デジタルマーケティングソリューション
データドリブンで営業力強化、
次世代の営業活動を!
データドリブンで営業力強化、次世代の営業活動を!
~Salesforce利用者必見!社内情報の統合で重要顧客をリコメンド~ セミナーレポート
2019年7月18日、東京・港区の日立ハーモニアス・コンピテンス・センターにて、セミナー「データドリブンで営業力強化、次世代の営業活動を!~Salesforce利用者必見!社内情報の統合で重要顧客をリコメンド~」が開催され、多くのご来場者にお集まりいただき盛況のうちに終了しました。
本セミナーでは、SFAを活用中または活用予定の企業のみなさまに向け、営業員の業務効率化や生産性向上につながる最新技術とその営業支援手法について、当社の活用事例を交えながらご紹介しました。
【セッション1】
データ主導型の営業活動の可能性
デジタルソリューション第2部 グループマネージャ
羽根 孝泰
セッションでは、データ主導型の営業活動を実現する最新のソリューションを3つ紹介し、システム構成のイメージとシステム導入までの進め方を解説した。
営業活動の高度化でポイントとなるのがBIを活用した可視化・分析
企業の営業活動の現状について、羽根は、「一般的にリードジェネレーションから販売までをSFA(営業支援システム)で管理して効率化している企業は多いのですが、営業員側においては今も経験と勘に頼った営業活動や足で稼ぐようなアナログな活動が存在し、管理者側でもコーチングやデータ分析に必要な情報やノウハウが不足しているなど、多くの課題が残っています。また、プロモーションや営業活動で社内外から収集した膨大な情報がSFAに蓄積しており、それをどう活用し、高度化していくかも今後の重要なテーマです」と語る。
そこで羽根は、蓄積された営業活動データを分析・利活用することで、営業効率を向上し、営業活動を高度化するソリューションを3つ紹介した。
1つ目の、GIS(地理情報システム)を活用した空間情報ソリューション「GeoMation」(ジオメーション)は、地図上にKPI(訪問回数、売上の有無、売上伸び率など)を表示させたり、統計情報などを重ね合わせたりすることで、訪問先の周辺の見込み顧客や地域傾向を見える化。効果的な営業活動を支援する。
2つ目の、AIによる訪問先レコメンド(将来予測)の「AIソリューション」では、訪問すべき販売店をAIがこれまでの販売実績や販売先の地理情報から訪問により売上向上が期待できる訪問先をレコメンドし、GeoMationと組み合わせて最適な訪問ルートの検索や、移動経路上の販売店を表示するなど、売上を向上させる最適な営業訪問活動をAIがサポートする。
そして3つ目の、BIによる営業データ分析(営業戦略高度化)ツール「Tableau」(タブロー)は、SFAデータをBIで自動集計して可視化することで、営業状況を直感的に把握できる。羽根は、「当社もTableauを活用していますが、実は営業活動の高度化でポイントとなるのがこのセルフサービス型BIです。マネージャーと営業担当者が同じダッシュボードを見ることで、認識のズレや誤解を防止し、スピーディかつリアルな状況把握・判断が可能になります」と述べる。
データ主導型システムの開発は3つのフェーズに分けて実施するのがコツ
システム構成のイメージとしては、企業側のSFA/CRM(営業情報)や基幹システム(売上実績)などのデータを連携し、それを外部統計データや外部サービスデータとともにクラウド環境に置いたGeoMationへ集約。同時に、AI・分析システムで予測した訪問先レコメンドを連携させることで、Tableauのユーザーアプリに重ね合わせて表示するという流れだ。
「データ主導型の営業活動のゴールは、GISで新規取引先を容易に開拓し、AIが営業活動前に優良顧客を見極め、BIで見える化することでより効率的な営業活動に結び付けることです」と羽根はいう。
次に、GIS・AI・BIを組み合わせたデータ主導型システムの実証実験から導入までの進め方を説明した。羽根は「開発は3つのフェーズに分けて、スモールスタートから始めることを推奨します」と提案する。フェーズ1ではAI予測の精度検証を3ヶ月程度かけておこなう。フェーズ2では4ヶ月程度かけて対象地域を絞って試行し地域営業活動への適用効果を見極める。そしてフェーズ3では6ヶ月程度かけて本格導入と全国展開へと移行する。
最後に羽根は、「統計分析モデルは作れば終わりではありません。時間とともに状況が変わるとモデルも陳腐化していくので、定期的にリフレッシュしてより高度化しいくことが重要です」とアドバイスし、セッションを終了した。
【セッション2】
誰もがベテラン営業員に。AIを用いた空間分析による営業活動の高度化
空間情報ソリューション企画部 ユニットリーダ
鈴木 伴英
本セッションでは、空間情報ソリューションを用いた営業活動の現状把握や将来予測、それによる意思決定の高度化について紹介した。
災害発生時の取引先状況を地図上で可視化し生産工程への影響を早期に把握
空間情報ソリューションとは、地図情報(GIS)をベースに重ね合わせたさまざまな情報(顧客情報、営業情報、設備情報など)をつなげて(統合化)、複合的に分析(顕在化)し、お客さまのビジネスの課題解決(最適化)に向けた空間情報の利活用が可能な製品のこと。
日立ソリューションズでは自社開発の空間情報ソリューション「GeoMation」を提供している。国内の大手電力会社の多くが採用し、北海道の耕地面積の半分近くをカバーするほか、公共分野での導入事例を多数持ち、水道・ガス・通信・金融・流通信・不動産など幅広い分野で活用されているのが特徴だ。
「GeoMationでできることは大きく2つあります。1つはGISを活用した業務プロセスの効率化と意思決定の支援。もう1つはIoT・センサーを活用した現場のデジタル化による作業効率の支援です」と鈴木は語る。
そこで、実際にGeoMationを導入したお客さまの事例をいくつか紹介した。
住宅設備の総合商社は、地図データ上で優良な見込み顧客をすばやく発見し、既存顧客の営業エリアを最適化することで、ついでの立ち寄りを効率的に実現。訪問件数を増大するとともに、訪問コメントも共有することで個人の営業情報を組織化した。
自動車メーカーは、災害発生時の取引先の状況を地図データ上で検索・可視化可能にすることで、影響調査と報告までの時間を短縮し、生産工程への影響を早期に把握するようにしている。
建設会社では、建設・工事現場の危険エリアを登録するとともに、車両の位置をリアルタイムに測位し、現場の安全性や作業効率を向上。1つのシステムでさまざまな現場に対応できるようにすることで、システム運用コストも大幅に削減したという。
お客さまのシステムにGISとAIを連携させることで営業活動の高度化を実現
次に、営業活動の高度化についてデモを交えて解説した。ここでは、メーカー系の製造業という企業モデルケースを用意し、1)新規取引店の効果的な開拓、2)契約確率の高い営業活動、3)活動時間の削減による働き方改革などを課題として、GeoMationとAIを活用した営業活動をシミュレートした。
顧客情報、営業情報、統計情報の3つをGISで見える化し、さらに購入確率の高い顧客(新規・既存)をAIでGIS上にレコメンドすることで、業績の向上を支援するというストーリーだ。
鈴木は、GeoMationと連携する日立ソリューションズのAI技術について説明した。「当社のAIは、SFA/CRMや基幹システムなどの企業保有情報だけではなく、無償・有償の地図や統計データによる地域的な特徴、例えば販売店周辺の地理的情報も数百種類入力して分析可能なため、より高精度な予測・レコメンドを実施できるようになります」
例えば、店舗の売上に影響を与える空間情報(競合店、人、車、統計など)をAIが特定し、お客さまの売上データと空間情報の相関関数を作成。そこからお客さまKPIと相関の高い空間指標を特定し、需要予測モデルを算出したり販売額を予測したりするという。
今回のモデルケースでは、A)スケジュールの空き時間を確認し、見込み顧客をついでに訪問する新規販売店の開拓や、B)AIレコメンドで購入確率の高い新規顧客を訪問する営業活動、C)営業担当範囲の最適化による移動時間の削減などの効果で、年間に膨大な売上アップとコストダウンが見込めると試算した。
最後に鈴木は、「お客さまのシステムにGISとAIを連携させることで、保守サービスや営業活動の高度化を実現することができます。日立ソリューションズはGeoMationでそれを支援します」と語り、セッションのまとめとした。
【セッション3】
ユースケースに見るAIの効果的な使い方
デジタルソリューション第2部
主任技師
中村 昌博
本セッションは、営業やマーケティング担当者にとって最適な意思決定や効率化のためのよりよい情報を提供するという観点で、AIのさまざまな活用について紹介した。
お客さまの課題を予測するのはAIにまかせれば人は創造的な業務に集中できる
従来、「営業は足で稼ぐ」といわれ、お客さまの元へと足繁く通い、ヒアリングして情報を収集していた。しかし、近年は労働人口の減少や働き方改革で、営業員の労働力は実質減少傾向になり、営業の効率化が急がれている。
また、お客さまの購買プロセスも変わった。従来は、Webや媒体、展示会などから日々情報を収集し、課題を認識した段階で営業員から情報を得ていたが、現在は課題解決のための情報収集はオンラインで済ませ、RFPが出る直前になって営業員にコンタクトを取るというパターンに変わっている。中村は「営業・マーケティングにとって、効率化や非対面での接客アプローチが重要になっています」と語る。
また、お客さまの課題やニーズ、検討状況を知るためには、膨大で多種多様なデータをベースとした需要予測やクラスタリング、要因分析、レコメンドなど高度な分析ノウハウが必要で、それを実現するためにAIが注目されているという。
「AIが得意なことは、大量・多様なデータを最大限に活用し、特徴やパターンを見つけたり処理を正確に実施したりすることで、これまでの事象から次の事象を予測すること。つまり、お客さまの課題やニーズ、検討状況を予測することはAIにまかせ、人は創造性が求められる高度な企画やマーケティング業務に集中できるようになるのです」と中村はいう。
無料会員に落ちそうな人をAIでターゲティングし有料会員へのアプローチを実施
AIは、来場予測や来店者数予測、商品や施策のレコメンド、会員ランク予測、離反客予測、ダイナミックプライシング、訪問客レコメンドなど、さまざまなシーンで活用できる。
そこで中村は、AIを活用した2つのユースケースを解説した。1つは訪問客レコメンド。訪問先を最適化してルート営業の効率を上げたいという課題に対して、各販売店の需要予測や新規取り扱い・商品入れ替え予測、補充の購入確率の予測をAIが分析し、それを地図情報と連携させることで、当月訪問することで売上につながりやすい販売店を予測する。営業効率の向上や、訪問先選定をする際の個人による偏りも解消できるという。
もう1つは施策レコメンド。注力商品の販売を促進させる効果的な施策を実施したいという課題に対しては、AIが割引クーポン、ポイントアップ、グッズプレゼントの各施策の反応率をスコアリングでシミュレーションしたところ、割引クーポンの反応率が最も高いと予測。効果的な施策が明確になったほか、割引率による反応を予測することで施策の費用対効果を高めることも可能になったという。
続いて、AIを活用した会員ランク予測事例を紹介した。会員制事業者A社は、前年度までの会員情報や履歴情報などから当年度の会員ランク(有料/無料)を予測。有料会員となる期待値をスコアリングし、精度を検証した。また、次年度の会員ランク予測から次年度の有料会員化の促進施策の対象をターゲティングした。
その結果、AIは87%の精度でお客さまが有料会員か無料会員になるかを予測。無料会員に落ちそうな人をターゲティングし、有料会員へのアプローチをおこなうことができたという。中村は、「有料会員化の実績とAIが予測した有料会員化スコアがほぼ一致し、そのスコアに基づき無駄なくターゲティングすることで、プロモーションの費用対効果を向上させることができました」と分析する。
そして最後に、「日立ソリューションズでは、マーケティング活用や営業支援の観点で最適なAIソリューションの活用を支援しています」と話し、セッションを締めくくった。
【セッション4】
SalesforceとTableau(BI)で活動結果をナレッジ化する当社取組のご紹介
クロスマーケット・サービス第3部
主任技師
板倉 潤
本セッションでは、日立ソリューションズの社内活用を例に、営業活動を管理するSalesforceと受注結果を含めた各種情報を可視化するTableauを組み合わせた運用について紹介した。
Salesforce・受注システム・売上システムのデータ全てがTableauに集約
「日立ソリューションズでは、2007年に営業部の一部でSalesforceを導入し、業績管理で活用していましたが、本格的に運用を開始したのは2017年5月からです。営業全員にライセンスを配布して営業活動情報を登録したほか、SEやスタッフにもライセンスを提供し、現在ではビッグデータ分析の手法を取り入れて商談パイプライン管理(初回のアポイント獲得から受注までの流れを可視化して分析・改善するマネジメント手法)を実現するなど、データ利活用の基盤として社内に定着しています」と板倉は語る。
案件が生まれると、最初にSalesforce上で未受注案件としてパイプライン管理され、その案件が受注に発展すると「受注システム」に受注伝票という形でデータ入力され受注済案件となる。また、納品が完了して売上と利益が立つと「売上システム」に情報が移行し売上情報となる。そしてそれら3つのシステムが全てBIのデータ有効活用基盤「Tableau」に連携され、全案件として登録されている。
「Tableauは、この数年の間にBI業界のリーダーとして急速に市場を拡大したデータ分析プラットフォームで、日立ソリューションズもアライアンス契約を2019年4月に締結し、販売を開始しました」と板倉は説明する。
主な特徴としては、1)データの特徴を豊富なビジュアル表現で理解できるように支援する機能のほか、2)ITの知識がなくてもデータベースやExcelなどからデータを抽出し直感的に分析可能なセルフ型BIであること、3)サブスクリプション型のユーザーライセンスにより必要な時に必要な数だけ利用可能なシンプルさなどがある。
BI導入によりデータ取得や分析業務の効率化・精度向上が実現
日立ソリューションズがTableauを導入した背景には、社内利用システムのサービス提供元が多様化したことで、データ取得・加工の手間が増大し、業績把握のために迅速な状況把握や判断、アクションが求められるようになった経緯がある。
また、数多あるBIの中でなぜTableauを選択したのかについて、板倉は、営業・SE部門でもBIの利用が可能なセルフ型であることや、全社で利用するダッシュボードの柔軟性が高く、部門ニーズに応じたカスタマイズも容易な点を挙げた。
Tableauの導入ステップとして、「状況を把握し、正しく判断し、アクションする」ためのデータと基盤を提供するという目標を設定し、2017年4月からスモールスタートでダッシュボードの利用を開始。段階的に参照可能なダッシュボード数を拡充し、当初は部長以上のみだった利用者も、2018年の秋からは全社課長以上に拡大しているという。
主なダッシュボードとしては、管理者が受注状況を確認して次のアクションを検討する「受注管理」や、予算対比をおこないながら業績を管理する「業績管理」のほか、改正労働基本法を遵守して残業時間を日々管理する「勤怠管理」もダッシュボード化している。
自社内利用ダッシュボードの導入効果として、データ取得や分析業務の効率化・精度向上や、事業拡大に向けたレコメンドナビゲーション、リスク管理、データ取得・加工・配布におけるコスト削減、データの見える化による理解度・判断速度の向上などを挙げた。
最後に板倉は、「日立ソリューションズはこれまで300社以上のお客さまにBIを導入するなど、豊富な実績に基づく技術支援により質の高いサービスが提供可能です。SalesforceとTableauを組み合わせ、ビジネスのスピードを上げたいとお考えならぜひご相談ください」と呼びかけ、セッションの結びとした。
フォーラム当日の講演資料は
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