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SAP BusinessObjects導入サービスの導入事例

セイコーエプソン株式会社様

「G-ODW」に見る大規模BIシステム導入事例

ネットワーク&ソリューション情報誌 Pint 10号掲載
Interviewee : セイコーエプソン株式会社 情報化推進室システム開発部 課長 五味 智 様

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世界各国の現地法人を結んだ「BIシステム」を構築し、グローバルマネジメントをサポート。

情報関連機器分野のリーディングカンパニーとして活躍を続けるセイコーエプソン(株)様では、その中核となるプリンター、スキャナーなどの情報画像事業において、国内/海外三十数拠点を統合したグローバルマネジメントの実現をめざしている。
そうした中で、同社は、意思決定に必要となる多様なデータを収集・分析し、 社内のさまざまなユーザーに提供していくために、日本と海外現地法人を結んだ「G-ODW(グローバル・オペレーショナル・データウェアハウス)」を構築。「BIツール」を積極的に活用している。
そこで今回は、その効果や活用状況、社内にもたらした変化などについて、同社情報化推進室・課長の五味氏にお伺いした。

迅速性、可視性の向上をテーマに、システムを一新。

同社の情報画像事業本部は、世界各国でプリンターやスキャナーなどの製造・販売活動を展開しているが、それらをグローバルにマネジメントしていく際に、「現地法人の販売実績や生産実績、在庫などのデータがタイムリーに得られない」、「一元管理されていない」といった問題が指摘されていた。
「当時は、月1回あるいは必要なときに随時、各現地法人に要求を出してデータを収集していました。 もちろん、時間も、手間もかかっていましたし、送られてきたデータが、本当にこちらが要求した条件で統一されているのかどうかも疑わしい状態でした」と語るのは五味氏。そのため、生産計画や部品調達計画を策定する際、計画の妥当性の確認に日時を要していたほか、アクションが後手にまわるリスクも抱えていた。
また、システム面でも、各現地法人・事業所から、個別にさまざまなデータ要求があるのに加え、類似した要求も多数あり、レポート作成などにも多大な時間と手間をとられていた。

「正直、グローバルマネジメント、タイムリーなオペレーションに対して、十分な対応ができない状態でした。そこで、そうした問題点や課題をクリアするために、1999年の中旬から『G-ODW』構築をスタート。以下の3つのテーマを掲げました。」

  • グローバルな、全体的な可視性の向上
  • 実データに基づいた、スピーディーな業務ディシジョンをサポート
    販売・仕入れ・生産・出荷の実績及び計画、手持ち在庫・輸送中在庫実績などを、グローバルに、ウィークリーに収集する。
  • 現地法人からのデータ収集手段の統一
    データ収集に際して、現地法人に負荷をかけず、スピーディーに対応できるインターフェースを構築する。

グラフなどの可視化の表現がBIの活用度を左右。

実際の構築作業に際しては、現地法人が使用するハード的な制約や、品名、取引先コードの違い、データに対する定義の違い(例えば、どの時点で出荷とみなすのかといったように)など、数々のハードルが待ち構えていたが、それらを乗り越えて完成したのが(図1)に概要を示した「G-ODW」だ。
システムのポイントとしては、まず、情報収集のためにETLツールを採用したという点が上げられる。コードやデータ定義を統一するにあたって、現地法人に負担を与えないこと。さらに、日本側だけの作業で対応する必要があったため、高度なデータ変換機能を持つETLツールが導入された。
そして、データを分析し、レポートする「BIツール」についても、ユーザーに合わせたきめ細かな対応を図った。

「BI を活用するユーザーによって、求められるデータや分析機能、可視化の表現などが変わってきます。そこで、レポートする対象を、シンプルな操作と見易さが必要な『経営者層』、豊富な分析機能と高レスポンスが不可欠な『管理者層』、簡易なアクセス、レポート作成が求められる『一般層』の3つに切り分け、それぞれに最も適したツールを採用しました。」その中で、「Business Objects(以降、BO)」が導入されたのは一般層。その理由は、同社が長年「BOツール」を活用してきた中で、アクセスやデータ収集、レポート作成がきわめて簡単な操作でできる点が高く評価されたからだ。

「それにポイントとなったのは、可視化したときのグラフなどのビジュアル表現ですね。 BIを手掛けるようになってから感じていることなんですが、人間は目でみて直感でき、わかりやすいことが、ツールの活用を促していく大きな要因です。そういう意味でも『BOツール』は評価しています。」
また、コックピット経営をサポートするEPMツールを搭載した「BOツール」の新バージョンである「Enterprise 6」には、「G-ODW」の今後の展開の中で、大きな期待を寄せているという。

図1:G-ODWの概要

生産のオペレーションに利用するなど、活用方法もより具体的に。

活用状況については、稼動後約2年を経て、利用ユーザー数が着実に伸び始めている。

「まず、見やすく、わかりやすいという点が評価されています。それに、有益な情報が「G-ODW」には蓄積されているという認識が定着してきたんだと思います。しかも、データ定義の統一などを徹底した結果、旧システムに比べて情報の精度が格段に上がりました。それが、使わざるを得ない状況も作っているのではないでしょうか。 最近では、『こういう情報も“見られる”ように』といった要望も出始めていますが、それがもう一歩進んで『この情報は常に“つかんで”おく』といった発想につながれば、業務側の大きな意識改革につながっていくと思います。」

現在、「G-ODW」は、ユーザーの要請を受け、各種データの収集・公開のデイリー化に取り組んでいる。また、海外の生産拠点では、データの精度とタイムリー性を利用して、実際の在庫データをベースに生産をオペレーションしようという動きが加速するなど、具体的な活動に活かされ始めている。それだけに、今後「G-ODW」が同社のグローバルマネジメントをサポートしながら、どのような成果を上げていくか、期待したい。

セイコーエプソン株式会社

本社所在地 長野県諏訪市大和3丁目3番5号
設立 1942年(昭和17年)5月
資本金 532億400万円(2003.7現在)
代表者 代表取締役社長 草間 三郎

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