自然言語処理AIのソリューション導入でできることとは?
企業のテキストデータ活用を高度化
AI(Artificial Intelligence)の活用が、さまざまな分野でスタートしています。ビジネスの世界も例外ではなく、テキストデータに代表される膨大なデータを分析して、業務効率化・標準化やマーケティングなど多様な用途に役立てようという動きが見え始めました。この進化を後押ししているのが「自然言語処理」です。今回は自然言語処理技術と、それを活用したビジネスソリューションを見ていきます。
自然言語処理(NLP)とは
自然言語とは、人が日常的に使用する言葉のことです。言い換えるなら、日本語、英語、フランス語、中国語といった、暮らしのなかでコミュニケーションのために話したり書いたりしている言語のことをいいます。
自然言語があるということは、その反対の概念として人工言語もあります。人工言語はコンピュータ言語や数式などのことで、極めて厳密な文法が存在しているため、意味が曖昧になることはありません。「1+1=2」は常に「1+1=2」であり、プログラミングで記述された文も人によって理解が変わることはないわけです。
それに対して自然言語は、人それぞれに異なる解釈が存在します。簡単な例ですが、「やまはたかい」という文章の場合、それは山の標高が高いのか、湿度が高いのか、あるいは土地の価格や施設建設の難易度が高いのか、この文章だけでは判断できません。しかし前後に別の文章があったり、その文章が出てくる背景がわかっていたりすれば、日本語に慣れている人ならおそらく誤解なく解釈できるはずです。
実はコンピュータは、こうした曖昧な自然言語の理解を苦手としています。つまり、文字列を機械的に処理することはできても、意味を読み取ったうえでの処理には限界がありました。ひらがなで入力した文章を変換する際、同音異義語が選択される、文節を切る箇所が適切でない、といった経験はほとんどの人がしていることでしょう。そのため、企業に蓄積された書類、資料といった大量のテキストデータをコンピュータ上で存分に活用することも、これまでには難しい面があったのです。
ですが近年、AIを使って自然言語を処理する技術が急速に進化してきました。その技術のことを「自然言語処理(NLP:Natural Language Processing)」といいます。
自然言語処理の仕組み
自然言語処理は、どういった仕組みで行われるのでしょうか。その流れを見ていきます。
まず、書き言葉の書籍情報や関連情報を機械が読める形に置き換えた通信規格「機械可読目録」と、新聞・書籍・雑誌などに書かれた文章や話し言葉をテキスト化した文章を大量に集めて使用方法を記録した「コーパス」を事前に準備します。
そしてこの機械可読目録とコーパスを用い、文章を意味のある最小単位に切り分けて言語理解に必要な情報を割り当てる「形態素解析」、言語の特性を踏まえて正しく理解するために構造を解析する「構文解析」、辞書に基づいて正しい意味に解釈するための「意味解析」、複数の文章に形態素解析と意味解析を行って関係性を解析する「文脈解析」の4つの工程で処理を行います。こうした工程を経て、自然言語の文章はコンピュータが理解できる機械言語へと変換され、データとして活用できるようになります。
前述のように、コンピュータは自然言語の理解を苦手としていたため、これまで意味解析や文脈解析は難易度が高いものでした。意味解析や文脈解析を行うには、あらかじめ大量のデータをAIなどのコンピュータプログラムに学習させなければなりません。そこで大量のデータをコンピュータに読み込ませ、そこからパターンを学習させる「機械学習」が必要になります。
そのうえで、意味解析には質の高い「教師データ」が必要です。教師データとはAIが機械学習に利用するデータのことで、例題とその答えをペアで用意し、AIに学習させていきます(これを「教師あり学習」といいます。対して、答えを与えずに学習させる「教師なし学習」という手法もあります)。
一方、より難易度の高い文脈解析には、文脈による表現や文同士の関係性を解析するため、文章に関するより高度な知識を学習させる必要があります。これについては機械学習の手法の進化、および人間の神経細胞に似たニューラルネットワークを取り入れてAI自身が自律的に学習を進めていく「ディープラーニング」(深層学習)の研究が進んだ結果、これまでより簡単に行えるようになりました。
こうした進化を受け、新しい自然言語処理技術が次々と登場したことで、ビジネスに活用できる高度な自然言語処理が現実のものとなってきたのです。OpenAI社のAIチャットボット「ChatGPT」をはじめとする革新的なAIサービスも、このような背景から生まれてきました。
自然言語処理でできること
自然言語処理が実用化されたことで、ビジネスシーンではどのような活用が可能になるのでしょうか。これまで見てきたように大量のテキストデータの解析をはじめ、あいまい検索、自動翻訳、対話型チャットボットやFAQデータの作成などさまざまな活用方法が考えられますが、ここではテキストデータの解析を例に説明します。
企業・組織には、書類としてまとめられた膨大な資料や、ビジネスを行うなかで作られた記録など、膨大な量のテキストデータが存在します。以前は、そういった膨大なデータを人間の力だけで分類・分析することは、人的リソースやコストなどの制約もあり非常に難しい作業でした。
そこに自然言語処理、すなわち普段使っている書き言葉や話し言葉をそのまま扱える技術を導入することで、人間の手作業では対応に限界のある大量かつ自然言語で記されたテキストデータから、たとえばユーザーのニーズやマーケットで注目のキーワードを分析し、有益なインサイトを得ることもできるようになるわけです。そのほか、分析・解析を機械に任せることで人的リソースの関与を減らし、業務の効率化や働く時間の削減、より価値の高い業務への割り当てなども実現できます。
自然言語処理を企業で活用するために
では、企業はどのような業務で自然言語処理を活用していけばよいのでしょうか?
自然言語処理を活用して、カスタマーサポートで顧客から問い合わせフォームに送られてきた苦情の内容や、製品の品質・不具合に関する膨大な情報を自動的に分類できるようにすれば、分類に要する作業工数が大きく減るうえ、分類精度の均一化も実現できます。くわえて、苦情や不具合対応などの標準化を追求し、結果的に顧客満足度の向上にもつながります。
しかし、自然言語処理を業務へ適用するためのシステム開発は、専門的な知識が必要になるため、難易度が高いと考えていらっしゃるのではないでしょうか。
日立ソリューションズが提供する「活文 知的情報マイニング」は、最新の自然言語処理AIによって高精度・高効率のテキスト分類やテキストデータの分析を実現する製品です。「活文 知的情報マイニング」を導入すれば、企業に日々蓄積される大量の自然言語のテキストを分類・分析し、ナレッジとして全社で共有・活用できるようになります。
まとめ
「活文 知的情報マイニング」は、自然言語処理AIでテキストデータを高精度に分析し、ナレッジとしての共有・活用をサポートするための機能を備えています。このソリューションを導入することで、最新の技術に基づく自然言語処理のアドバンテージを企業で享受することも可能になります。
自然言語処理という技術自体がいま、日常生活で使う多種多様なシステムに組み込まれ、長足の進歩を遂げている状況です。つまり、今後は技術のさらなる発展によって、利便性が高まっていくはもちろん、活用できるシーンも大きく広がっていくでしょう。そうした可能性を秘めた技術をいち早く活用できる「活文 知的情報マイニング」に、注目してみてはいかがでしょうか。
(注記)
- ※「活文」は、株式会社日立ソリューションズの登録商標です。
- ※その他 記載の会社名、商品名は各社の商標、または登録商標です。
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