関西電力株式会社様 組み込みデータベース Entierの導入事例やシステム構築例を紹介|システム構築やトータルソリューションをお探しなら、日立ソリューションズにお問い合わせください。

組み込みデータベース Entierの導入事例

関西電力株式会社様

電力自由化に伴う、検針データの大幅増加を見据え、ハンディターミナルのリプレースに組み込みデータベース「Entier」を採用。

関西電力株式会社(以下、関西電力)は、従来利用していた検針業務用ハンディターミナルの製造終了、組み込みデータベースのサポート期限切れ、及び低圧託送制度の導入に伴う検針データの大幅増加を見据えて、ハンディターミナルのリプレースを実施。収集したデータの処理と管理を行う新たなデータベースに「Entier」を採用し、新制度の導入に対応する検針業務の基盤を構築しました
※一般家庭等への低圧での電力供給に関する制度

メインイメージ

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課題
導入後
従来のハンディターミナルの製造終了、組み込みデータベースのサポート期限切れ及び低圧託送制度のスタートが迫る中、ハンディターミナルのリプレースが必須となっていた
「Entier」の採用によって、アプリケーション開発に関わるコスト削減と、増加する検針データ容量への対応を両立させたリプレースを実現
新制度の導入で収集するデータ容量が約10倍に増加しても検針の業務時間をできる限り延長させないようにするため、高いデータ処理性能が必要だった
「Entier」の高い処理性能に加え、ハンディターミナル内のデータ管理構造の変更などにより、リプレースの大きな課題であったデータ処理を許容時間内で実現
低圧託送制度に欠かせない詳細な電気使用量データを収集し続けるため、開発期間に続いて稼働後の信頼性を支えるバックアップ体制を求めていた
「Entier」のマニュアルの充実に加え、日立ソリューションズのエンジニアによるきめ細かなサポートにより、迅速な開発と試用期間内での問題解決を実現

導入の背景

従来データベースのサポート終了と低圧託送制度の導入を見据えてリプレースを検討

岡野 氏経営改革・IT本部 情報通信センター お客さまシステムグループ
課長 岡野 龍幸 氏

関西電力では、2016年1月に、各家庭の電気使用量を計測する業務で検針員が使用しているハンディターミナルを一斉にリプレースしました。 4,000台以上という大量の端末のリプレースは、どのような理由で、いつ頃から検討されていたのでしょうか。

「検討し始めたのは、2014年の前半。従来利用していたハンディターミナルの製造終了時期が提示されたことがきっかけでした。 それに加えて、2016年4月から一般家庭向けの電力小売の自由化が始まり、低圧託送制度が導入され、各家庭に設置されているメーターから、30分単位の電気使用量という大量のデータを収集しなければならなくなる要件変更が見込まれていました。 このため、これまでと同様にハンディターミナルで検針業務を続けるためには、データベースソフトの見直しが必須となっていました。
そこで課題となったのが、まずコスト面です。 リプレースする台数が非常に多いため、データベース以外のソフトウェアはできるだけ従来のものを使えるようにして、コスト増加を抑えたいと考えていました。 もう一つの課題は、データの処理性能。新しい制度に対応するには、従来の約10倍のデータをハンディターミナルで収集することになります。だからといって、一件ごとの検針時間を大幅に延ばすわけにはいきません。 データベースソフトの処理性能を高めることで、検針員の作業負担を増やさないようにすることも、今回のリプレースの重要な課題でした」(松尾氏)

選定までの経緯

5つのデータベースソフトを比較検討。「Entier」の性能と保守体制の充実などが選定の決め手に

松尾 氏経営改革・IT本部 情報通信センター お客さまシステムグループ
松尾 勝則 氏

コストの削減と、処理性能の向上を条件としてスタートしたというデータベースソフトの選定。どのような比較が行われ、その中で何が決め手となって「Entier」の採用が決定したのでしょう。

「まず、OSSも含めて5つのデータベースソフトを候補として選びました。そのうちの2つが、前提条件であったOSやプログラムの流用が不可という理由で外れ、残りの3つで性能面などの比較検討を行いました」(松尾氏)

次にポイントとなったのは、データベースソフト自体が使うメモリ容量の少なさとレスポンス性能でした。

「ハンディターミナル全体で持てるリソースは限られているので、その中でデータベースソフトに使うメモリ容量はできるだけ少なくしたいという要望がありました。 そこが増えてしまうと、ほかの業務アプリケーションが使うメモリ容量に影響を与え、操作性や処理能力の悪化にもつながりますから。 そのうえで、検針する大量のデータを短時間で処理できるレスポンス性能との両立を、データベースソフトに求めたわけです。メモリ容量とレスポンス性能ともに、明らかに『Entier』の数値は優れていました」(岡野氏)

「そうした性能面に加えて、実際に日立ソリューションズに実現してもらって大いに助かったのがマニュアルと保守体制の充実でした。限られた開発期間の中で確実にリプレースを実現するにはそうしたポイントも重要で、性能とサポートの両面での評価が『Entier』の選定に繋がりました」(松尾氏)

導入時の取り組み

処理能力の向上が最大の難関に。 試用期間中のトラブルも充実したサポートで無事解決

「Entier」の採用が決定してから約2年の開発期間を経て、2015年10月に次期ハンディターミナルの試験運用が始まりました。その後、2016年1月に新システムが本格的に稼働を開始し、4月からの電力小売全面自由化を前に新制度に対応した検針業務のシステム基盤が構築されました。

「開発期間中に大いに助かったのは、日立ソリューションズにデータベース部分に関する問い合わせをしたときに、その回答以外にも、私たちが開発しているプログラムの状況や仕様を理解した改善案を提示していただけたことです。おかげで、疑問や課題が生じても短時間で解決することができました。 一方で、性能面で苦労したのは、やはりレスポンス性能の向上でした。結局は、ハンディターミナル内でのデータの持ち方を変えることで解決したのですが、このときも、数パターンの変更案を提示していただき、それぞれのテスト結果に基づいてレスポンスの改善を実現することができました」(松尾氏)

そうした開発期間の後に始まった試験運用では、いくつかの不具合が生じたと言いますが、それらは、どのように解決したのでしょう。

「試用期間中には、システムの問題が二つ発生しました。試験運用初日のアプリケーションの異常については、早々に原因の究明をしていただき、当日のうちに解決に至りました。 もう一つも、原因個所の特定などで時間は要しましたが、1月の本格稼働の前には無事解決しました」(松尾氏)

導入後の効果

事務所でのアップロード時間は以前より短縮

試用期間を終えて本稼働が開始してからは、データ関連の不具合は発生していないと言います。新しくなったハンディターミナルを使って毎日作業を行っている検針員の方々の反応はどうだったのでしょう。

「検針員の皆さんの反響も聞こえてきています。ただ、どうしても従来の作業と比べることになるので、検針に必要な時間が長くなったという声が多いです。 社内の説明会などで、収集するデータ量が約10倍に増えていることは伝えていますが、毎日検針業務を行っている方々の感想としては致し方ないでしょう。 そのかわり、検針してきた結果をハンディターミナルのデータベースから抽出してサーバにアップロードするための処理時間が短くなったことは、評価されています。 開発当初のデータベースの設計では、このアップロードに何時間もかかりそうな試算結果が出ていましたが、これも設計や開発段階の日立ソリューションズの協力などで、データ量が増えているのにもかかわらず従来よりも短時間でのアップロードが可能になりました」(松尾氏)

「今回行ったのは、基本的にはハンディターミナル本体のリプレースなので、従来と変わらない業務が滞りなく行えていることが大前提でした。あとは、同じような作業の中で、今までの約10倍の詳細なデータを収集できていることは確かなので、今後はこのデータをどのように活用できるかが重要になってきます。そういった新たな検針体制の基盤をつくれたことが、今回の一番の導入効果だと思っています」(岡野氏)

検針業務イメージと「Entier」導入の効果

今後の展望

ハンディターミナルのセキュリティ向上と変わりゆく電力システムの対応へのサポートも期待

最後に、電力システム改革によってさまざまな変化が見込まれる中で考えられるシステムの見直しや業務環境構築への協力など、日立ソリューションズおよび日立グループへの期待を聞かせていただきました。

「ハンディターミナルに関する話では、セキュリティ対策への協力をお願いしたいです。 また、新たに制定された『スマートメーターシステムセキュリティガイドライン』では、自動検針を行うネットワークにアクセスするハンディターミナルも、スマートメーターシステムの一部とみなされるため、ガイドラインに従ったセキュリティ対策が必要になります。 しかし、基本的にセキュリティ対策とレスポンス性能というのは相反するもので、セキュリティのレベルを上げるほどレスポンスは悪化します。 そこをどう両立させていくかについての検討、ソフトウェア改修などへのご協力をお願いすることになると思います。 また、検針業務全般については、電力システム改革で示されている分社化のタイミングと次期システムへのリプレース時期がほぼ重なるので、その際にはハンディターミナルのデータベースソフトという範囲ではなく、検針に関連するシステム全体も含めたご相談をできればと考えています」(松尾氏)

「もっと広範囲の話では、これから電力会社のビジネスモデルもどんどん変わっていく中で、検針業務そのものの在り方といった視点からも、今回の知見を活かしたご提案をいただけたらと思っています。 変化のスピードが加速し、先行きを見通すことが難しい時代なので、幅広い経験を持つ日立の皆さんに教えていただくことも多分にあると思います。そういった面で、今後もご協力いただけると大変ありがたいです」(岡野氏)

関西電力株式会社

関西電力株式会社は、1951年の設立以来「お客さまと社会のお役に立ち続ける」ことを使命に、総合エネルギー事業を展開しています。設立65周年の2016年に制定されたブランドステートメント「power with heart」には、“まごころと熱意を込めたサービスで、お客さまや社会の『力』になりたい”というエネルギー新時代を迎えるにあたっての想いが込められています。

本社所在地 大阪市北区中之島3丁目6番16号 関西電力株式会社
設立 1951年5月
従業員数 22,313名(2015年3月31日現在)
事業内容 電気事業、熱供給事業、電気通信事業、 ガス供給事業 など
URL http://www.kepco.co.jp/

※お客様の所属は取材日(2016年5月26日)時点のものです。

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本事例の内容は2016年9月14日公開当時のものです。

最終更新日:2016年9月14日