デジタルマーケティングソリューション
コロナ後を見据えたファン
エンゲージメントの為のデジタル施策
コロナ後を見据えたファンエンゲージメントの為のデジタル施策~事例から学ぶリアル・オンラインを繋ぐファンサービス~ セミナーレポート
2021年12月7日、WEBセミナー「コロナ後を見据えたファンエンゲージメントの為のデジタル施策~事例から学ぶリアル・オンラインを繋ぐファンサービス~」が開催され、多くの方にご参加いただき盛況のうちに終了しました。
本セミナーでは、緊急事態宣言が解除され、リアルイベントの収容制限も緩和される中、今後のオンライン・リアルイベントを含めたファンサービス、エンゲージメントはどうあるべきか。コロナ後に変化するお客さまとの関わりを捉え、ファンエンゲージメントを最適化するための取り組みおよびソリューションを事例を交えながらご紹介しました。
【セッション1】
ニューノーマル下で起こったお客さまの変化を見直そう!カスタマージャーニーから始めるデジタル施策の検討
デジタルソリューション第2部 技師
森 大輔
本セッションでは、お客さまの行動に大きな変化が生じているニューノーマル下において、"お客さまの理解"への手助けとなる「カスタマージャーニー」整理の方法について紹介しました。
お客さまを理解するためのカスタマージャーニーマップ
冒頭、デジタルマーケティングへ取り組みの失敗例として「お客さまをよく理解せず取り組みを始める」を挙げ、解決する方法として、カスタマージャーニーマップの作成」をセッションのテーマとして取り上げた。
そして、カスタマージャーニーマップとは、「購入(契約)するまで何を考えどのような行動をとるかの道のりを図式化し可視化したもの」と説明し、カフェを例に、「紙カード会員がアプリ会員になってもらう」をテーマに具体的なカスタマージャーニーマップが紹介された。
カスタマージャーニーを整理するメリットとは
消費者を取り巻く環境は、目まぐるしく変化していて、「コミュニケーションの変化」「消費者の行動変化」「企業との関わり合いの変化」の3つの大きな変化があるという。
コミュニケーションの変化としては、接点が増え情報量が増え、多様性が顕著になり 「マスで捉えることが不可能な状態」、そして「ニューノーマルの生活様式」に拍車がかかり、アプローチもこれらの変化に合わせることが必要となっている。消費者の行動変化としては、人々の生活に、常にデジタルが存在している状態。お店に行かずともオンラインで購買体験が完了してしまうなど、新しい購買行動が出てきている。
企業との関わり合いの変化としては、デジタル化の波、そしてコロナ禍による影響で、顧客の多様化が進み、カスタマージャーニーの多様化・複雑化を招いている。AISAS(Attention:注意、Interest:興味、Search:検索、Action:行動、Share:共有)などの従来の手法では顧客がとらえきれず、コロナ禍より以前のカスタマージャーニーの多くが修正、再構築を余儀なくされている、とそれぞれ説明した。
これらの変化の課題に対して、森は、「カスタマージャーニーマップを整理することで、顧客体験の仮説ができて、打つべき施策が分かり、そのための課題が見えてくる」と自身の経験を交えてメリットを語った。
カスタマージャーニーマップ作成のノウハウ
では、カスタマージャーニーマップを作成するにはどうすればよいのか。森は、ワークショップ形式での作成を推奨し、メリットとして、「部署を跨いだ当事者意識が生まれる」「一人で検討するよりも精度の高い仮説ができる」「すぐに実行できる」と3つ挙げた。
最後に、カスタマージャーニーマップとは、自社にとってお客さまの理解への手助けになるものであり、消費者を取り巻く環境は目まぐるしく変化しているなかで、お客さまを捉えるのに有効な手段であるとまとめた。
日立ソリューションズでは、オンラインでカスタマージャーニーの整理を支援するワークショップを実施しており、ノウハウをまとめたカスタマージャーニーマップ作成ワークショップガイドも提供している。
【セッション2】
ニューノーマル下でのオンライントーク・配信サービス拡充によるファンエンゲージメント向上
デジタルソリューションサービス部 部長
藤原 英哉
本セッションでは、利用者とのコミュニケーション、エンゲージメント向上について、スポーツ業界での実施事例を中心に、オンライントーク・配信サービスの活用方法について紹介した。
お客さまの感動を最大化し、ファンの獲得と収益向上を図る
日立ソリューションズでは、スポーツ業界、エンターテイメント事業など、集客や会員へのサービス向上を必要とするお客さま向けのトータルCRMソリューション「Fan-Life Platform(略:FLP)」を提供している。FLPは、お客さまとサービスのタッチポイントにおいて感動を最大化しファンの獲得と収益向上を図るようなコンセプトで作成されているクラウドサービスと紹介された。
ニューノーマル状態への強制突入をどうとらえるか?
藤原は、「消費者消費者を取り巻く環境は目まぐるしく変化してきていて、コロナ禍で10年先のものが1年できてしまった」と現状を説明し、ニューノーマル状態で強制的に行動変化した人たちは全員が元の行動に戻らないのは確実で、「デジタルシフトはさらに加速し、ビジネスを元に戻そうとする戦略は、世の中の変化に対応できなくなる可能性が高く、危険」と警鐘を鳴らした。
このような状況の中、オンラインを介してのチケット申し込みの市場規模がさらに加速度的に拡大し、反面、窓口は極小化すると説明した。同時に、紙チケットの廃止が進み電子チケットが基本になり、顧客体験のオンライン化は必須サービスになると予測され、「特に、オンラインサービスを強化、リアルサービスとのハイブリット化をしていかないと厳しい」と語った。
ではニューノーマル下で興行主・企業はどうすべきか。まず、安心安全のオフラインサービスはもちろんだが、「便利で新しいオンラインサービスが重要」と語り、「オフラインでは課題となる距離や会場キャパシティを越えて多くの顧客が体験可能なサービスで、さらに新しい顧客層を獲得する上でもフォーカスすることができる」と説明した。
Fan-Life Platformのライブ配信サービス
LPライブ配信サービスには大きくトーク機能とライブ配信機能があり、トーク機能には、1対1、1対Nでのコミュニケーション、AI技術を活用した合成写真が作れる2Shot-Photoという機能がある。また、ライブ配信機能では、インタラクティブ配信でのチャットやギフトなどの特徴があると紹介された。
ほかの配信サービスとは違う特徴として、4つ挙げた。1つ目は、1on1のオンライントーク会で一定の時間で参加者が自動で入れ替わるなど運営省力化。2つ目は、臨場感を高める演出やギフティングによるオリジナルコンテンツ提供などコンテンツの世界観を反映できること。3つ目は、ギフティングやチャットなど、配信上のファンの行動履歴を獲得できること。最後に、会員管理からイベント販売まで一括運営が可能であることだ。
それぞれの特徴に対して、神戸製鋼所コベルコスティーラーズ2Shot-Photoや、東京ヤクルトスワローズの公式戦のライブ配信などを例に、ファンのエンゲージメント向上やマネタイズなどの効果を紹介してセッションを終えた。
【セッション3】
お客さまをファン化する制度設計とそれを実現するシステム導入の勘所
デジタルソリューション第2部 グループマネージャー
鈴木 健太郎
本セッションは、日立ソリューションズ独自の製品である「Fan-Life Platform」をベースに実現した事例を交えて、システム導入の勘所について紹介した。
お客さまをファン化させるとは?
お客さまをファン化されると何が良いのか?「価格比較だけで決めない」「長く利用してくれる」「購入単価が高い」「リピート購入」などがあげられるが、最大の特徴は、「他者に推薦してくれる、お客さまを増やしてくれる」ことと語る。
では、お客さまをファン化するためにどういったことが重要なのか?鈴木は、「ファン化のために重要なことは、ルールを整える、運用を回せるようにすること、の2点」と語り、ルールを整えるとは、お客さまの位置づけやマーケティング施策を整理し、お客さまにも自分たちにもわかりやすい「制度設計」。運用を回せるようにすることとは、誰でも一定の運用を行えるような仕組みづくり(システム化)を実現すること、と説明した。
制度設計
テーマ1つ目の制度設計では、典型的なピラミッド型のものを説明し、その上で「提供するサービス・商品の特性に合わせた明確な目的が重要」と続けた。そして、ポイントは「どのようなお客さま(ファン)を獲得したいのか」「魅力ある制度設計でお客さまを誘導すること」と付け加えた。
そして「Fan-Life Platform」で実現した制度設計の事例として、浦和レッズのファン・サポーターの会員制度を紹介した。個別に運用していたシーズンチケット会員、スポーツ施設会員、スクール生の会員制度の統合管理を実施し、シーズンシート継続購入者を増やすということが最重要としていると説明した。そして、チケットやグッズなどの購入したお客さまをデータ化し、サービスを多く利用するほど優遇サービスを受けられる仕組みを作り、お客さまをファン化(シーズンチケット継続購入者)へアップグレードしていく制度を確立していると紹介した。
システム導入の勘所
制度設計に基づきマーケティング施策の実行に取り組もうとすると、WEBと実店舗の顧客情報がバラバラで分析ができない、施策を打った後、どの顧客がどの程度反応しているのかわかるデータがとれてないなど、さまざまな問題に直面すると語り、2つ目の「システム導入の勘所」について説明を始めた。
続けて、先に述べたさまざまな問題に対してシステムとしてどう捉えていけばよいか、鈴木は、
「システム全体構成は、お客さまに使ってもらう機能は業務系システム、お客さまへアプローチする機能はマーケティング系システムとして、既存システムをどのように活用するか、足らない点は新システム導入で補完する、という観点で進めていくことが重要」と語った。
そして、これを進めていくと、多岐に渡るシステム機能が必要となり、1個のシステムでは実現不可能で複数のシステムで実現することになると語り、「システムの連携機能が豊富にあること、すべてを作り直す必要はなく、既存システムをリノベーションして活用すること」とポイントを説明した。
システム導入の勘所についても浦和レッズの事例が紹介された。ECサイトやチケット販売など既存システムは残しつつ連携機能を開発しCRMシステムと連携を実現させた。すべてのデータをCRMシステムで統合管理しているが、すべてを同時に実現するのではなく段階的に拡張・連携していくことで導入負荷やリスクを低減していると説明して2つ目のテーマを終えた。
当日の講演資料は
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