ナレッジ共有とは?
分散している情報資産を効果的に共有する具体的な手法を紹介
ビジネスを円滑に進め、新たな価値を生み出していくには、もはや情報資産の活用は必須といえます。社内を見渡すと、顧客情報や製造に関するデータ、現場で有用なスキルなど貴重なナレッジを多彩に保有しているにもかかわらず、業務や部門を越えて全社的に共有できているケースは少ないのではないでしょうか。今回は社内でナレッジ共有を進める意味と、その取り組みを進めるにあたって生じやすい課題を整理し、ナレッジ共有を成功に導くヒントを紹介します。
ナレッジ共有とは
ナレッジとは、もともと英語のknowledge、すなわち「知識」を意味する言葉です。単に知識というだけでは漠然としていますが、ビジネスにおける「ナレッジ」は何を意味しているのでしょうか。特定分野に関する専門知識はもちろんのこと、業務遂行に必要なスキルや経験に基づくノウハウ、課題解決に寄与する知見、成功事例、そして顧客や売り上げ、受発注、製造工程、部品管理、マーケティングなどに関わるデータのほか、社内に散在するさまざまな情報を総称してナレッジと呼びます。
「ナレッジ共有」とは、そうした多種多様な情報を、部門や業務を横断して共有することです。組織全体で共有することで、それまで各部門内に閉じていた情報を他部門でもスムーズに利用できるようになります。
ナレッジには2つの種類がある
ナレッジには、大きく分けて「暗黙知」と「形式知」があります。
例えば、ある営業社員が成功を収めた商談で用いた考え方や、成功がもとになって生まれたノウハウは、紙やアプリケーションなどで明文化されない限り、その人の中だけに存在するナレッジです。こうしたナレッジを「暗黙知」といいます。長年培ってきたベテランの経験に基づく知識、熟練工が磨き上げてきた勘や技術もこの暗黙知に該当します。それに対して、文章や図形などで表され、誰が見ても理解できるよう可視化されたナレッジのことを、「形式知」といいます。業務システムのマニュアルなどがこれにあたります。
ナレッジ共有を行うメリットは?
成功事例や過去の経験に基づく知見、そしてスキルやノウハウを形式知化することや、部門に閉じた形式知を他部門へ共有することで、ほかの社員の業務スキルが向上したり、情報の偏在を解消して知識や技術が平準化される効果を期待できます。
これまでそうしたナレッジに触れる機会がなく、力を出しきれなかった、あるいは伸び悩んでいた社員も、共有されたナレッジの活用で仕事のヒントを得られたり、改善点を見いだせたりするでしょう。これによってポテンシャルのある社員がさらに大きく成長できるほか、社員全体のレベルの底上げも実現できます。個々がレベルアップすれば、効率的な動きをする社員が増えるため、その結果として組織全体の業務効率化・生産性向上にもつながります。
また、ベテラン社員の知識や経験、勘が形式知化されると、業務の属人化も防ぐことができます。「担当者が退職したら、その業務をできるノウハウを持った人がいなかった」という話はよく聞きます。ナレッジ共有は、業務の引き継ぎはもちろん、人材育成や技術伝承においても効果を発揮します。
さらには、部門を越えて有用な情報が共有されれば他部門とのスムーズな連携が可能になりますし、意思決定のスピードと質も高まります。そのほか、もともとナレッジを有していた人が気付かなかったことが他者の視点で見いだされ、新規アイデアやイノベーション創出につながる可能性もあります。このように、ナレッジ共有によって社員の“知”が進化し、ビジネスのパフォーマンス向上や企業価値向上にさまざまな効果を期待できるわけです。
ナレッジ共有の実現に向けたハードルをチェック
ただし、組織においてナレッジを共有するうえではいくつかの課題やハードルも存在します。
まずは、暗黙知を形式知化して残されていないことが挙げられます。例えば、ある優秀な営業社員の行動や会話のテクニックなどの暗黙知は、何もしなければ形として残っていないため、ほかの社員が活用することは当然できません。必要なのは、そうした行動なり会話なりのポイントを、文章や数式などのように目に見える形で表現し、誰でも閲覧できるようにしておくことです。
次に、データが膨大に存在しているため、業務で必要とするナレッジを簡単に探し出せないという問題です。関係がありそうなデータを大量に入手したものの、その取捨選択に時間と手間を要するようであれば本末転倒で、むしろ業務の妨げになるかもしれません。
また、データが社内のさまざまなシステムに分散しているという問題もあります。デジタル化が進められた昨今の企業では、多くのシステムが運用されています。データが全社的に未整理の状態であれば、ある顧客に関する情報が複数の業務システムに点在していることになり、すべての情報をつなげて見ることが難しくなります。実際の業務では、いざ検索しようとしても、点在している情報をつなげるためのキーワードがわからなかったり、情報が業務システムごとに異なるIDで登録されていたりするケースもあり、せっかくのナレッジを活用できないという話はよく聞きます。
データが各部門・システムごとに閉じているケースも見られます。いわゆるサイロ化の状態です。こうなるとナレッジが孤立していることになり、部門や業務を横断してナレッジを活用することはほぼ不可能になります。
ナレッジ共有を成功させるために必要なこと
それでは、ナレッジ共有を成功させるための秘けつは何でしょうか。
まずは担当者を設けることです。いきなり「ナレッジ共有を進めましょう」と言っても、社員にうまく伝わらない可能性があります。そのため、ナレッジ共有の意義やメリットをきちんと理解している専任担当者を選定し、取り組みをけん引させることで、ナレッジ共有は格段に進みやすくなります。また、社内の膨大な情報の中には、ビジネスに役立つナレッジとはいえず、わざわざ共有するまでもない情報も少なからずあります。このため専任担当者のリードのもと、ナレッジ共有の範囲をあらかじめ定めておくことも大切です。
続いて、会社全体に浸透させていくことが必要になります。ナレッジ共有の目的を特定部門だけが理解していても、組織全体でのナレッジ共有は進まず、効果を享受できません。そのため、例えば、経営層から全社員にナレッジ共有の目的を説明するなど、会社全体でナレッジ共有に本気で取り組む姿勢を見せることが必要になってくるでしょう。
そして、いざナレッジ共有を実現するにあたっては、文書管理やファイル検索を効果的に行える共有ツールの導入が有効です。紙資料やファイルのやり取りでは、せっかくのデータも活用しづらいですし、紙資料の内容を業務システムに転記する作業でミスが発生する可能性もあるため、正確な情報共有の障害ともなりかねません。また、業務・部門横断でナレッジを活用できるように、データを整理したうえで共有する必要があります。やはりここは専用の共有ツールを導入するのが得策だといえます。
まとめ
企業活動で日々生成されるデータは多様化し、増大の一途をたどっています。そのため、社内に分散する情報の中から業務に直接役立つ知識はもちろん、新たなインサイトをいち早く見つけられる環境を構築することが、これからのビジネスを成功させるうえで絶対条件となっています。組織が保有するナレッジを効率的かつセキュアに共有するため、散在する文書を一元管理し、高度な検索機能も備えた「活文 業務プロセスデジタル化ソリューション」を活用してみてはいかがでしょうか。
(注記)
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