デジタルマーケティングソリューション
講演レポート
事例に学ぶ、顧客接点のデジタル化
~会員制度・ポイントプログラムから、複数サイトの会員統合まで~
【講演レポート】事例に学ぶ、顧客接点のデジタル化
![顧客接点を強化するキーとなるポイントプログラムと“共通ID”化セミナーレポート](/digitalmarketing/sp/shared/images/dm_labo/vol27/main.jpg)
2022年10月19日から10月20日、オンラインセミナー「DX Future Days 2022~サステナブルな事業・組織への変革~」が開催され、多くの方にご参加いただき盛況のうちに終了しました。
本セッションでは、デジタル化が広がり、コロナ禍によって消費者の行動が変化する中で、顧客接点をデジタル化して、顧客との関係性を強化する動きが急速に進んでいます。ただし、どこから着手するのかについては複数のパターンが想定されます。ITコストをどう捉えるかも含め、事例を通して顧客接点強化のアプローチを解説していきます。
【エバンジェリスト講演2-1】
事例に学ぶ、顧客接点のデジタル化 ~会員制度・ポイントプログラムから、複数サイトの会員統合まで~
![藤原 英哉](/digitalmarketing/sp/shared/images/dm_labo/vol27/img1.jpg)
デジタルソリューションサービス部 シニアエバンジェリスト
藤原 英哉
デジタルによる顧客接点の強化が必須に
市場が成熟するにつれてマーケティングの方法も変化しています。マーケティング・オートメーションやファンビジネスの支援を行ってきた日立ソリューションズの藤原英哉は「現在のマーケティングで重要なことは、社会価値、情緒価値、機能価値の3つの観点で商品価値を捉え直すことです」と話します。
さらに、その3つの観点で捉え直した商品をマーケティングする場合に、キーワードとなるのがデジタルで顧客を捉えるCRMです。現在のマーケティングに必須となっているCRMは「戦略」そのもの。商品やサービスがあふれて過多になっている今、消費者に選ばれるためには顧客体験とその満足度を高めるマーケティングが重要であり、そのためには顧客をデータで知る必要があるからです。
顧客をデータで知るための接点として重要になっているのがスマートフォンです。藤原は「デジタル接点をシンプルに考えると、接点をスマートフォンと置き換えていいのかもしれません。いつでもどこでも手元にあり、情報検索やEコマース、メールなど何でもできてしまいます」とスマートフォンの重要性を指摘します。
実際に消費者を取り巻く環境は目まぐるしく変化しています。パンデミックはデジタル化を加速し、コミュニケーションは大きく変化しました。スマートフォンが身近にあることで、消費行動も変化しています。顧客接点の多様化でカスタマージャーニーも多様化し、企業と消費者の関わり合いも変化しています。
「大事なのは、ニューノーマルで強制的に行動変容した人たちは元には戻らないということです。デジタルシフトがさらに加速している今、デジタル接点を軽視すると世の中の変化に対応できなくなる可能性が高く、軽視は危険です」と藤原は指摘します。デジタル接点の強化は避けては通れない状況にあります。
![消費者を取り巻く環境の変化](/digitalmarketing/sp/shared/images/dm_labo/vol27/image_01.jpg)
図1【消費者を取り巻く環境の変化】
デジタル接点で必要となる仕組みと取り組み方法
デジタル接点はさまざまな仕組みから構成されています。スマートフォンとつながるシステムの裏側には、サイト管理、アクセス解析、会員管理、レコメンデーション、DMP、メールシステムなど多くの機能があり、データを蓄積して分析し、その結果を受けて発信して効果を見て、さらに改善するというPDCAサイクルが回されています。
こういう状況の中でどこから取り組み、何を追加していくのでしょうか。藤原は「まずは、今どのような仕組みを持っているのかを把握することが重要です。そこから何を強化し、どのような効果を期待するのかを整理していきます。いくら投資できるのか、実行可能なチームを構築できるのかという観点も必要です」と話します。
ポイントプログラムで顧客接点を強化する
藤原が事例として最初に挙げたのがポイントプログラムの導入です。1つはポイントプログラム導入によってインセンティブを創出した事例で、もう1つはポイントプログラム導入によってグループ共通のアンバサダーを創出した事例です。
複数事業を展開する企業グループでは、それまで事業ごとに顧客接点を持っていましたが、各サービス間の相互送客を目的にグループ共通のポイントサービスを導入。セグメント配信を実現し、スマホアプリによる利便性の向上を図り、グループ情報発信を会員サイトに統一しました。「顧客接点は同じメール配信ですが、裏では情報に基づいてセグメントしてあり、商品券の電子化などでマーケティングを強化し、グループの情報をまとめて提供することで、相互送客を強化しました」(藤原)。
一方で、多数のブランドを展開している企業グループでは、マーケティング・オートメーションと連携して最適な商品や情報を提供。Twitterによってポイント加算を実現し、会員ランクとポイントを共通化することで相互送客を強化しました。「一人ひとりに合った商品をレコメンドすることにくわえて、SNSの書き込みに対してポイントを付与することでアンバサダーになってもらうという戦略です」と藤原。SNSを活用したポイント制度で会員の輪を広げ会員のライフステージに合わせた販促を展開しています。
ポイントプログラム導入の勘所として、藤原は「ポイントプログラム導入には、Tポイントなどの共通ポイントにするのか独自のポイントにするのか、金銭に換算するのか非売品などを提供するのか、1ポイントを何円にするのか、どんな行動に対してポイントを与えるのかといった勘所があります。それらを考慮して設計することが必要です」を挙げました。
![ポイントプログラム導入によるインセンティブ創出](/digitalmarketing/sp/shared/images/dm_labo/vol27/image_02.jpg)
図2【ポイントプログラム導入によるインセンティブ創出】
“共通ID”化でブランディングを強化する
続いて藤原は共通ID化の事例を取り上げました。ある企業ではデジタル接点の強化のために個別に管理していた各会員サイトの個人情報管理を一元化して、提供するコンテンツのユーザビリティを高め企業コンテンツ内での回遊率を向上させ、企業ブランディングを強化しました。「ポイントプログラムは導入せずに共通IDにすることで、少ないアクションでほかのサイトに入会できるようにした事例です。既存サイトを集約することでコストを下げて、新たに共通IDのためのシステム基盤を用意しました」と藤原は話します。
しかし、共通ID化にはリスクもあります。共通ID化には「企業内のほかのコンテンツに興味を持ってもらう」「企業運営を応援してもらう」といった新たな価値がありますが、1つの応援対象のファン活動を続けたいと考える会員との間にギャップが生じることがあるからです。
共通IDになっても会員を継続することに対する阻害要因は3つ考えられます。「応援対象に起因するもの」「サービス内容が求めているものとは異なるなど会員サービスに起因するもの」「ライフスタイルが変わったなどユーザー自身に起因するもの」です。
「共通ID化では配慮しなければならないことがいくつかあります。まず共通ID化は企業側主導で実施されるものだということ。だからこそ目的を明確に伝えて、ユーザー側と企業側の双方のメリットを考えたアプローチを採ることが必要です。そして現行のサイトに単純に共通IDサイトをアドオンするのかどうかを、会員サイト集約による運営費用の削減まで考慮して考えることです」(藤原)。こうした配慮があってこそ共通ID化は成果をもたらします。
顧客接点強化への取り組みは現状から地に足をつけて徐々に拡張することが必要でしょう。
![共通ID複数会員サイト管理による企業ブランディング強化](/digitalmarketing/sp/shared/images/dm_labo/vol27/image_03.jpg)
図3【共通ID複数会員サイト管理による企業ブランディング強化】
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