Amazon Web Servicesのための導入・活用支援ソリューションの導入事例
神東塗料株式会社様オンプレミス環境のVDIと基幹システムをAWSに移行
総合塗料メーカーとして事業を展開している神東塗料株式会社は、ハードウェアの保守期限を機に、オンプレミス環境で運用してきたVDI(仮想デスクトップ)と基幹システム(mcframe)を、「Amazon Web Services(以下、AWS)」に移行しました。システム基盤のクラウド化により、守りのBCP対策と、事業成長に向けた攻めのIT改革が実現しています。
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背景
障害のリスクが高く、対応負荷が増大
長尾 俊彦 氏
工業用や建築用、防食用、道路用など、幅広い用途に向けて塗料を提供している神東塗料。「水の神東」として、環境対応型塗料を業界に先駆けて開発し、現在は取扱製品の80%を占めています。
そんな同社の業務を支える各種システムは、オンプレミス環境で運用してきましたが、ハードウェア障害などのリスクが高く、障害発生時には夜間や休日を問わず対応することがありました。そこで、VDIと基幹システムのサーバー更新を機に、クラウドへの移行を決断しました。長尾氏はその狙いを次のように語ります。
「攻めと守りのバランスを取りながら推進している当社のIT戦略に欠かせないのが、インフラ環境の整備です。守りとしてのBCP対策は、事業所内での管理からデータセンターの利用へと移行することで推進してきましたが、一歩進めて全システムのクラウド化を図り、攻めとしてのIT環境を構築することにしました」
取り組み
世界で最も広く採用されているAWSを採用
永井 康浩 氏
クラウド移行を決断した同社は、複数のサービスを比較した中から「AWS」の採用を決めました。その理由を永井氏は次のように語ります。
「検討当時、当社の基幹システムであるmcframeの稼働実績があったクラウドサービスは『AWS』のみでした。『AWS』は世界で最も広く採用されているクラウドであることから、安定運用の観点からも評価しました。経営陣には大企業での採用実績、SLA、耐障害性、ダウンタイム、コストなどの根拠を示して理解を得ました」
移行パートナーには、mcframeの導入・運用を支援してきた日立ソリューションズを採用しました。藤原氏は「2009年の初期導入から現在まで、運用サポートや機能改善、周辺ソリューションの紹介など、継続的に支援してもらってきました。クラウドでもVDIと基幹システムを連携したワンストップサービスの提供と、ネットワークを含めた全体的な支援に期待しました」と語ります。
「AWS」への移行は、VDIを先行して実施。2018年10月から2019年6月にかけて構築し、7月に本稼働を迎えました。VDIは、コスト面からサーバー(Amazon EC2)+マルチセッション環境を採用しています。
「プロジェクトでは、各種ライセンスの扱いがオンプレとは違い、システム構成に工夫が必要になりました。マルチセッション環境に対応しないアプリケーションについては、ブラウザー上で稼働させるなどの工夫をしました」(藤原氏)
VDI構築のもう1つのポイントはデータ移行です。数テラバイトのデータをネットワーク経由で移行する必要がありました。そこで、データを分割して夜間の時間帯に移行し、切り替え時には一斉にデータの同期ができるようにしています。
VDI構築後は2019年11月から2020年7月にかけて基幹システムの移行を実施し、プロジェクトを終えました。
「日立ソリューションズにはアプリケーションからインフラまで幅広くサポートしてもらいました。トラブル発生時における迅速な対応にも感謝しています」(永井氏)
効果
攻めのIT活用へと業務をシフト
藤原 義規 氏
現在、「AWS」上に構築したVDI環境は、外出が多い営業部門や技術部門を中心に、全社員の半数にあたる約170名が利用し、社内勤務の管理部門や生産部門はFAT PCを利用しています。
クラウド化により夜間や休日の対応もほぼなくなり、情報システム担当者の運用負荷も軽減されました。
「結果として、ハードウェアの導入や管理、障害復旧などにかかっていた工数を、ITの活用推進などにあてることが可能になり、攻めのIT活用へと業務をシフトすることができました」(藤原氏)
VDI環境は、セッション数に応じて自動的に「AWS」上のサーバーを起動させる運用とし、夜間は緊急用の1台を残してすべて停止するなどして、コストの最適化を図っています。
展望
データ活用基盤を整備して製造業DXを加速
その後も、サブシステムを「AWS」に順次移行し、現在はほぼすべてのシステムがクラウド化されています。今後も積極的にクラウドを活用しながら、ビジネスを加速していく方針です。
「新たなシステム導入はSaaSファーストで考えていますが、既存システムとの連携を考慮するケースなど、必要に応じて『AWS』を活用していきます。クラウド環境での業務利用に向けて、ゼロトラストネットワークの構築も予定しています」(永井氏)
製造業DXに向けて、クラウドに蓄積されていくデータの活用も検討中で、長尾氏は「DBを一元化して社内に分散しているデータを集約し、業務の改善や新たな付加価値の創出に活用していきます」と語ります。
日立ソリューションズには、システム運用の高度化に加え、業務改革も含めた総合的な支援が期待されています。
基幹システムを意識したVDI構築を実施
- オンプレミス環境で稼働していたVDIと基幹システムを「AWS」上に移行
- 基幹システムを意識してVDIをクラウド化し、ワンストップソリューションを提供
- VDI環境はサーバー(Amazon EC2)+マルチセッション環境を採用してコストを抑制
- VDIは外出が多い営業部門や技術部門の約170名(社員の約半数)が利用
神東塗料株式会社
所在地 | 兵庫県尼崎市南塚口町六丁目10番73号 | |
---|---|---|
設立 | 1933年4月17日 | |
従業員数 | 453名(連結) | |
事業内容 | 塗料、顔料、合成樹脂、油脂、化成品等の製造、加工、売買 | |
URL | https://www.shintopaint.co.jp/ |
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本事例の内容は2022年3月28日公開当時のものです。
最終更新日:2022年3月28日