株式会社KOKUSAI ELECTRIC様 Coverityの導入事例やシステム構築例を紹介|システム構築やトータルソリューションをお探しなら、日立ソリューションズにお問い合わせください。

Coverityの導入事例

株式会社KOKUSAI ELECTRIC様

半導体製造装置のソフトウェア開発に高精度の静的解析を導入。シフトレフトによる品質向上・サイバーセキュリティ強化を実現

グローバルに事業を展開する半導体製造装置専業メーカーの株式会社KOKUSAI ELECTRICは、シフトレフトの実現をゴールに、検知精度の高さと拡張性に優れた静的解析ツール「Coverity」を導入。静的解析ツールの利用を業務プロセスに組み込むことで定着化を図り、後工程への不具合の流出率を低下させるとともに、テスト工数の削減にも成功しました。さらなる品質向上に向け、引き続き日立ソリューションズのサポートを受けながら、その効果を最大化する活用を続けています。

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課題
効果
既存の静的解析ツールの運用が定着化せず、開発部門全体での品質向上への取り組みが進まない
静的解析をルール化して業務プロセスに組み込み、開発者によるツールの活用を早期に定着化
開発の後工程で不具合が発覚すると問題解決に時間がかかり、品質ロスコストが膨らむ
高精度な解析で開発の前工程での不具合検出を強化し、手戻りを防止するとともにテストコストを削減
変更の影響を見極めずに次の変更を加えてしまい、思わぬタイミングで副作用的な不具合が生じる
ほかの管理ツールとの連携による開発リーダーへの通知や、夜間の静的解析の実施により修正の漏れや遅れを防止
構成図(簡易イメージ)

背景

品質向上へシフトレフトの取り組みを強化

守田 氏システム開発本部 ソフトウェア開発部 部長
守田 修 氏

半導体製造プロセスにおける成膜を軸としてグローバルに事業を展開し、バッチ成膜装置およびトリートメント装置の市場で高いシェアを誇る半導体製造装置メーカーのKOKUSAI ELECTRICは、1949年の創業以来、「技術」と「対話」で世界中の半導体メーカーのニーズに応えてきました。

半導体製造の数ある工程の中でも、半導体デバイスの性能を左右する成膜プロセス、トリートメント(膜質改善)プロセスを軸に事業を展開する同社のソフトウェア開発部では、半導体の基盤となるウェーハ上への薄膜形成を制御するためのコントローラーに搭載するソフトウェアを開発しています。具体的には、温度、ガス流量、圧力など、数多くのパラメーターを精密に制御するためのリアルタイム制御プログラムや、操作画面表示制御プログラム、顧客ホストへの通信プログラム、オフィスなどからリモートでデータ監視を行うプログラムなどです。これらのプログラムは、リリース後にフィールドでソフトウェアの不具合が発生してしまうと、顧客の信用を損なうのはもちろんのこと、原因の特定と問題解決に時間がかかり、不具合の修正に伴う品質ロスコストが大きく膨らむことになりかねません。

また、製品ライフサイクルが長い半導体製造装置ならではの課題について、小山氏はこう説明します。

「一度開発したソフトウェアをベースに、お客さまからご要望があった機能を追加して、10年、20年とエンハンスを繰り返していくわけですが、その間に開発者が入れ替わり、技術も進化します。変更による影響を見極めきれずに次の変更を加えてしまうと、副作用的に思わぬ動作を引き起こしたり、顕在化していなかった不具合が突然現れたりすることがあるのです」

こうした開発上の特性から、同社は品質向上に向け、開発の前工程にテストを組み込み、可能な限り早い段階で問題を解消する「シフトレフト」の取り組みを強化してきました。その一つとして、既存の静的解析ツールを用いてソースコードに潜む不具合の検出に努めてきたものの、検出精度が不安定で誤検知が多く、部門全体での定着化には至りませんでした。

取り組み

静的解析を業務プロセスに組み込み定着化

小山 氏システム開発本部 ソフトウェア開発部 主席主任技師
小山 良崇 氏

静的解析ツールの運用が一部の開発チームにとどまる状況は、望ましくありません。そこで、新しいツールの検討を始めた同社は、日立ソリューションズが提供する静的解析ツール「Coverity」の採用を決定。組み込みソフトウェア開発での実績があり、検出精度の高いことや、幅広い言語に対応していること、単純な文法だけにとどまらず、リソース競合やデッドロック検出ができるなど機能が豊富であること、他社のバグ管理システムやソースコード管理システムと連携できることなどを総合的に評価しての判断でした。

小山氏は、「開発チームで活用しているほかの管理ツールの導入を通じて、日立ソリューションズとはすでに良好なパートナー関係にあったことも、意思決定を大きく後押しした要因の一つです。いざというときに日立ソリューションズの手厚いサポートがある安心感は大きいですね」と付け加えます。

導入にあたっては、これまでに開発したソースコードの指摘と新規で追加したソースコードの指摘を同時に対応することが難しく、まずは後者に関する重要な不良から対応を開始。また、既存ツールでの反省を踏まえ、静的解析の実施をルール化し、業務プロセスの中に組み込んでしまうことで、混乱のない円滑な導入と早期定着化を図りました。

効果

テスト工数の削減と品質向上を両立

余川 氏システム開発本部 ソフトウェア開発部
余川 孝士 氏

同社はシフトレフトの実現をゴールに、後工程まで見逃されていた不具合の件数や、テスト工数をKPIとして設定し継続的に管理しています。「Coverity」の導入以降、その傾向に顕著な変化があり、後工程への流出件数は30%以上の改善、テスト工数も前年比で10%以上の削減が見られています。

これらは、「Coverity」の価値を最大化する同社の取り組みの成果でもあります。たとえば、「Coverity」と「Bitbucket」との連携により自動解析を行い、その結果を開発リーダーに通知して修正漏れを防ぐほか、開発したソースコードを一日の作業完了時にコミットすることで夜間に静的解析を実施し、翌朝にその内容を確認して速やかに修正対応をしています。また、「Coverity」で検出できないコードがあった場合は、カスタムチェッカーを活用してルールを追加。こうした場面では開発者から質問を受けることも多く、「日立ソリューションズには技術面でたくさん助けていただきました。自分たちでは解決できないような問題に直面したときも、丁寧かつ短時間で解決へと導いてくださり、開発の遅延を最小化できています」と余川氏は語ります。

ソフトウェアの品質向上に十分な手応えを感じているという小山氏は、セキュリティ面での「Coverity」の貢献についても再認識したとして、「セキュリティ要件の厳しいお客さまを数多く抱える当社にとって、ソースコードレベルでセキュリティの脆弱性まで検出できる『Coverity』は、サイバーセキュリティ対策において極めて有効なツールです」と評価しています。

展望

さらなる品質向上に生成AIの活用も検討

ソフトウェア開発のさらなる効率化と品質向上に向けて、今後はテストコードの導入を推進していきたいという同社。生成AIを活用したテストコードの普及、品質向上に向けて意欲的に取り組むとともに、「Coverity」の進化にも期待を寄せています。

「数十年前の古いソースコードの中には複雑化して処理が重くなってきているものもあります。処理スピードをあげるための提案や、同じような指摘を一括修正する仕組み、修正箇所のリコメンドコードの提示など、開発をアシストしてくれるような機能が充実したらさらに便利ですね」と守田氏。

常に改善を繰り返し、さらなる品質向上をめざすKOKUSAI ELECTRICの挑戦は、とどまるところを知りません。そのこだわりを「Coverity」が受け止め、日立ソリューションズが支えています。

株式会社KOKUSAI ELECTRIC

本社所在地 東京都千代田区神田鍛冶町3丁目4番地 oak神田鍛冶町5階 株式会社KOKUSAI ELECTRIC
設立 2017年2月2日
従業員数 単独1,125名、連結2,472名(2024年3月31日現在)
事業内容 半導体製造装置の開発・製造・販売・搬入・セットアップ事業、半導体製造装置のメンテナンス・修理・部品販売などのサービス事業
URL https://www.kokusai-electric.com/

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本事例の内容は2025年4月3日公開当時のものです。

最終更新日:2025年4月3日

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