Microsoft Dynamics 365 CRMシステム構築サービスの導入事例
株式会社日立保険サービス様蓄積した『情報の見える化』は生命線。市場の変化をキャッチし、世の中に合った保険商品を提供するために、CRMは欠かせない。
世の中の変化とともに、企業をとりまくリスクは急激に多様化しています。法人を顧客とし、企業活動をサポートする保険業界はこれまでの商品ラインナップに加え、この「市場の変化に沿った新しい商品」を常にタイムリーに市場に提供していかなければなりません。
そのためには、市場の変化によって新たに生じ得る「損失」を見極め、かつ、これまで蓄積した実データから傾向を分析・予測していくしかけが欠かせないのです。
日立保険サービスは、これを実現するため「 Microsoft Dynamics CRM 」を導入しました。
この事例に関するソリューション・商品
導入の背景と課題
企業保険は元来、システムによる画一的な管理が難しく、特性や傾向を分析したくても、データ項目がそろわない
西島 淳 氏
今回「 Microsoft Dynamics CRM 」を導入されたのは、企業のリスクマネジメントをサポートする日立保険サービスの「企業リスクソリューション本部」です。日本国内はもちろん、ニューヨーク、ロンドン、シンガポールを含む、5つの海外拠点、総勢80名の組織で様々な企業のリスクに向けて「あんしん」をお届けするのがミッションです。
日立保険サービスが取り扱う「企業保険」とは、企業の事業活動に伴うリスク全般をカバーするものです。企業がその活動の中で、偶然の事故の発生により経済的、人的な損失を被り得るリスクの対象は、社屋や工場、生産ラインで利用している機械、輸送、社用の自動車など、非常に幅広く、かつ企業によっても異なり、元来オーダーメイド性が高いのです。
そのため、個人の保険のような画一的な情報管理が難しく、企業保険を扱う各担当営業は、「顧客情報」「契約情報」「事故情報」いわゆる保険にかかわる三大情報を、各部門や個人で、独自の方法により管理をしていました。
当然、各部門をまたがってデータの集計や分析をしようとすると、毎回膨大な作業工数を要していたのです。
「『企業向けの保険』と一口にいっても、最近は地震や火災、利益保険だけでなく、サイバー攻撃、情報漏洩に備える保険等、これまでに無い新たなリスクに対応する、保険商品をお客様にタイムリーにお届けしなければなりません。保険料は目に見えない「リスク」で構成され、その水準が適切であるか検証するためには、様々な情報が必要です。 我々のような業種にとって、情報の見える化はまさに生命線なのです」(西島氏)
「CRM導入以前に、まず管理方法の統一や標準化が必要な状態でした。事故にどのような傾向があるのか、どのような地域、どのような時に事故が起こったのか、全体の傾向や特性を分析したくても、すぐにはできませんでした」(加藤氏)
このような状況の下、日立保険サービスは、お客さまへデータに裏付けられた「あんしん」をタイムリーに提供し続けるため、CRMシステムの導入を検討することにしたのです。
選定のポイント
オンプレミスが選べる Microsoft Dynamics CRM ならセンシティブなお客様情報を社内で管理可能
加藤 慎 氏
「CRMシステムと一口にいっても、非常に多くのプロダクトがあります。何をどういった観点で選択すればよいのか、迷いました。そこで、複数のCRM製品を取り扱っている日立ソリューションズに、選択すべきポイントを示していただきました。様々な製品を取り扱っているので、最適なものの選択をサポートしてくれるのではないかと考えたのです。また、古くから弊社の業務を熟知してくれているので、将来的に他のシステムとのデータ連携を考えて、日立ソリューションズなら統合的なコンサルテーションが期待できると考えました」(加藤氏)
特に、「 Microsoft Dynamics CRM 」を選択した理由のひとつは、社内に設置するオンプレミス型の導入が可能なことだったといいます。
「保険に関する情報、特に個人名と繋がった事故の情報は非常にセンシティブに取り扱っています。『 Microsoft Dynamics CRM 』なら、社内で管理ができ、イントラネットを使って海外の拠点からもアクセスが可能、これが決め手でした」(加藤氏)
さらには、「以前のシステムは小規模な変更でも、コストが発生していましたが、現在は自分たちですぐに対応できるのも、『 Microsoft Dynamics CRM 』の評価すべき点です」(加藤氏)
導入効果
データの集計・分析の手間はこれまでの1/10に
日立保険サービスでは、CRMをお客様情報を管理する器としてはもちろん、基幹システムから契約情報を取り込み、また、事故情報などとも合わせて、主に「データ分析」に活用しています。
かつてはこの作業も手作業だったため、膨大な時間がかかっていましたが、今では工数が1/10に減少したといいます。これは、システム導入の効果でもありますが、導入チームが併せて実施した、入力項目の標準化と、利用者に向けた根気良いトレーニングの効果でもあるのです。
また、企業保険という性質上、事故の態様も様々で、事故が起きてから、保険金の支払いが終わるまで、時として1年以上かかることもあり、お客様側も、日立保険サービス側も、担当者が変わってしまうことがよくあります。
「これまでの管理方法では大変だった、各事故案件の現在のステージ管理をしっかり行い、担当が変わってもすぐに引き継げる、状況が確認できる。そして支払い完了までを可視化できるようになったのも大きな成果」だと、西島氏はいいます。
「今後、保険業法の改正もあります。保険業法改正により各種情報の管理方法が今より重要になるのですが、今回のCRMシステム導入はまさに、この法改正にも適用していけると考えています」(西島氏)
今後の取り組み
保険はお客様の必要としているものを、お客様と共に協創していくスタイルへ
保険はこれから、従来の「保険会社があらかじめ用意している保険商品からお客様が選択するスタイル」から、「お客様の必要としているものを、お客様と共に協創していくスタイル」へ変化していくといいます。
「CRMシステムはこれから、
- 保険商品をお客様と共に協創する
- 事故等の特徴、傾向を様々な切り口からすぐに分析する
- 新たなお客様獲得に向けた営業活動のマーケティングツールとして活用する
の3つの目的を果たすため、大いに活用していく予定です」(西島氏)
「CRM自体時代遅れとなったら、タイムリーに教えてほしい」(加藤氏)
この一言が、CRMシステムは業務の変化に合わせて変えるべきで、そのためには「CRM」という概念にもこだわらない日立保険サービスの姿勢を映しています。
日立保険サービスのCRMシステムは、自社はもちろん絶えずお客さまの前進と成長を念頭に運営されているシステムなのです。
今後もCRMシステムを最大限活用し、お客さまのニーズにマッチした保険商品をいち早く市場に送り出してくださるに違いありません。
株式会社日立保険サービス
本社所在地 | 東京都千代田区有楽町二丁目10番1号 | |
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設立 | 1949年4月2日 | |
代表 | 取締役社長 池田 信夫 | |
従業員数 | 600名(2015年3月現在) | |
事業内容 | 損害保険代理業、生命保険募集に係る業務、金銭貸付業、集金及び支払の事務代行、及びこれらに関連する一切の業務 | |
URL | http://www.hitachi-hoken.co.jp/ |
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本事例の内容は2015年7月24日公開当時のものです。
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最終更新日:2024年4月17日