株式会社奥村組様 建設業向け 墜落制止用器具フック不使用者検知サービスの導入事例やシステム構築例を紹介|システム構築やトータルソリューションをお探しなら、日立ソリューションズにお問い合わせください。

建設業向け 墜落制止用器具フック不使用者検知サービスの導入事例

株式会社奥村組様

AIによる画像認識技術で、墜落制止用器具フック不使用者を自動検知

大阪市に本社を置く総合建設会社の奥村組は、独自の画像認識AI技術を持つ日立ソリューションズとの協創(顧客の技術革新を共に創出しその成果を分け合うこと)によって、鉄骨上での作業時に墜落制止用器具(安全帯)フックの不使用者をクラウドカメラ画像から自動的に検知するサービスを開発しました。2023年5月にリリースしたこのサービスを導入した奥村組の現場では、作業員の安全意識が高まり、墜落・転落災害は発生しませんでした。

メインイメージ
課題
効果
  • 現場での墜落・転落災害を撲滅するため、作業員の安全に対する意識を向上させたい
  • アンケート調査で作業員の90%以上が「安全意識が向上した」と回答し、墜落・転落災害は発生しなかった
  • 監視体制の強化など、より効果的な対策を講じたい
  • 先進技術を活用し管理業務などを自動化することで、現場における生産性を高めたい
  • 画像認識AI技術により、墜落制止用器具フックの不使用者を明確に判定することで、安全管理者が巡視にかける時間や回数を削減でき、生産性が向上した
概要図

背景

建設現場の重点課題は墜落・転落災害の防止

廣瀬 氏ICT統括センター イノベーション部 DX推進課長
廣瀬 年彦 氏

厚生労働省の労働災害統計(2023年)によると、労働災害で亡くなった方の27%は墜落・転落が原因です。奥村組にとっても、建設現場で働く作業員を災害から守ることは大きな課題でした。

「建設現場における墜落・転落災害のほとんどは、墜落制止用器具フックの不使用が原因と考えています。各社はルールを定めて防止に取り組んでいますが、災害がなかなか減らないのが実態でした」(平塚氏)

そこで奥村組がめざしたのは、先進技術でフック不使用者を自動検知することでした。

「2020年に設立したICT統括センターは、生産性向上を目的に、自動化技術や遠隔技術の活用を推進しています。設立当初からAIの画像認識技術に着目し、AIで墜落制止用器具フックの不使用者を判定できないか考えていました」(廣瀬氏)

取り組み

墜落制止用器具フック不使用者の自動検知を協創で実現

このような構想のもと、奥村組は2020年10月に検討を開始。自社の知見とIT企業の知見を掛け合わせることを望んでいた同社は、協創パートナーとして日立ソリューションズを選びました。

「決め手はAIへの知見と建設業での豊富な実績です。日立ソリューションズは独自の画像認識AI技術を持ち、安全衛生管理を支援した豊富な実績がありました。特に、他社向けに墜落制止用器具フック不使用者を自動検知する検証をした実績があったことが好印象でした」(廣瀬氏)

適用の対象は、鉄骨上での高所作業が発生する建設現場です。カメラで作業員、フック、親綱、親綱支柱を1秒ごとに監視し、3秒間にわたってフックの不使用状態が続いた場合にはアラームが出る仕様にしました。

2021年6月、両社は技術検証に着手しました。奥村組が提供した約6,000枚の画像を学習データとして取りこみ、日立ソリューションズが画像認識AIモデルを作成。判定結果の適合率およびF値(適合率と再現率のバランスを取るために使われる指標)が90%以上になることを確認できました。

AI処理用のクラウドサービスは日立ソリューションズが開発しました。奥村組による現場検証を経て、「建設業向け 墜落制止用器具フック不使用者検知サービス」は2023年5月に提供開始しました。

効果

導入した現場で作業員の安全意識が向上

平塚 氏ICT統括センター イノベーション部 DX推進課 主任
平塚 幹大 氏

奥村組ではリリース後に本サービスを複数現場に導入し、墜落・転落災害防止に寄与することを実感しました。

「導入した現場でアンケート調査を行ったところ、回答者の90%以上が『安全意識が向上した』と答えています。このほか、『カメラが常に見てくれているので安心』との声もありました」(平塚氏)

「施工範囲が広い現場では、カメラの設置台数を増やさねばならずコスト面が課題となりますが、本サービスを導入していただければ、必ず安全意識の向上につながります。本サービスによって、作業員の安全意識が向上し、結果として墜落・転落災害の撲滅につながることを期待しています」(廣瀬氏)

2024年2月にはリース会社を介した本サービスの外販(レンタル)をスタートしました。「世間的にわかりやすい、先進的なAI技術を活用したソリューション」を生み出したことによって、奥村組の企業価値も高まったと廣瀬氏は協創の成果に手応えを感じています。

展望

提供開始後もAIモデル改良や機能拡張を続行

本サービスを提供開始した後も、奥村組はAIモデルの改良やさまざまな機能拡張を続けています。

AIモデルは学習データ数を当初の約5倍に当たる約3万件(2024年末時点)に拡張しました。回転や反転などのデータ拡張も加えているので、実際の数はさらに多くなります。

画像認識AI技術による判定機能としては、2024年9月に土留め支保工作業にも対応しました。単管や足場部材へのフックがけ、水平撮影距離の延長についても検討が進められています。

「ICT統括センターにとって、これが初めての協創ビジネスでした。日立ソリューションズには、AIの知見だけでなく、ビジネスモデルについての助言をもらい、協創への取り組み方を指南してもらいました。画像認識AI技術でフック不使用者を自動検知できるサービスにいち早く取り組んだことは優位性があると考えています。外販ソリューションとしても大きな反響があり、知見を得ながらプロジェクトを進められて、非常に感謝しています」(廣瀬氏)

建設業界は作業員不足に悩まされています。作業の安全性も管理の生産性も高まれば、建設業界の魅力向上につながります。フック不使用者をカメラで自動検知する本サービスは、建設現場の安全性と生産性の向上に大いに役立つでしょう。日立ソリューションズは建設業界における豊富な知見をもとに、これからも同社をITの力で支えてまいります。

株式会社奥村組

所在地 大阪府大阪市阿倍野区松崎町二丁目2番2号 株式会社奥村組
設立 1907年2月22日
従業員数 2,265名(2024年3月末現在)
事業内容 総合建設業およびこれに関連する業務
URL https://www.okumuragumi.co.jp

導入事例ダウンロード

本事例の内容は2025年4月4日公開当時のものです。

最終更新日:2025年4月4日

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