顧客管理・課金・請求ソリューション BSSsymphonyの導入事例
東京ガス株式会社様新規サービスのバックオフィス業務をオールインワンパッケージで実装
都市ガスを供給するエネルギー企業である東京ガス株式会社は、多様なサービス提供へとビジネスの幅を広げています。サービス拡充の一環として企画された「ご自宅・ご家族の見守り」サービスを展開するに当たり、契約管理、請求管理、施工管理、手数料支払管理などの機能と、契約者向けサイトを備えた「BSSsymphony」を採用。バックオフィス業務をトータルでサポートするシステムをAmazon Web Service上に構築しました。
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背景と課題
新しい見守りサービスの早期展開が最重要課題
東郷 悟史 氏
東京ガスは、首都圏を中心とする1都6県・約1,180万件*の需要家に都市ガスを供給している公益事業者です。現在では電力の製造・供給・販売や各種エネルギーサービスにもビジネスを拡大。家庭向けには、暮らしの安全・快適を届ける「くらしのサービス」を展開しています。
さまざまな「くらしのサービス」の中でも、ガスにかかわる安心サービスは、30年ほど前に始まりました。そして「高齢者見守り『ガスの見守り』」サービスなどを加え「くらし見守りサービス」と銘打ったサービスを2017年4月に開始。さらに、最新のIoT技術を使い、玄関の鍵や窓の閉め忘れ、あるいは家族の帰宅を、スマートフォンで確認できるサービス、「ご自宅・ご家族の見守り」を2019年2月に拡充しました。
問題は、この新しいサービスメニューをいかに早く立ち上げるかということでした。
「この分野は各社がさまざまなアイデアで張り合っているというのが当社の判断。主要プレーヤーとしてのポジションを早期に獲得してビジネスを成功させるには、いかに早く立ち上げられるかが極めて重要でした」(東郷氏)
そこで、東京ガスはメーカーの協力を得て「ご自宅・ご家族の見守り」用のIoT機器を開発するとともに、宅内センサーと顧客のスマートフォンをつなぐためのクラウド基盤も新規に構築。新サービスメニューのバックヤード業務を管理するシステムも新規に構築することとしました。
「当初は『ガスの見守り』用のバックヤード管理システムを拡張するかたちでスクラッチ開発することも検討したのですが、同時期にほかの大型システム開発案件が進行していたため、十分なリソースを確保できませんでした。そこで、パッケージソフトウェアを使って短期構築をめざすことに方針を変更。『ご自宅・ご家族の見守り』のバックヤード業務に求められる要件を洗い出し、それを満たす製品を探すことになりました」(武藤氏)
機能要件として東京ガスが求めたのは、契約管理、請求管理、施工管理、施工業者への手数料支払管理の4機能、および契約者向けサイト。また、画面を既存の「ガスの見守り」サービスと似た体裁にカスタマイズできることや、割引料金の設定に柔軟に対応できることも要件としました。動作用のシステム基盤としては、東京ガスが指定したパブリッククラウドを使うことが条件です。
*2019年6月末時点
選定と導入
柔軟性が高く必須機能がそろう「BSSsymphony」を選択
加藤 晃 氏
製品選びが本格的に始まったのは、2017年8月のこと。東京ガスからのRFPに応じて提案書を提出したITベンダーは4社でした。
各社の提案書を審査するに当たって東京ガスは、RFPに記載された要件に加えて、今後も増えると想定される新規サービスのための一般的なバックヤード業務に使えるかどうかもチェック。総合的な判断の結果、2017年12月に、日立ソリューションズの顧客管理・課金・請求ソリューション「BSSsymphony」の採用を決めました。
「『BSSsymphony』はRFPで指定した5つの業務機能、すなわち契約管理、請求管理、施工管理、手数料支払管理および契約者向けサイトをカバーしていました。特に、施工管理の機能を標準で備えていたのは比較した4製品の中で『BSSsymphony』だけ。また、操作画面のフォーマットを既存システムに合わせられるので、『ガスの見守り』サービスを担当していた当社コールセンターのオペレーターがすぐに使いこなせ、早期のサービスインに寄与するだろうと評価しました」(加藤氏)
その後は、システム基盤と業務ソフトウェアの設計を2018年1月から3月にかけて実施。パブリッククラウド上に「ご自宅・ご家族の見守り」を稼働させるためのシステム基盤を構築するとともに、「BSSsymphony」の操作画面や他のシステムとの連携ソフトウェアを設計していきました。
「日立ソリューションズは、サービス系業務の顧客管理と課金・請求処理についての深い知識と経験を持っていました。クレジットカード決済の処理方法についても詳しく、とても助かりました」(加藤氏)
2018年4月には、ソフトウェア開発の工程がスタート。東京ガスはプロジェクト管理オフィサー(PMO)として、スマートフォン接続用のクラウドやIoT機器を担当するチームと、日立ソリューションズのチームとの間で、仕様の認識を調整する役割を果たしました。
業務ソフトウェアが出来上がったのは、2018年12月。動作を確認するための試験と並行して、ユーザーとなる施工会社やコールセンターのスタッフが操作に慣れるためのトレーニングも行いました。
「施工を担当される協力会社については、当社からの指示を受けて作業員に指示を出す事務職の方々を対象に、1週間にわたりトレーニングを受けていただきました。当社のコールセンターも、管理職向けとオペレーター向けにトレーニングを実施。顧客の契約管理や施工会社向けの作業指示の操作を覚えてもらいました」(加藤氏)
こうして2019年2月、「ご自宅・ご家族の見守り」サービスがスタート。ビジネス面での目標は、10万人単位のユーザー獲得です。
成果と今後
新規サービスが早期に稼働し、さらに戦略的施策が可能に
武藤 史 氏
「『BSSsymphony』を導入することによって、『くらしのサービス』を拡充していくための『ご自宅・ご家族の見守り』サービスを早期に立ち上げられたことは大きな成果だといえます。割引計算やキャンペーン料金設定などの機能も標準で用意されていますから、キャンペーンを機動的に打った際の対応も容易で、より戦略的な施策が可能となりました」(武藤氏)
「料金改定があったときも、マスター設定を変更するだけですぐに対応が可能。マーケティングの施策に合わせて柔軟な対応が可能になりました」(加藤氏)
また、画面の体裁や操作方法については、コールセンターのオペレーターからは「直感的に使える」との声が上がっており、顧客宅にセンサーやIoT機器を設置する施工会社からも使いやすいという評価が返ってきています。これは、検索条件項目、表示内容などを「ガスの見守り」サービスの画面に合わせたいというユーザー部門からの要望に応え、導入時にチューニングしたため、高い評価につながりました。
成果を得た東京ガスは、新規サービスのバックヤード業務の処理にも「BSSsymphony」を適用していこうと考えています。
「当社は今後もくらしに安心をもたらすサービスを拡充していき、オプションも追加していく予定です。その実現のために、BSSsymphonyを活用すれば短期間でのサービスローンチが可能になると考えており、日立ソリューションズのサポートに期待しています」(東郷氏)
日立ソリューションズはこれからも、サービスの拡充をめざす東京ガスを支援していきます。
東京ガス株式会社
東京瓦斯会社として1885年に設立され、都市ガスの製造・供給・販売に携わる。供給区域は首都圏を中心とする1都6県(茨城・神奈川・群馬・埼玉・千葉・東京・栃木)。このほか、ガス機器の販売・保守、電力の製造・供給・販売、液化天然ガス(LNG)の供給・販売、各種エネルギーサービスなどにも従事。家庭向けには暮らしの安全・快適を届ける「くらしのサービス」も展開している。
本社所在地 | 東京都港区海岸1-5-20 | |
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設立 | 1885年10月1日 | |
従業員数 | 16,708人(連結、2019年3月31日現在)、7,343人(単体、2019年3月31日現在) | |
事業内容 | 都市ガスの製造・供給および販売など | |
URL | https://www.tokyo-gas.co.jp/ |
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本事例の内容は2019年9月25日公開当時のものです。
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最終更新日:2019年9月25日