指静脈認証システム 静紋J300の導入事例
中津川市役所様住民情報系システムの更新に伴い、セキュリティレベルと業務効率の向上を実現する生体認証システムとして「静紋J300」を導入。
リニア中央新幹線の岐阜県駅(仮称)と中部総合車両基地(仮称)が設置されることにより、さらなる発展が期待される中津川市では、2015年から始まる「社会保障・税番号制度(マイナンバー)」に備えた住民情報系システムの更新に伴い新たな認証システムの導入を検討。窓口業務で使用するパソコンに、「指静脈認証システム 静紋J300」を導入しました。
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導入の背景
セキュリティの向上と運用管理改善をめざして、認証システムの機能強化を検討。
酒井 清美 氏
近年、情報漏洩事件が多発している中、中津川市では、住民情報系システムの更新に伴い、セキュリティ強化を検討。住民票や納税証明書の発行など個人情報を多く扱う窓口業務で利用するパソコンを対象に、ログイン認証の機能強化、セキュリティの向上や運用管理機能の改善などをめざして、新たな認証システムを導入することに決定しました。その背景や機能強化のポイントについてお聞きしました。
「近年、行政機関の窓口から情報が漏えいする事件が多発している中で、中津川市ではこれまで以上に信頼性の高い認証システムが必要であると考えました。そこで、具体的には、
- 窓口業務に支障をきたさないよう認証速度が早いこと
- なりすましが不可能なこと
- 複数の職員が利用しても利用者が特定できること
- 認証履歴が記録できること
などを条件として検討した結果、指静脈認証システムによって機能強化を図ることになりました」(酒井氏)
選定までの経緯
認証精度や速度といった、従来の認証システムの問題点改善を選定のポイントに。
小川 大貴 氏
生体認証方式による新しい認証システムを選定するにあたって、特にポイントとしたのは認証精度と速度、ログの保存機能でした。
「従来利用していた指紋認証は、10年以上使っていたシステムということもあり、認証精度があまり高くありませんでした。具体的には、手荒れなどで指紋が読み取りにくくなってしまうと認証精度が低くなり、ログインを何回もやり直さなければならないということもありました。そうした事情から、今回は指紋以外の生体認証でと考えていました。また、正確に認証ができても、時間がかかると窓口でお客さまを待たせてしまうことになるので、認証速度も重要視しました。認証精度と速度、今回の選定の大きなポイントでした」(酒井氏)
求める仕様を整理し、選定を進めていく間には、デモ機による機能の確認も行われました。そこで「静紋J300」の認証速度や精度を実感できたことも、今回の導入につながったと言います。
「指紋以外の生体認証として、目の虹彩や、手のひらによるものなど、いろいろと検討しました。そのうえで、指静脈認証に決めた主な理由は価格と認証精度です。「静紋J300」の精度の高さはデモ機を使用して実感することができました。また、詳細なログ管理ができることもポイントの一つでした。そのほか、認証に必要な機器の大きさなども考慮しました。窓口業務を行っている机には、スペースに余裕がないものもあるので、装置はより小さい方がいいというのもありましたね」(小川氏)
導入時の取り組み
導入決定から稼働開始までは約1か月半。短期間での導入も順調に進行。
萬條 葵 氏
中津川市が本格的に新しい認証システムの検討を始めたのは、2013年の12月ごろ。ただし、それまでにも住民情報系システムの更新に合わせて近隣の市町村がどのような認証システムを使っているのかを調査していたと言います。その後、各課の導入端末台数のチェックやデモ機による機能確認などを経て、2014年の2月には仕様を固めて入札が行われました。その結果として「静紋J300」の採用が決定してから、稼働開始の4月まではほぼ1か月半。導入は、スムーズに進みました。
「稼働までの作業は日立ソリューションズのSEの方と打ち合わせをしながら進めていきましたが、私たちは必要なパラメータを聞かれてそれに答えるだけという感じで、特に問題はありませんでした。『静紋J300』が、ほぼ完成されたシステムだったということもありますが、構築はスムーズに進みましたね。こちらとしても、入札前の仕様決定の段階で機能に対する細かい要望は決まっていたので、特に追加することもありませんでした。稼働時期についても、4月に職員の異動があるので、新しい部署に就いた人が使えるタイミングでと考えていましたが、計画通りにできました。はじめに市民課の窓口のパソコン約10台に導入し、それから税務課や国民健康保険課、さらには出先の拠点などへと段階的に増設していきました。現在は、約50台のパソコンで『静紋J300』を利用しています」(小川氏)
導入後の効果
窓口でお客さまを待たせる心配を解消。ログ管理もブラウザ上で容易に。
今回の取材当日も、市民課のカウンターには、さまざまな手続きや申請をしに市民の方々が訪れていました。十数台のパソコンを使ってそうしたお客さまに対応している職員の業務環境は、「静紋J300」の導入によってどのように変わったのでしょうか。
「パソコンは職員一人に一台と決まっているわけではなく、そのとき空いているパソコンを各職員が使うのですが、指をかざすだけで瞬時に個人が認証されてログインできるので、作業に取り掛かるまでの時間がすごく短縮されました。また、最前列のパソコンを使っているときでも、キーを押すだけでロック状態にできるので、画面がお客さまに見えてしまっているのでは、という心配もなくなりました。『静紋J300』に変更したことによって、特に何かを覚えなければならないということもなく、初めからとてもスムーズに使えましたね」(萬條氏)
「実際に使っている職員からの声としては、『静紋J300』導入後の問題点は特にあがって来ていません。私は、出先の拠点に行ってセットアップや説明もしましたが、そこでも問題はなかったです。管理する側からの感想を言えば、以前はサーバーを経由して行っていた細かいログの確認や抽出条件の設定などを、現在はブラウザ上で行えるので簡単でいいですね。本来、認証システムというのはシステムに入るための手段ですから、使う人に負担がかからず、意識せずに利用できることが一番だと思っています。今回の導入で確実に良くなった点は、やはりお客さまを待たせる心配がなくなったということでしょうね。現在、『静紋J300』に登録しているのは約340名。あえて気になる点をあげるとすれば、今後の職員の異動などへの対応ですが、そこはまた日立ソリューションズに一緒に考えてもらえればと思っています」(小川氏)
今後の展望
セキュリティレベル向上のために全パソコンへの導入を計画。今後の拡張にもきめ細かなサポートを。
今回のプロジェクトでは、窓口業務の中でも住民情報系システムを扱うパソコンを対象に導入が進められた「静紋J300」。その拡張イメージなどについてお聞きしました。
「セキュリティの面から言うと、認証システムは全てのパソコンに搭載した方がいいものなので、今後は窓口業務以外のパソコンにも導入していければと考えています。また、ほかのシステムとの連携に関しては、シングルサインオンを実現できればと考えています。今回導入した『静紋J300』で行っているのはWindowsにログインする際の認証ですが、各システムへのログインは現在もIDとパスワードで管理しています。パスワードだと、どうしても忘れたり、なくしたりということがあります。生体認証であれば、忘れる心配もありませんし、個人も高い精度で認証できますから。セキュリティレベルの向上に向けて、そういうところの連携を段階的に進めていければと思っています」(小川氏)
最後に、今後のサポートなどなついて、日立ソリューションズへの要望をお聞きすると。
「まだ導入から間もありませんが、今の段階で『静紋J300』に関してはほとんど問題がないと思っています。それは、仕様を決める段階でこちらが細かくチェックしていた課題に対して、丁寧に対応していただいたおかげです。今後については、導入したら終わりではなく、運用のサポートや、新たなシステム拡張についても同様にお付き合いいただければと思っています」(酒井氏)
岐阜県中津川市役所様
岐阜県の東南端に位置し、木曽川や恵那山などの豊かな自然に恵まれた中津川市。古くは東山道、中山道、飛騨街道などの交通の要衝として栄えた歴史ある街は、リニア中央新幹線の駅と車両基地の設置決定によって、新たな交通拠点としての発展が期待されています。
本社所在地 | 岐阜県中津川市かやの木町2番1号 |
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市制施行 | 1952年(昭和27年)4月1日 |
URL | http://www.city.nakatsugawa.gifu.jp/ |
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本事例の内容は2015年1月20日公開当時のものです。
最終更新日:2015年1月20日