FutureStage 商社・卸向け販売管理システム/財務会計・管理会計システムの導入事例
商船三井テクノトレード株式会社様販売管理システムをAWSに載せて、商社の多岐にわたる業務を見える化
商船三井グループに属し、海事専門商社である商船三井テクノトレード株式会社(以下、商船三井テクノトレード)は、営業8部門において業務プロセスの標準化と見える化を目的とし、2014年に日立ソリューションズの「FutureStage」と業種別テンプレート2種を導入しました。そして、5年後の見直しで、処理性能の向上をめざすため、稼働基盤をAWSに移し、2019年12月に稼働を開始。入出荷履歴の検索処理における応答速度が8倍以上に向上するなどの成果を得ています。
この事例に関するソリューション・商品
背景と課題
海事専門商社の販売管理を「FutureStage」で標準化・可視化
山田 雅也 氏
株式会社商船三井の子会社である商船三井テクノトレードは、船の運航に必要なさまざまな物資を海運会社・船舶管理会社・船主などに販売する海事専門の商社です。主な取り扱い商品は、燃料、潤滑油、船舶用資材、機械、部品、船用品、航海計器、通信機器などで、独自開発製品としては、船の燃費を高めるプロペラ装着型省エネ装置「PBCF」(Propeller Boss Cap Fins)があります。
商船三井テクノトレードが日立ソリューションズの商社・卸向け販売・会計統合ソリューション「Fit-ONE」(現FutureStage)を使い始めたのは、2014年1月のこと。導入の目的は、多種多様な商品を取り扱う業務プロセスの標準化・見える化によって、経営管理のレベルを高めることでした。
「当社が扱う商材は多岐にわたり、市場や顧客の特性もそれぞれに異なります。そのため、従来は業務の進め方が8つの営業部門ごとにバラバラで、部門によっては独自の業務システムを構築・運用していました。しかし、そのようなやり方では事業の状況を全社レベルで俯瞰できず、高度な経営管理は見込めません。そこで2012年から、業務プロセスの分析を通じた基幹システムの見直しを開始しました。まずは、専門のコンサルタント会社に業務分析を依頼し、請求・入金などの共通機能についてはパッケージソフトで標準化することにしました」(山田氏)
このプロジェクトに対して、日立ソリューションズは「Fit-ONE」ベースの販売管理システムをクラウド上で稼働させる方式を提案。「Fit-ONE」の「燃料材卸向け」と「住宅設備・資材卸向け」のテンプレートを使用し、商船三井テクノトレードの事業内容にフィットした業務システムを短期間で構築するという内容でした。そして、数社検討の結果、日立ソリューションズが選定され、カスタマイズを含む実装作業を経て、2014年1月に稼働を開始しました。
それから5年。「Fit-ONE」は「FutureStage」と名称を変えたものの、商船三井テクノトレードは当該システムをクラウドサービス上で使い続けてきました。
「業務拡大による取り扱いデータ量の増加により、エンドユーザー部門からは100項目以上の改善要求が業務部に寄せられていたのですが、改修で対応するのは必要最低限の項目に限って運用を続けました。また、クラウド側サーバーのスペックが切迫していたこともあり、『メモリー使用量が90%を超えた』というアラートが送られてくる状況がありました。さらに、月1回、経理部門において行う、全社商品1カ月分の入出荷履歴の集計業務に、2~3時間かかるという状態も続いていました」(山下氏)
選定と導入
稼働から5年で見直しに着手。AWS移行で性能向上を狙う
山下 健二郎 氏
こうした背景により、2019年1月からIT環境の見直しに着手しました。主なテーマは、社内のパソコンを Windows 10 にアップグレードするとともに、外部データセンターで運用していたサーバーの中から更新期限が切れるものを、リプレースしたりクラウドに移したりすることでした。また、すでにクラウドで稼働している販売管理システムについても、メモリー不足や応答時間短縮などの解決をめざしました。
「販売管理システムに関係する課題については、日立ソリューションズにも改善案の検討をお願いしました。その過程で、現行の『FutureStage』の機能構成に手を加えることなく、サーバーのスペックをより柔軟に選択できるAWS(Amazon Web Services)に稼働用基盤を移すというプランが浮上してきました」(山下氏)
そこで、業務部では大規模クラウドについて調査を開始し、AWSならサーバーの能力やメモリーを増強したときでも費用を最小限に抑えられること、世界レベルで豊富な実績を持つことも確認できました。技術面でも、「FutureStage」のベースになっているOracle DatabaseをRDSとしてサービス提供しているAWSが有利であり、商船三井テクノトレードが利用しているIP-VPNサービスがAWSに対応していることも判明。移行先のクラウドとしてはAWSが最も望ましいという結論に至りました。
役員会の決裁を経て、AWSへの移行が正式に決まったのは、2019年6月。販売管理システムをクラウド間で移し替えるすべての作業(販売管理システムを稼働させるための基盤の構築、「FutureStage」を含むソフトウェア群の配備、業務データの移し替え、検証テスト)は、日立ソリューションズのエンジニアが担当しました。
「途中のスケジュールを調整しながら、最終的にはオンスケジュールで完了。シミュレーションを繰り返し行い、移行処理に要する時間を見積もりながら、2019年12月、並行稼働なしで一斉切り替えを行いました」(山下氏)
成果と今後
入出荷履歴検索の速度が大幅に向上。今後も業容改革を進めていく
「FutureStage」ベースの販売管理システムをAWSに移し替えることによって、商船三井テクノトレードは懸案だった「クラウド側サーバーの性能とメモリーの不足」を完全に解消できました。AWS上に構築した新しい基盤では、サーバー性能とメモリー容量を増強したほか、アプリケーションサーバーの数を従来の2倍に拡張。販売管理システムのソフトウェアは従来と全く同じですが、応答時間は大幅に短くなりました。
「従来のクラウド基盤で2~3時間かかっていた月次における全社入出荷履歴の検索業務が、AWSの新しい基盤では15分程度で終了します。エンドユーザーにはとても喜ばれました。またメモリー容量の増加によってクラウドの動作が安定しましたので、メモリー不足のアラートはなくなりました」(山下氏)
「AWS上の販売管理システムは順調に稼働しており、実務層に加え、経営層にも『最近はシステムが安定している』という印象を持たれています。そのおかげで次の一手を考える段階となりました」(山田氏)
AWSへ移し替えるプロジェクトの成功を受けて、商船三井テクノトレードは経営管理のレベルを高めるために次の施策を考え始めています。
「親会社である商船三井の調達部門を丸ごと請け負える高付加価値型の企業へと自らを高めたいというのが当社の思いです。世の中がハイスピードで変化している近年、業務システムについても『現状のままでよいのか』と問い続けなければなりません。『海事分野を中心に、環境・安全ビジネスでNo.1の技術商社をめざします』という当社経営ビジョンを具現化するには、どのような業務改革をすればよいのか。まずは業務プロセスの洗い出しを進めるとともに、今の仕事に、どのように手を加えたらよいかを各部門に問い掛けています。販売管理システムについても、その結果を踏まえて、今後の在り方を検討していきます。当社の基幹システムを支えていただいている日立ソリューションズには、いろいろと手伝ってほしいですね」(山田氏)
経営ビジョンに基づいて、長期的な展望で業務改革に取り組む商船三井テクノトレード。業務を支えるITシステムの刷新を、日立ソリューションズはこれからも支援していきます。
商船三井テクノトレード株式会社
商船三井の子会社として、商船三井グループの商事機能を担当。船の運航に必要な燃料、潤滑油、船舶用資材、機械、部品、船用品、航海計器、通信機器などを外部から調達してグループ内外の海運会社・船舶管理会社・船主等に販売する。経営ビジョンとして掲げるのは、「海事分野を中心に、環境・安全ビジネスでNo.1の技術商社をめざします」。船の燃費を高めるプロペラ装着型省エネ装置「PBCF」(Propeller Boss Cap Fins)でも知られる。
本社所在地 | 東京都中央区京橋1-1-1 八重洲ダイビル6F | |
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創業 | 1948年6月11日 | |
従業員数 | 112人 | |
事業内容 | 燃料・潤滑油、PBCF、船用商材の提供 | |
URL | https://www.motech.co.jp/ |
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本事例の内容は2020年5月13日公開当時のものです。
最終更新日:2020年5月13日