Microsoft Dynamics 365 統合ERP構築サービスの導入事例
株式会社カナダグースジャパン様輸入卸・小売業向けIFRS・SOC適合システムを Microsoft Dynamics 365 で実現。Fit to Standardの方式にて短期間で構築
カナダ発「CANADA GOOSE」ブランドの輸入と国内流通を手がけるカナダグースジャパンは、国際標準の基幹システムを構築する目的で Microsoft Dynamics 365 Finance/Supply Chain Management を採用しました。Fit to Standardを方針に掲げ、日立ソリューションズの「 Microsoft Dynamics 365 統合ERP構築サービス 」により、7カ月の短期間で一般会計システムを稼働させることに成功。販売・購買・在庫管理システムもその後の3カ月で完成させました。
*Fit to Standard:ERP導入の際、アドオン開発を追加で行わず、業務内容をパッケージの標準機能に合わせていく方法
この事例に関するソリューション・商品
背景
求めたのは米国基準適合の基幹システム
潮田 英行 氏
石橋 晃 氏
株式会社カナダグースジャパンは、株式会社サザビーリーグとCanada Goose Holdings Inc.の出資によって2022年4月に設立されたアパレル企業です。取り扱いブランドは、防寒用高級衣料として知られる「CANADA GOOSE」。直営店とオンラインストアでの小売りのほか、専門店向けの卸売りも同社が行っています。
同社の設立がほぼ確実になったのは、2021年春のことです。そのタイミングで、約1年後の事業開始日までに基幹システムを立ち上げるためのプロジェクトがサザビーリーグの情報システム部を中心にスタートしました。
「最重要課題は、2022年4月に少なくとも一般会計のシステムだけは稼働させることでした。また、Canada Goose Holdingsは米国に上場している企業ですので、一般会計のシステムとその出力レポートは国際会計基準(IFRS)と米国の内部統制基準(SOC)に適合したものであることが絶対の条件でした」(潮田氏)
システム構築に費やせる期間が約1年と短かったことから、同社はパッケージをなるべく改造せずに構築する方式(Fit to Standard)を選択。さらに、今後を見据えてすべての基幹システムを1つの製品で実現したいと考えました。
「輸入卸として欠かせない輸入と在庫配分のほか、一般会計、購買サプライチェーンを含む受発注、仕入、販売までを扱えるシステムをめざしました」(石橋氏)
取り組み
国際標準への対応で Microsoft Dynamics 365 を選択
日下 勇輝 氏
製品選定にあたっては、国産ERPではこれらの要件を満たせないと判断し、Canada Goose Holdingsが使用している Microsoft Dynamics 365(Finance/Supply Chain Management)を日本でも導入するのが適当であると決断しました。小売業特有のサイズ違いや色違いを含むSKU(Stock Keeping Unit)の多さに標準機能で対応できると日立ソリューションズから提案を受けたことも、 Microsoft Dynamics 365 を選択した理由の1つです。
「当社グループで米国基準のシステムを作るのは今回が初めてでしたので、本国のITの仕組みに合わせるのが確実だと考えました。一方で、サザビーリーグとして Microsoft Dynamics 365 が当社グループの標準ERPになりうるのかを確かめたいという思いもありました」(石橋氏)
構築を担当するシステムインテグレーターは、提案内容が最も優れていた日立ソリューションズに決定。要件整理とマスター登録はプロジェクトメンバーが担当し、システムデザインとアドオン開発は日立ソリューションズが行うという役割分担で、2021年9月に構築作業を開始しました。
「例えば商品マスターについては、データ変換用マクロを日立ソリューションズに用意してもらい、それを使用し Microsoft Dynamics 365 にインポートしました。パッケージにデータを適合させていく中でも日立ソリューションズのきめ細かな支援があったので助かりました」(日下氏)
効果
2022年4月に一般会計が稼働
こうして構築された Microsoft Dynamics 365 Finance ベースの一般会計システムは、予定通り2022年4月に稼働を開始しました。
カナダグースジャパンの事業開始に支障なくシステムが準備でき、同社の経営層もシステム立ち上げは成功したと評価しています。
「スケジュールに間に合わせることができ、本国から来た監査人の承認も得られたので、基幹システム立ち上げという第1目標は達成できたと考えています」(潮田氏)
その3カ月後の2022年7月には Dynamics 365 Supply Chain Management(SCM)も稼働を開始し、サプライチェーン管理と在庫配分の機能も使用できるようになりました。
「冬物が主体であるカナダグースの場合、商品の入荷は夏がピークになりますので、それに間に合わせることができました」(石橋氏)
短期導入を実現するためにFit to Standardのアプローチを採用し、入力画面などのユーザーインターフェースは現状では Microsoft Dynamics 365 標準のままです。特にSCMについては、店舗での使い勝手にまだ改善の余地があるというのが現場担当者の評価です。
「この点については、今後予定されている Microsoft Dynamics 365 のモジュール追加やその他のシステム改修の際に、必要性や効果を見極めたうえでカスタマイズしていきたいと考えています」(潮田氏)
展望
Microsoft Dynamics 365 Commerce による店舗POSとの連携も予定
基幹システムの完成を確認したカナダグースジャパンは、今後のビジネス拡大に備えて、機能追加やシステム改修の検討をすでに始めています。
Microsoft Dynamics 365 のモジュールについては、 Commerce の追加導入を検討中です。現状では直営店舗のPOSシステムと Microsoft Dynamics 365 が連携できていませんので、新規出店が増えたタイミングでPOSデータの取り込みができるようにするのがねらいです。
さらに、機能追加や改修が一通り終わった段階で、 Microsoft Dynamics 365 をサザビーリーググループの標準ERPにするかどうかをコーポレートシステム部が判断する予定です。
「今回の成功は人という要素が最も大きかったと思います。日立ソリューションズと打ち合わせするたびに『一緒にやっていきましょう』と励まされ、心強かったです」(潮田氏)
石橋氏も日立ソリューションズの対応力を評価しているといいます。
「提案内容のレベルの高さから日立ソリューションズを選びましたが、人間性も優れていました。1つのチームとなって取り組めたことが成功に結びついたと思っています」(石橋氏)
日下氏は自身の業務知識の幅が広がり、成長の機会になったことを「このプロジェクトに参加できたことで、ファイナンスの知識が身に着いたことを実感しています」と振り返ります。
日立ソリューションズでは、北米、欧州、インド、APACで2,600名を超える Microsoft Dynamics 365 に関するエキスパートが活動中です。海外とのビジネスに携わるさまざまな企業に対して、 Microsoft Dynamics 365 の構築・運用を支援します。
国際標準に対応したSaaS方式の基幹システム
- 国際会計基準(IFRS)と米国内部統制基準(SOC)に対応しているので海外展開や合弁設立が容易
- 基幹システムを短期に構築してクラウド上で運用できるので新規ビジネスの迅速な立ち上げが可能
- 一般会計、サプライチェーン、在庫管理、売掛・買掛管理など企業運営に必要な機能を標準で装備
株式会社カナダグースジャパン
所在地 | 東京都渋谷区千駄ヶ谷2-6-3 | |
---|---|---|
設立 | 2022年4月4日 | |
従業員数 | 38名 | |
事業内容 | カナダ・トロント発祥の防寒用高級アパレル「CANADA GOOSE」製品の輸入および国内流通 | |
URL | https://www.canadagoose.jp/ |
この事例に関するソリューション・商品
導入事例ダウンロード
本事例の内容は2023年5月31日公開当時のものです。
関連する導入事例
最終更新日:2024年4月17日