国内トップレベルのEAIツール ASTERIA WARPの導入事例
株式会社日立ソリューションズ(旧 株式会社日立システムアンドサービス)日立製作所の情報共有基盤と連携する社内統合顧客マスターの構築をASTERIA WARPで実現!
日立システムアンドサービス(以下、日立システム)は、日立グループの主翼を担うシステムインテグレータとして、金融・製造・流通・鉄道・電力といった社会インフラを支えるシステム構築を幅広く手がけている企業である。同社の強みは、コンサルティングから、システムの企画・設計、開発、保守・運用までのトータルソリューションをワンストップで提供できる技術力を持つことだ。さらに同社には、ASTERIAの販売パートナーとしても、様々なシステムを構築した実績に基づく豊富なノウハウがある。今回、同社ではASTERIA WARPを利用し、日立製作所とグループ企業の顧客情報を一元管理する統合顧客マスター環境を構築、社内での稼働を始めた。そこに同社の技術力とASTERIA WARPの実力が、いかんなく発揮されているのである。
- 社内の統合顧客マスターを、日立製作所の情報共有基盤と連携
- 決め手はSOAPによるデータ連携の容易さ。統合顧客マスターの構築と情報共有基盤との連携を一気に実現!
- グループマスター情報を盛り込んだデータ分析で、経営を視野に入れた分析も可能に
- 社内システム間の連携を強め、業務主体で利用可能な統合システムを構築
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社内の統合顧客マスターを、日立製作所の情報共有基盤と連携
経営情報システム
部長代理 長 哲也(写真右)
技師 河江 晋寛(写真左)
現在、日立製作所ではグループ情報共有基盤の確立に取り組んでいる。日立システム企画本部経営情報システム部部長代理長哲也によれば「約800社に及ぶ日立グループ企業からの顧客情報などを共有し、情報のシナジー効果を最大限に発揮させることが狙いだ」という。このたび日立システムは、このプロジェクトを契機に社内システムの大幅な見直しを図り、情報共有基盤上で日立グループ全社が利用できるマスター(以下、グループマスター)とASTERIA WARPを通じて連携する仕組みを構築した。ただし、日立製作所のグループ情報共有基盤から情報を受けるために、まず社内システムの整備を行う必要性に迫られた。同社には、受注管理システム、調達システム、見込み顧客(潜在顧客)、管理システムといった複数の業務システムが存在していたが、「各システムの顧客マスターは個別に管理されており、データ整合性やデータ共有、一元管理などの課題に直面していた」(長)という。
決め手はSOAPによるデータ連携の容易さ。統合顧客マスターの構築と情報共有基盤との連携を一気に実現!
これらの課題を解決するために、日立システムは自社システムの顧客情報を統合(以下、統合顧客マスター)することにした。まず、ASTERIA WARPで、社内の各システムからデータを取り出し、統合顧客マスターの情報として物理的に集約し、一顧客の情報を一元的に管理することに成功した[図(1)]。次に、集約された情報を日立製作所のグループマスターと連携することで、日立グループ内に顧客情報を展開し、また付加情報を社内の統合顧客マスター側に反映させるというグループマスターとのデータ連携の役割も担っているのだ[図(2)]。
今回ASTERIA WARP採用の背景には、日立システムで社内システムのデータ連携だけでなく、日立製作所側の外部プロセス連携(業務連携)をSOAPによって実現しようと考えていたことが大きく影響している。ASTERIA WARPは、企業内外に点在するシステムやプロトコル間の連携、データ・プロセス統合をノンコーディングで設計できる汎用的な開発ツールとして評価が高かった。「従来のようにデータ連携の部分をスクラッチで開発すると時間も掛りますし、システムを組み換える際にも一から連携部分をつくり直す必要があります。ASTERIA WARPならば外部と連携する際に準備されたアダプタによって、容易にSOAPプロトコル間連携が行えます。これが採用の1番の決め手になりました」と語るのは、日立システム経営情報システム部技師河江晋寛だ。
また、ASTERIA WARPの開発生産性の高さも、目を見張るほどの短納期開発を実現させた。現場でシステム開発に携わった河江は「2009年10月中旬から設計をスタートし、ASTERIAを販売する社内部門に支援を仰いだ後、開発担当者がSOAPについて経験が無かったにも関わらず、わずか1カ月足らずでシステムを完成することができました。Java言語で環境選定を含め一から開発した場合、最低でも3カ月ぐらいは掛るでしょう」と断言する。
ASTERIA WARPは設計フローが分かりやすく、直接開発に携わっていない人でも設計の流れを容易に理解ができる。「生産面では、開発と同時にドキュメントも作成できてしまう点が大きなメリットにつながった」(長)という。ASTERIA WARPを導入した結果、日立グループ会社の中でも断トツの早さで、統合顧客マスター環境を完成できたのだ。
グループマスター情報を盛り込んだデータ分析で、経営を視野に入れた分析も可能に
この統合顧客マスター環境下で、日立システム社内の約3万件の顧客企業コードをキーとして、日立製作所のグループ情報共有基盤システム側のグループマスターにアクセスし、グループマスターが持つ付加情報を一体化させることが可能になった。その結果、統合顧客マスター側に有用な各種情報が関連付けられる。
これは日立システムのデータ分析ソリューション「EPM」(Enterpr ise Performance Management)[図(3)]を導入したBIの有効活用にも貢献している。EPMは、経営情報のビジュアル化と分析を提供するもので、経営の問題点を発見して解決策を導くことができる。今回構築した統合顧客マスター情報とEPMを連携し、一元化された受注顧客や洗剤顧客をキーに、経営を視野に入れた高精度な分析が可能になったのだ。
社内システム間の連携を強め、業務主体で利用可能な統合システムを構築
さて今後の展開についてだが、社内に存在する残りの関連システムと、今回構築した統合顧客マスターの連携を進めていく予定だ。「各社内システムから、統合顧客マスターへアクセスするインターフェースを構築し社内システムの連携を進める。またこの統合顧客マスターを介してグループマスターの顧客情報を参照・変更が可能な仕組み[図(4)]にしたい」(河江)
このほかにも現在、社内の業務フローの見直しも推進しており、業務主体でサービスを呼び出して利用できる統合システムを構築する動きもある。その際の支援ツールとしてASTERIA WARPを積極活用していく意向だ。今回、同社では日立製作所のグループマスター情報と、社内の統合顧客マスターを連携させる統合環境に先鞭をつけたことで、グループ各社にも同様のシステムを展開していく構えだという。
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本事例の内容は2010年3月19日公開当時のものです。
最終更新日:2010年3月19日