Atlassian製品:Jira Service Managementの導入事例
大日本印刷株式会社様サービスデスクの変革を支える情報基盤を実現し、チーム目標の達成に向けた改善の取り組みが活発化
総合印刷会社の大日本印刷は、社内ITサービスデスク業務の管理ツールを「Jira Service Management」へ移行しました。ITサービスマネジメントに関する日立ソリューションズの豊富な知見とスクラム開発の経験に力を借りながら、問い合わせ状況の変化に柔軟かつ迅速に対応可能な情報基盤を実現。SLA*1機能を用いてパフォーマンスを可視化できるようになったことで目標達成への意識が向上し、チームでの振り返りや分析などの取り組みが活発化しつつあります。
*1 SLA:Service Level Agreement
この事例に関するソリューション・商品
背景
変革のスピードに待ったをかける運用に課題
小縄 彬 氏
1876年、秀英舎としての創業以来、印刷技術と情報技術を掛け合わせることで事業領域を広げてきた大日本印刷株式会社(以下、DNP)は、雑誌や書籍から包装、建材、エレクトロニクス、さらにはエネルギー分野、ライフサイエンス分野にも進出し、新しい価値を届けてきました。「未来のあたりまえをつくる。」というブランドステートメントには、社会課題の解決に通じる事業活動に注力し、常に変革に挑戦し続けることで、自社が提供する価値を人々にとっての「あたりまえ」のものにしていきたいという想いが込められています。
企業価値の向上につながる取り組みが評価され、デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)*2 2023に選定されたDNPにとって、社内向けITサービスは従業員がビジネスでDX戦略を加速するために不可欠なサービスです。同サービスにかかわる唯一のサポート窓口が、同社の情報システム本部と株式会社DNP情報システムが共同運営する「ITサービスデスク」であり、ITサービスの使い方から不具合に関する質問、デバイス調達の相談、サービスの設定依頼まで、多岐にわたる問い合わせが対面カウンターや電話、メールなどで寄せられます。2021年には、サポート業務の効率化を図るために問い合わせフォームを導入し、問い合わせ状況の可視化やトレーサビリティの向上、サポート品質の改善が実現しました。
さらに一歩踏み込んだ改善を進めていきたいと考えたDNPの小縄氏は、「問い合わせ状況に応じてより柔軟かつスピード感のある対応を可能にするため、ITサービスデスクのメンバーでもフォーム設定などを容易にカスタマイズできるシステムへの切り替えを検討しました。同時に、問い合わせ管理システムのランニングコストを削減したい思いもありました」と語ります。
*2 東京証券取引所の上場企業の中から、企業価値の向上につながるDX推進の仕組みを社内に構築し、優れたデジタル活用の実績が表れている企業を選定するもの。2023年度の「DX銘柄2023」では32社が選定。
取り組み
アジャイル手法で、あるべき姿を模索
石原 京馬 氏
こうした課題感を踏まえ、新しいツールには譲れない条件として「誰でも運用できること」が求められました。そのうえで、既存のツールで実現していた環境を継承しつつ、さらに不足要件を満たしてくれる製品として、「Jira Service Management」の採用が決定。DNP情報システムの石原氏は検討の経緯をこう説明します。
「シンプルで使いやすい印象であっただけでなく、メールベースの管理を効率化するツールが多い中で、これまでと同様にWebフォーム上で問い合わせを完結させることができ、機能面でもコスト面でもバランスの取れた製品であると判断しました。ライセンスを持たないユーザーに対しアクセス権を付与して問い合わせ状況を共有することも可能で、コストを抑えられるのは魅力でしたね」
短期間での安定稼働をめざしたこともあり、DNPでは、豊富な製品知識に加えITサービスマネジメントに知見の深い日立ソリューションズをパートナーに迎えてプロジェクトを推進していきました。
「ツールの価値を最大化するためにはどうあるべきなのか、スクラム開発の経験がある日立ソリューションズの担当者とともに我々も勉強させてもらいながら、アジャイル手法で成果を積み上げていきました。着実に導入プロジェクトを進められたのは『Jira Service Management』に知見があり、メンバーの習熟度に合わせて相互に貢献しやすい体制を引き出してくれた日立ソリューションズの皆さんのおかげです」と小縄氏は振り返ります。
効果
小さな変化にも迅速に対応できる環境が実現
松下 日向子 氏
「本稼働に向けて一緒に問題を解決していくプロセスを通して、ナレッジや技術を積み上げられたおかげで、現在は自社内で安定的に運用できています」とDNP情報システムの松下氏。誰でも運用できる環境を手に入れたことで、新たなニーズに速やかに対応できるようになり、そもそも対応が必要かどうかを議論する余裕さえ生まれています。
「『Jira Service Management』では、必要な情報に合わせてダッシュボードを容易に作成できるので、ITサービスデスクチームのパフォーマンスに関するモニタリングも可能です。各チームで目標を立て、問い合わせ状況の分析や完了したチケットの振り返りを通じて前向きに改善に取り組むだけでなく、改善が必要な件数を減らす努力が見られるようになりました。問い合わせ状況が可視化されたことで、長時間放置されるチケットがなくなり、対応スピードはもちろん、間違いなくサポート品質も向上しています」(石原氏)
感覚的な判断ではなく実態に即した数値が可視化されることで、小さな変化にも気づきやすくなり、数値を継続的に追うことも可能になりました。また、SLA機能による数値をもとにチーム間で対話し、次のアクションにつなげる取り組みも進んでいます。以前は問い合わせ内容を管理ツールに転記するだけで手いっぱいだったことを考えると、大きな変化です。
展望
サポートの量と質を両立する取り組みを強化
DNPでは、目標に対する達成度のモニタリングとあわせて、今後はユーザーの満足度調査を実施していきたい考えです。目標値の達成に向けて対応スピードを重視するあまり、クオリティが犠牲になるといったケースもあるため、「満足度を測定しつつ、サポートの質と量の両方を底上げしていきたいですね。問い合わせを受ける側がいかに楽しく問題解決に取り組めるかというテーマにも挑戦していきます」と石原氏。
「Jira Service Management」が社内ITサービスデスク業務の変革にどこまで貢献できるのか。今後の新機能の登場にも期待を寄せつつ、日立ソリューションズとの二人三脚は続きます。
エンドツーエンドのITサービスマネジメントソリューションを通じて優れた従業員サービスの提供を実現
- SLAをはじめとするサービスデスク機能を標準で提供
- IT運用チームと開発チームが統一プラットフォーム上で効率的に連携
- 問い合わせ状況の変化に応じてフィールドの設定や動作をカスタマイズしてサポートチームのニーズに柔軟かつ迅速に対応
- 簡単に作成できるダッシュボードを通じてサポートチームのパフォーマンスを可視化し継続的な改善を支援
大日本印刷株式会社
所在地 | 東京都新宿区市谷加賀町一丁目1番1号 | |
---|---|---|
設立 | 1894年1月19日 | |
従業員数 | 36,246名(連結:2023年3月31日現在) | |
事業内容 | 雑誌や書籍の印刷・製本、デジタルコンテンツの企画・制作・流通・販売など | |
URL | https://www.dnp.co.jp/ |
この事例に関するソリューション・商品
導入事例ダウンロード
本事例の内容は2024年3月13日公開当時のものです。
最終更新日:2024年3月13日