活文 Accelerated File Transferの導入事例
株式会社アールテクノ様機密性の高い大容量データを海外拠点との間で確実に送受信
ベトナム、インドなど海外の優れたエンジニアを活用するオフショア開発を通じて、国内メーカーのものづくりを支援している株式会社アールテクノ。国内外のデータ転送の仕組みに「活文 Accelerated File Transfer」を採用しました。高速かつ確実、そして安全に重要なデータを送受信する環境を実現しています。
この事例に関するソリューション・商品
従来からの課題
需要高まるオフショア開発。大容量データの送信がネックに
淡路 眞吾 氏
アールテクノは、ものづくりに欠かせないCAD/CAM/CAEシステムの提供をはじめ、工作機械の販売や技術サポート、さらに技術者の派遣、オフショア開発の受託業務で国内メーカーのものづくりを支えています。同社の事業の中で、ここ数年堅調に伸びているのがオフショア事業です。
オフショア事業では、国内各業界のメーカーおよびエンジニアリング会社の設計・開発業務をアールテクノのベトナムやインドのエンジニアが各会社の専属エンジニアとして行います。CADデータやプログラムの作成、データ解析をする打ち合わせの窓口は、日本語が堪能なリーダーと呼ばれる技術者が行います。
「2005年にオフショア事業を開始して以来、ベトナム、インドの現地ソフトメーカーと連携を図りながら、国内企業の開発業務をオフショアルーム開設という形で展開し、現在ではベトナム45社、インド3社が稼働しています」(淡路氏)
日本と海外拠点間でのコミュニケーションにはITが欠かせません。設計部品の細部の打ち合わせについてもCADシステム画面を双方で共有し、リアルタイムでやり取りしています。
「とはいえ、3Dモデリングデータは10GBを超えることがしばしばあります。サイズが大きいため、電子メールに添付して送信することはできません。HTTPやFTP(File Transfer Protocol)での送信でもかなり時間がかかってしまいます。ホーチミン(ベトナム)の現地法人に1GBのデータを送る際に、40時間かかったこともありました」(森田氏)
日本と海外を結ぶ海底ケーブルなどの通信インフラが整備中である国も少なくありません。送受信にはとても時間がかかるため、翌朝に現地に届くように前日の夜に送信しておきます。しかし、通信状況によっては送信途中に切断されてしまい、「前日夜に送ったのに翌朝画面を見たらエラーが表示されていて相手先に届いていなかった」という事態もありました。一から送り直しとなれば、それだけ顧客のビジネスにも遅延が生じ、顧客満足度が低下します。オフショア事業の需要が高まる中で、同社は改善を迫られていました。
導入の経緯
転送速度に加えて安全性・使いやすさ・コストを重視
森田 敏彦 氏
解決策を探る中で同社が特に重要視したのは、「転送速度」「セキュリティ」「使いやすさ」「コスト」の4点でした。
データ転送手段として試しに、国内外の事業者が提供するファイル送信サービスも利用してみましたが、いずれもデータの送信に時間がかかりました。途切れた場合の再接続も保証されておらず、届いたのか届いていないのかエラーに気づくまで確認する手段がありません。
とはいえ、国内外の拠点を専用線で結ぶという選択肢は通信費がかさみ、同社の強みである高いコストパフォーマンスを損ないます。
「大手クラウド事業者が提供するデータ保管サービスも試してみましたが、転送速度が不十分でした。また、送受信するデータには開発途中の試作品に関わる機密データも含まれています。クラウド上からのデータ漏洩というセキュリティ面の不安がありました。さまざまな検討を重ねる中で、注目したのが『活文 Accelerated File Transfer』(以下、活文)でした」(森田氏)
導入時の取り組み
特殊なハードやソフトは不要。作業負荷もなくスムーズに導入
人材(IT)
松島 裕史 氏
「活文」は、HTTPSの多重化通信を利用した大容量高速ファイル転送サービスです。一つのファイルを分割し、同時並行のデータ送信によって通常のHTTP通信に比べて数倍~数十倍の時間短縮を実現します。また、HTTPSプロトコルによる暗号化通信を利用しているので、高いセキュリティも特長です。
同社は、通信インフラの脆弱な海外拠点でもインターネット回線さえあれば利用可能な点に着目し、試験的に「活文」を導入しました。他の転送手法と比較し、十分実務に耐え得ることを確認した後に、正式に採用を決定しました。
「導入作業は特に大きな負荷もなく、すぐに運用を開始できました。世の中にはファイルを分割して送受信する専用のツールもありますが、ダウンローダーなどの特殊なツールの導入が必要なことに不満がありました。『活文』は自動分割して送信してくれるので特殊なツール類は一切不要です。簡単に導入できました」(松島氏)
送受信には、HTTPS通信に利用する以外のポートを開放する必要もありません。取引先にも特殊なハードやソフトの導入は不要です。導入の負担が少ないので、ためらうことなく取引先に利用を提案できました。
導入の効果
4時間が「40分」に短縮。日立ブランドも安心に一役
導入後、同社は期待した通りのメリットが得られたといいます。
「送信にかかる時間が大幅に短縮されました。導入前はベトナムへの送信に4時間ほどかかっていた1GBのデータが、約40分で送信できるほど大幅に高速化しています。通信状況の影響でデータ送信が途切れても、中断したところから自動で再送してくれるので、相手先を待たせてしまう心配がなくなりました」(森田氏)
インターネット回線を利用するため専用線よりも低コストでありながら、送受信時のセキュリティも高まりました。日立ソリューションズのブランドも、顧客からの信頼を得る効果があり、戦略的に活用しているといいます。
「オフショア事業をご利用いただくメーカーから、『ファイル送信には、どこのサービスを使っているのか』と尋ねられることがあります。その際、日立ソリューションズのサービスとお答えすると安心していただけます」(淡路氏)
今後の展望
新たな事業を立ち上げるため多様な事例で培った知見に期待
アールテクノでは今後、ものづくり企業のフロントアプリ開発や制御系ファームウェアのシステムインテグレーションなど、新たな事業の構想を描いています。
「システムインテグレーションにおけるシステム開発でもオフショアを活用したいと検討しているところです。例えば、テスト段階においてキャプチャ画面を活用して海外とやり取りしたり、サーバーのイメージファイルを送信したりする場面が出てくるかもしれません。データサイズはCADデータほどではないとしても、データ送受信時のストレスがなく作業できる環境づくりが求められています」(松島氏)
「今後の展開を見据えて、日立ソリューションズがさまざまな事例で培ってきた知見を基にした提案に期待しています」(淡路氏)
日本のものづくりを支える同社の期待に添えるように、日立ソリューションズは「活文」をはじめとするソリューションを発展させ、今後も同社の事業をサポートしていきます。
株式会社アールテクノ
1995年に3DCAD/CAM、工作機械の販売、技術サポート、トレーニング提供を目的として設立。2001年からインドに事務所を開設。日本への技術者派遣を行っている。近年はオフショア開発を本格化し、日本の製造業の国際競争力を高めるべく、日本のものづくりを支援し続けている。
本社所在地 | 東京都国立市富士見台2-14-1 ロフティ国立5F | |
---|---|---|
設立 | 1995年4月5日 | |
従業員数 | 187人 | |
事業内容 | CAD/CAM/CAEなどのシステムソリューション提供、技術者の派遣・紹介、オフショア開発 | |
URL | http://www.r-techno.co.jp/ |
この事例に関するソリューション・商品
導入事例ダウンロード
本事例の内容は2018年6月15日公開当時のものです。
最終更新日:2018年6月15日