脱ハンコが必要な理由は?
メリットや導入事例を紹介
ビジネスシーンだけでなく、さまざまな行政手続きにおいても必要とされるほど、日本の文化として深く根付いている「ハンコ」。しかし昨今、ハンコがテレワーク推進を妨げる一因にもなっていると言われ、「脱ハンコ」の流れが加速しています。本コラムでは、「そもそもハンコが何故必要なのか?」というところから、脱ハンコの具体的なメリットまで、導入事例と合わせて解説します。
この記事の目次
ハンコが会社で必要とされてきた理由
ビジネスにおいて、何らかの契約をかわす際、特に大きな金額が動くような商取引の場合には、契約内容を文書化し、ハンコを押すのが一般的です。しかし、そもそも契約自体は、法律で書面することが定められているものを除いて、口約束だけでも成立します。それでも、わざわざ文書化して、ハンコを押すのは、契約の相手方とトラブルがあった場合に備えるためです。文書にすることで、合意した内容を明確にし、そこにハンコを押すことで、合意したという事実を客観的に確認できるようにする。つまり、契約の証拠となる文書を作成するためにハンコを押しているのです。
私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する。
民事訴訟法第228条4項
上記のとおり、署名や押印によって、契約成立が事実であると推定されるというルールがあります。
そして、署名よりも、ハンコを押すほうが簡便なため、ビジネスの現場では多用されています。つまり、業務を行ううえで、手間をかけずに証拠となり得る文書を作成するために、ハンコは利用されてきたのです。
ハンコ文化の課題
確かにハンコには、証拠となる文書を作成するという重要な役割がありますが、日本はハンコ文化が根強く、押印がないと作業が進められないということも多々あります。
しかし、IT化が進んだ現在のビジネスの現場においては、昔に比べて格段にスピードが重要です。テレワークをしているのに、押印のために出社をしたり、回覧板のように各関係者の押印が済むのを待ったりするというのは、時間の無駄。それによって、必要な業務に割ける時間が少なくなれば、生産性を低下させてしまうことになるのです。
脱ハンコのメリット
脱ハンコのメリット
コスト削減と生産性の向上
取引先にハンコを押してもらう場合には、契約書を印刷、封入をして、発送する必要があるため、用紙代、封筒代、印刷代、送料がかかってしまいます。一方、脱ハンコを実現し、電子契約にすれば、これらの費用がかからなくなるため、コストを削減することが可能です。
また、脱ハンコを実現することによって、印刷や発送などの業務、さらには文書の保管や管理をするためにかかっていた作業時間を大幅に短縮できれば、より注力すべき業務に時間を割くことができます。その結果、業務効率を上げて、生産性を向上させることができます。
リードタイムの短縮
旧来通り、紙文書に押印をする形式で契約業務を進める場合には、自社内での書類確認にかかる時間、契約書が取引先に届くまでの時間、取引先の承認や押印にかかる時間、そして、返送にかかる時間と、合意はできているにもかかわらず、正式な契約締結までに1週間以上の日数がかかってしまうこともあります。しかし、電子契約に切り替えた場合には、上記すべてのフローをオンラインで実現することができるため、契約書作成したその日に契約締結まで完了することも可能。紙文書に比べて、リードタイムを大幅に短縮することができるのです。
新常態(ニューノーマル)の働き方への対応
脱ハンコによって、押印のためだけに出社をする必要はなくなれば、テレワークをはじめとするニューノーマル時代の働き方を推進することにもつながります。社外にいても、オンライン上で申請したり、承認したりすることができ、承認状況をいつでも確認ができるようになります。また、紙文書であれば、保管場所に行かないと、過去の契約書を確認することができませんが、電子契約であれば、データで管理できるようになるため、どこからでも過去の契約書を閲覧できるようになります。
コンプライアンスの強化
上記のとおり、ハンコには証拠となる文書を作成する役割があるのですが、ハンコ自体の管理が杜撰(ずさん)だと、誰でも本人になりかわって押印ができてしまうというデメリットがあります。つまり、比較的容易に文書の改ざんができてしまうということです。また、紙文書で保管する場合には、紛失や盗難といったリスクがあり、情報が漏洩してしまう恐れもあります。それに対して、電子契約であれば、十分なセキュリティー機能を持たせることで、そういったリスクを減らし、コンプライアンス強化につなげることが可能です。
ECO・ペーパーレス化の推進
脱ハンコにより、紙文書を減らすことができれば、文字通りペーパーレス化を進めることができます。ペーパーレス化には、コスト削減や業務効率化というメリットもありますが、ECOにもつながるというメリットがあります。昨今では、積極的にSDGsに取り組む企業が社会から評価されるという傾向が、ますまます強くなってきています。ECOな取り組みにより、社会的責任を果たすことで、企業イメージにも良い影響があると考えられます。
脱ハンコの成功事例
日立製作所
モビリティ、ライフ、インダストリー、エネルギー、ITという5つの分野でデジタルソリューションを提供する日立製作所は、働き方改革を重要視し、2016年から本格的に着手していました。
そんな日立製作所でも、やはりハンコ文化が根付いており、社内承認や稟議書類には関係者の押印が必要で、どうしても出社が必要になるシーンが少なからず存在していました。また、契約文書の印刷や郵送、控え保管などの作業のためにも、出社は不可欠だったのです。そのため、テレワークを中心としたニューノーマル時代の働き方をなかなか実現することができないという課題を抱えていました。
そこで日立製作所は、電子署名サービス「DocuSign eSignature」の導入を決定。社印や職印が不要になったことで、押印のためにわざわざ出社する必要がなくなり、契約書の作成者や承認権限者が、どこにいても業務をスムーズに遂行できるようになりました。また、契約文書の印刷や郵送、控え保管といったバックオフィス作業を大幅に削減することができました。さらに、データのままワークフローで処理する方式に切り替えたことにより、平均で1週間程度かかっていたリードタイムを、2日前後まで短縮することに成功したのです。
電子署名サービス「DocuSign eSignature」
その他の事例
サービス業を行うA社では、取引先との業務委託契約書を紙文書で作成していました。そのため、担当者は出社をして、印刷・製本。上長に手渡しをして、承認のハンコをもらった後に、郵送するという事務手続きを行っていましたが、電子契約によって、出社する手間がなくなり、契約完了までの時間を短縮できています。
製造業を行うB社では、支店でパートやアルバイトを採用した場合に、雇用契約書を作成し、まずは採用者が押印。その契約書を本社に郵送して、本社の採用担当者が押印し、契約内容を業務システムにパンチ入力。そして、再び採用者に戻すという手順を踏んでいました。そこで、電子署名を導入。採用者はスマートフォンで署名ができるようになり、書面の内容はシステムに自動入力され、拠点間での郵送も必要がなくなりました。
製造業を行うC社では、請求書や納品書の作成のために出社をしていました。また、書類を郵送していたため、受け取る側の顧客も出社をする必要がありました。電子契約にしたことで、リモートで社印(見た目を踏襲した印影)を押すことができ、顧客も電子文書を自宅で受け取ることが可能になりました。
まとめ
「脱ハンコ」は、働き方改革を進めるうえで重要なポイントあるだけでなく、業務効率化やコンプライアンス強化など、企業活動において、さまざまなメリットがあります。
商取引においては、取引先の協力が必要になるため、その調整が難しい場合もあるかもしれませんが、ひとまずは自社内から「脱ハンコ」に向けた取り組みを始めてみてはいかがでしょうか。
日立ソリューションズでは、グローバルスタンダードな電子署名サービス「DocuSign(ドキュサイン)」の導入・定着化により、お客様の「脱ハンコ」の取り組みを支援しています。
「DocuSign(ドキュサイン)」を導入することで、契約書類や申請書、申し込み書といった各種書類の署名・承認・処理などを、オンラインで簡単に済ませることができます。是非ご検討ください。
- ※本記事は、2022年1月時点の情報を元に作成しています。
- ※本記事は、一般的な情報提供を目的としたものです。記事内の法律に関する情報については、短期間に法改正が行われる場合もあるため、当社は情報が最新のものであること、また、正確であることを保証することはできません。当社は本情報を使用したことにより生じる責任、損害を補償する義務を負いません。
電子署名・電子契約の導入事例
株式会社 日立製作所様
働き方改革の一環として押印を電子署名に置き換え、日立グループ全体で業務のデジタル化を加速し生産性向上へ。
株式会社 日立ソリューションズ
新卒・キャリア採用の雇用契約をペーパーレス化。書類の回収漏れを防止し、事務作業を効率化。
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