内部統制3点セットの作成ツール iGrafx FlowCharter 2011 SOX+の導入事例
宮崎太陽銀行様内部統制文書化はすでに終え、第2フェーズへ向かう宮崎太陽銀行
宮崎市に本店を置く株式会社宮崎太陽銀行。九州第二地銀では初めてプライバシーマークを取得するなど、業務適正化の取り組みは早い。内部統制対応でも今年夏には文書化フェーズを終了し、次の段階へ進んでいる。文書化にあたっては、日立ソフト+BBSのソリューションが最大限活用された。
- テイラーメイド・バンキングで、地元密着を強める第二地銀
- プライバシーマーク取得でリード内部統制の基盤づくりを急ぐ
- 通達制度の形骸化を危惧。中計に則った抜本的な業務改革を進める
- 「身の丈に合った内部統制」ツール活用でスピーディーな文書化
- 内部統制強化で「選ばれる銀行」へ企業価値向上への取り組みつづく
- お客様プロフィール
この事例に関するソリューション・商品
テイラーメイド・バンキングで、地元密着を強める第二地銀
部長 鳥原浩二 氏
空港に降り立つとフェニックスやハイビスカスの鮮やかな色彩が目に飛び込み、光あふれる南国情緒が漂ってきた。土産物屋の店頭には、東国原知事の似顔絵を描いた幟が立ち並び、県産品をアピールしている。
「そのまんま知事」の登場で全国に話題を提供した宮崎だが、もともとの地域イメージといえば「明るい太陽の陽射し」。県を代表する第二地方銀行 株式会社宮崎太陽銀行の行名も「太陽」、そのイメージキャラクターも「サン太」と命名されている。
宮崎太陽銀行の創業は1941年(昭和16年)の宮崎無尽株式会社、その淵源は明治時代に遡る。「無尽」はもともと日本の庶民金融の代名詞。それを発端とする同社の沿革からは、地域に根づいた庶民的な金融機関という性格が窺える。「地域の繁栄なくして銀行の発展なく、銀行の発展なくして地域への奉仕なし」のモットーは、戦後の相互銀行転換、平成に入ってからの普通銀行転換後も、一貫して変わることがなかった。
お客様一人ひとりへの最適な金融サービスの提案と顧客満足度を高める「テイラーメイド・バンキング」が現在の合い言葉。インターネットを活用したサービスの拡充など付加価値の高い総合的金融サービスの提供に努めている。
2003年8月、市内広島地区にグランドオープンした新本店は、地元宮崎に貢献する決意を示す新たな拠点であり、その偉容は市内の新しいランドマークになっている。
プライバシーマーク取得でリード内部統制の基盤づくりを急ぐ
福田正之 氏
「このあたりは砂地で、けっして土壌的にはよくないところ。基礎を深く掘り、積層ゴムを使った装置を基部に入れた最先端の免震設計になっています。それまで市内に分散していた本部機能を集約し、事務電算部門もここに収容しました。地震に強いというハード面のセキュリティが確保されたため、次のステップとして情報セキュリティに取り組み、それがプライバシーマーク取得に繋がりました」
というのは、経営企画部の鳥原浩二部長だ。個人情報保護の取り組みを認定するプライバシーマーク取得は今年5月のことだが、九州内の地域金融機関としては初めて、全国でも9番目と早い。
「2005年4月施行の個人情報保護法がきっかけにはなっていますが、本来、銀行にとって顧客情報は最大の資産。それに対する万全な措置は当然のことで、それを裏付ける形でのプライバシーマーク取得でした。銀行単体だけでは不十分なので関連会社3社を含め、グループとして取り組みました。早いと言われるが、当初予定は2005年度から。いざ始めてみたらいろいろと大変で、結果的に今年の4月までかかってしまいました」と振り返るのは、担当の福田正之 リスク管理室長だ。
プライバシーマーク取得に象徴される、個人情報保護への組織を挙げた取り組みは、内部統制体制づくりともけっして無縁ではない。対応に向けて行員の意識のベクトルを揃えること、法規に則ることと業務効率・サービス効率とのバランス、適正な業務の執行を企業価値向上にどう繋げていくかなど、きわめて近似の課題を含んでいる。ある意味では、プライバシーマーク取得を達成できた銀行だからこそ、内部統制への取り組みも迅速だったとも言える。
通達制度の形骸化を危惧。中計に則った抜本的な業務改革を進める
安藤和慶 氏
同行にとって、内部統制対応は、プライバシーマークと同様、けっして天から降ってきた唐突な課題ではなく、日常的な業務改善のための取り組みを前提として、粛々と進められてきたものである。それを物語るのが、鳥原部長の次のコメントだ。
「銀行はいろんな意味で、間違いがあってはならない業種。私が銀行員になったときも“1円でも合わなかったら徹夜で処理するものだ”と言われておりましたし、今でもそのような厳格性が求められていることはたしかです。その一方で、取扱い業務の多様化に伴って、覚えなくてはいけないことが膨大に増えている業種でもある。
本部スタッフが中心となって、マニュアルや手引書、規定をきちっと整備し、それらを現場に渡し、さらに正確な業務処理を徹底させることが重要になります。2006年度からの中期経営計画の中でも、職場集団基準のレベルアップ、事務の厳正化などを具体的取り組みとして掲げてきました」と鳥原部長。
「中期経営計画の策定にあたって当行の強み・弱みを分析した際にも、“通達を出しっ放しで、見直しもされていない”“文書管理基準があいまい”という現状が浮かび上がり、それが現場の事務処理能力の制約になっているのではないかという問題が指摘されていました。そうした現状をどうしても改善する必要があったのです」と、福田正之リスク管理室長がフォローする。
これまでは業務を進めるうえで何かあると“それは何年何月の通達で変わったから、それを探してみて”というような対応が一般的だった。ところが通達を探すだけでも大変だし、通達が短期間のうちに改定されるケースも多く、これでは通達の意義が現場に伝わらず、最悪の場合は業務手順が人によってバラバラということにもなりかねない。これまでの通達制度を全面的に見直し、通達をより意義のあるものにするため、その内容のすべてを直ちにマニュアル、要綱、手引書の形に反映すること、すなわち「文書化」がテーマになった。
「身の丈に合った内部統制」ツール活用でスピーディーな文書化
2年の試験期間を経て、2007年度からシステムは全町の小麦圃場を対象にするようになった。 こうした業務改革に並行する形で深まってきたのが、金融商品取引法に基づく内部統制の議論である。独自の取り組みとして、職場集団基準のレベルアップ、事務の厳正化を進めれば、内部統制の基盤は達成できるという確信はあったものの、対応にあたって当初は一定の混乱があったことも事実。
「2006年11月ぐらいから第二地銀協会が開く、内部統制に関する研修会に参加してきました。このころはまだ実施基準が出る前ですから、何をどう対応させればよいのか指針がない。フローチャート、業務記述書、リスクコントロールマトリクス(RCM)の文書化3点セットという話も聞き、作成しなければいけないものはわかりましたが、文書化の範囲は、人によっては200だ、300だと言われる。文書化作業を効率化するために金融機関向けのテンプレートがあるというのでそれも見ましたが、メガバンクをベースにしたもので、当行のような規模で、それをそのまま当てはめることができるのか、不安もありました」(経営企画部 安藤和慶部長代理)
さまざまな情報を集めるなかで、同行の経営企画部スタッフが出会ったのが、ビジネスブレイン太田昭和(BBS)と協業した日立ソフトの『内部統制再構築ソリューション』だった。
「2007年3月に、日立ソフトのセミナーに参加して、BBSの公認会計士 木津陽二朗先生の話を聞きました。内部統制の基本は押さえつつ、第二地銀なら文書化すべき業務プロセスは200も必要ない、120程度でよい。なぜそうなのか、ということについてピンと来る説明がありました。ああ、内部統制というのは、金融業界なら何でも一緒というわけではなく、身の丈に合ったものを作ればよいのだなと、そのとき腑に落ちました」と鳥原部長は振り返る。
内部統制整備では業務プロセスの可視化が必要だが、それを簡単にできるツールが各社からいくつも提供されている。日立ソフトは、フローチャート作成に特化した描画機能で、業務フローをスピーディーに作成でき、リスク・コントロールの評価やRCM・業務記述書の作成まで一気に行えるツールとしてiGrafx FlowCharter 2006 SOX+』(iGrafx)を提供しているが、鳥原部長はその手軽さが気に入った。
「iGrafxの1ライセンスだけだと10万円ちょっとですからね。手始めに購入したフローチャートを作っていくうちに、これは使えるかもと思いました。社内に認定SOXアドバイザーが何人もいるという話でしたし、内部統制以外にも地銀のシステム構築の実績もあるようだし、ここは一つ日立ソフトにお願いしてみようかと…」
行内の内部統制文書化プロジェクトの議論を経て、文書化フェーズについて日立ソフトのソリューションを導入することを決定。文書化にあたってのコンサルテーションを受けるほか、iGrafxや、ドキュメントの有効活用のための日立ソフト製品『活文』も導入することになった。
文書化作業は合宿を重ねるなどの踏ん張りがあり、9月中にはほぼ完了。一般に、100の業務プロセスがある企業では、業務プロセスの文書化には約50人月の工数がかかると言われるが、同行の陣容からすると、文書化のスピードは速いほうと言える。
「最初から完ぺきにはできない。途中で必ず不備事項が出てきます。文書化をどんどん進めながら、不備事項を洗い出すという構えで行ったのが結果的にはよかったと思います。通達制度の改正など、これまでの取り組みがあったから、案外スムーズに進んだと評価しています」と鳥原部長は語る。
内部統制強化で「選ばれる銀行」へ企業価値向上への取り組みつづく
同行の内部統制は11月には運用フェーズに入る。
銀行に限らず、内部統制体制の強度とその実効性、それによってもたらされるコーポレート・ガバナンスやコンプライアンス体制の成熟は、これからの企業評価の重要なポイントになるのは間違いない。プライバシーマーク取得に見られる情報セキュリティが取引先にとっての安心感を生み出すのと同様に、内部統制によるリスクコントロールは、経営基盤の安定化に繋がると目されているからだ。
宮崎太陽銀行グループは、九州の第二地銀のなかでは珍しく、地場の中小企業やベンチャー企業の育成を行う投資子会社をもっている。地元大学との連携や、障がい者マラソン大会、国際音楽祭、地域行事への協賛などを通した地域向けCSR(企業の社会的責任)の取り組みにも熱心だ。本店のロビーで、銀行幹部が地元のご老人のマネー相談に気軽に応じる姿が見られるとういうのも、都銀ではありえないこと。
宮崎の地域活性化に欠かせないキープレイヤーとして、今後の役割と業容の発展ががますます期待されている。
株式会社 宮崎太陽銀行
1941年設立の第二地方銀行。宮崎市広島に本店を置くほか、県内45店舗、鹿児島県内5店舗、大分・福岡県内に各1店舗を擁する。資本金約58億円、預金量5,182億円、従業員676名(2007年3月末)。地域顧客の利便性向上と多様なニーズに応えるべく、保険会社と提携し九州の金融機関で初めて「三大疾病保障特約付住宅ローン」を発売。セブン銀行とのコンビ二ATMの利用提携、投資信託や年金保険の取扱商品充実など、業務・商品・サービスの拡充スピードは速い。地域の企業支援の取り組みとして、関連会社宮崎太陽キャピタルなどと共同で、ベンチャー企業向け投資ファンドを相次いで設立し、地元中小企業の支援・育成を積極的に行っていることでも知られる。
本社所在地 | 宮崎県宮崎市広島2丁目1番31号 | |
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URL | http://www.taiyobank.co.jp/ |
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