Microsoft Dynamics 365 CRMシステム構築サービスの導入事例
双日マシナリー株式会社様産業機械商社の取引先管理を全社で共有。案件の進捗・リスク管理を迅速に把握
産業機械の総合商社である双日マシナリー株式会社は、取引状況、取引先の会社概要・決算情報・格付情報などの信用情報、基本契約書情報に加え、個別案件の進捗状況を迅速に社内共有するために「 Microsoft Dynamics 365 CRMシステム構築サービス 」を導入。導入は段階的に行い、第1フェーズとして基本契約書情報と取引先の概要をデータベース化。第2フェーズでは、契約金額が大きな案件の進捗状況を現場から経営層まで確認できる仕組みづくりを実施しつつ、さらにCRMに掲載される取引先情報(契約・債権債務残高、決算情報・格付情報)の拡充を行いました。今後は第3フェーズとして、案件進捗管理の対象を中・小型案件にまで拡大していくことを計画しています。
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背景と課題
取引先情報・案件進捗情報の共有が最大の課題
津川 淳 氏
産業機械の総合商社として知られる双日マシナリー株式会社の取引先は、国内外に約3,000社。設備や機械の輸出入、国内販売、三国間貿易が、同社の主なビジネスです。
例えば、国内メーカーの生産設備を海外企業に輸出するケースでは、引き合いを入手した後、見積もり提出と契約交渉を経て契約を締結。その後、メーカーに製造を依頼し、船積み、現地据え付け、検収、保証期間対応とフェーズが進んでいきます。
取引先への提案内容検討に際して必要となる取引先の概要、信用格付、決算情報といった情報は、信用調査会社から都度購入していましたが、最新のデータが記載されていなかったり、入手までに数か月を要するケースがあったりと実際にビジネスを行う上で、ボトルネックとなるケースが多々ありました。基本契約の締結状況や取引の状況(商談の有無、契約残高、債権債務残高)についても、営業部署ごとに管理されていたため、営業担当者が取引先との全社的な取引状況をタイムリーに把握することが困難でした。
また、同社で取り扱う機械設備は、契約締結から代金回収が完了するまで1年を超える案件も多数あり、仕入先での仕掛進捗、納入、据付・試運転、検収試験の実施状況といった案件の進捗状況を適宜把握した上で、トラブルが発生した際には迅速な対応が必要となります。特に、契約金額が大きくなるにつれ、契約履行期間も長期化し、トラブル発生時のインパクトも大きいことから、大型案件の案件進捗把握・共有は、経営上、極めて重要な事項でした。
選定と導入
取引先情報の共有から段階的に導入。経営層向け案件進捗報告レポートの自動生成を実現
渡邊 正和 氏
そこで、双日マシナリーの法務・リスク管理部は「取引先情報の全社共有」「案件進捗管理の効率化」を目的とするシステム化プロジェクトを2016年4月に開始。日立ソリューションズが提供する「 Microsoft Dynamics 365 CRMシステム構築サービス(以下、 Dynamics 365 )」を利用することに決めました。
法務・リスク管理部は、各機能の必要性と開発の難易度を考慮し、段階的な導入を進め、2016年11月から12月までの第1フェーズでは、基本契約書情報と取引先の基本情報を社内共有するため、基本契約書の内容をデータベース化し、基幹システムと「 Dynamics 365 」間の取引先情報を連携することに専念しました。
「データベースに盛り込む項目は、法務・リスク管理部が中心となり各部署と協議のうえ決めました。基本契約書の登録は、法務・リスク管理部のメンバーが手分けして仕事の合間に手入力していきました」(渡邊氏)
続く第2フェーズ(2016年12月~2017年4月)では、大型案件の進捗管理機能を「 Dynamics 365 」に追加しました。
「当社では、大型案件について、四半期ごとに状況を経営会議に報告するのがルール。従来は営業部門からの進捗報告を法務・リスク管理部が手作業で報告書にまとめていました。『 Dynamics 365 』を採用したのは、そうした非効率な業務を解消するのも狙いです。また、四半期報告における『 Dynamics 365 』の活用は、将来に予定している全件管理の“予行演習”として理想的でした」(津川氏)
大型案件の進捗管理を実装する作業は、スケジュール通りに完了。2017年4月の経営会議からは、「 Dynamics 365 」で作ったレポートをそのまま役員に提示する運用となり、並行してすべての営業部員に「 Dynamics 365 」のアカウントを発行。担当者が入力した進捗状況を本部長や部課長などの管理職がチェックできる体制を整えました。
双日マシナリーでの「 Dynamics 365 」の実装作業はその後も続き、2017年11月~2018年4月に、基幹システムとのデータ連携機能を段階的に追加。基本契約と取引先データベースを充実させることにより、共有する情報の「質と量」の向上を図りました。
「その際、営業部門からは、『得意先の財務状況と格付けについて最新の情報を把握したい』との要望がありました。そこで、基幹システムのデータを定期的に抜き出し、また市販の信用調査データベースの格付け情報と組み合わせ、取引先データベースを更新するようにしました」(江氏)
成果と今後
作業効率の向上とリスク管理の高度化。案件進捗管理を中・小型案件まで展開
江 闕茀 氏
「第1フェーズで取引先情報のデータベース化が完了し、社内で共有できるようになりました。また、大型案件の進捗管理を盛り込んだ第2フェーズでは、 Microsoft Excel では難しかった高度な進捗管理レポートが迅速に提供できるようになりました。これらは大きな成果といえます」(津川氏)
さらに、取引先管理に必要なすべての情報をクラウド上のデータベースで一元管理する仕組みが出来上がったことにより、管理データの抽出と集計作業も効率的に行えます。「 Dynamics 365 」はデータをわかりやすく可視化するため、経営会議に提出するレポートも営業管理職向けの分析画面も、従来のものよりはるかに見やすくなっています。
これまでのフェーズで一定の成果は確認できたので、次のステップで法務・リスク管理部が狙うのは「 Dynamics 365 」を活用した案件進捗管理対象の拡大です。対象となる案件データは常時数万件と多く、また各営業部署によって案件の特性や管理手法が異なるため、部署ごとで進捗管理ツールのカスタマイズが必要になります。
加えて、出来上がったシステムを営業支援ツールとして利用率を高めるには、ビジネスの最前線で働く営業担当者の理解と協力を得ることが不可欠です。法務・リスク管理部は、主な営業拠点(東京・大阪・名古屋)でシステム操作説明会を開催したり、事業部の取扱商品に応じ管理対象項目のカスタマイズを検討するなどの取り組みを通じて営業部門への浸透を図っています。
「今回の導入では、段階的アプローチを採ることで、システム開発コストも平準化でき、とても満足しています。また、日立ソリューションズの営業とエンジニアの方には、商社特有の債権管理や進捗管理を理解したうえで、非常に使い勝手がよいシステムを作ってもらいました。スピード感も期待以上で、責任を持って仕事をしていただけたことにも感謝しています。今まで培ったノウハウをもとに、今後も当社の法務・リスク管理をサポートしていただきたいです」(渡邊氏)
双日マシナリー株式会社
旧ニチメン・旧日商岩井傘下の機械関連専門商社5社の合併によって、2004年4月に発足。産業機械の総合商社として、製造業をはじめとする各種産業に設備や機械を供給している。主な事業分野は、先端システム、重工プラント、化学・環境プラント、産業機械、自動車設備の5つ。輸出入、国内販売、三国間貿易のすべての取引形態に対応できるほか、北米・欧州・アジアでの実績に基づく海外進出支援サービスも提供している。
本社所在地 | 東京都千代田区丸の内1-6-1 | |
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設立 | 2004年(創立 1989年) | |
従業員数 | 238人 | |
URL | https://www.sojitz-mac.com/ |
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本事例の内容は2018年9月14日公開当時のものです。
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最終更新日:2024年4月17日