日立ソリューションズは、社会生活や企業活動を支えるソリューションを提供し、持続可能な社会の実現に取り組んでいます。

社内業務のDX化による
カスタマー・エクスペリエンスの向上

DX推進組織は、各種技術や業務のスペシャリストなど、多様な人財が集まった全社の推進組織です。これまで、全社でデータを戦略的に活用できるように、営業プロセスと保守・サポート業務のDX化を進めてきました。お客さまへのサービス向上をめざして、チーム一丸となり、さらなるDX化を進めていきます。

対談の画像
山村 秀宗

IT・DX推進本部
DiCE推進センタ 部長代理

山村 秀宗

1994年入社後、ソリューション拡販、営業支援/企画を担当。2020年よりDX推進プロジェクトに参画し、主に営業業務のDX化を推進。ビジネスデザイナーとして、契約に関するリスクマネジメントを目的とした契約書適正管理の企画・立案・推進などを実施。
江古 智則

IT・DX推進本部
DiCE推進センタ 主任技師

江古 智則

2003年入社後、情報システム部門に所属し、社内システム開発とシステム運用に従事。現在は自社システム開発のDX推進プロジェクトに従事し、主に「サポート・お問い合わせ」システムのビジネスデザイナー兼アーキテクトとして、企画・立案・推進などを実施。

西岡 絢子

IT・DX推進本部
DiCE推進センタ 主任

西岡 絢子

2000年入社後、情報システム部門に所属し、社内の経理系システムの開発・運用や データ活用基盤の検討を担当。社内のDX推進プロジェクトではPMOとして、プロジェクトの品質管理・コストマネジメント・リスクマネジメントに従事。現在は、特に利用定着化に向けた社内への情報発信を強化中。
津元 有里沙

IT・DX推進本部
DiCE開発センタ

津元 有里沙

2020年入社後、事業部門にてパッケージ製品の開発を経験。2021年からはSFA(営業支援システム)の開発・運用を行っている。将来はUXデザイナーとして、幅広くDX推進に貢献できるエンジニアをめざしている。

対談で話す西岡
多様なスキルを持つ
「DX人財」がそろったDX推進組織
DX推進組織について教えてください。

西岡:「お客さまの期待を超える新しい体験を提供しましょう」というビジョンのもと、お客さま接点の強化と業務の効率化、継続的な進化を目的として、社内のDX化を推進している組織です。

DX推進組織には、「DX人財」として、技術的なスキルや専門的な業務知識を持つメンバーをそろえています。アジャイル開発やデザイン思考のスペシャリストなど、技術的なスキルを持つメンバーや、営業部門、事業部門のほか、管理部門、IT部門の責任者が参画しており、業務知識をDX化へ活かしながら、各部門へ施策を浸透する役割も担っています。このように、社内の各部門の協力により、全社横断的に推進している組織です。

DX人財には、技術的なスキルや業務知識以外にも、「どのような意識・姿勢でDX推進に取り組むか」というマインドが非常に重要です。DX推進組織では、「課題発見」「挑戦」「知的探求心」の3つを特に重要なマインドセットとして定義しており、従来の考え方や手法にとらわれず、さまざまな情報を収集しながら、課題解決へ取り組んでいます。

営業・保守業務のDX化により、
全社でデータを戦略的に活用
これまで取り組んできた代表的な施策について教えてください。

山村:当社では、営業部門が先導役となり、営業プロセスのDX化に向けてさまざまな施策を推進しています。これまで取り組んできた施策として、SFA(営業支援システム)による未受注案件管理と「データ利活用基盤」(BIツール)によるデータの可視化があります。

津元:当社では、未受注案件の管理は部門ごとに個別最適化されていたため、同一案件を扱う営業部門と事業部門でもスケジュールや受注金額、顧客感触などの認識にずれが生じてしまい、相互確認を行うために、多くの時間を費やしていました。

この問題を解決するため、SFAの全面再構築と、SFAに対して営業部門と事業部門で利用することで初めて効果が出ることを周知し、社内の意識改革を行いました。SFAで未受注案件の状況の可視化や情報共有を行うには、未受注案件を扱う営業部門と事業部門の双方が利用しなければ意味がありません。営業部門と事業部門が協力し、お互いが入手した情報の入力・共有・活用を行う体制を整えたことが、何よりの成果だと言えます。

対談で話す津元
対談で話す山村

山村:SFAの全面再構築と並行して、当社の「データ利活用基盤」を利用して業績シミュレーションを可視化することで、営業部門や事業部門は、未来を見据えての戦略立案や営業活動の早期軌道修正ができるようになりました。さらにスタッフ部門や経営層もほぼリアルタイムのデータを利用できるため、客観データにもとづく戦略策定や経営判断の迅速化につなげることができました。

現在、当社グループ全体の戦略立案を実現するため、グループ会社へ本施策の展開を進めています。グループ会社においては、企業の特性や業務の違いがあることから、実現にはさまざまな課題があります。これらの課題に対しても、当社のDX推進組織が旗振り役となり、複数の企業にまたがる関係者がチーム一丸となり、グループ会社のDX化を進めていきたいと考えています。

保守サポートのDX化

江古:当社では、製品・サービスによって保守サポート窓口が分かれており、複数の製品・サービスをご契約されているお客さまは、どの窓口に問い合わせればよいか分かりづらい、利用する保守窓口によって対応が異なる、といった問題が発生していました。

「サポート・お問い合わせ」システムは、これらの問題を解決し、お客さまへの充実したサポートサービスの提供とカスタマー・エクスペリエンス(お客さま体験価値)の提供を実現する、当社の全製品・サービス共通のコミュニケーション基盤です。

「サポート・お問い合わせ」開発プロジェクトでは、当社のさまざまなDX人財がプロジェクトに参画し、新システム開発や既存システムからの移行・利用定着化を行っています。

保守サポートのDX
「サポート・お問い合わせ」プロジェクト推進体制
出典:株式会社日立ソリューションズ

従来の保守サポートシステムは、保守サポート業務に特化したシステムであったため、社内にあるさまざまなデータと組み合わせた活用が困難でした。

本システムは、SFAと同一のクラウドサービスで実現しているため、SFAにおけるお客さま情報を活用することで、製品・サービスの契約前から契約後に渡り、お客さまに、より良いカスタマー・エクスペリエンスを提供できるようになりました。さらに今後は、社内でデータを活用し、継続受注数の向上やクロスセル・アップセルなど、営業プロセスのDX化につなげていくことをめざしています。

チーム一丸となり、
全社共通で活用できる基盤を整備
データ利活用の面で工夫したところを教えてください
データクレンジングとマスターデータの整備

西岡:当社では、日立グループ共通基盤の基幹システムのほか、各種業務に特化した業務システム、パブリッククラウドサービスなど、さまざまなシステムや情報を利用しているため、「データが分断している、システムによってデータの粒度や表記方法が異なり分析に利用するのが難しい」という問題がありました。

これらの問題を解決するために行ったのが、データクレンジングとマスターデータの整備です。データの利活用には、データの品質向上が欠かせません。そのため、重複情報の統一や欠損の補完、表記ゆれの標準化、ノイズの排除といったデータクレンジングと、企業マスターデータ、商品マスターデータの整備と鮮度維持に取り組みました。

さらに、データ利活用基盤上で、整備したデータを全社で活用できるようにしました。

データ利活用基盤において、活用しているデータは、営業支援ほか、プロジェクト管理や業績、人事、調達に関連する情報など多岐に渡っており、全社部門で利用しています。

これらのプロジェクト成功のためには、「DX人財が1つのチームとなり、うまく機能する」必要があります。そのため、各メンバーが役割に応じたスキルやマインドを持つだけでなく、プロジェクト開始時にデザイン思考を活用して明確化した「ユーザー像」や「ユーザーの本質的な課題・ニーズ」を共通認識とすることで、チームが一丸となり、ユーザーの視点でプロジェクトが推進できるように工夫しました。

利用定着化に向けて

西岡:データ利活用基盤を社内で広く活用してもらうには、「何ができるか」を従業員に理解してもらうことが非常に重要です。そのために、実際に利用した従業員からのフィードバックを受けてシステムを改善しながら社内の利用者を増やしていきました。また、Excel に使い慣れた従業員に対して、Excelにはない便利さを体験していただけるようにアプローチなどを行いました。

このようにして、データ利活用基盤の利用が定着化できたのは、IT部門と営業や人事などの各コンテンツの推進部門が協力し合って、熱意を持って行動できたからだと考えています。「利用してほしい」だけではなく、「データ利活用基盤を利用して、文化を変えていこう」というマインドで取り組めたことが、データ利活用基盤の利用定着化や業務効率化などの成果につながったと感じています。

継続的に進化していくDX化推進プロジェクト
今後のDX推進について教えてください

江古:施策や施策による成果の情報発信強化とユーザーの声をもとにした継続的改善により、「自分の業務は簡単には変わらない・変わる機会がない」と考えている従業員に「業務の役に立つ・便利になる」と実感していただくことが重要と考えています。

また、社内DX化推進プロジェクトで目的のひとつとして掲げている「業務の効率化」を達成するため、より一層「業務プロセス改革」に取り組みます。業務プロセスには、さまざまな組織がかかわり、関係するシステムも多岐に渡ることから、部門を超えた社内ステークホルダーの協力が欠かせません。DX推進組織のメンバーを中心として、データドリブン経営をはじめとするデータ利活用促進や、業務プロセス改革を推進することで、さらなるDX化につなげていきたいと考えています。そして当社のDX化の体験をもとに、お客さまのDX化へも貢献していきたいと思います。

対談で話す山本
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