活文 Document Rights Managerの導入事例
株式会社 瑞光様社内を横断する情報共有環境の構築に向けて、
図面情報のオープン化におけるセキュリティ確保を実現する「活文」を導入。
紙おむつなどの衛生用品の製造機械メーカーとして、グローバルに事業を展開している株式会社瑞光(以下、瑞光)では、業務改革の一環として社内の情報共有化を検討。個別受注生産の前工程から後工程まで最新の図面情報を閲覧でき、しかも会社が認めた部署、人ごとの閲覧制御やアクセス制御ができるセキュリティを確保する環境構築のために、「活文 Document Rights Manager」を導入しました。
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導入の背景
全社的な業務改善の一環として、社内を横断して最新の情報を共有できる環境を。
能勢 智浩 氏
瑞光では、全社プロジェクトとして進められている業務改善の一環として営業、設計、生産計画、購買、製造といった部門の枠を超えて情報を共有できる新たな仕組みの構築を検討していました。例えば、従来は前工程から後工程に順次流れて行く状態だった図面情報を、前工程の設計が確定した時点で後工程の購買や製造からも閲覧できるようにすることで、個別受注生産のリードタイム短縮や、さらなる品質向上が図れるように、社内の各拠点で、情報を可視化、連携できるシステムが求められていました。
「めざしていたのは、社内のすべての部門で同じ情報を見られる、しかもそれが常に最新のものであるという環境づくりでした。なかでも、私たちが行っている『製番管理』の中では、前工程の情報を、後工程の担当者が見に行けるというのが重要なポイントでした。従来は、CADデータを図面として流し、必要なときに紙に印刷して取り出していました。しかしこれでは、社内のプリンタの制約などもあって、見たい図面をすぐに見ることができませんでした。しかも、CADデータに変更が入れば、印刷した図面は古い情報になってしまいます。最新の情報をより早く、自席で見られるようにするには、情報をできるだけオープンにすれば良いのですが、その一方で重要な図面情報の漏えいを防ぐためのセキュリティの確保は欠かせません。図面の種別に応じて、閲覧や印刷できる部署をきちんとコントロールしたうえで、必要な情報をいつでも見られるようにしたい。それを実現するためのシステム導入を検討していました」(能勢氏)
選定までの経緯
5つの機能をポイントに比較したうえで、セキュリティと図面精度の総合的判断で選定。
シワルンガム ハリダス 氏
図面情報を共有化するシステムの選定にあたっては閲覧の制御、印刷の制御、保存の制御、スクリーンショットの可否、透かし印刷という5つの機能を満たし、なおかつどのファイルを誰が開いたかを確認できるものという条件の下に、各社の製品を比較しました。また、製造委託や購買などのために外部に図面データを渡すことを想定すると、特殊なクライアントのインストールを必要とするシステムは避けたいという考えから、汎用性が高く、各種権限の設定が可能なPDF形式を採用することになりました。
「制御機能に関してはアクセス権の設定に加えて、誤って社外に流出したデータが無効化されるようにきちんと暗号化できるかがポイントでした。これらは、他社のシステムにも同じような機能があったのですが、私たちが比較した範囲で意外と少なかったのが、スクリーンショットの制限機能でしたね。さらに、セキュリティ以外で大きな課題となっていたのが、PDF化した際の図面の精度。線種がきちんと判別できるか、文字や線がつぶれて見にくくなっていないかなど、変換後の図面が実用に耐えられるレベルになるかは、もう一つの重要なポイントでした。セキュリティ面できちんと統制が効いていて、しかも図面の変換もきちんとできる。その両立が必須の条件だった中で、それらを総合的に提案していただいたことが、『活文』を選定する要因となりました」(能勢氏)
導入時の取り組み
各部署が求める制御機能の反映や、PDFへの変換速度・精度などを繰り返し調整。
「活文」の採用が決定したのは2013年1月。その後、約3か月の開発期間を経て、2013年4月に、対象となる製造番号を限定しての仮運用がスタートしました。この開発の段階でも、セキュリティの確保と図面データの変換という2つの要件に関する調整がポイントになったと言います。
「実際の開発段階で一番難しかったのは、各部署から寄せられた要望に応じた権限の設定でした。ある部署では印刷をしたい、また別の部署では閲覧をしたい、透かしの位置は図面を見るのに邪魔にならないようにして欲しいなど、さまざまな要望があったのですが、運用側からするとそれらを認め過ぎるとコントロールが効かなくなってしまいます。これについては、仮の権限を設定して、それをいったん登録して試してみるという作業を繰り返しました。また、もう一方の図面の変換に関しても、PDFへの変換速度や精度について何度か調整を行いました。実際、この部分の開発は、ほぼスクラッチ状態でしたね。図面の枠の種別認識、大きなサイズの図面への対応など、CADの知識が必要な調整もありましたし、設計部門の意見を取り入れて細かい部分の詰めも行いました。こうした対応については、日立ソリューションズからも、いろいろと提案をいただき助かりました」(能勢氏)
導入後の効果
全社規模の本稼働を目前に控え、現場からも高い期待。
全社規模での情報共有化という目標達成に向けて、実際の業務に即した仮運用を続けてきた「活文」。年内にも予定しているという、すべての製造番号を対象とした本稼働を前に、どのような反応や要望が寄せられているのでしょうか。
「まず要望としてあがっているのは、部署の中でもう少し細かい制御ができるようにして欲しいということですね。例えば購買部門では、当初は部署内を一つのグループとして、共通のアクセス権を設定していました。これに対して、ある情報についてはリーダークラスだけが見られるようにしたいとか、正社員とパートの方で権限を分けたいといったコントロールに関する要望が出てきています。もう一つは、図面の精度に関する問題です。精度を高めて欲しいという要求がある一方で、図面の管理部門である設計からは精度はここまでに抑えて欲しいという意見もあって、社内での調整も必要になっています」(能勢氏)
また運用面とは別に、操作性などについて利用者側からの感想は聞こえてきているのでしょうか。
「実際に全社展開の期限も迫ってきているので、かなり追い込みがかかっています。各部署からの問い合わせも多いですが、これはシステムへの期待値が非常に高いことの証明だと思っています」(ハリダス氏)
今後の展望
今後は社外とのデータのやり取りにも活用を。サポート面では最新の製品情報の随時提供を希望。
「活文」の導入によって、社内に新たな情報共有環境が構築されつつある中、システムのさらなる活用イメージや今後の構想にはどのようなものがあるのかをお聞きしました。
「一つ考えているのは、これまでFAXを利用して行っていた図面を伴う購買への活用ですね。こうした外部とのデータのやり取りをよりセキュアに行うために、現在は社内のLANに入っている『活文』にサプライヤーも登録できたらと考えています。ただ、これを実現するにはサプライヤー側の対応力とか、カテゴリー分けをどうするかとか、いろいろと課題はあります。それでも、今回のシステムへの期待値が高いぶん、こういったこともやりたいという発想が出てきていますし、さらに将来的には電子調達などとも連携できないかと、構想は広がっています」(能勢氏)
そうした将来の展望を実現させるうえでも、今後、日立ソリューションズにはどういったサポートを期待しているでしょうか。
「これまでも利用しているサポートサービスは、技術的な確かさに加えてレスポンスもよくてたいへん役に立っています。しっかりと解決策を提示してくれるのがありがたいですし、これからも期待しています」(ハリダス氏)
株式会社 瑞光
株式会社瑞光は、国内シェア80%を誇る紙おむつ製造機をはじめとした、衛生用品製造機械のメーカー。1946年の創業以来、「技術深耕」という社是のもとに独創的技術の開発を続け、国内5工場と上海工場を製造拠点に、グローバル市場へと展開しています。
本社所在地 | 大阪府摂津市南別府町15番21号 | |
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創業 | 1964年 | |
代表取締役社長 | 和田 昇 | |
従業員数 | 231名(連結対象会社合計501名) | |
事業内容 | 紙おむつ製造機、生理用ナプキン製造機、リサイクル関連機器、 その他設備の開発・製造・販売サービス エンジニアリングコンサルタント |
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URL | http://www.zuiko.co.jp/ |
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本事例の内容は2015年1月14日公開当時のものです。
最終更新日:2015年1月14日