契約締結日とは?
効力が発生するのはいつから?注意点も解説!

契約を締結し、契約書を作成するうえで、重要なポイントとなるものの1つが「契約締結日」です。「契約締結日」にはどんな意味があるのか、契約の法的な効力がいつから発生するのかなど、契約締結時に意識しておくべきことについて解説します。

契約書の契約締結日とは?

署名、押印、契約書、契約締結日

契約締結日

契約締結日とは、作成した契約書に、当事者全員の署名または押印が完了した日のことです。
たとえば、二社間の契約において、一社が契約書を作成し、押印をしたのち、相手方に契約書を郵送した場合、受け取った相手方が契約書に署名または押印をした日が、契約締結日となります。
また、契約内容の中で、契約開始日が特段定められていない場合には、この契約締結日が契約開始日になります。つまり、契約に法的効力が発生する日ということです。
しかし、上記の例で、受け取った相手方がいつ署名をしたのか、日付を書かない場合も多く、後からトラブルにならないよう、契約締結日をいつにするのかを契約交渉の際に決めておいたほうが良いでしょう。

契約書を書いた日付との違いは?

契約書には「記入日」として日付を書く欄が設けられていることがあります。ほかにも、契約書を作成した「契約書作成日」として日付が書かれていることもあります。これらは、あくまで「記入日」や「契約書作成日」なので、「契約締結日」とは意味合いが異なります。
もちろん、「記入日」や「契約書作成日」に、当事者全員が署名または押印をした場合には、その日が「契約締結日」となります。
しかし、紙の契約書を使用している場合は、どちらかが先に署名したあとに、相手方に郵送して、署名することになるので、「契約締結日」とは別日になることがほとんどです。

契約締結日の決め方は?

契約締結日の決める方法としては、いくつかの考え方があります。
①契約期間が決まっている場合に、その開始日と締結日を揃える方法
②契約の当事者の中で、最初の署名がなされた日を締結日とする方法
③契約の当事者の中で、最後の署名がなされた日を締結日とする方法
④すべての当事者が契約内容に合意した日を締結日とする方法
などです。
いずれにしろ、契約内容を詰めていく際に、契約締結日をいつにするのかについても決めておくことで、認識のずれによるトラブルを防ぐことができます。

効力発生日を変更する方法はある?

未来に設定する方法

業務委託契約や秘密保持契約などでは、実際にプロジェクトがスタートし、取引が始まる前に、契約締結を行うことが多くあります。この場合、契約書の条項に契約開始日を記載することで、効力発生日を未来に設定することができます。たとえば、契約書に「本契約は、××年×月×日から適用する」といった条項を入れる方法です。

過去に設定する方法

上記とは逆に、契約を締結する前から始まっていた取引に対して、改めて正式に契約を締結するということもあります。こうした場合には、契約開始日を、契約締結日よりも過去の日付にする方法があります。契約書に記載する際の一例としては「本契約は、××年×月×日に遡って適用する」というような条項を入れます。これを遡及適用や遡及契約を呼びます。

契約締結日を決める際の注意点は?

バックデートはNG

契約書に、実際に契約を締結した日よりも早い日付を契約締結日として記載することを、バックデートと呼びます。秘密保持契約を例に挙げると、すべての当事者が署名した契約締結日は10月15日だったが、すでに10月1日に秘密情報を開示してしまっていたため、締結日を10月1日と記載するといったケースです。
前項で説明した遡及適用では、「××年×月×日に遡って適用する」といった記載をしますが、バックデートの場合にはそういった条項がありません。そのため、後から契約書を見た第三者には、実際の契約締結日が分かりませんし、通常どおりその日に契約締結したと考えるでしょう。これは虚偽の情報を契約書に記載するのと同じことになってしまうので、日付を過去に設定する際には、バックデートは避け、遡及適用にするべきでしょう。

日付を空欄にするのは危険

契約書は、契約が成立したことやその内容の証拠となるものです。そして、ここまでに述べてきた通り、契約締結において日付は重要な要素です。契約書に日付を記載する場所があるにもかかわらず、空欄にするのは避けましょう。当然、記入漏れにも注意が必要です。
日付が空欄になっている場合、契約の相手方や第三者によって、あとから書き加えられる可能性があり、それにより不測の不利益を被る可能性があるため、大変危険です。

まとめ/電子契約について

電子契約、契約書、電子署名、タイムスタンプ、バックデートは不可能

電子契約について

本コラムで解説した契約締結日に関する注意事項は、紙文書での契約だけではありません。電子契約でも、紙文書での契約と同じく法的な効力があり、契約を締結するうえでの、基本ルールは同じと考えて良いでしょう。また、電子契約ではタイムスタンプを利用することで、バックデートはそもそもできない仕組みになっているので、安心です。もちろん、条項を設けることで、遡及適用はできます。
電子契約を導入する際には、契約の基本ルールと、紙文書での契約との違いを理解しておくことで、より自社の契約業務やプロセスに合った電子契約サービスを見つけることができるでしょう。

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