JP1ソリューションの導入事例
シチズンマシナリー株式会社様内部統制/IT統制に有効なツールとして、さらには“能動的”なIT利用を実現するための手段として導入。
世界No.1シェアを誇るCNC自動旋盤「Cincom(シンコム)」を軸に、世界の産業を支えるシチズンマシナリー。今回、用いられたJP1 Ready Series PC運用管理ツール[JP1/Desktop Navigation]は、IT資産管理だけでなく、内部統制/IT統制に有効なツールとして、さらには“能動的”なIT利用を実現するための手段として導入されました。
開発元である日立製作所と、ソリューションサービスを担う日立システム、その強固なパートナーシップによる連携で提供した事例になっています。
この事例に関するソリューション・商品
プロジェクト概要(日立製作所 + 日立システム)
適用ソリューション | JP1 Ready Series PC運用管理ツール[JP1/Desktop Navigation] | |
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構築期間 | 約1ヵ月 | |
プロジェクト関係者数 (日立 + 日立システム側)職員数 |
日立 | セールスエンジニア:1名 営業:1名 |
日立システム | 営業:1名 SE:2名 |
従来からの課題
手作業によるIT資産管理に、いくつもの課題が表面化。
堀越 龍彦 氏
従来、シチズンマシナリーでは、PCなどのIT資産(約650台)をExcelで作成した台帳で管理していました。統括する情報システム課が管理するIT資産は、初期導入時と年二回の棚卸し時に部署ごとのハードウエアの台数や情報、ソフトウエアのライセンス数などを手作業でExcelに入力。各部署で新規導入やバージョンアップがあれば、申請を受付。過去情報と照らし合わせ、データの追加・修正を行っていました。こうした中、いくつもの課題が表面化していました。
●課題1:内部統制/IT統制に、従来方法の限界。
シチズンマシナリーは、シチズングループの一員。そのため、グループの枠組みで内部統制を実施。IT統制におけるIT資産の管理については、従来からの企業風土を活かした“人間系”統制で行ってきました。しかし、手作業による管理には、正確性や網羅性に不安・疑問が多く、限界が見え始めた頃。新しい仕組みの必要性が懸案事項となっていました。
●課題2:台帳と現場との不整合が発生。
オフィスのレイアウト変更や部門をまたがる貸借によるPCの移設、特定部署でのみ行われるソフトウェアの購入やバージョンアップ…こうした小規模なIT資産の環境変化は、各部署から情報システム課に申請・報告される仕組みになっていました。しかし、各部署からの申請遅れや、申請して台帳に登録されているにもかかわらずインストールしていないことなどもあり、台帳と現場との不整合が発生。定期的なチェックを行ってはいたものの、状況を改善することができませんでした。
●課題3:セキュリティ対策の強化。
シチズンマシナリーのセキュリティは、シチズングループ統一の対策が施されています。たとえばPCなどエンドポイントへのウイルス対策には統一した製品を用い、適用情報からアップデートまでを一元管理。しかし、一方で問題発生時の対応をスピーディーに実施するためにも、自社による対策と情報把握の実施が検討されていました。また、近年、問題となっているエンドポイントからの不正データ流入やデータ漏洩にも懸念。国内だけでなく、海外にも拠点を構えるシチズンマシナリーは、こうした不正が起きると、その影響は甚大。しかし、個人によるフリーソフトの導入や、個人所有のUSBメモリなどの外部記憶装置が利用可能な環境であったため、改善が検討されていました。
●課題4:情報システム課の負担が増大。
シチズンマシナリーの情報システム課は、経営企画部内に位置づけられている部署。「経営企画部にあるということは、本来“経営戦略的に見て情報システムはどうあるべきか”ということに頭を使うべきで、日々のオペレーションに多くの時間を割くのは好ましくありません。(堀越)」しかし現実には、手元の管理台帳と現場との不整合を確認するために多くの手間・時間を費やし、ハードウェアの買い替えやソフトウェアのバージョンアップに追われるなど、結果的に“非計画的”“後追い的”な対応が多くなっていました。これらの課題を解決する取り組みとして、プロジェクトがスタートしました。
選定のプロセス操作性、機能、コスト、提案と対応で、システムを選定。シチズンマシナリーが、最初に着手したのは、課題解決に適した製品の調査。これと併行して、製品に求める要件を、優先順位をつけてリスト化していきました。そして、最終候補として残ったのが3製品。それぞれのベンダーからデモンストレーションと提案を受け、約1ヵ月半試用して、運用をシミュレーション。この期間、操作性やわかりやすさ、機能などを詳細に比較。そして選ばれたのが、JP1/Desktop Navigation。選ばれたポイントは、以下の4つです。
選定のプロセス
操作性、機能、コスト、提案と対応で、システムを選定。
小平 将貴 氏
シチズンマシナリーが、最初に着手したのは、課題解決に適した製品の調査。これと併行して、製品に求める要件を優先順位をつけてリスト化していきました。
そして、最終候補として残ったのが3製品。それぞれのベンダーからデモンストレーションと提案を受け、約1ヵ月半試用して、運用をシミュレーション。この期間、操作性やわかりやすさ、機能などを詳細に比較。そして選ばれたのが、JP1/Desktop Navigation。選ばれたポイントは、以下の4つです。
●ポイント1:操作性の高さとわかりやすさ。
TOPの管理画面だけで、今どんな状況なのか、どんな問題が起きているのか、すぐに把握できる。そのため、すぐに対処できる点が、高く評価されました。「システム課のスタッフは基礎知識があるので、一般社員のユーザに比べれば早く使えるようになります。ただ、それでも、感覚的に馴染みやすいソフトと、そうでないソフトがある。その点、特に優れていたのが、JP1/Desktop Navigationでした。(小平)」「操作方法を習得するために教育が必要なシステムなら、専任の担当者が必要になります。そうなると、担当者が仕事から抜けられなくなる。抜けたら、誰も分からない…そんな事態にならないシステムという観点で選びました。(堀越)」
●ポイント2:求める機能との合致。
必要な機能に優先順位をつけ、ポイント化し、各製品に付与していった結果、最も高いポイントをJP1/Desktop Navigationが獲得。PCに常駐プログラムをインストールすることなく使えるエージェントレス機能、Active Directory連携も、高い評価ポイントとなりました。
●ポイント3:コストパフォーマンス。
導入時のコストとともに、製品サポートの価格(年間12万6000円/税込)も高く評価。この価格設定は、他社製品に比べ、圧倒的な差となっていました。
●ポイント4:日立 + 日立システムの提案と対応。
JP1/Desktop Navigationの開発元である日立と、ソリューションを提供する日立システムのきめ細かな連携による提案を高く評価。「特に日立システムには、発注前の試用段階で、かなり細かい質問等を投げたのですが、そのすべてに丁寧に答えてもらいました。また、特定の機器でのみ発生した常駐のウイルス対策ソフトとの不具合なども、きちんと原因を究明し、対応してもらいました。これなら先々、何があっても大丈夫だろうという印象を与えてくれました。(小平)」「新しいシステムを導入すると、既存システムとの相性などで、うまく動かないことがあります。その点、日立システムは、JP1製品の導入実績が豊富なので、解決のためのノウハウも多く蓄積されているはず。その考えに、間違いはなかったようです。(堀越)」
導入時の取り組み
選定1ヵ月後の納入、短時間でのインストール・設定を実現。
JP1/Desktop Navigationの導入にあたり、日立システムでテストサーバを構築し、導入のための手順書を作成。
「オンラインヘルプが特に好評です。もともとわかりやすいシステムなのですが、私たちの要望も反映され、よりいっそう使いやすくなりました。(小平)」
約1ヵ月後、すべてが整ったところで、シチズンマシナリー 情報システム課へ納入され、内部でインストール、設定作業が行われました。
「別途にデータベースを構築する必要もなく、設定自体も容易で、ほとんどがデフォルトのままでOK。迷うことなく短時間で、エージェントレス機能、Active Directory連携まで含め、スムーズに稼動させることができました。(小平)」
JP1/Desktop Navigationの運用は、数段階に分けて開始されました。まず最初の1ヵ月間は、エージェントレスのみで運用。自社オリジナルのセキュリティポリシーを策定しながら、その効果測定を実施。ポリシーの有効性を確認し、策定・設定を終えた1ヵ月後から、エージェントを配布。
「開発部門で使用するCAD用PCは、常駐プログラムに関する制約が多いのでエージェントレスで。他のPCについてはエージェントを入れ、より詳細な管理を行えるようにしました。(堀越)」
「実は、エージェント配布の際、何台か実施できなかったPCがありました。大きな問題ではなかったので、すぐに解決されましたが、日立システムによる原因究明はとても早かったように記憶しています。(小平)」
導入後の効果
管理情報の高精度化により、管理負担が軽減され、企業価値向上にも貢献。
JP1/Desktop Navigationの導入により、シチズンマシナリーの国内全拠点、子会社であるシチズンマシナリーサービス株式会社まで、現存するすべてのIT資産(PC等、約650台)が管理対象となりました。これにより、IT資産の接続、インストールされているソフトウェアのライセンスやバージョン、セキュリティ対策などのリアルタイムな状況把握が可能に。問題が発生しても、早い段階で対処できるようになりました。「状況把握は、朝10分間、管理画面をチェックするだけの作業になりました。その上、得られる情報は精緻で鮮度も高い。手間・時間がかかり、月1回しか情報を得られなかった導入前とは、大きな違いです。(小平)」
また、状況把握が容易になり、当初から課題として掲げていた、内部統制/IT統制における資産管理の高精度化も実現。「“自社のIT環境を正確に把握し、コントロールできている”ということは、いろいろな面で、企業価値向上につながっていきます。たとえば、その一つがISOの審査。当社はISO9001を取得していますが、その2008年度版から情報システムやインフラについて明記されるようになりました。これに対するエビデンスとして、内部統制/IT統制と同様の効果を発揮するはず。また当社は、現時点では情報リテラシーを高めているプロセスにあり、ITに対する理解は十分とは言えません。そこに向け、ITの有効性、IT統制の重要性を認識させるために、ひと目でわかる資料が不可欠。JP1/Desktop Navigationなら、そのまま使えるグラフィカルな資料がアウトプットできます。その他にも、様々な場面で効果が現れるはずです。(堀越)」
今後の展望
未使用の機能も加え、“能動的”なITの実現へ。
今後は、JP1/Desktop Navigationに搭載されながらもまだ使用していない機能や次期バージョンで追加される機能(各クライアントに向けたアプリケーションのプッシュ配信、USBメモリの統制など)の活用を計画。「プッシュ配信は、Windows 7の普及が進み、他のアプリケーションにバージョンアップが必要になった際、特に有効な機能となるはず。USBメモリの統制については、全社的な理解を得るための教育を始めるなど、下地をつくっているところです。(小平)」
「経営企画部の情報システム課という立場から言うと、従来の“非計画的” “後追い的”なITを、JP1/Desktop Navigationで変えていきたいと考えています。たとえば、ソフトウェアのバージョンアップを考えた場合。現状を正確に把握できていれば、この先これくらいの時期に一斉にバージョンアップをしなければいけないし、費用が必要になる、ということが明確にわかります。予めわかれば、IT投資の計画が立てやすくなります。同様に、ハードウェアの買い替えやシステムのリプレースについても、もっと計画的、戦略的に進めることができます。そんな“能動的”な使い方をしていければ、経営企画部の情報システム課らしくなってくるだろうと考えています。(小平)」
最後に、日立システムのソリューションサービスに対する評価。「日立システムさんは距離感をとるのが非常にうまいですね。いろいろな提案を持ってアプローチしてくれるのですが、決して踏み込みすぎることはない。長期的な信頼関係を築いていこうとする意識が感じられます。振り返ってみると、うまくペースに乗せられてしまったかな(笑)と思っています。(堀越)」「提案から稼動後のフォローまで、ほぼ満点の満足度です。これからもいろいろな面で、やるべきことがありますので、今までと変わらない、きめ細かな対応を期待しています。(小平)」
シチズンマシナリー株式会社[CITIZEN MACHINERY CO.,LTD.]
1982年にシチズン時計株式会社より分離独立し、時計製造で培った高度な技術力を活かし、自動車、医療、デジタル家電をはじめとする幅広い分野で、質の高い独創的な工作機械を提供。工作機械製造分野のパイオニアとして、確かな信頼と実績を築きあげています。単に製品だけではなく、現代にふさわしい価値を創造するため、「人の感動と能力が生み出すもの」を新しい価値・コンセプトと捉え、提供する機械・サービスを通じて「感動価値」を人々の間に生み出せるよう、一層の活動を推進しています。
本社所在地 | 長野県北佐久郡御代田町御代田4107-6 | |
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設立 | 1982(昭和57)年7月27日 | |
代表取締役社長 | 杉本 健司 | |
従業員数 | 481名 (2009年4月時点) | |
事業内容 | 工作機械Cincomシリーズの開発・製造・販売・サービス | |
URL | http://cmj.citizen.co.jp/ |
日立システム担当者のコメント
JP1/Desktop Navigationは、日立システムのJP1ソリューションサービスにおいても、今後重要な役割を果たすツールの一つと考えています。それだけに、今回のシチズンマシナリー様への導入は、非常に良い経験となり、ノウハウ蓄積にもつながりました。
プロジェクトに参加させていただき、順調かつスムーズに進めることができたのは、数年前にシチズン時計株式会社様の内部統制プロジェクトで「業務処理統制」「IT全般統制」のコンサルティングに携わらせていただいた経験も活かされています。
今後も、開発元である日立との強固なパートナーシップを活かし、提案力・技術力に磨きをかけ、シチズンマシナリー様の計画的、戦略的な仕組みづくりを、あらゆる側面からサポートさせていただきたいと考えております。
●シチズン時計株式会社様の内部統制プロジェクトへの取り組みは、雑誌に掲載され、以下のページでも一部が紹介されています。
日経ソリューションビジネス 2007年4月15日号
商談の軌跡“J-SOX商談を1カ月で短期決着 売り手市場でも顧客本位貫”
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/MAG/20070413/268208/
プロダクトソリューション本部 運用管理システム部
技師 藤田 泉(写真左)
技師 辻 敦司(写真右)
石塚 順治
営業統括本部 オープンソリューション営業部
主任 中沢 礼
この事例に関するソリューション・商品
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本事例の内容は2010年6月30日公開当時のものです。
最終更新日:2010年6月30日