生成AIは、「ジェネレーティブAI」とも呼ばれるAIの一種で、コンピュータが学習した情報をもとに、自らテキストや画像などのコンテンツを生成することができるものです。

従来のAIは、極論すれば「学習した大量のデータの中から求められている答えを見つけ出す」ことが、機能として実現しているものでした。入力された情報に対して適切な答えを予測したり、複数の対象から条件に合致したものを判定したりと、学習したデータをもとに正解を導き出すことを得意としていたのです。その一方で、何もないところから新しいコンテンツを生成する、つまり“0”から“1”を生み出すことはできませんでした。

それに対して生成AIは、もちろんAI自体が学習するためのデータは必要ですが、データそのものというよりはデータの構造や特徴、パターン、関係性などを学習していきます。それによって、生成AIでは求められているものと同じような特性を持つオリジナルコンテンツの生成、すなわち従来のAIにはできなかった“0”から“1”を生み出すクリエイティブな作業が可能になりました。

生成AIで生成できるのは、文章（テキスト）に始まり、画像（絵画）、動画、音声（音楽）、さらにはプログラミングのコードまで、実にさまざまなコンテンツです。それぞれのコンテンツを生成できる「テキスト生成AI」「画像生成AI」「動画生成AI」「音声生成AI」など多種多様な生成AIがすでに存在しています。OpenAI社が開発した「ChatGPT」は、「GPT（Generative Pre-trained Transformer）」という自然言語処理の生成モデルを採用した代表的なテキスト生成AIです。

生成AIの基本的な使い方としては、質問や指示をテキストで入力し、AIがそのテキストを解析して、質問や指示に沿った特徴を持つ文章・画像・動画などを作り上げます。例えば、テキスト生成AIで質問を入力すれば、AIがその内容に適切な回答を含む文章を生成して返してくれるのです。

画像や動画を生成したい場合は、画像生成AIや動画生成AIに作りたいイメージをテキストで入力することで、AIがそれまでに学習したデータをベースに、パターンや構造上の特性がイメージとマッチした写真・絵画やビデオ作品を新たに生み出します。このほか、テキストではなく画像を入力し、それをもとに新たな画像を生成するAIや、入力した音声データから文字起こしをテキストで生成するAI、新たな音声を生成するAIなども存在します。

生成AIはどのようにしてコンテンツを生み出しているのでしょうか。ここではテキスト生成AIを例に見ていきます。

テキスト生成AIは、Web上で学習した大量のテキストデータをもとに、入力された質問や指示のテキストに対して特徴が合致する関連性の高い情報を抽出。そこからオリジナルな回答を作り出して文章を生成し、ユーザーに提示します。AIのモデルとしては機械学習の一種である「ディープラーニング」（深層学習）の手法が活用されています。人間の神経細胞に似たニューラルネットワークを取り入れたディープラーニングの手法を用いて自己学習し、自然言語（日常的に使う話し言葉や書き言葉）の多様な表現や複雑な文脈も高度に解釈して、それをもとに新しい答え（コンテンツ）を創造するのです。

生成AIはここまで見てきたように、学習した情報をベースに自ら“新しいコンテンツ”を生み出せるのが大きな強みです。この強みを生かして、ビジネスシーンにおいてもさまざまな活用方法が考えられます。

ビジネスにおける活用の場面としては、まず定型的な業務の効率化をサポートする使い方が想定されます。

例えば、問い合わせ対応などに使用されるチャットボットでは、ユーザーのあいまいな質問に対しても精度が高く自然な回答ができるようにと生成AIの活用が始まっています。業務で調べたいことがある場合も、社内に蓄積されたデータに対して生成AIを使うことができれば、調べたい情報を自然言語の質問によって簡単に抽出し、得られるようになります。

くわえて、まとまった分量のオリジナルコンテンツを生み出せるのが生成AIの大きな強みであるため、生成AIに何らかのキーワードを入力したり、「〇〇をテーマにした文章を作ってほしい」とリクエストしたりすることで、手間のかかるレポートの作成を生成AIに任せることができます。

文章の要約も生成AIが得意とするところです。生成AIによって長文の文章であっても簡単に要約でき、会議の資料なども手軽に作成できます。そのほか、会議の音声を手作業で文字起こしして議事録を作成するのは大変な作業ですが、生成AIを使って会議音声を文字起こしすれば、そのような手間も劇的に軽減されるでしょう。

このようなビジネスにおける日常シーンで生成AIを活用すれば、さまざまな業務を効率化でき、作業負荷の削減と、それによって生まれた時間をほかの生産的な業務に生かすことが可能になります。さらに、何らかのアイデアを創出する場合や、過去のデータをもとにマーケティングの戦略を立案したい場合などにも、生成AIを上手に活用することでビジネスにインパクトをもたらすことができるようになります。

このように、生成AIはビジネスシーンでの大きな可能性を秘めていますが、生成AIを活用して成果を出すには、生成AIが利用するための社内データを適切に蓄積することが必須です。

多くの企業では業務データやナレッジが社内に分散し、部門ごとに縦割りでサイロ化された状況に課題を感じていることでしょう。あるいはそもそも知識やノウハウ、スキル、経験が形式知になっておらず、個人の中にある暗黙知にとどまっているため、全社横断でナレッジとして共有し、利用できる状態になっていないというケースもよく聞きます。

まずはそうしたデータやドキュメントを一元管理し、生成AIが利用できるようにすることが第一歩となります。日立ソリューションズの「活文 業務プロセスデジタル化ソリューション」は、そうした課題の解決をサポートします。「活文 業務プロセスデジタル化ソリューション」を導入することで、各部門に蓄積されたナレッジや業務データを横断的に管理し、瞬時に共有・検索できるようになります。

「活文 業務プロセスデジタル化ソリューション」によって社内データを一元的に蓄積・管理しておけば、そのデータを生成AIで存分に活用し、さまざまなビジネス課題の解決につなげることが可能になるでしょう。

生成AIは、上手に活用できれば、ビジネスをよりスムーズに行える状況づくりに役立てられることは間違いありません。今回見てきたこと以外にも、生成AIは多彩な可能性を秘めていますし、生成AIをめぐる技術も日々発展を続けているので、これまで想像もできなかった活用方法が明日には生まれているかもしれません。そうした状況になったとき、AI活用を進めたいタイミングで即座に対応できるように、まずは社内のデータを一元管理し、全社で共有できるようにしておくことが大切です。

（注記）

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