株式会社見谷組様 DatuBIMの導入事例やシステム構築例を紹介|システム構築やトータルソリューションをお探しなら、日立ソリューションズにお問い合わせください。

DatuBIMの導入事例

株式会社見谷組様

ドローン空撮画像をBIMの3Dモデルに重ね合わせて、社内の進捗・施工管理や発注者への報告に活用

公共施設や商業ビルの設計・施工に携わる見谷組は、空撮に使っていたドローンとBIMを連携させるためのソリューションとして「DatuBIM」を採用。空撮画像をクラウドでオルソ画像と点群データに変換させて、BIMの3Dモデルに重ね合わせることに成功しました。これによって具体的な比較や分析ができるようになり、スムーズな施工管理が可能に。重ね合わせの結果は、発注者への報告にも活用されています。

メインイメージ

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課題
導入後
ドローンによる空撮画像に、建物の2DCADデータを正確に重ねられるようにしたい
オルソ補正をかけた画像に建物の2DCADデータを重ねて現状との比較や進捗管理に活用できるようになった
ドローンによる敷地の空撮画像を点群データに変換し、BIMに取り込んで3Dモデル化したい
  • BIMの3Dモデルと重ね合わせて事前検討できた
  • 点群データとの連携で多くの地点の座標を一挙に取得でき、測量もれが発生しなくなった
完成イメージや工事の進捗状況を発注者にわかりやすく説明したい
点群データやオルソ画像に建物の3Dモデルを重ね合わせて示すことにより、発注主の納得度が向上した

背景

狙いはドローン画像と図面の重ね合わせ

見谷 氏常務
見谷 純次 氏
橋本 氏建築工事部 工事課 副課長
橋本 哲 氏

福井市の株式会社見谷組は、公共施設や商業ビルの設計・施工を数多く手がけている建設会社です。国土交通省が進める建設業界のICT化に応えるかたちで、同社は早い時期からICT化に着手していました。3D CADで設計するだけでなく、施工段階ではBuilding Information Modeling(BIM)を活用して3Dモデルと建物属性情報を連携したデータとして管理しています。

また、敷地や建物の外観を撮影するためのドローンも2013年から運用しています。その次のステップとして同社がめざしたのが、BIMとドローンを連携させる活用法でした。

「当社はドローンを使ってはいましたが、空撮画像を見て進捗を確認したり、その画像を発注主への説明に使ったりするだけでした。真上から撮った地形の画像にはひずみが生じるため、そのままでは図面と重ね合わせて比較することができませんでした」(橋本氏)

そこで同社は、ドローンが空撮した画像をオルソ補正してひずみを除去できるソリューションをインターネットなどで調査しました。

「オルソ画像に変換できるソフトはいくつかあり、無料版で試してみることもしました。しかし、思っていたのとは違う結果しか得られず、いったんは断念することになりました」(見谷氏)

取り組み

オルソ画像に加え点群も作れることが決め手

細川 氏総務部
細川 翔太郎 氏

糸口が見えてきたのは、2022年の暮れのことでした。イスラエルのDatumate社が開発し、日立ソリューションズが2022年5月に日本国内初の販売代理店として提供を開始した「DatuBIM」を橋本氏がインターネットで見つけたのです。

「ポイントの1つは、オルソ画像を作れることでした。ひずみのないオルソ画像なら、図面ときちんと比較ができるはずと思いました。BIM製品のベンダーからは『点群データがあると活用の幅が広がる』と聞かされており、それも作成できることが採用の決め手になりました」(橋本氏)

その後、2023年3月にはトライアルを開始。6月から実際の業務で使い始めました。

「現在は、敷地を2回空撮してBIMモデルと比べています。着工前は、敷地の現況が計画と合致しているかを確認しています。基礎工事中は、基礎杭の位置が図面と合っているかを確かめます」(細川氏)

細川氏によれば、1回の撮影枚数は平均して100枚程度。広い現場だと250枚程度撮影することもあります。オルソ補正用マーカーとして標定点(GCP)を事前に設置しています。撮影が終わったら、事務所に戻ってドローン内の画像データを「DatuBIM」のクラウドにアップロード。管理画面でGCPの座標を設定すると、オルソ画像(.tif)や3D点群データ(.las)がダウンロードできます。

概要図

効果

課題を早期に発見して早期に対処可能

見谷組でのドローン+「DatuBIM」活用の実績は、トライアルからの10カ月で約10件になります。この実績をもとに、同社は、オルソ画像と点群データを活用すれば施工管理がスムーズになると評価しています。

「空撮データから3Dモデルを作ると現場の状況がよくわかり、既存建物との干渉など、建物を建てていくうえでの課題も見えてきます。そのような課題を事前に解消しておけば無駄な作業が減り、工数や時間を節約できるようになると思います」(細川氏)

また、点群データには敷地全体の座標が含まれているので、「測量もれ」が生じないことも重要なポイントといえます。測量機で測っていなかった地点があっても測り直しをする必要はなく、点群データの座標を画面上で調べるだけで対処できます。

さらに、「DatuBIM」は工事の状況を発注者にわかりやすく説明するためにも活用されています。例えば基礎杭に多少の位置ずれがあった場合、従来は図面にずれの数値を記入して報告するだけでした。しかし、「DatuBIM」なら画像の上に数値を重ね合わせたもので説明することができ、納得を得るのも容易になります。もちろん、建築士や設計士に提出する証明資料を作るためにも「DatuBIM」は使われています。

展望

オルソ画像と点群をさらに積極活用

導入してからの期間が短いこともあって、今、見谷組はドローン+「DatuBIM」を適用する案件を1件でも増やすことに力を入れています。オルソ画像と点群を使い込んでいくうちに、新たな活用法も見えてくるはずと考えています。

「『ソフトウェアとして素晴らしい』というのが、『DatuBIM』に対する当社の偽らざる評価です。より多くの中堅建設業者が『DatuBIM』を活用して業務効率化と生産性向上を達成できるように、補助金のような仕組みが創設されることを望みます」(見谷氏)

販売元である日立ソリューションズに対しては、「画像の解像度不足による精度低下の問題が生じたときに、ドローンの適切な飛行高度などを調べてくれました。GCPの設置のしかたもレクチャーしてもらって感謝しています」と細川氏は振り返ります。

毎年のように新技術や新製品が登場するドローンの世界。その最新の成果を建設業の業務効率化と生産性向上に役立てていただくために、日立ソリューションズはこれからも開発元のDatumate社と連携して「DatuBIM」の機能強化に努めてまいります。

ドローンによる空撮で土木工事の進捗を把握

  • クラウドサービスとして提供されるので、モバイル機器とネットワークがあれば屋外でも使用可能
  • 空撮画像をオルソ画像や3D点群データに変換し、ダウンロードしてBIMなどで活用することが可能
  • 標定点(GCP)の位置情報と空撮画像内のGCPマーカーをAIによる画像解析技術で自動的に対応付け
ドローンによる空撮で土木工事の進捗を把握

株式会社見谷組

所在地 福井県福井市丸山1丁目1118番地 株式会社見谷組
設立 創業1923年7月1日、設立1966年4月1日
従業員数 40名
事業内容 公共施設、オフィスビル、商業施設、工場、倉庫、事務所、マンションなどの設計・施工
URL https://www.mitanigumi.co.jp/

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本事例の内容は2024年3月7日公開当時のものです。

最終更新日:2024年3月7日