契約締結は日付が重要?
契約における注意点を解説!
契約を締結し、契約書を作成する際には、いくつか注意すべきポイントがあります。そのひとつが「日付」です。本コラムでは、契約に関わる一連の流れの中で、契約書を作成する際に必要な基礎知識や気をつけるべきポイントを紹介します。 ただし、契約にはさまざまな形態があり、ここで紹介するものはあくまで一例として、お考えください。
この記事の目次
契約締結に関する前提知識
契約書の意義
契約書の意義
契約に関する原則として、任意後見契約のように特別に法律で定められているものを除き、口約束でも契約自体は成立します。当事者が合意をした日が、契約が成立した日です。契約書は必須ではありません。
しかし、企業活動においては、ほとんど場合に契約書を作成します。その意義は、「契約内容を互いに確認するため」と、「契約したという事実や条件などを示す証拠として残しておくため」です。
署名と押印
署名や押印についても、企業の取引においては、ほとんど必須となっていますが、書面自体がなくても契約は成立するという原則どおり、署名や押印がなくても、契約自体は成立します。ただ、署名や押印は、法律によってその効力を認められており、重要な意味を持っています。
私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する。
民事訴訟法第228条第4項
この民事訴訟法の規定があるため、署名や押印がなされた契約書は、法的な効力を持つことになります。
3つの日付
締結した契約がいつから効力を持つのかは非常に重要な要素ですが、契約締結においては取り扱いに注意すべき日付が3つあります。
1つ目は、契約書を作成した「契約書作成日」です。2つ目は、契約書に署名や押印して、実際に契約を締結した「契約締結日」です。3つ目は、契約の効力が発生する「契約効力発生日」です。
これらがすべて一致することもありますし、3つが別日になることもあります。
3つの日付
契約書を作成する際のポイントとは?
契約の効力発生日
契約書を作成し、日付を記載する際には、その日付が前項で述べた3つの中のどれなのかを意識しましょう。
契約内容によっては、契約期間として「○年○月○日から」など、契約開始日を記載する場合があります。この場合には、開始日が「契約効力発生日」です。
トラブルのもとになる可能性が高いのは、開始日の記載がなく、「契約作成日」と「契約締結日」が異なる場合です。契約書の作成者が作成日を記載してあったものの、当事者全員が署名を完了した日が後日になった、ということはよくあります。この場合には、署名をした「契約締結日」が「契約効力発生日」となります。
雛形利用のメリットとデメリット
秘密保持契約書、業務委託契約書、売買契約書、賃貸借契約書など、契約書にはさまざまな種類があり、契約書に記載すべき項目もそれぞれで異なります。それを一から作成するのはそれなりに手間がかかるため、雛形(テンプレート)を利用する方も多いでしょう。雛形は、一般的に必須と思われる項目をほぼ網羅しており、誰でも契約書を作成することができるというメリットがあります。
しかし、デメリットもあります。たとえば、法改正に対応していない可能性があるということです。古くから使われている雛形は、最新の法律を反映していない場合があり、それによる法的なトラブルが発生するリスクがあります。
雛形を利用する際も、そのまま流用はせず、問題がないかを慎重に確認することが重要です。
第三者が見ても分かる書き方
契約書には、当事者間で合意した内容を記載し、互いに確認するという役割があります。しかし、法的なトラブルになった際に、その契約書を見て判断を下すのは、第三者である裁判官です。当事者にしか分からないような業界用語や専門用語を多用するのは避けるべきでしょう。また、一般的に理解できる言葉にしておかないと、業界用語の意味について、認識がずれてしまっている場合もあり、トラブルのもとになってしまいます。
契約書を作成するときには、あくまで客観的に理解できる言葉で、業界内では当たり前だと思うようなルールも含めて、省略することなく記載します。
契約を締結する際に注意したいこと
目的に合った契約内容になっているか
契約を締結するということは、相手方と合意した内容があるのはもちろん、それに至った経緯や理由、さらには目的があるはずです。その目的を明確しておかないと、契約書に記載する条項や表現も曖昧になってしまい、後々のトラブルの原因になってしまう可能性があります。また、その契約によって、背負う可能性のあるリスクを意識しながら、達成したい目的に沿った契約内容になるように、相手方と合意形成をしましょう。
記載すべき条項が漏れていないか
契約の種類によって、契約書に記載すべき条項は異なります。しかし、ほとんどの契約において、共通して記載しておいたほうが良い条項もあり、一般条項と呼ばれています。一般条項の例としては、①当事者、②契約違反対応、③契約解除、④損害賠償、⑤不可抗力免責事項、⑥有効期間、⑦合意管轄、⑧反社会的勢力の排除などが挙げられます。
これはあくまで一例です。必ずしもすべて入っている必要があるわけではありません。また、これ以外に入れておくべき条項もあります。
契約書は網羅されていることが重要だと理解し、記載漏れがないかは慎重に確認する必要があります。
権利と義務は何か
契約によって、自社に発生する「権利」を意識するあまり、「義務」を理解できていないと、思わぬリスクを背負うことになりかねません。契約を締結する際、また、契約書を確認する際には、具体的にどのような場面で、どのような「権利」と「義務」が、発生するかを想定しておく必要があります。また、自社だけではなく、相手方に生じる「権利」と「義務」も意識しておきましょう。そうすることで、契約書に記載すべき条項が漏れてしまうことを防ぐことができます。
第三者の利益を侵害していないか
契約は、当事者同士の合意によって成立します。しかし、その契約によって、当事者ではない第三者の利益や地位を侵害することにならないか、という点にも気を配る必要があります。たとえば、第三者との契約で競業避止義務を負っている場合や、秘密保持契約をしている場合です。その内容に違反するような契約を別途してしまうと、債務不履行ないし不法行為に基づく損害賠償責任を問われる可能性あるので、注意が必要です。
法令に違反していないか
契約は当事者の自由な意思に基づいて締結することができます。しかし、公序良俗に反するような内容は認められません。たとえ契約書に書いていたとしても、反社会的な内容のものや、道徳的に妥当でないものは、すべて無効です。
また、強行法規にも注意が必要です。強行法規とは、当事者の意思にかかわりなく適用される規定のことです。下記のような労働基準法が、それに該当します。
この法律で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とする。この場合において、無効となつた部分は、この法律で定める基準による。
労働基準法13条
雇用契約において、労働基準法の労働基準の最低条件を定めた条項があったとしても、それは無効になります。
契約しようとする内容が法令に違反していないかは、契約締結前にあらかじめ確認するようにしましょう。
まとめ/電子契約について
契約を締結し、契約書を作成する際には、さまざまな注意点があります。これは、紙文書を使った契約書でも、電子契約でも同じことです。当然電子契約でも、法律の要件を満たした契約書であれば、法的な効力が認められています。
また、電子契約サービスの中には、手間のかかる契約書作成のプロセスをサポートする機能がついたものもありますので、導入を検討してみてはいかがでしょうか。
日立ソリューションズでは、グローバルスタンダードな電⼦署名サービス「DocuSign(ドキュサイン)」の導入・定着化を支援しています。また、DocuSign(ドキュサイン)を導⼊するにあたり、各業務の整理や課題の洗い出しから対策方法の提案、社内規定の整備までトータルな⽀援するコンサルティングサービスを提供しています。
電子契約の導入に向けて、是非ご検討ください。
- ※本記事は、2022年2月時点の情報を元に作成しています。
- ※本記事は、一般的な情報提供を目的としたものです。記事内の法律に関する情報については、短期間に法改正が行われる場合もあるため、当社は情報が最新のものであること、また、正確であることを保証することはできません。当社は本情報を使用したことにより生じる責任、損害を補償する義務を負いません。
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