日立ソリューションズは、社会生活や企業活動を支えるソリューションを提供し、持続可能な社会の実現に取り組んでいます。

欲しいアプリケーションを自分でつくる! 海外メンバーと手を組み新技術にトライ 若手人財育成「アプリケーションコンテスト」

日々の業務に追われ、同じ部署でもプロジェクトが違うと交流が図れない。担当業務の技術領域外の新技術習得の機会が少ない・・・。在宅勤務が増加する中、若手人財を取り巻く環境が変化してきました。 このような現状を打ち破るための新しい取り組みとして、2022年にスタートしたのが「アプリケーションコンテスト」です。

目的は、①Microsoft Power Appsの習得。②新技術に挑戦。コンテストの参加者は、この2つのテーマをクリアしながらチームでアプリケーションを作成。コンテスト形式で結果を競いあうというものです。自ら考えて行動する一人へ。メンバーを思いやるチームへ。チャレンジをあと押しする気風が、成長への追い風になっています。

笑顔で話す3人
村松翔

株式会社日立ソリューションズ
産業イノベーション事業部
グローバル本部 第4部 技師

村松 翔

財務データのグローバル標準であるXBRLを有効活用するためのソリューション開発・拡販業務に従事。本コンテストではチームのまとめ役としてメンバーを率いた。

趙雪辰

株式会社日立ソリューションズ
産業イノベーション事業部
グローバル本部 第4部

趙 雪辰

商社・卸向け販売管理システムの刷新・導入業務に従事。本コンテストでは、AI導入の成功の鍵を握るとされるデータによるルールベースづくりに貢献した。

岡田澪奈

株式会社日立ソリューションズ
産業イノベーション事業部
グローバル本部 第4部

岡田 澪奈

商社・卸関連の企業に向けた受発注・与信管理をはじめとする販売管理システムの導入を担当。今回、チームとして開発したアプリケーション「レストラン検索」の発案者。

個々人の高いモチベーションが チームの結束力を強くした

「アプリケーションコンテスト」には
どのような想いで参加されたのですか。

趙:昨年も参加したのですが、今年も同じメンバーでアプリケーションを開発することを楽しみにしていました。通常の業務では使っていないPower Appsの技術が習得できることも魅力の一つでした。

岡田:実際の業務では、システム設計の部分を主に担当しています。このコンテストでは開発もできますし、日ごろは接する機会のない海外のメンバーと同じチームになれると聞き挑戦してみたいと思いました。

参加するにあたり、身近な悩みを解決できるものをつくりたいと考えました。ここ数年は、在宅で勤務することが多かったため、会社の周辺にどんなお店があるのかわからず、出社するたびに、昼食をどこでとろうかと悩んでいたのです。そこで思いついたのが、レストランを検索するアプリケーションでした。

Microsoft社が提供するノーコード・ローコードの業務アプリ開発ツールであるPower Appsの特徴や連携しやすい技術を調べたところ、AIとの相性がよいことがわかり、新機能としてAIに挑戦してみようと思いました。

Power Appsは、Webのアプリでありつつ、データなどの公開範囲を社内に限定することができます。社内限定だからこそ、会社の周辺に特化して情報を集めることができますし、信頼度も高まります。インハウスとAI、Power Appsならではの特性をいかしたものにすることをめざしました。

話す趙さん
チームの構成について教えてください。

村松:今回、私たち3人がチームを組んだのはフィリピンのグループ会社に在籍する、入社2年目の2人のメンバーです。計5人の混成チームとしてコンテストに参加しました。

最初のオンラインミーティングから一次審査までは3週間ほどしかありませんでした。顔合わせをした翌日には、アプリケーションの内容について話し合い、岡田さんのアイデアに決定しました。早速、岡田さんが概要資料を作成し、画面のイメージや必要な機能についてみんなで検討していきました。アウトラインが決まったところで、スケジュールと役割分担を決定。アプリケーションとデモンストレーションを含む10分間のプレゼンテーション動画を急ピッチで作成し、本選進出をかけた一次審査にのぞみました。無事、決勝に進むことのできるトップ3に残ることができ、そこからは決勝に向けて、さらにブラッシュアップ。その結果、私たちのチームが優勝することができたのです。

役割を決める際には、作業の項目名を列挙しただけではエアポケットができる可能性があると思い、綿密なジョブディスクリプションを作成してすり合わせを行いながら、漏れがないように真剣な討議を重ねました。各自のやりたい作業と得意なことがうまくマッチし、スムーズに開発作業に進むことができました。自主的に仕事に取り組む姿勢に、メンバーのモチベーションの高さをあらためて感じました。

AIを導入する上で難しいと
感じた点などはありますか。

村松:このアプリケーションの特徴は、リコメンドの評価項目の一つであるレビューコメントをもとに、検索できるというのが大きなポイントになっています。その部分にAIを導入しました。味や場所といった一般的な評価だけではなく、コメントの感情分析をAIで実現したところが、多くの方が利用されている従来のものとは異なる点です。

AIの判断は、予想していたよりも正確だなと思った半面、皮肉めいた表現に弱いなど、日本語の持つ独特なニュアンスを理解させるには難しいところがあり、アプリケーションとどう整合させるか苦労をしました。英語のドキュメントしかなかったため、英語力の必要性も痛感しました。

趙:私は、AIを使ってリコメンデーションを分析するためのデータ収集や投入を担当しました。AIの仕様を測定、理解するには、良質のデータが必要です。今回のアプリケーションにとって、どうすれば有効なデータを収集できるかと悩みながら、海外の膨大なwebサイトを一つひとつ確認してレビューコメントを調べたり、検索方法を確認したりといった工夫を重ねていきました。

メンバーを尊重し合う想いが 互いの成長を引き出した

海外メンバーとの共同作業で
特に意識したことはありますか。

岡田:通常業務をこなしながらの作業でしたので、打ち合わせの時間も限られています。ミーティングの前には必ず、話したいことをあらかじめ文書として共有することで、認識のずれや漏れのないコミュニケーションをとるように心がけました。私は開発の担当だったのですが、チャットのほうが英語でのやり取りがスムーズにできると感じ、開発担当同士のコミュニケーションはチャットメインで行いました。

一点、とても反省していることがあります。フィリピンのメンバーの忙しさに気づけず、重めのタスクが割り当たってしまったことです。コンテストに限らず日常の業務でも、相手への配慮を忘れずに状況を把握することの大切さを学びました。

趙:私は今まで、英語を使って仕事をした経験がありませんでした。フィリピンのメンバーとうまく呼吸を合わせられるか不安でした。私も事前に話したいこと、聞きたいことをまとめ、翻訳してからミーティングに参加するようにしていました。しかし、実際に作業をはじめてみると、思いのほかスムーズにコミュニケーションを取ることができ、ほっとしました。2年目とは思えない技術力と広い視野を持つ海外メンバーのおかげで、順調に作業を進めることができました。

村松:私は若い頃、海外研修を経験したことがあります。その際、英語力とは別の理由で苦労した覚えがあります。日本人は会議の際、間違ったことを言うくらいなら黙っていようと思う人が多いと思います。完ぺきなことを言わなきゃと考えがちです。でも、海外でそんなことをしていたら、この人は自分の意見を言わない人として低評価を下されてしまいます。このように、文化の違いで心が折れそうになったことが何度かありました。海外のメンバーとチームを組む今回のコンテストでは、英語で進める大変さは予測できても、このような文化的な違いを意識している人はいないと思いました。そこで、間違った英語でもよいから、海外メンバーの意見に対して自分の意見・感想をすぐに返すようにしました。そこでお互いの意見が言いやすい、常にフラットコミュニケーションができるような演出を心がけました。

話す岡田
見事、優勝という結果に終わりました。感想をお聞かせください。

趙:コンテストに参加した当初から、周囲の人からたくさんの励ましをいただき、それを原動力にしてきましたので、その想いに応えることができたように感じとても嬉しかったです。

審査の際、他のチームの発表を聞き、内容の素晴らしさに驚かされました。特にインドのメンバーが日本語でプレゼンをしているのを見て、語学力をはじめ、自身の足りない面を再認識することができました。その中で優勝できたことに信じられない気持ちと達成感を覚えました。

岡田:私も、周囲の励ましを心強く感じていました。一次審査の際にも、無事に通過できるようにと、私たちを撮影した動画を配信し、投票を促してくれた方もいて、とても嬉しかったです。結果として、自分が発案したアプリケーションを形にすることができ、しかも優勝できたことは大きな自信につながりました。

村松:昨年は惜しくも決勝で、僅差で敗れていますので、今年は優勝できて良かったと思っています。

本音を言えば、決勝に至るまでのプロセスが手応えに満ちたものでしたので、これでもう十分に目的は達成したという気持ちがありました。チームとして全員が成長できたことが大きな収穫で、優勝はむしろ副賞と言えるかもしれません。また、AIに挑戦できたことも貴重な経験になりました。

挑戦をあと押しする社風が “やってみたい”気持ちを次々とかなえてくれる

コンテストを通して、ご自身で変化したと
感じることはありますか。

趙:私の出身国は中国です。現在の仕事のパートナーも中国の方が殆どです。母国語で仕事を進めるときと、今回のように海外のメンバーと英語で仕事をするときとでは、雰囲気が全く違うことを実感しました。簡潔に伝えるためには、どのように話せばよいのかなど、考えさせられることばかりでした。この経験を通して、少しですが自信を持つこともできました。これからは海外の方と、一緒に仕事をする機会が増えることを期待しています。

岡田:グローバルな部分の経験を積むよい機会になったと感謝しています。開発に従事でき、技術力のアップにもつなげることができました。今までは、上司から指示をもらって作業したり、お客さまから伺ったご要望に合わせて仕事をしてきました。今回のコンテストでは、自分で発案し、段取りもして開発することができました。自分で考えて行動できるようになった点が、私の中で一番変わったことだと思います。

村松:私にとっても、海外のメンバーをリアルに感じるよい機会になりました。当社にはさまざまな挑戦の機会があるので、そうしたアイデアや制度を続けて欲しいと思います。

今回のコンテストのテーマでもあった、普段できない技術への挑戦、英語での作業、海外メンバーとのコラボレーション、たくさんのことが一度に経験できとても新鮮でした。

岡田:職場の雰囲気がとても温かくて、今回も失敗してもよいからねと、チャレンジを後押ししてくれました。今回のような海外メンバーとのコラボレーションや最新技術に挑戦できる機会がもっとあればいいなと思っています。

趙:自分がこれをやりたいとアピールすると、その想いをしっかりと受けとめ、機会を与えてくれることにいつも感謝しています。これからはもっと積極的に、最新技術の習得に挑んでいきたいと思いました。

話す村松さん
趙と岡田と村松
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