エンタープライズサーチとは、企業内にある膨大なデータを横断的に一括して検索できる仕組みです。「横断検索エンジン」とも呼ばれており、企業内のあらゆるデータを素早く検索できます。

企業のデータは、ファイルサーバーやクラウドストレージサービスなどさまざまな場所に分散して保管されています。そのため目的のデータを見つけ出すには、多大な時間と労力を費やさなければならないのが現状です。

そこでエンタープライズサーチを活用すれば、企業内にあるさまざまな種類のデータをスピーディーに検索でき、データを探す手間を大幅に削減できます。

エンタープライズサーチは、業務に役立つ多彩な機能を搭載しています。ここでは、3つの基本機能について見ていきましょう。

企業内の保管場所が分からないデータを手作業で探し出す場合、多大な労力と時間を要します。そこでエンタープライズサーチを活用すれば、データの収集にかかる時間を短縮することができます。

作業者一人当たりの「探す時間＋文書作成時間」を約12時間（1カ月）削減できるという試算もあります。

エンタープライズサーチを導入することで、部署間での社内情報の共有を円滑に行えるようになります。

企業には、作成者または所属部署内の社員しか保管されていることを知らないデータがまだまだ多く存在します。エンタープライズサーチを利用することで、部署や働く場所を問わず社内データへのアクセスが可能となるため、社員同士の情報共有をよりスムーズに行えます。それにより、社員同士の連絡や確認作業の効率化にもつながるでしょう。

社内業務の分析につながることも、エンタープライズサーチのメリットの一つです。

検索されているキーワードの統計、検索結果からよく参照されているファイルの統計を取ることで、「最近、社員が何を探しているか？」「何が探せずに困っているか？」などの課題や傾向を知ることができます。
また、よく参照されているファイルの作成者は誰か確認することで、その業務に貢献している人やその技術に詳しい人を知ることもできます。
このように、検索で得られた情報から現在の課題や特定の分野に強い人などを見つけることができます。

エンタープライズサーチでは、顧客の情報や商品の購入履歴などのデータ検索も可能です。

新商品の開発を行うためには、顧客ニーズの把握や、過去の販売実績などのデータが不可欠です。エンタープライズサーチで収集したデータを有効に活用することで、新しいビジネスへとつなげられる可能性があります。

エンタープライズサーチによって、顧客情報や商品情報、対応マニュアルなどを瞬時に検索できます。「どの情報が頻繁に検索されているのか」「顧客がどのような用件で問い合わせをしたのか」を把握できるため、自社のカスタマーサポートのサービス向上が図れるでしょう。
また検索キーワードが定かでない場合も、検索頻度の高いキーワードがサジェストされるため、スピーディーに対応を進められます。

カスタマーサポートやコールセンターでは、スピード感のある対応が求められます。必要な情報を即座に検索できるエンタープライズサーチは、このような業務でも役立ちます。

日本を代表するケーブルテレビ事業・番組供給事業統括運営会社として知られるJ:COM（JCOM株式会社）では、サービス加入世帯数が順調に伸び続けたことによって、次の２つの課題を抱えることになりました。

J:COMは、これらの課題を解決するために日立ソリューションズが提案した、エンタープライズサーチを行う「活文 企業内検索基盤」と文書管理システム「活文 Contents Lifecycle Manager」「Microsoft Azure」を組み合わせたシステムを採用しました。その結果、表示速度が以前より速くなり、オペレーターからは検索しやすくなったという声が上がりました。また、照会システムを統合したことで、顧客の地域によってログイン先を切り替える手間をなくすこともできました。

さらに、クラウドストレージの活用と保管期限が過ぎたデータの自動削除によって、データ量増加の課題に対しても、柔軟かつ適正なスケールアップが可能になったなど、カスタマーサービスの品質向上につながるさまざまな成果を手にしています。