GeoMation 地理情報システムの導入事例
株式会社小泉様顧客情報を地図にマッピング。営業活動の効率化と新規開拓を支援
住宅設備機器の総合商社である株式会社小泉は、広域に展開する営業拠点を支援するため、日立ソリューションズの「GeoMation地理情報システム(以下、GeoMation)」を活用した営業支援地図ソリューションを導入しました。基幹システムと連携した最新の顧客情報を地図上に可視化し、営業活動の効率化と新規開拓に役立てています。
この事例に関するソリューション・商品
従来からの課題
住宅関連市場が変化する中、顧客との関係構築が経営課題に
田中 久喜 氏
2016年に創立70周年を迎えた小泉は、住宅設備、配管部材、建材、電設資材を4つの柱に、国内外メーカーの優れた商品を幅広くラインアップする住宅関連総合商社です。9つのブロック子会社と100カ所を超える営業所を拠点に、建設会社やリフォーム会社、地域の工務店や設備工事店などに商品を提供しています。さらに、職人向けに住宅設備の材料や工具などを販売する小売専門店「プロストック」を展開。首都圏を中心に東北から東海地域までカバーする広域のサービスネットワークを基盤に、販売・サポート体制を強化しています。
「超少子高齢化や人口減少社会を背景に、新築の住宅着工件数は大幅な伸びが期待しにくい状況です。そのような時代の中、当社の商品を扱っていただく工務店や設備工事店との関係をいかに維持するか、また新たな顧客をいかに獲得するかが経営課題となっています」(田中氏)
導入の経緯
地図情報を活用したIT導入で“攻め”の営業活動をサポート
中野 晃久 氏
同社では2014年に基幹システムを刷新。日立ソリューションズの「FutureStage 商社・卸向け販売管理システム」を導入し、小泉グループの販売管理や債権管理(与信・回収管理)などを強化してきました。
システム部では、刷新した基幹システムをさらに有効に使えないかと模索。基幹システムで管理している情報と地図を組み合わせて、売り上げに貢献するシステムができないかを検討していました。
「当社では、営業車にドライブレコーダーを取り付けています。GPSと連携したドライブレコーダーの走行情報も、そのシステムに組み込めないかと考えましたが、莫大な費用と時間がかかるので、あまり現実的ではないと感じていました」(中野氏)
「そのようなタイミングで、日立ソリューションズから『GeoMation』をベースにした営業支援地図ソリューションを提案されたのです」(田中氏)
このシステムは、基幹システムから連携した既存顧客情報と、信用調査会社のデータを基にした見込み顧客情報を地図上に表示し、営業活動を支援するものです。
「営業活動では既存顧客の維持に加え、新規開拓も求められています。効率的な営業活動を行うためには、どこに、どんな顧客がいるのか、顧客の取引状況はどうなのかといった『根拠のある情報』が必要でした。地図上に見込み顧客を表示できるシステムは魅力的であり、売り上げに貢献できる“攻め”の営業活動を支援するという構想と一致しました」(田中氏)
導入時の取り組み
地図上に顧客情報を表示、手厚いデモで経営層も納得
開発に当たり、システム部では営業担当者に対しどのような機能があれば便利か、ヒアリングを実施し、開発に反映していきました。テキストボックスを設けることもその1つです。
「営業担当者の訪問情報を、自由に登録できるようにしました。小泉に対する評価が全拠点で共有可能になりますし、全営業担当者の営業活動の参考にできます」(田中氏)
その他にもさまざまな機能を組み込みました。例えば、基幹システムから営業所の販売情報をシステムに取り込み、営業担当者ごとの営業エリア表示や、売上ベースでの顧客表示など、直感的な操作と分析を可能にしました。また、ドライブレコーダーの走行データを取り込む機能を実装することで、営業担当者がどういったルートで営業活動をしているかも把握できます。
新規顧客開拓には、見込み顧客情報を地図上へ表示する機能を活用します。競合他社と多く取り引きしている企業の情報を取り込み、営業エリア内の見込み顧客として表示。“攻め”の営業活動にも役立つシステムをめざしました。
「経営層へデモを行う際には、日立ソリューションズの協力を得て実際の顧客情報を取り込みました。臨場感があり、非常に好評でした」(中野氏)
経営層から導入の認可が下り、本システムの構築がスタート。日立ソリューションズでは、小泉からの要望を反映しながら、「GeoMation」を基盤にオンプレミスで構築しました。
「既存顧客や基幹システムの情報は夜間にバッチ処理でシステムに取り込まれ、信用調査会社などから購入した見込み顧客データは随時アップロードができるので、営業担当者は常に最新データを基に営業活動が行える仕組みです」(中野氏)
まずは同時ログイン10ユーザーからシステム利用をスタート。その約半年後の2016年11月、全営業拠点にアカウントを発行し、システムの本格稼働を開始しました。こうして営業担当者約800人が使う、“攻め”の営業支援地図ソリューションが動き始めたのです。
導入の効果
営業担当エリアの見直しや新規顧客開拓に結び付ける
小泉では、営業支援地図ソリューションを「MAPS(Map information system for Sales force promotion)」と名付け、導入後の浸透を図っています。
システム部から営業所に提案しているMAPSの活用方法がいくつかあり、その1つが営業担当エリアの見直しです。同社の営業方針では、営業所から車で1時間以内に戻ってこられる範囲を営業エリアにしています。
「営業エリアを外れた遠方の顧客に通う営業担当者がいることがMAPSによって判明しました。現在はMAPSのデータを基に営業担当エリアを可視化し、遠方の顧客の対応をより近い場所の営業所に任せるなど、営業エリアの再編に役立てています」(田中氏)
また、営業戦略立案にもMAPSを役立てています。一定期間内に訪問した既存顧客先を地図上で色分けして表示。既存顧客と併せて、担当エリア内の見込み顧客を色分けして地図上に表示できるので、営業の優先順位に基づいて訪問計画を立てられます。
「基幹システムと連携し、販売情報を基に顧客の状況を検索することもできます。既存顧客で数カ月間売り上げがない場合、競合他社に販売機会を奪われている可能性があります。競合から取り戻すための営業戦略を立てるといった使い方もできます」(中野氏)
早くから活用を進めている営業所では、MAPSを活用した成功例も表れています。情報共有用に実装したテキストボックス機能を使いこなしているケースも出てきました。
「営業担当者が訪問した情報は“宝”です。その時は直接役に立たなくても、書いておけば後々“宝”となる可能性があります」(田中氏)
こうした活用例は定例の営業所長会議で報告され、これまでMAPSの活用に様子見だった営業所長も積極的な活用を検討しているようです。
「MAPSの情報は小泉グループ全体に公開し、共有しています。ある営業拠点の顧客訪問時のコメントや成功例を全体で共有できれば、より効率的に営業活動を行えるようになるでしょう」(田中氏)
今後の展望
遊び心のあるシステムへ、モバイル対応を検討
MAPSは、配送業務との組み合わせにも活用が見込まれています。営業拠点では、担当の建設現場へ住宅設備機器などの荷物を配送しますが、事前にMAPSで見込み顧客を確認しておけば、帰路に営業ができるため、配送、営業を含めた効率的な移動ができるようになります。
「営業活動を支援するMAPSの活用により、業務効率が上がれば、結果として無駄な移動コストを削減できます。今後は現場の声を聞きながら継続的に機能を改善・追加し、システムを育てていきます」(中野氏)
MAPSは営業担当者が直感的に使える操作のしやすさにこだわっており、今後もユーザビリティの追求を続けていく予定です。
「もっと楽しく使えるようにしたいと考えています。例えば、コメントを簡単にやり取りできるSNSのような機能を拡充するなど、遊び心のあるシステムでなければ、営業担当者に使ってもらえません。もちろん実現が難しいものもありますが、日立ソリューションズは真剣に意見を聞いてくれます。どうしたらより理想に近いシステムを構築できるか、一緒に考えて勉強できる、良きパートナーです」(田中氏)
システム部では、営業担当者が外出先でも情報をリアルタイムに参照できるよう、MAPSのモバイル対応も検討しています。いち早く営業支援地図ソリューションを導入し、営業担当者の顧客対応力の強化を進める小泉の取り組みが注目されます。
株式会社小泉
1947年に設立された小泉は、住宅設備機器の総合商社として、地域密着型の強力なネットワークを生かし、快適で環境に優しい住まいづくりを支援しています。2017年には創立70周年を迎え、業界のリーディングカンパニーをめざして海外事業をはじめ新規事業を開拓。顧客の真のパートナー企業となるべく、柔軟な事業展開を進めています。
本社所在地 | 東京都杉並区荻窪4-32-5 | |
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設立 | 1947年4月 | |
従業員数 | 2,150人 | |
事業内容 | 住宅設備機器の総合商社および関連事業 | |
URL | http://www.koizumig.co.jp/ |
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本事例の内容は2017年9月15日公開当時のものです。
最終更新日:2017年9月15日