日立ソリューションズは、社会生活や企業活動を支えるソリューションを提供し、持続可能な社会の実現に取り組んでいます。

カーボンニュートラルの
実現に向けて、
サプライチェーンにおける
CO2排出量削減への貢献

日本政府は、2050年までに温室効果ガス(CO2)の排出を全体としてゼロにする、カーボンニュートラルを実現することを宣言し、排出量削減に向けた取り組みは喫緊の課題となっています。日立ソリューションズは、利益の最大化や為替の影響などに加え、CO2排出量を考慮し、サプライチェーンの再構築をシミュレーションする「グローバルSCMシミュレーションサービス」を提供してきました。2023年8月には、企業の脱炭素をトータルに支援する新ソリューションを発表し、カーボンニュートラルの実現に向けた挑戦は続きます。

対談の画像
小沢 康弘

産業イノベーション事業部
サプライチェーン本部 第3部 部長

小沢 康弘

入社後、製造業向けロジスティクス領域への基幹システム導入支援を担当。お客さまとの協創からグローバルSCMシミュレーションサービスを開発し、現在はその経験を活かし、ESGに関するソリューションの企画、開発責任者を務める。

間嶋 信介

産業イノベーション事業部
サプライチェーン本部 第3部
グループマネージャ

間嶋 信介

入社後、電力会社向けの設備管理システムの構築や海外鉄道システムのパッケージの設計を担当。その後、製造業向け販売管理、生産管理システムのプロジェクトマネージャーを経験し、2019年以降、グローバルSCMシミュレーションサービスを含むデジタルサプライチェーン事業の拡販を推進。

和田 栞奈

産業イノベーション事業部
サプライチェーン本部 第3部

和田 栞奈

入社後、製造業における業務関連システムの開発に従事し、2021年よりグローバルSCMシミュレーションサービスの拡販を担当。現在は、カーボンニュートラル実現を支援する新規事業に取り組んでいる。

企業に求められる、
CO2排出量の情報開示と削減
「グローバルSCM(*1)シミュ―レーションサービス」の開発の背景となった課題について教えてください。

間嶋:日本政府より「2050年にカーボンニュートラルを実現する」という目標が、2020年10月に発表され、企業におけるCO2排出量削減の動きが活発化してきました。マイルストーンとして、2030年にCO2排出量を2013年の46%に削減するという目標(*2)も掲げられています。また、2022年4月、プライム市場として上場企業1,841社が公開され、TCFDガイドライン(*3)に従った情報開示が求められるようになりました。

このような状況の中、CO2排出量の情報開示や削減の対象は、上場企業1,841社だけではなく、サプライチェーン全体での取り組みが求められています。当社においては、製造業のお客さまが多いのですが、自社に加え、委託先の工場や運送会社なども含めた、サプライチェーン全体におけるCO2排出量の把握と削減に向けた対策を行う必要があります。当社として、この課題にITで貢献できないかと考え、2022年4月、サプライチェーン全体の最適化を支援する「グローバルSCMシミュレーションサービス」にCO2排出量を試算できる機能を拡張しました。

カーボンニュートラル実現に向けた削減の取り組みは、「削減の目標を立て、施策を立案・実行し、結果を踏まえ改善を行う」という、一連の流れを繰り返しながら改善していく取り組みが必要になります。当社が提供するサービスでは、未来のCO2排出量をシミュレーションできるため、販売・生産計画とあわせて、CO2排出量の削減施策の立案、実行、改善へとつなげていくことができると考えています。

*1:Supply Chain Management(サプライチェーンマネジメント)

*2:2021年4月、日本政府により発表

*3:金融安定理事会(FSB)により設置された気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)は、企業が気候変動リスクにかかわる情報開示を適切に行うことを目的としたガイダンスを作成。プライム市場上場企業に対してはTCFDに従った情報開示が求められる。

相談サービスのグラフ
図1【企業の課題と必要となる取り組みステップ】
出典:株式会社日立ソリューションズ
※4:Science Based Targets。科学と整合した目標設定。
※5:Green House Gas排出量。二酸化炭素やメタンなどの温室効果ガスの排出量。
お客さまや海外ベンダーとの協創により、
CO2排出量削減につながるサービスを開発
お客さまとの協創を通じて、どのような価値を創られたのでしょうか。

小沢:サプライチェーンにおけるCO2排出量をシミュレーションする機能を開発したきっかけは、お客さまとの会話でした。化学製品メーカーのお客さま(A社)では、予算を策定する際、生産や販売計画のシミュレーションを行う目的で、当社のサービスを利用されていました。2019年、A社とのワークショップの中で、調達部の方から「企業のレジリエンスを高めるため、これからはCO2排出量のことも考えていかないといけない」と言われたのですが、これがヒントになり、CO2排出量の計算を行う機能の開発をスタートしました。

2022年4月、この新機能についてニュースリリースで発表した後、製造業のほか、通信や運輸、鉄道などさまざまな業種からの引き合いや相談をいただきました。前述の通り、プライム市場の上場企業1,841社の公開もあり、各社はCO2排出量削減に向けて、どのように取り組んでいけばいいのかなど、多くの企業で検討が開始されており、関心を持たれていたようです。

多くのお客さまとお話をさせていただく中で、カーボンニュートラルに向けての取り組みの状況や悩まれている課題が多岐に渡ることを知ることができました。そこで、前述のグローバルSCMシミュレーションサービスのみではなく、SCOPE3のカテゴリー1(購入した製品やサービスが製造されるまでの活動において排出されるCO2排出量)やカーボンフットプリントの算出、カーボンニュートラルに向けた自社の戦略立案の支援など、お客さまのニーズに合わせてソリューションを選択いただけるよう、ヨーロッパのベンダーのサービスやソリューションも取り入れ、「サプライチェーン脱炭素支援ソリューション」として発表しました。今後も外部環境の変化、お客さまのニーズに合わせてソリューションを充実させてまいります。

相談サービスのグラフ
図2 【サプライチェーン脱炭素支援ソリューション】
出典:株式会社日立ソリューションズ
※6:Life Cycle Assessment。製品・サービスのライフサイクル全体(資源採取から原料生産、製品生産、流通、消費、廃棄、リサイクルまで)における環境負荷を定量的に評価する手法。
※7:経済産業省が創設したGXリーグにおける自主的な排出量取引(Emission Trading Scheme)。
カーボンニュートラルを実現し、
住み続けられる社会をともにつくる
未来への想いやビジョンについてお聞かせください。

和田:2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、気候変動対策として地球環境を守るために、私たちが取り組まないといけない重要な課題であると思います。

また、今後、自然災害やパンデミックなどの影響により、サプライチェーンの見直しも必要になってくるかもしれません。このような不測の事態に対しても、ITを通じてお客さまへ価値を提供するとともに、持続可能な社会へ貢献したいと思います。

間嶋:カーボンニュートラル実現はスケールの大きい取り組みですが、身近にいる大切な人たち、また次世代を担う子どもたちのために安心・安全に暮らすことのできる社会をつないでいきたいと考えると、自分事として一人ひとりが取り組めることがあると思います。当社として「サプライチェーン脱炭素支援ソリューション」のサービスを提供し、お客さまのSXの実現に貢献したいと思います。

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