活文 Managed Information Exchangeの導入事例
株式会社日立ビルシステム様最新ITでエレベーターリニューアル調査を大幅にスピードアップ
現地との大容量データ共有と先進的なコミュニケーション環境の導入で実現。
株式会社日立ビルシステムは、エレベーター、エスカレーターなどの製造販売からメンテナンス・リニューアル、ビルやマンションのセキュリティシステム構築、省エネ、福祉・バリアフリー対応のビル総合管理などを手掛けるビル設備メーカーです。
近年、老朽化したエレベーターのリニューアル案件が増えており、現地調査を効率化するため「3D現地調査システム」を開発。その際に計測した大容量の3Dデータを拠点間で転送・共有するため、「活文 Managed Information Exchange(以下、活文)」を導入しました。
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郵送していたため、解析開始までに数日間のタイムラグがあった。
導入の背景
現地で計測した大容量3Dデータを、全国の拠点間で転送・共有できるしくみが必要。
渋木 宣恭 氏
エレベーターの主要装置の耐用年数は概ね20年を目処とされており、老朽化した外装部の修繕や、機能が劣化した部材・設備などをリニューアルする必要がでてきます。 日立ビルシステムでも月間200〜300件のエレベーターのリニューアル案件があります。リニューアル前に必ず行うのが現地調査。古いエレベーターだと改修などにより製品納入時の図面と一致していない場合があり、正確な見積りを作成できません。そこで昇降路内の寸法を測定するために現地調査を実施します。
「2人で現地に向かい、1人が計測しもう1人が記入します。各階を手作業で計測・入力していくのですが、作業が長引くとエレベーターの停止時間が長くなり、お客さまにご不便をおかけしてしまいます」(平野氏)
そこで、日立ビルシステムは2015年4月から「3D現地調査システム」の運用を開始しました。全方位にレーザー光線を照射する「3D計測器」を用いて、昇降路内の壁面や梁、レールを自動識別し、寸法を解析して図面作成までを自動化していきます。これにより、計測精度を高めながらエレベーターの停止時間を90分から30分程度に、調査図面の作成時間も4時間から30分程度に短縮できます。
ここで問題となったのが、計測した3Dデータを全国の支社と本社間でどのように転送・共有するかでした。「本社では各支社から依頼があると3D計測器を貸し出します。実施後に計測器を宅配便で返却してもらい、SDカードから計測データを取り出すのですが、これだと計測してから寸法解析に回すまでに数日間のタイムラグが生まれてしまいます。かといって計測してすぐデータを本社に送ってもらおうにも、3Dデータの容量は1GBもあるのです」(渋木氏)
選定の経緯
ネットワーク負荷を抑えた「大容量データ転送基盤」、将来を見据えた「データ保管庫」の両面を評価。
平野 隆 氏
同社がまず検討したのは社内ファイルサーバでした。しかし同社のネットワーク回線で、月に1GBの計測データを200〜300回も授受しようとすると、転送エラーや遅延、最悪の場合、他の業務システムに支障をきたす恐れがあります。「東京や大阪などの規模の大きい拠点は太い専用線を敷いていますが、それ以外の支社は回線が細く、ファイルを転送したためにメールが届かない、イントラネットが見られないといったことが起きては困ります」と渋木氏。しかも、計測データは長年、削除せず保管しておく必要があります。つまり最低でも月に200〜300GBもの容量が10年以上増え続けていく、ということも考慮しなければなりません。
検討していたところ、紹介を受けたのが、日立ソリューションズの活文でした。渋木氏が最も興味を持ったのは、活文の多重化通信技術。HTTPS通信を多重化することですべてのセッションが切断されない限り、通信を継続できるというもの。この技術を用いれば、同社のネットワーク回線が細い拠点とも、大容量データをエラーや遅延なく転送することが可能になります。そしてデータ保管庫として使える点も評価しました。
「活文は大容量データの転送基盤であると同時に、データの保管庫としても利用できるため、新たな保管場所を用意する必要がありません」(平野氏)
こうして日立ビルシステムは活文を導入し2015年10月から運用を開始。2016年2月現在までに500件を超える計測データを活文でやり取りしています。
導入の効果
現地との大容量データ共有、コミュニケーションの効率化で、リニューアル提案のスピードアップに貢献。
松田 尚之氏
活文を利用して、計測したその日に各支社から3Dデータを本社に転送。月に200件もの寸法解析を即日始めることで、見積り提案までの期間短縮に貢献しています。ネットワーク回線に極力影響を与えないように、40分かけて1GBの3Dデータを転送する仕掛けが施されています。平野氏は「以前は我々の方でSDカードからデータをコピーしていましたが、そうなると恐いのがせっかく計測してもらったデータを誤って消去してしまうこと。そういったプレッシャーから解放されたことも活文の導入効果です」と語ります。
活文では、各支社のリニューアル案件単位で関連資料をまとめて保管。計測した3Dデータや解析結果、図面、寸法表、デジカメで撮影した現場写真といったデータが、やり取りのコメントとともに一元化されています。「煩雑だった情報が案件ごとに整理されて、本社の解析スタッフと各支社の営業担当との間で情報共有できるのはもちろん、現地調査員との連携もスムーズになったと好評を得ています」(平野氏)。
本社の解析スタッフも一様に評価を口にします。
「活文で計測データを受け取ると同時に、いつまでに解析結果がほしいのかなどコメントをやり取りしますが、案件に紐付いているので非常に分かりやすい。チャット形式でメンバーなら誰でも閲覧できるため、CCをいちいち入れなくて良いのも便利な点です。
解析処理後も『ここの寸法を詳細に知りたい』『昇降路の梁の形状や寸法を確認したい』など、追加の依頼を受けることが多々あります。活文ではデータの更新履歴やコメントもあわせて確認できるので、後から見ても更新理由が分かり、プロジェクト管理が容易です」
渋木氏は「導入にあたって利用者の視点で要望を聞いてもらえたので、現場の人間が使いやすいシステムになっていると思います。エクセルやパワーポイントなどのデータをサムネイルで確認でき、ファイルを見つけやすいことも、便利なポイントです」と評価します。
今後の展望
導入後のサポートも満足。3D現地調査を世界に広げていきたい。
奥津 弘夢氏
奈良 友美氏
渋木氏は導入後のサポートにも満足しているそうです。
「活文にはサポート専用窓口があり、問い合わせに丁寧に対応してくれています。 導入当初の操作方法に関する問い合わせにもすぐにアドバイスをくれて、非常に助かりました」(渋木氏)
今後の活文に期待することとして日付管理を挙げます。
「活文に登録した日やコメントを書いた日で記事をソート・集計できるようになれば、今月解析処理した件数がひと目で分かるようになり、業務管理がもっとやりやすくなることでしょう。次期バージョンに期待しています」(渋木氏)
現在全国で3D計測器を使用しており、活文は60名ほどが利用しています。国内で活用を進めた後は、海外拠点やエレベーターのリニューアル工事以外にも適用範囲を拡げていく予定。「中国やシンガポールなど、海外でも日立エレベーターが活躍しているので、そこにも適用していきたい。また、新築の建物や変わった形状の建物にエレベーターを据え付ける際や、エスカレーターの工事での活用も視野に入れています」と渋木氏は今後の展望を語ります。
3D現地調査システムならびに活文が、昇降機のリニューアル提案を促進し、安全で快適な私たちの暮らしを支えていきます。
株式会社日立ビルシステム
所在地 | 東京都千代田区神田淡路町二丁目101番地(ワテラスタワー) | |
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設立年月 | 1956年10月1日 | |
従業員数 | 約7,600名 | |
URL | http://www.hbs.co.jp/ |
この事例に関するソリューション・商品
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本事例の内容は2016年4月11日公開当時のものです。
最終更新日:2016年4月11日