電子契約ソリューション(電子署名サービス DocuSign eSignature)の導入事例
マルホ株式会社様21 CFR Part11準拠の電子署名をGxP対象領域で利用。CSV対応も効率的に推進
皮膚科学領域のリーディングカンパニーであるマルホ株式会社は、新しい働き方に対応するための仕組みとして「DocuSign eSignature(以降、DocuSign)」を導入。GxP対象領域の署名を、米国食品医薬品局などが定める規制要件に準拠した形で電子化し、業務の効率化とペーパーレス化を実現しています。
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背景
将来も見据えた電子署名の導入
平尾 知彦 氏
1915年に薬の製造と卸を兼ねたマルホ商店として創業し、1949年に株式会社として設立されたマルホ株式会社は、皮膚疾患領域での市場リーダーとして、医療用医薬品事業を中心に事業領域を拡大して、化粧品事業、診断薬事業、医療機器事業などの皮膚疾患に関するニーズに幅広く対応してきました。
リモートワークなど働き方の選択肢が広がる中、デジタルの力で業務効率化を実現していくことを考えたマルホでは、在宅でも契約書などの文書の処理が行えるように電子署名の導入を検討し始めました。また21 CFR Part11などの規制が多い製薬業界では、規制に準拠したうえでGxP対象領域にも適用できる電子署名を導入する必要がありました。
「まずは一般的な文書で電子署名を行えるようにするため、さまざまな電子署名のソリューションを検討しましたが、将来的なGxP対象領域への適用も考えて、そのためのモジュールを追加できる『DocuSign(ドキュサイン)』が最有力候補となっていきました」と平尾氏は説明します。
取り組み
関係部署を集めて対象や方針を整理
「DocuSign」を提供する複数の会社から、日立ソリューションズをパートナーとして選んだのは、製品知識と技術力の高さからだったと平尾氏は続けます。
「日立ソリューションズからは、技術的な部分だけでなく、運用面についても的確な回答が返ってきて、我々がやりたいことが実現できると分かりましたし、信頼できると感じました。GxP対象領域に適用する環境を構築する際には、医薬業界での導入実績やCSVのガイドラインに関する知見を持つ日立医薬情報ソリューションズも一緒に支援してくれるという点でも安心できました」(平尾氏)
マルホでは数年前からGxP対象領域の文書を管理するシステムを運用しており、電子署名もそのシステムで行うようにしていました。しかし、同システムでは社内での文書のやり取りしか行えず、社外とやり取りするためには、外部にも同じシステムを導入してネットワークを組み直すという手間やコストがかかることが課題でした。そのため、導入していない相手方も利用可能な「DocuSign」にモジュールを追加し、社外とやり取りする文書には「DocuSign」を使うことで、短期間かつ低コストでの導入をめざすこともマルホの狙いでした。
「実際に構築に入る前に、多くの部署を巻き込んでプロジェクトメンバーを集め、『DocuSign』で扱う文書を明確にし、原本の考え方を整理していくことで各部署の合意形成を行っていきました。『DocuSign』はシングルサインオンに対応していますが、当社としては毎回IDとパスワードを設定するといった方針も決めていきました」(平尾氏)
これらの準備を行うことで、3カ月という短期間で構築を完了しました。
効果
SEのサポートで効率的に推進
「多くの部署が関わる今回のようなプロジェクトでは、システムに対する理解度や温度感などに差があります。日立ソリューションズはそのような点にも配慮して丁寧に説明し、システムへの理解を浸透させることに協力してくれました。また、日立医薬情報ソリューションズからは、CSV対応に必要な文書(検証結果の報告書など)を作っていくときの考え方などについてもアドバイスを受けることができ、助かりました」と平尾氏は話します。
「DocuSign」を導入することによって、文書の紛失や人的ミスなどのリスク低減が可能になるとともに、紙文書の保管が不要となるため、物理スペースや保管コストの抑制にもつながります。GxP対象領域の文書への署名を電子化することで、紙の署名での手続きを効率化できるとマルホは考えています。
展望
システム連携でさらなる効率化へ
「紙からデジタルに変わることによって、一部で戸惑いはあるかもしれませんが、直感的に操作できて便利なので、一度使い始めたら加速度的に効率化が進み、安全性も担保されていくと考えています。『DocuSign』の導入プロジェクトは、多くの部署を巻き込んで進めていきましたが、まだ適用していない部署もあります。今後、適用した部署において効率化が進み、実績が積みあがっていくことで、さらに社内での活用が広がっていくことを期待しています」と平尾氏は効率化の拡大に期待を寄せています。
「DocuSign」利用の今後の展開については、まだ適用できていないGxP対象領域の署名への適用や、各部署の文書管理システム(法務部で契約書をチェックするためのシステムなど)との連携なども今後行っていきたいと平尾氏は言います。
安全性と確実性を確保することが強く求められる製薬会社には、臨床試験や品質管理などの領域ごとに規制があるだけでなく、電子署名などの導入するITや、導入後のシステムの適正管理に関する規制もあり、システム導入による業務効率化の実現には、多くの知見と複雑な要件への対応が必要となります。
日立ソリューションズは、製薬会社の業務を効率化し、優れた創薬の開発を支援できるよう、これからもさまざまなソリューションを提供していきます。
※21 CFR Part11:米国食品医薬品局が定めた電子記録・電子署名に関する規則。コンピュータシステムが一定の要件を満たしていれば、電子記録や電子署名も紙の記録・手書きの署名と同等の信頼性があることを認める内容である。日本国内では厚生労働省がER/ES(Electronic Record/Electronic Signature)指針を出している。
※GxP(Good x Practice):医薬品などの研究・開発・製造・流通のさまざまな領域を対象とする一連の基準。医薬品などの安全性や確実性を保証することを目的とする。
※CSV(Computerized System Validation):医薬品などの品質確保のため、システムの導入における最適性・妥当性の検証、および運用含めた適正管理を実施するプロセス。
段階的な適用で規制と新しい働き方へ対応
- 将来的なGxP対象領域への適用も見据えて、一般的な取引業務から電子署名を導入
- 「DocuSign Part11モジュール」により、GxP対象領域の署名も電子化
- リモートワークや社外とのやり取りに活用
マルホ株式会社
所在地 | 大阪府大阪市北区中津1丁目5-22 | |
---|---|---|
設立 | 1949年10月 | |
従業員数 | 1,546名 | |
事業内容 | 医療用医薬品等の研究・開発・製造・販売・輸出入ならびにこれに付帯する業務 | |
URL | https://www.maruho.co.jp/ |
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本事例の内容は2023年3月23日公開当時のものです。
最終更新日:2023年3月23日