デジタルマーケティングソリューション
デジタル技術で進化を遂げた会員制ビジネスとは?マーケティング戦略と事例
デジタルマーケティングが普及するとともに、急速に重要度が増しているのが「会員」というものの存在。顧客を会員化することで、自社の商品・サービスに対して興味、購買意欲を持っている人の属性、購買行動に関するデータを効率的に収集し、詳細な分析を加えることができるようになるからです。また、会員化した顧客に対して、より手厚いコミュニケーションを取ることで、ロイヤルカスタマーへの成長を促す企業も増えてきています。
今回は、会員制ビジネスとはそもそもどのようなものなのかという基本的な領域から、デジタル技術によって進化を遂げ続けている会員制度を利用したマーケティング戦略の基礎を解説していきます。
目次
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デジタルマーケティングソリューション PointInfinity
「会員管理システム」、「ポイント管理システム」にデジタルマーケティング機能を統合。
魅力的な会員プログラム、ポイントプログラムの構築から、運営で収集した情報を活用したAIによるレコメンド、効果測定などマーケティングのプロセスをトータルに支援することで、エンゲージメント向上を実現します。
会員制ビジネスとは?ビジネスモデルとメリット
まずは、今回取り上げる「会員制ビジネス」についての共通理解を図るために、その定義について簡単に説明しておきましょう。会員制ビジネスという言葉は広い意味を持つのですが、「個人情報の登録とサービス利用の同意をしていただいたうえで、顧客に対して何らかのサービスを提供し、マネタイズを図るビジネスモデル」のことを指すと考えるのが一般的。「個人情報の登録とサービス利用の同意」を得ることが会員登録・会員化です。
例えば、スポーツジムやレンタルビデオショップなどのように、会員から直接、サービス利用料金を得るビジネスも会員制ビジネスですし、Facebook、TwitterといったSNSのように、会員にはサービス利用料を課さず、広告収入を収益源とするビジネスも会員制ビジネスといえます。また、オフライン、オンラインを問わず、小売事業者や飲食事業者が独自の会員システムを構築し、ポイント付与や会員限定サービスの提供によって、販促や顧客の囲い込みを図るといったスキームも、広い意味では会員制ビジネスのひとつと呼べるでしょう。
会員制ビジネスの大きなメリットは、会員化することで顧客を自社の資産にできるという点です。一般的なスポーツジムのように月額課金での会員制度であれば、会員数そのものが直接的に収益となります。ただし、デジタルマーケティングの文脈で考える場合、より重要なのは、顧客の持っている情報の効率的な集積・分析が可能になるということ。そして、分析結果に基づいた、効果的なマーケティング戦略の立案と実施が可能になるということです。
会員制ビジネスを進化・加速させるCRMを用いたマーケティング戦略
従来の会員制ビジネスにおける会員からの情報取得は顧客管理の意味合いが強いものでした。前述したスポーツジムやレンタルビデオショップの場合、会員化によってサービス利用者を特定できるようにし、利用料金を確実に回収するという意味合いが強かったと考えられます。また、行われる施策は、いかにして会員数を増やすかという目的に偏る傾向がありました。
しかし、デジタルマーケティングの文脈で語られる会員制ビジネスは、視点が大きく異なります。前述したように、会員を収益源としてだけでなく、情報資産として捉え、効率的・効果的なマーケティング・コミュニケーション戦略の立案・実施につなげていくのです。これはいわゆる「CRM(Customer Relationship Management:カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)」という考え方・手法です。CRMは会員制ビジネスそのものの進化系であり、会員制ビジネスを加速するためのアクセルでもあります。CRMによって、どのようなマーケティング施策が実現可能になるのかを見ていきましょう。
データ分析による購買行動の集積・分析・可視化
CRMの実践においては、第一に会員情報の集積と分析、そして可視化を行います。ここでいう会員情報とは、名前や性別、年齢、電話番号といったものだけではありません、購入した商品・サービス、購入に至るまでの導線、購入日時などを含む、会員のあらゆる購買行動に関する情報が含まれます。これらの膨大な量の情報を分析し、可視化することで、「●●というセグメントに属する顧客には、▲▲のようなプロモーションが有効なのではないか」という仮説が立案できるようになり、仮説に基づいたPDCAによってマーケティングの効率化を図っていくわけです。
例えば、既存会員の趣味・嗜好、会員化までのプロセスを分析してプロモーションを実施することで、「新規会員の獲得」が容易になるでしょう。退会者の特徴を洗い出し、対策を検討することで、退会率の低減を図ることもできます。
顧客一人ひとりに寄り添ったコミュニケーション
上記のようなデータの分析を進めていくと、より個人に寄り添ったコミュニケーションも可能になります。例えば、あるアーティストのDVD・ブルーレイを大量に購入している男性がいたとしましょう。このとき、その男性のメールアドレスや電話番号、LINEアカウントなどと、その購買行動を紐づけておけば、そのアーティストが次にDVD・ブルーレイを発売するタイミングに、ピンポイントで予約情報、商品情報などを提供できるようになります。その男性の好みに合わせて、他のアーティストの楽曲をレコメンドすることも可能です。
直接的に販促に関わるもの以外にもコミュニケーション手法にはさまざまなものが考えられます。会員マイページとポイント制度を用意し、ポイントによって限定コンテンツを視聴できるようになるといったサービスを提供することもできるでしょう。顧客との接触頻度の増大、価値のある情報の提供は、エンゲージメント(企業や商品と顧客の深い関係性)の構築を促し、結果的にロイヤルカスタマーの育成につながっていきます。
とはいえ、CRMを実践するためには、会員制度を用意するだけでは不十分。会員から取得した情報を効率よく分析し、施策を実現できるシステムが必要です。通常、これらのシステムはCRMソリューションなどと呼ばれ、システムベンダーが提供するものです。最後にCRMソリューションを用いた会員管理の導入事例を紹介しているので、ぜひチェックしてください。
それでは、会員制ビジネスの成功事例を見ていきましょう。
■会員制ビジネス 成功事例①:株式会社ヤクルト球団(東京ヤクルトスワローズ)
株式会社ヤクルト球団では、チケット販売システムの刷新(球団公式チケット販売サイト「スワチケ」の構築)に合わせて、ファンビジネス向けトータルCRMソリューションの「Fan-Life Platform」を導入しています。めざしたのは顧客情報を蓄積できない現状の打破と動員数・売上の増大です。
チケット販売システムにおいては、CRMソリューションから得られるチケットの購入動向データを分析することで、ファンクラブ会員向けの割引きや先行販売が可能になったほか、個別に座席指定ができるようになり、ファンの細かな観戦ニーズにも対応できるようになりました。
あわせて、ファンクラブ限定のサービスとして、デジタルガイドブックの提供、応援選手の登録とその活躍によるポイント付与などの新機能をリリース。試合以外でも球団とファンとの間にコミュニケーションを発生させ、エンゲージメントの強化を図っています。Fan-Life Platformの導入によって実現したこれらの施策により、「スワチケ」の売上は目標を数百パーセントというレベルで上回り、ファンクラブ会員募集への反応も格段に良化しました。
■会員制ビジネス 成功事例②:株式会社ポニーキャニオン(アニメ専門通販サイト)
株式会社ポニーキャニオンは、アニメ専門通販サイト「きゃにめ」のリニューアルにあたって、ファンビジネス向けトータルCRMソリューションの「Fan-Life Platform」と、ポイント管理ソリューション「PointInfinity SaaS版」を採用しています。
Fan-Life Platformは、会員の属性情報や行動情報の分析・見える化や、会員専用のマイページの生成などを容易にしてくれるCMSソリューションです。これにより、ポニーキャニオンでは、会員専用マイページの提供はもちろん、有料会員限定のコンテンツ配信、さらには会員の特性に合わせたメルマガ配信、キャンペーンの実施などが可能になりました。
さらに、PointInfinity SaaS版ポイントシステムを導入し、商品購入時のポイント付与のほか、オリジナルグッズとポイントとの交換などのキャンペーンも実現可能に。会員制ビジネスのキモともいえる、エンゲージメントの強化、ロイヤルカスタマーの育成をスピーディーに行える環境が整い、効果的なデジタルマーケティング施策の立案・実施がスタートしています。
まとめ
会員制ビジネスが単なるストック型の収益モデルではなく、デジタルマーケティングのエッセンスを取り入れてCRMというマーケティング手法へと進化を遂げている現状について、事例を交えながら紹介してきました。
前述の株式会社ヤクルト球団のように、CRMの導入が顧客とのコミュニケーションの活性化、大幅な売上増大に直結する例は少なくありません。会員システムを持っているにもかかわらず、デジタルマーケティングやCRMに手を付けていない企業は、大きな機会損失を抱えているといっても過言ではないでしょう。会員という貴重な資産を有効活用する方法を、いま一度、検討してみてはいかがでしょうか。
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