Microsoft Dynamics 365 統合ERP構築サービスの導入事例
スターライト工業株式会社様基幹システム刷新により、在庫管理と原価計算の精度を向上
高性能エンジニアリングプラスチックなどで自動車部品を設計・開発・製造するスターライト工業株式会社の広島工場は、長年使用してきたメインフレームの保守期限に合わせて、基幹システムの刷新に着手。次期基幹システムには Microsoft 社の「 Dynamics 365 for Finance and Operations(以下、Dynamics 365)」と日立ソリューションズの「原価管理テンプレート」を適用。特に、従来からの課題であった協力会社に保管されている理論在庫の管理精度向上や、製品別の原価計算を実現できたことで、今後のスピーディーな経営判断への活用が期待されます。
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背景と課題
メインフレームの保守期間切れを機に基幹システムを刷新
岸本 淳史 氏
岡下 光雄 氏
大阪市旭区に本社を置くスターライト工業は、各種プラスチック製品の設計・開発・製造・販売を担う企業です。創業は1936年で、当初はフェノール樹脂の成形品を製造、1956年にフッ素樹脂と強化プラスチックの取り扱いを開始しました。1961年からは各種エンジニアリングプラスチックの成形も手掛けています。
「当社は事業を『トライボロジー』『モビリティソリューションズ』『セーフティ・ライフサポート』の3つのセグメントに分類し、それぞれの工場が担当しています」(岸本氏)
自動車部品を担当しているのがモビリティソリューションズカンパニー 広島工場です。1974年に稼働を開始した同工場では、メインフレームを活用して基幹業務を運用してきました。
しかし、「この長年使い続けてきたメインフレームについては保守期限が、また専任のソフトウェア開発担当者についても定年を迎える時期が、それぞれ迫っていました。そこで、さまざまな課題の解決に向けて、基幹システムの刷新にはERPパッケージを適用することが最善であると判断しました」と、岡下氏は言います。
また、基幹システム刷新にあたり、併せて解決すべき大きな課題が2つありました。
まず1つは協力会社を含む在庫管理運用負荷の軽減です。従来の在庫管理運用は Excel シートの帳票に入庫・出庫を手入力する方式で、理論在庫の精度は満足できるレベルにはありませんでした。もう1つは製品別の原価構造把握の実現です。 Excel で行われていた原価計算では、複数製品をまとめたサマリーしか出力されないため、「製品ごとの収益性を把握したい」という経営サイドからの要望に応えるにはかなりの手間と労力が必要でした。
選定と導入
クラウドサービスで利用できる「 Dynamics 365 」と「原価管理テンプレート」を採用
基幹システムの刷新にあたって、ERPパッケージの採用を基本路線として製品選定を開始しました。
「候補となるパッケージは3つありました。最も重視したのは、グローバルで多くの実績を持つERPであることです。グローバルで使用実績があるものなら、多様な業種への対応が可能だと思いました。システム運用管理の手間と工数を削減することを目的に、クラウドサービスとして提供されているものを、重点的に調査しました」(岡下氏)
検討の結果、スターライト工業は製品別原価管理テンプレートを提供できる日立ソリューションズの「 Microsoft Dynamics 365 統合ERP構築サービス 」を採用することに決定しました。プロジェクトを2017年5月にスタートさせ、スターライト工業側からは、役員を含む19名がプロジェクトに参画し、日立ソリューションズは、要件定義以降のすべての工程において技術支援をすることになりました。
基幹システム刷新は現場のインパクトが大きいため、稼働時の混乱を防止することを目的とし、以下の2点を考慮しました。
- 先行稼働していた生産スケジューラ*と「Dynamics 365」を連携させ、生産計画業務は大きく変更しない運用モデルとする
- 注文書、現品票、ピッキングリストなどの帳票類については、現行帳票を踏襲する
「システム切り替えの判断も慎重に行いました。リスクが高いとされる一斉切り替えでしたので、日立ソリューションズにはシステムの完成度を高めてもらいました」(岡下氏)
スターライト工業は、部品表を含む、各種マスタの整備、見直し作業を行い、大きな混乱もなく無事に2019年10月1日より基幹システムを稼働することができました。
「プロジェクトの目的の1つであった製品別の原価構造把握は、日立ソリューションズの『原価管理テンプレート』によって実現しました。製品単位で、受注時に想定されていた原価と製造時の原価差を比較して、差異の可視化といった分析と改善につなげる仕組みができました」(岡下氏)
*株式会社日立ソリューションズ東日本社製の生産日程計画立案パッケージSynPLAで実現
成果と今後
原価と在庫の管理品質と精度が向上。今後BIやPLMと連携へ
新しい基幹システムの稼働により、スターライト工業が抱えていた原価と在庫に関する課題は解決に向かっています。
「在庫については、毎月末の棚卸業務でも理論在庫の精度が高まったことが確認でき、あるべき姿に近づいたと評価しています。当社が必要としている原価管理は、実際原価と標準原価の差異が把握できることです。『原価テンプレート』を導入したことで、この点は格段に改善しました」(岸本氏)
「今後、原価を製品別や大分類別でも確認できるようになりますし、受注時原価の見通しと実際原価の比較もできます。また、正確な理論在庫量に基づいた所要量計算も可能となり、発注量と在庫の最適化などの効果も期待しています」(岡下氏)
「他にも、マスタ情報を基幹システムで一元的に管理可能になったことや、クラウドサービスの利用により運用コストの低減が実現したことについても、高く評価しています」(岸本氏)
スターライト工業は次なる企画として「BIツールによる『 Dynamics 365 』情報の経営分析への活用」「『 Dynamics 365 』とPLMとの連携」「原価企画の実現」など、経営基盤の強化に取り組みます。
「プロジェクトを通して日立ソリューションズが当社の要望をよく理解してくれたおかげで、満足できるシステムが完成しました。これからも、BIシステムの導入などで長いお付き合いを期待しています」(岸本氏)
日立ソリューションズはこれからも、業務システムのさらなる高度化をめざすスターライト工業を支援していきます。
スターライト工業株式会社
1936年に創業。1938年にフェノール樹脂成形品の製造を始め、1952年にはプラスチック安全帽を国内企業として初めて開発。現在では、エンジニアリングプラスチックを含む各種プラスチック製品の設計・開発・製造・販売に携わる。事業セグメントは「トライボロジー」「モビリティソリューションズ」「セーフティ・ライフサポート」の3つ。本製品の導入先である広島工場は、モビリティソリューションズ(自動車部品)に専念している。
本社所在地 | 大阪府大阪市旭区大宮4丁目23番7号 | |
---|---|---|
設立 | 1936年2月 | |
従業員数 | 1,509人(連結) 420人(単体) | |
事業内容 | 産業機械などの設計・製造・販売 | |
URL | https://starlite.co.jp/ |
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本事例の内容は2020年6月4日公開当時のものです。
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最終更新日:2024年4月17日