株式会社ミマキエンジニアリング様 Microsoft Dynamics 365 for Field Serviceの導入事例やシステム構築例を紹介|システム構築やトータルソリューションをお探しなら、日立ソリューションズにお問い合わせください。

Microsoft Dynamics 365 for Field Serviceの導入事例

株式会社ミマキエンジニアリング様

グローバル業務改革に向け保守サービスを一元管理。データ集約と分析で顧客満足度向上

業務用インクジェットプリンターとカッティングプロッタを主力製品とする株式会社ミマキエンジニアリングは、全世界の保守データを共通フォーマットで収集、分析、フィードバックする仕組みを構築する目的で「 Microsoft Dynamics 365 for Field Service(以下、Dynamics 365)」を採用しました。国内で稼働していた旧・保守サービス管理システムを、2018年11月に完全移行し、2020年10月には世界全19拠点で導入予定です。

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課題
導入後
保守サービススキルや手順のばらつき、保守業務管理が地域独自で実施され、不統一という問題があった
海外拠点含め、保守データを共通フォーマットで収集・分析する仕組みへ統一
正確で迅速な保守データの収集と、分析に基づく顧客満足度向上施策に着手したかった
正確で迅速な不具合対策情報共有により、故障当たりの訪問回数を対前年比で34%削減

背景と課題

保守サービス管理システムが地域ごとに運用されていた

加山 氏品質統括部 統括部長
加山 泰永 氏
上原 氏品質統括部 グローバルサポートグループ
上原 亜矢 氏

長野県東御(とうみ)市に本社を置く株式会社ミマキエンジニアリングは、業務用インクジェットプリンターとカッティングプロッタの世界的なメーカーとして知られる企業です。主な用途は、サイングラフィックス(広告看板)、インダストリアルプロダクツ(工業製品・小物)、テキスタイル&アパレル(衣料品・布地)の3つ。販売と保守サービスの提供先は世界約150カ国・地域に及び、連結売上高に占める海外比率は約75%と高くなっています。このようなビジネスを展開する同社にとって、販売後の保守サービスは顧客との継続的な関係を維持するためにも極めて重要な業務でした。

「当社の保守サービスは、お客様の満足度を高めて製品を売りやすくするための重要なツール。顧客満足度と業務効率化をどれほど向上できたかを評価するために、故障当たりの訪問回数や修理時間などのKPIを設定して管理してきました」(加山氏)

これまでも同社は保守サービスを管理するシステムを構築して世界各地の拠点で運用してきました。しかし日本と北アメリカで使われていたシステムはクラウドシステムベースでしたが、ヨーロッパは自社開発システム。その他の地域では、紙帳票に記入してからパソコンに入力して分析するという運用方法でした。

「地域ごとにシステムや運用方法が異なると、不具合情報を本社に集めて分析することが難しくなります。得られた知見を現地の保守担当者に迅速にフィードバックすることもできません。保守サービスのKPIを高めるうえでの妨げになっていました」(加山氏)

「保守サービスと販売系の間で情報が共有されていなかったので、故障履歴などを顧客訪問に生かすことができませんでした」(島田氏)

選定と導入

グローバル展開と価格に優れる「Dynamics 365」で体制を再構築

若林 氏品質統括部 グローバルサポートグループ
若林 明奈 氏
松林 氏管理本部 経営情報システム部 開発システム企画推進グループ リーダー
松林 正道 氏

そこで、同社は保守サービスの管理システムと運用方法を刷新しようと決意。2017年2月に再構築のための検討を開始しました。

技術的には、国内の保守サービス管理システムを海外拠点に提供する方法も検討しましたが、そのシステムが国内向けに大幅に作り込まれたものであったことと、クラウドシステムの使用料が高額であったことから断念。オープンソースを使った自社開発も、世の中の変化に素早く対応するのが難しく、海外拠点からの問い合わせに答える体制を本社側に用意できないので、現実的ではありませんでした。

「世界中の拠点で現地の言語を使って利用できること」という条件で選定を進めた結果、利用中のものを含め2社のクラウドサービスが最終候補として残りました。その中で、CRMツールでありながら、保守サービスに特化した機能を併せ持つことと、安価な利用料金を評価して「Dynamics 365」を選択しました。

「『Dynamics 365』ベースのシステムを手がけているシステムインテグレーターは何社かありました。その中で日立ソリューションズは、保守サービス管理パッケージの開発・販売を通じて豊富な業務ノウハウを蓄積していました。当社の海外拠点に導入する際のグローバルな支援もお願いできることから、日立ソリューションズを選定しました」(松林氏)

再構築プロジェクトがキックオフを迎えたのは2017年8月のこと。まずは各地域で行われている保守サービス管理業務の現状を整理したうえで、「Dynamics 365」をベースにアジャイル開発で短期間の構築をめざしました。

「保守サービス業務のプロセス設計では、日本国内で行われているきめ細かな管理方法に極力合わせていただきました。併せて、現地の文化や商慣習にも十分に配慮しました」(上原氏)

「従来、 Microsoft Excel や手作業で柔軟に対処していた部分をシステム化する必要がありましたので、『Dynamics 365』に備わっている標準のカスタマイズ機能を活用しました。業務プロセスの処理を追加しましたし、画面や帳票のレイアウトも現場からの要望に合わせて変えました」(采女氏)

「Dynamics 365」ベースの新システムは、2018年11月に日本国内で最初に本稼働。その後、保守サービス管理がこれまでシステム化されていなかったインドネシア、台湾、オーストラリアの各国・地域でも順次使えるようにしました。

「クラウドシステムとして提供される『Dynamics 365』の特長の一つは、エンドユーザーの要望に応じて機能や画面レイアウトを自分たちで容易に変更できること。本稼働した後もさまざまなリクエストが来ていますので、簡単なものについては当社のメンバーが修正しています」(松林氏)

成果と今後

全拠点への展開は2020年に完了予定。一部KPIはすでに改善

島田 氏管理本部 経営情報システム部 販売システム企画推進グループ リーダー
島田 修 氏
采女 氏管理本部 経営情報システム部 開発システム企画推進グループ
采女 俊 氏

同社の全拠点で新しい保守サービス管理システムが使えるようになるのは2020年10月頃の見込み。北アメリカとヨーロッパの両地域でも、既存システムを「Dynamics 365」に切り替えていきます。

保守に関わるデータを全社共通のフォーマットで収集・分析・フィードバックするという目標に対し、当初の予測を超える効果がすでに表れています。

「故障当たりの訪問回数というKPIについては、対前年比で34%向上しました。新しい保守サービス管理システムがこの成果にどこまで寄与しているかはこれから検証する必要があります。ただ、目標として設定していたのは20%の向上でしたので、一定の効果は表れていると考えています」(加山氏)

これまで紙帳票で保守サービスの管理をしていた海外拠点では、データ分析以降の作業を効率化できることが高く評価されています。

「紙帳票への記入より、新システムでのデータ入力のほうがより多くの項目を入力するので時間がかかります。しかし、入力されたデータを本社側で分析して現地にフィードバックする仕組みになっていると説明すると、海外拠点にも納得してもらえました」(若林氏)

また、世界全拠点への展開と並行して、「Dynamics 365」を他のITコンポーネントと組み合わせる機能拡張も進められています。例えば、同じく「Dynamics 365」のコンポーネントである Microsoft Dynamics 365 for Sales (営業管理システム)と密な連携が完了すれば、販売担当者も担当顧客の保守データを確認できるようになります。さらに、保守担当者が現場からモバイルデバイスで「Dynamics 365」にデータを入力するモバイル運用も試行段階にあります。

「地域ごとに異なるニーズが寄せられるという困難な状況の下、新しい保守サービス管理システムを一緒に立ち上げていただいた日立ソリューションズには感謝しています。保守サービス業務の改善に向かって進んでいることは当社の経営層にも理解されていますので、これからも精力的に進めていきたいと思います。将来的にはIoTと保守サービス管理システムの連携により、顧客満足度をさらに高め、保守サービス業務の効率を高めていく予定です。補充用インクの自動手配などの新サービスにもIoTを活用したいと考えています」(加山氏)

日立ソリューションズはプロジェクト完遂に向けて、引き続きミマキエンジニアリングを支援していきます。また、「Dynamics 365」のサービス提供により、企業の保守サービスの効率化に貢献します。

製品写真
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株式会社ミマキエンジニアリング

サイングラフィックス(広告看板)・インダストリアルプロダクツ(工業製品・小物)・テキスタイル&アパレル(衣料品・布地)向けの業務用インクジェットプリンターとカッティングプロッタに強みを持つ。販売と保守サービスの提供先は、世界約150カ国・地域。連結売上高に占める海外比率は約75%と高く、南北アメリカ、ヨーロッパ、アジア、オセアニアの各地域に拠点を構える。

本社所在地 長野県東御市滋野乙2182番地3 株式会社ミマキエンジニアリング
設立 1975年8月
従業員数 800人(単体)1,629人(連結)(2018年3月末時点)
事業内容 業務用インクジェットプリンター、カッティングプロッタ開発、製造、販売サービス
URL https://japan.mimaki.com/

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本事例の内容は2019年6月27日公開当時のものです。

最終更新日:2024年4月17日