Microsoft Dynamics 365 CRMシステム構築サービスの導入事例
アリスタ フードソリューションズ ジャパン株式会社(旧 ヒーシュタント ジャパン株式会社)様IT専門の部署を持たず、ITについて決して詳しくない部門でありながら、顧客情報と営業情報の管理を実現。
"お客様の成功がヒーシュタントの成功"というフルサービスコンセプトを掲げ、スイスベーカリーの「焼き立て」の愉しみをサポートするヒーシュタント ジャパン。
今回ご紹介する Microsoft Dynamics CRM の導入は、IT専門の部署を持たず、ITについて決して詳しくない部門でありながら、顧客情報と営業情報の管理を実現し、成功させた事例です。
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従来からの課題
顧客情報、営業情報が把握・活用できず、人事異動の際の引き継ぎなどが煩雑。
恵良 浩之 氏
ヒーシュタント ジャパンでは、1997年の創業当時から、国内外のさまざまなシステムを組み合わせて使い、顧客情報・営業情報を管理してきました。その後、2003年から顧客情報の管理を基幹システム(ERP)である Microsoft Dynamics NAV で行っています。営業情報については、各フィールドセールス担当者がExcelで作成した営業日報に入力して、上長に提出。これら顧客情報と営業情報の間には、関連性や連携はなく、それぞれが個別の情報として存在していました。
「販売実績を含めた顧客情報については、蓄積して管理していましたが、活用まではできていない状態。営業情報については、チームリーダーの管理に任せていましたので、全社的な把握が、ほとんどできていない状態でした」(恵良 氏)。
そのため、いくつかの問題が発生していました。
「ここ10年で、お客様の数は飛躍的に増えました。セールス担当者は約2倍。ですので、このお客様はどんな方なのか、どういう背景があって現在こうなっているのか、歴任のセールス担当はどんな動きをしていたのか…人事異動があったときの引き継ぎなどが大変になっていました」と語るのはセールスオフィスマネージャー 木村 弥生 氏。
こうした問題を解決するため、新たなCRMシステムの導入が決定されました。
「実は、こういう話は、10年位前から出ては消え、また出ては消えるということを繰り返していました。煩わしいし、よくわからないし、時間がかかりそうだし…その時間に営業まわって来い、みたいなムードになって(笑)。ただ今回は、トップの判断が違いました。会社の規模も大きくなり、これまでのやり方ではいけない、バックオフィスにも手を入れなければいけない、そういう意識ですね。
また、ARYZTAグループとしてアジアへの本格進出が決まったことなども、ちょうどいいタイミングになったのだと思います」(木村 氏)。
選定のプロセス
ソリューションベンダの選定を、特に重要なポイントと考えて実施。
プロジェクトは、まず適用製品を検討。そして、顧客情報を蓄積している Microsoft Dynamics NAV や、Office製品との連携が容易なMicrosoft Dynamics CRM の導入を決定しました。
「コストも選定ポイントの一つですね。以前検討した製品に比べると、1アカウントあたりの費用が1/3程度。試用してから導入できることも、安心できるポイントです」(木村 氏)。
次に取り組んだのが、ソリューションベンダの選定です。
これまで取り引きのあったベンダなど、いくつかの選択肢を検討。 Microsoft Dynamics CRM の開発元であるマイクロソフト社にも相談を持ちかけました。
「当社には、IT専門の部署はありません。今回のシステムの導入・運用は、ITについて決して詳しくはない私たちセールス部門が担当することになります。しかも、セールスの現場とこれを管理するCRMは、状況によって、求められること、やらなければならないことが、刻々と変わります。それだけに、協力していただくソリューションベンダの選定は、特に重要なポイントだと考えていました」(木村 氏)。
主な選定ポイントは、以下の5つ。
- 状況の変化に迅速に対応するため、初歩的なことから中程度くらいまでのカスタマイズは、社員にも実施できるスキルがつくよう指導してもらえること。
- 本当のコアの部分は、プロフェッショナルとして、安心して任せられること。
- やりたいことを伝えたときに、実現の可否だけではなく、実現するためのさまざまな方法を提示してもらえること。
- 細部にわたって密なやりとりが必要になるため、信頼関係を築けるベンダであること。
- 担当エンジニア個人の資質や能力に委ねるのではなく、もしもの場合を想定し、組織として対応してもらえること。
マイクロソフト社が、こうしたポイントをクリアする企業として紹介したのが、日立ソリューションズでした。
「時代の変化とともに、ITの潮流は変わります。でも、日立ソリューションズなら、どういう流れになっても大丈夫だろう、長くサポートしてもらえるだろうという考えもあり、お任せすることにしました」(恵良 氏)。
導入時の取り組み
最もこだわったのは、シンプルな使いやすさ。
ヒーシュタント ジャパンにおける Microsoft Dynamics CRM の導入は、アジアの各拠点への展開をも見据えたプロジェクト。そのため、ヨーロッパに拠点を置く親会社ARYZTAとの頻繁なやりとりを行う必要がありました。
「資料、報告書、見積書、プレゼンテーションデータにも、日本語版だけでなく英語版が必要になります。しかもアメリカ英語ではなくイギリス英語です。そういった書類は、通常、私が作成するのですが、今回は日立ソリューションズに用意してもらえたので、とても助かりました」(木村 氏)。
構築フェーズに入ったプロジェクトは、段階的に以下のプロセスで実施されました。
- 第1段階(パイロット): 基本機能のリリース
- 数名の営業担当に使用してもらい、フィードバック収集。
- ERPからの顧客マスターの連携、カスタマイズ。
- 第2段階: 展開、トレーニング、フィードバック収集。
- 営業担当全員に展開。各地営業にトレーニングを実施し、その後フィードバックを収集。
- 第3段階: 機能追加(カスタマイズ)
- 親会社ARYZTAのフォーマットに合わせた帳票(レポート)の出力ができるようカスタマイズ。
- 全国チェーンの顧客の各営業担当者に対して、一斉に指示を出す機能の追加。
- 自社業務に即したサポート案件の画面カスタマイズ。
「構築過程で最もこだわったのは、シンプルな使いやすさです。日立ソリューションズに教えていただきながら、標準仕様とはまったく異なる入力画面につくりこんでいきました。
Microsoft Dynamics CRM というのは、使い方次第でいろいろなことができます。その反面、現場のセールス担当者から見ると、難しそう、面倒くさい、使いたくない…と感じてしまうのです。今までは、1日1回とか1週間に1回、日報をつけて提出するだけでしたが、これからは外出先のその場その場での入力が可能となります。利便性が良くなる一方でそれが逆に負担とならないようにしたいと考えたのです。
どれだけ入力項目数を減らしながら、効果的な項目を残すか。そして、それらをキーボードでのタイプではなく、ドロップダウンやボタンでできるだけ済ませられるように。さらには、集めたデータから、経営層が実情を把握しやすいように。そういった手間と効果の兼ね合いを、十分に考えながら構築していきました。その結果、とてもシンプルで使いやすいシステムに仕上がったと思っています」(木村 氏)。
システムが稼動開始を迎える頃、プロジェクトのスタッフは全国の拠点に出向き、使い方のレクチャーを実施。その後は、問い合わせ対応まで行える体制をとり、稼動を開始しました。
導入後の効果
お客様の位置づけがより明確になり、セールス活動の履歴も含めて管理。
現在、ヒーシュタント ジャパンのセールス担当は、全国に約30名。これを管理する立場のチームリーダーが6名。その上には各地区を統括するエリアヘッドが5名います。役職が上になり、管理下のスタッフが多くなればなるほど、細部まで見ることはできなくなります。そのため、お客様ごとにプライオリティをつけ、階層化して管理しています。
今回導入した Microsoft Dynamics CRM では、これらのすべてを可視化できるため、お客様の位置づけがより明確にわかるようになりました。また、どの担当者が、どのチームが、どのエリアが、何にフォーカスして取り組んでいるのか。そして成果は出ているのか、いないのか。一目瞭然になりました。
また、システムでは、セールス活動の履歴(訪問記録、交渉経緯、タスクの処理、クレームの発生状況や対応、コールセンター対応、競合商品など)も含めて管理。すべてが顧客情報と連携した形で、閲覧・活用できるようになりました。
「企業としては、状況や動きが見えるようになれば、いろいろと策を講じることができます。 人事異動があったときの引き継ぎなども、随分変わりました。CRMで履歴を見れば、すべての情報を見ることができるので、短時間で、スムーズに引き継げるようになりました」(木村 氏)。
今後の展望
使い勝手やインフラをさらに充実しクラウド化へ。
現在、セールス担当者の外出時の利用環境はノートPCのみ。今後はさらに、より快適で、使いやすい環境づくりを計画中です。
「使い勝手の部分や、インフラの充実という意味も含め、今後はクラウド化に向かっていくことになると思います」(恵良 氏)。
「日立ソリューションズの取り組みは、すばらしいの一言。本当にそう思っています。私たちのどんな質問にも快く対応いただき、やりたいことをしっかりキャッチしていただける。すごく協力的で、本来の業務範囲を超えるようなお願いにまで対応していただいて、助かっています。これからもやるべきことが多々ありますので、末永くよろしくお願いします」(木村 氏)。
アリスタ フードソリューションズ ジャパン株式会社(旧 ヒーシュタント ジャパン株式会社)
40年以上にわたり、スイスベーカリーの「焼き立て」の愉しみをサポートしてきたヒーシュタント。その日本法人がヒーシュタント ジャパン。スイスのベーカリー文化を日本の皆様へ紹介しています。
ヒーシュタントのベーカリー製品には最高品質の原材料が用いられています。また、スイスとドイツのオリジナルレシピ、伝統的なベーキング技術、評価の高い焼成手法を使用することで、一貫した高品質のベーカリー製品の製造を可能にしています。
伝統と革新を併せ持ったベーカリー製品の幅広い品揃えと、フルサービスコンセプトのシナジー効果でお客様のビジネス成功に貢献いたします。
本社所在地 | 東京都渋谷区代々木1-58-5 代々木吉野ビル2F | |
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設立 | 1997(平成9)年4月9日 | |
代表 | 代表取締役 オリバー・リーフ | |
従業員数 | 60名 | |
事業目的 | パン・菓子の製造および販売ならびに輸入 前各号に付帯関連する一切の業務 |
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URL | https://aryzta.co.jp/ |
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本事例の内容は2014年4月24日公開当時のものです。
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最終更新日:2024年4月17日