで、新規開発に割ける人的リソースもそれほどありませんでした。
そのなかで日立ソリューションズの「PointInfinity」が選択された理由は、「ポイントシステムに知見があり、社内リソースをかけずに開発できる点を評価しました。『PointInfinity』のアサインメンバー、特にプロジェクトリーダーが経験豊富であることも大きなポイントでした」と、村山氏は振り返ります。初の提携カード事業ということで絶対失敗はできないため、ベンダーの推進体制・要員スキルについての信頼が必要だったのです。「機能とコストでは各社僅差でした。しかし、当初4月に間に合わない機能をフェーズを分割して実現するという形を考えていたところ、『PointInfinity』は標準機能を活用することで、6~7か月で両フェーズを一気に開発できるとのことでした。全部の機能を組み込んだうえで、2~4月のテストスケジュールに余裕が持てる点も魅力でした」
「PointInfinity」なら必要な機能の多くに標準機能の適用が可能で、SaaSでありながら業務要件やシステム連携などの要件に対応できる点を評価し選択しました。
導入時の取り組み
SaaSの機能で多くの要件を実現して開発期間を短縮
SaaSである「PointInfinity」の豊富な標準機能で多くの要件を満たしながら開発期間短縮を実現できました。
「このため『PointInfinity』の標準機能を理解することに時間をかけました。SaaSサービス型の提供であったため、細かいところまで全体の理解は事前には難しく、開発工程の中で理解していった部分も多かったです。そのため、当初の想定と違うところも多少はありましたが、そうした部分についても改善の提案をすぐにいただけたので、運用で調整するような要素は出ずに開発できました。一からの開発だと、ついでにあれもこれもと機能を追加して開発が大変になりがちですが、スピード優先でのSaaS利用が大前提だったので、本当に必要な機能に開発を絞り込むことをシステム側にもユーザー側にも納得させることができました」(小暮氏)
2月にシステムテストが終了したので、実質的な開発期間は半年足らずです。その後エムアイカードサイドで最終チェックを行い、予定通り4月にリリースされました。
「日立ソリューションズとの開発についてはやりやすかったですね。要件定義フォーマットがしっかりしていて、進め方の説明もきちんとしていました。このため、開発上のコミュニケーションは円滑でした。テストでは小さな障害はいくつか出てきましたが、大規模な改修などはなく、逆に、画面に表示されるコード値にひもづく名称を出してほしいなどのユーザーインターフェイス面での細かい改善要望もリリースまでに対応していただきました」(小暮氏)
標準機能でカバーできない部分については、カスタマイズで対応しました。
「加盟店の登録機能はもとから標準機能であったのですが、加盟店数が約5000近くあり、階層も複雑だったため、その要件を正しく理解して登録可能にしていただいたのは大きかったです。」(小暮氏)
導入の効果
分析情報の多様な活用で今後のポイント活用施策を提携先に提案
「VIOROカード」は発行後半年以上が過ぎましたが、大きな障害は出ていません。 「現在、『VIOROカード』の会員数は数千規模ですが、VIOROサイドと連携したさまざまな施策で会員増を図っていきたいと考えています。今後、会員の増加によって、ポイントシステムのメリットはより鮮明になってくると思います」(村山氏)
VIOROサイドからはポイントキャンペーンの話は時々きているそうです。また、年に数回の大幅値引きの際には逆にポイントは付与しないという期間対応も求められましたが、期間を設定して付与率を決める機能も事前に作りこんであったため、そうした設定もエムアイカード側で問題なく行えています。
「標準機能で会員、明細といった細かい単位や提携カード全体といった大きな単位で分析をおこなうことができ、いろいろな切り口で情報を得られるようになったのは今までなかった点だと思います。店単位でポイントをどのくらい付与したか、VIORO全体でいくら付いているかなど、カード全体の残高や日次・月次など、その都度必要な視点で必要な情報を取得できます。それを基に有効な施策を打つための情報をVIOROに提供していきます」(小暮氏)
今後の展望
新規提携先の開拓には提携先ごとのポイント活用が大きな武器に
エムアイカードは、今後、ポイントシステムをアドバンテージとして、新しいカードの提携先を開拓していく予定です。
「提携先ごとに独自のポイントを構築でき、ポイントサービスを提供できるという点は我々の大きな武器になると感じています。他のカード加盟店でたまったポイントも提携先のポイントとして利用でき、商業施設など提携先独自のポイントプログラムを提供でき、提携先でポイントプログラムの運用の必要もないという点は大きなメリットとして感じてもらえると思います」(村山氏)
「VIOROカード」に続く提携カードの第二弾としては、すでに「鹿島神宮カード」がリリースされています。国内の神社としては初の試みとなる同カードは、買い物などで得たポイントが一定数たまると自動的に鹿島神宮への寄付となる仕組みを新たに組み込みました。寄付されたポイントは鹿島神宮の祭事や文化財の保護継承の財源に充てられる、社会貢献型のカードです。会員への特典としては、お祓い済みのカードが送られてきます。
「今回はポイントが自動で寄付されるという新しい形で活用できてよかったと思います」(小暮氏)
日立ソリューションズへの要望としては、「提携カードは決まってからローンチまでが短いですが、これまでの案件は2つとも順調に開発していただいているので引き続き新サービスの開発などに協力をお願いしたい。今後は新たな取り組みへの提案も期待したいです」(村山氏)
株式会社エムアイカード
1988年に伊勢丹ファイナンスとして創業したエムアイカードは2018年に設立30周年を迎えます。三越伊勢丹グループのカード会社として、グループ企業向けのクレジットカード事業を展開してきましたが、2013年からは外部提携企業向けクレジットカードの発行運用サービスへの取り組みを開始。提携先ごとにカスタマイズしたポイントサービスを付与することで、高付加価値なクレジットカードサービスの提供を推進しています。
本社所在地 | 東京都新宿区新宿5-17-18 H&Iビル | |
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設立 | 1988年9月20日 | |
従業員数 | 1,050名(2016年3月期) | |
事業内容 | クレジットカード業、貸金業、損害保険代理業、生命保険募集代理店、信託業務(併営業務)代理店、宅地建物取引業 | |
URL | http://www.micard.co.jp/ |
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本事例の内容は2017年3月17日公開当時のものです。
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最終更新日:2022年5月30日