Microsoft Dynamics 365 CRMシステム構築サービスの導入事例
株式会社ジャパンEAPシステムズ様EAP事業特有の業務にフィットした『相談管理システム』として、カウンセラーの事務工数を減らし、お客さまの満足度向上に貢献。
従業員の心と体の健康管理は、企業が健全な活動を継続するための最も重要な要素のひとつです。
2015年12月から従業員のストレスチェック実施が義務化され、よりいっそう注目度が高まるEAP(従業員援助プログラム)。
その日本初の専門機関として、1993年に設立された株式会社ジャパンEAPシステムズ。
今回ご紹介する 「 Microsoft Dynamics CRM 」 の導入は、EAP事業特有の業務にフィットした『新相談管理システム』であり、カウンセラーの事務工数を減らし、かつお客さまの満足度向上に貢献した事例のご紹介です。
この事例に関するソリューション・商品
従来からの課題
従来から利用してきた「データ管理ソフトウエア」では、もはや追いつかない。
松本 桂樹 氏
株式会社ジャパンEAPシステムズ(以下、JES)は、1993年に日本で初めて設立されたEAP(従業員援助プログラム)専門機関であり、EAPのリーディングカンパニーです。
「EAPとは何か、まだほとんど知られていなかった頃から、自社サービスのみならず、EAP自体を日本で普及させることに力を注いできました。JESの社会における存在価値とは、“勤労者のメンタルヘルスを増進し、企業の健全な事業活動に寄与すること”であると考えています。 時代の変化に対応すべく、各企業の個別性を重視したサービスを提供すること、EAP活動を通じて社員と管理職が支え合いながら働ける環境づくりに貢献すること、それが私たちのめざすEAPです」(松本氏)
JESのEAP事業には、外部EAPシステムの提供、企業内メンタルヘルス問題対策のコンサルティング等がありますが、これらを支える社内作業として相談記録の作成、報告書作成、請求書発行、顧客管理までの一連の業務があります。
設立当初は、これらを手作業で、その後約5年間はExcelを用いて、約1年間はAccessで、ここ8年間はデータ管理ソフトウエアで実施していました。
「Excel、Accessまでは、社内スタッフの手作業でしたが、データ管理ソフトウエアはベンダ企業による導入・サポートでした。
各業務はそれぞれ個別に行われ、連携していなかったため、情報の確認や記録などの業務に、多くの時間と手間がかかっていました。データ管理ソフトウエアでの運用は、自社のサーバ内にデータベースを置き、エンドユーザーはクライアントソフトで利用する環境になっていたのですが、クライアントソフトのバージョンアップ等にかかる手間・コストも負担になっていました。またシステム内部も、機能の追加を重ね、中身が複雑になり、分からなくなっていました」(外川氏)
これに加え、最も大きな課題となっていたのが、お客様のニーズの多様化への対応です。
EAPへの理解が深まり、JESの活動が理解されるのに伴い、こういうデータがほしい、こういう報告書を出してほしい…そのような依頼が増えてきました。こうしたニーズに、システムの運用が追いつかず、各カウンセラーの労力で補ってきました。
こうした課題を解決するため、新システムの導入・構築を決定しました。
「最初は、データ管理ソフトウエア上で何とかできないかと考えたのですが、システムのサポートを依頼していた企業が撤退することになり、私たちの手ではどうしようもない状態でした。これはもう本当に限界だと感じ、新システムの構築・導入を決定しました」(外川氏)
選定のプロセス
Microsoft Dynamics CRM + 日立ソリューションズを選定。
外川 秀之 氏
導入決定後は、まず現状分析からスタートしました。
システムに関することだけでなく、情報管理全般を対象に、課題の洗い出しをして整理。そして、解決策の立案を検討。
さらにステップアップし、お客様にどのような情報を提供すべきか再度考え直し、より使いやすいものを、将来を見据えて考えていきました。その結果として、新システムに掲げた条件は、以下の3つです。
●JESの業務にフィットする『相談管理システム』として構築する。
EAP事業特有の業務をトータルにカバーし、効率化や精度のアップ、お客様サービス向上を実現できる『相談管理システム』として導入する。
●セキュリティの確保に万全を期す。
扱うものが“繊細かつ機微”な情報であるため、プライバシーマーク取得企業として配慮し、漏洩などを起こさぬようセキュリティの確保に万全を期す。
●管理負担を低減できる。
これまでの環境下では、サーバ、クライアントともに、バージョンアップが大きな負担であったため、これを大きく低減できる環境を構築する。
Webを中心に情報を収集し、ピックアップしたのが2製品。それぞれの開発元企業に連絡を取り、ソリューションベンダの推薦を受けることになりました。そして、各社にプレゼンテーションを依頼しました。
「その結果、お願いすることになったのが、製品は『 Microsoft Dynamics CRM 』、ベンダは日立ソリューションズという組み合わせでした。
『 Microsoft Dynamics CRM 』の評価ポイントは、外部からの不正アクセスに対してのセキュリティが世界規模で実績のあるマイクロソフトのクラウドサービスなら信頼できるだろう、という点。
また、Windows PC や Microsoft Office など、ビジネスの世界標準として使われているマイクロソフト製品のインターフェイスであれば、操作方法等に早く慣れることができるはず。運用の移行後に業務や報告書の作成において、お客様にご迷惑をかけることを最小限に抑えられるだろう。そう考えたのです。
ベンダである日立ソリューションズについては、実は十数年来のお付き合いがあり、よく知っていました。
マイクロソフトさんからは、『 Microsoft Dynamics CRM 』を最も熟知しているベンダであり、JESの業態・状況であれば一番良いのではないか、という話を伺っていました。
日立ソリューションズの提案内容としては、『 Microsoft Dynamics CRM 』の全体概要から始まり、機能別にまとめられていたのが印象的でした。我々の業務を、限られた時間の中で、可能な限り理解していただき、ご提示いただいたという印象が強かった。ですので、選定に迷いはありませんでした。仮にお付き合いがなかったとしても、日立ソリューションズを選んでいたでしょう。開発費の費用感についても、一番納得感がありました」(松本氏)
導入時の取り組み
要望を察知し、先手を打って提案。
安原 京子 氏
その後プロジェクトは、日立ソリューションズ主導でスケジュールを作成。定期的(週1回)な打ち合わせの中で、確認を行いながら進められていきました。
「最初は、どういう機能を望み、どういう結果を出したいのか、というヒアリングから入りました。私たちは、今はこうだけれども、こうしたいという話を伝えていきました。それをもとに可能か不可能か、技術的に可能であれば予算的にはどうか…逐一出していただきながら、進めていきました。日立ソリューションズの方は、勘が良くて、こちらが思ったことをカタチにするチカラが高かったですね。私たちの要望が具体的なイメージにまで膨らんでいない段階でも察知してくれて、こういう出し方ができます、そのためにはこういう手間がかかりますよ、という提案を先手を打って出してくれました」(外川氏)
「そもそもJESの業務を理解することが難しかったと思うのです。EAPの相談管理システムというのは、他の業種にはなかなかないでしょう。ですので、より具体的にイメージできていないと難しいはず。それを、よく理解していただいたと思っています」(安原氏)
プロジェクトは、終盤にさしかかりデータ移行に着手。
「10年以上にわたって蓄積したデータで、件数でいうと約40万。単なる情報だけではなく、相談内容も入ってくるので、膨大な量です。実は、従来のシステムと新しい『 Microsoft Dynamics CRM 』システムでは、データのタイプが違い、その修正に手間と時間がかかったのですが、日立ソリューションズが作成したツールも利用させていただき、テストを重ねた結果、無事に移行することができました。その時は本当に達成感を感じましたね」(外川氏)
導入後の効果
お客さまへ質の高い報告書を素早く作成。EAP事業の一連の業務を連携させ、データの管理・利用を容易に。
『新相談管理システム』の構築・導入により、EAP事業における相談の記録、報告書作成、請求書発行、顧客管理までの一連の業務を連携させ、容易かつ、素早くデータを管理・利用できるようになりました。
「以前は、お客さまへご提示する報告書も、システム上で作成したデータに逐次手を加えなければなりませんでしたが、今はそのままお客様に提出できる質の高い報告書を自動で生成できるようになりました。しかも、報告書作成・出力までの業務であれば、従来かかっていた時間の1/5くらいで済ませることができます」(外川氏)
またシステムがクラウドサービスになったため、従来の運用・管理の負担が一掃。セキュリティも、『 Microsoft Dynamics CRM 』の内部・外部への対策機能(アクセスコントロール、権限設定、ファイアウォール、暗号化など)により、高いレベルで維持できていると考えています。
「新システムの名称は、J-Engage(JES-Employee Network for Global And Growing EAP)です。JESの事業や将来への期待を込めて命名しました」(安原氏)
今後の展望
報告書フォーマットの充実、つながり機能(※)の活用、営業活動での利用などを計画。
『新相談管理システム』については、当面、主な利用者であるカウンセラーの習熟度をアップ。
「システムに習熟して、高度な検索を使いこなせるようになれば、より利用価値の高い情報としてお客様に提供できるでしょう」(外川氏)
今後は、報告書フォーマットの充実、つながり機能(※)の活用、営業活動での利用などを計画しています。
「そのためにはどうすべきか、まず社内で検討を重ねていく必要がありますね。当社は、物事をじっくり考えて取り組むという体質なので、日立ソリューションズには、いつも合わせていただいてきました。かなりわがままを言って、本当によくやっていただいたという感謝の気持ちが強いです。これからもまた、相談させていただくと思いますが、よろしくお願いします」(外川氏)
「実を言うと、従来のシステムについては、ベンダさんとあまりうまく意思疎通ができませんでした。ですが、今回、日立ソリューションズに作っていただいたとき、すごくフィットし、私たちのペースでやってくださっているというのがとてもよくわかりほっとしました。マイクロソフトとのやりとりでも、間に日立ソリューションズが入ってくださるので、ITの特殊用語が出てきて、うまく説明できないときなど、困った時は頼りにしていました。どんなことがあっても、最終的にはSEの方が対応してくれる。より良い方向へ導いてくれる。その安心感を、ありがたく思っています」(安原氏)
「だからこそ、日立ソリューションズの社員の皆様には、常に心と体の健康には留意し、決して無理をせず(笑)、末永くお願いしたいと思っています」(松本氏)
※つながり機能… Microsoft Dynamics CRM 上で 人と人の関係をビジュアルに可視化する機能です。日立ソリューションズがこのオリジナル機能を改良。より分かり易くして、お客様にお使いいただいています。
株式会社ジャパンEAPシステムズ(JES)[JAPAN EAP SYSTEMS INC.]
ジャパンEAPシステムズ(JES)の設立は1993年。日本で初めて設立されたEAP専門機関であり、EAPのリーディングカンパニーです。
現在、メンタルヘルス不全者の増加が、業種に関わらず指摘されています。この時代の到来を予測できていたからこそ、JESは自社サービスのみならず、EAP自体を日本で普及させることに力を注いできました。
JESでは、企業の状況を把握し、継続的な対策を練るため、企業担当カウンセラーを1社毎に配置。担当カウンセラーはEAP相談室の利用状況を定期的に企業へ報告し、人事やEAP担当者と善後策を話し合います。メンタルヘルス対策として「EAPサービスに関する定期的なPR活動」「オリエンテーション/メンタルヘルス研修」なども行います。
また、JESが提供する「ストレスチェック(J-SAP)」は、社員個人へのフィードバックに加え、詳細な組織分析・診断が可能となりますので、より良い職場環境実現に効果を発揮します。2015年12月1日よりストレスチェック制度が施行されるのに伴い、こちらの「ストレスチェック(J-SAP)」をストレスチェック義務化に対応させると共に、サービス内容を義務化に特化した「義務化対応ストレスチェック」の提供も開始予定となっています。
本社所在地 | 東京都新宿区高田馬場4-3-7 | |
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設立 | 1993(平成5)年8月12日 | |
従業員数 | 59名、うちカウンセラー39名(2015年7月現在) | |
事業項目 | 外部EAPシステムの提供、社員に対する各種相談、マネジメントコンサルテーション、職場復帰支援、 ストレスチェック及び職場環境改善策の提案、緊急事態ストレスマネジメント、研修、セミナー開催 | |
URL | http://www.jes.ne.jp/ |
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本事例の内容は2015年9月10日公開当時のものです。
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最終更新日:2024年4月17日