GeoMation 地理情報システムの導入事例
株式会社国際電気様「GeoMation 地理情報システム」で地図機能を効率的に開発し、災害情報の可視化などを高品質に実現
無線通信システムの製造販売を主力事業とする国際電気は、災害時における職員の行動を支援する自治体向けサービス「防災業務支援サービス」を提供しています。同サービスが備えている地図機能は、気象情報と地図情報の重畳表示*をはじめ、日立ソリューションズの「GeoMation 地理情報システム」を組み込むことで開発しました。豊富な地図機能と柔軟なカスタマイズ性、大量データの高速表示といった特長を有する「GeoMation 地理情報システム」は、同サービスのさまざまな面に貢献しました。
*重畳表示:地図情報に設備や顧客情報などが重ね合わされた状態

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出典:株式会社国際電気 防災業務支援サービス
https://www.kokusaidenki.co.jp/products/solutions/public/public_case8.html
背景
災害時の自治体職員の行動をデジタルで支援

宮部 達志 氏
国際電気は長年培ってきた無線通信、画像処理、情報処理技術をコアに、公共や産業分野を中心としたソリューションやサービスを展開しています。近年は製造業なら工場の工員を支援するスマートファクトリーなど、現場の最前線で働くフロントラインワーカーを支援するDXを通じて、企業の課題解決や価値創造に貢献しています。
公共向けの防災の領域においては、防災行政無線を全国の自治体に40年以上提供し続けており、実績が豊富にあることが同社の強みです。同社は自治体向けサービスのさらなる拡充をめざし、2024年7月に「防災業務支援サービス」を新たに提供開始しました。自治体の防災のフロントラインワーカーを体系的に支援するサービスです。
「自治体が策定する災害時の行動計画に準じて、各職員の役割に応じた業務指示を自動で行い、進捗状況を管理します。業務指示は、気象庁などが公開する気象や河川水位など各種データと連動できます。さらには被害状況や避難所の状況など、必要な情報を収集・管理し、職員間でリアルタイムに共有できます。関連情報は必要に応じて、地図上にアイコンで表示するなど視覚化します」(宮部氏)
これらの機能によって、災害時における職員の的確かつ迅速な行動を可能とし、情報収集・管理などの負担を軽減します。さらに、定期的な人事異動に伴う職員の地域防災計画への習熟度の違いによる行動のばらつきを解消し、地域住民へさらなる安心・安全を提供します。
同サービスはクラウド上のWebアプリケーションの形式で提供され、ネットワーク接続環境さえあればデバイスや場所を問わずに利用できます。
取り組み
「GeoMation 地理情報システム」で地図機能を開発

平井 誠一 氏
防災業務支援サービスの開発で、ポイントの1つとなったのが地図機能です。
「気象情報を地図上に表示するなど、防災情報システムならではのいくつかの機能において、地図情報が必要でした。ゼロから開発するのは膨大な工数を要するので、既存のGIS(Geographic Information System:地理情報処理システム)製品を組み込む方針としました」(平井氏)
GISの選定は当初、OSS製品を検討しましたが、必要とする機能を開発するには複数のOSS製品を組み合わせなければならず、開発作業が煩雑になるため、採用を見送りました。海外ベンダー製も含めた商用製品を複数検討しましたが、最終的に「GeoMation 地理情報システム」の採用を決めました。
「標準機能が充実しており、開発の柔軟性が高い点を評価しました。Webアプリケーションに対応しており、Web環境でも表示が高速なところもわれわれの要望に合っていました。国内ベンダーならではの手厚いサポートも魅力でしたね」(平井氏)
加えて、開発ツールの使いやすさなども評価のポイントとなり、「我々のソリューションは自治体をターゲットとしているので、公共や社会インフラ分野での導入実績が豊富で信頼できると思いました」と宮部氏は語ります。
防災業務支援サービスへの「GeoMation 地理情報システム」の組み込みは、APIを介して行います。開発に先立ち、一部のAPIをカスタマイズして対応しました。
「求めていた機能の一つについては、標準機能として備わっている既成製品はありませんでした。日立ソリューションズに相談をしたところ、APIのカスタイマイズで対応可能と回答いただけたことも、選定理由の一つです」(平井氏)
効果
高品質な地図機能を約4カ月で開発

越智 翔平 氏
開発プロジェクトは2023年1月にスタートしました。その過程における日立ソリューションズのサポートを越智氏は次のように語ります。
「私達にとってGISの利用と開発は初めての経験で、必要な知識の習得から始めたのですが、その段階から日立ソリューションズは親身にサポートしてくれました。機能の実装段階でも、『GeoMation 地理情報システム』のどの機能を利用すればよいのか、APIは具体的にどう使えばよいのか、質問にも素早く丁寧に回答してくれて助かりました」(越智氏)
開発は翌2024年1月に完了しました。気象情報などの重畳表示といった地図関連機能の開発を振り返り、「OSSを採用していたら、知識の習得からすべて自力で行わねばならず、膨大な時間と労力を費やしていたでしょう。『GeoMation 地理情報システム』と日立ソリューションズのサポートのおかげで、重畳表示から表示速度などに至るまで、想定通り高品質な機能を効率よく開発できました」(越智氏)
平井氏も「地図機能の開発はスケジュール通り約4カ月で終えられて満足しています」と語ります。
「防災業務支援サービス」の特長の1つは、「GeoMation 地理情報システム」の仕様を活用した地図上に重畳する表示レイヤ(階層)構成の変更の容易さです。
「例えば、避難所レイヤのアイコンの形状や色などは、当サービスの管理コンソールから素早く簡単に変更できます。また、新しい情報が提供された際には、新しくレイヤを追加して地図上に可視化できるなど、自治体でもある程度自由にカスタムできるのは『GeoMation 地理情報システム』ならではですね」(宮部氏)
展望
分析・予測機能などでサービス拡充
今後、国際電気は「防災業務支援サービス」のさらなる拡充を図っていきます。宮部氏は「国の情報のみならず、自治体が独自に持っている情報など、収集するデータの幅を広げ、『GeoMation 地理情報システム』の分析・予測機能と組み合わせて、災害時の行動支援をより充実させていきます」と構想を述べます。
越智氏は開発担当として、「災害の可視化をはじめ、各種機能のさらなる高度化を進めていきます。日立ソリューションズのサポートを今後も期待しています」と語ります。
優れた技術で社会の安全に貢献する同社のビジネスを、日立ソリューションズはこれからもITの力で支えてまいります。
株式会社国際電気
所在地 | 東京都港区西新橋2-15-12 | ![]() |
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設立 | 1949年11月17日 | |
従業員数 | 1,413名(個別)(2024年12月31日現在) | |
事業内容 | 無線通信・映像ソリューションなど | |
URL | https://www.kokusaidenki.co.jp |
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本事例の内容は2025年4月7日公開当時のものです。
最終更新日:2025年4月7日