人事総合ソリューション リシテア シリーズの導入事例
公益財団法人 がん研究会様日立ソリューションズと日立ソリューションズバリュー (現 株式会社日立ソリューションズ・クリエイト)で連携し、多様な勤務体系と雇用形態が混在する医療機関ならではの課題を解決。
「がん克服をもって人類の福祉に貢献する」を基本理念とし、体系的がん研究と先進的がん医療の推進に取り組む 公益財団法人 がん研究会。
今回の「従業員フロントソリューション リシテアシリーズ」導入は、専門職の集まりであるため、多様な勤務体系と雇用形態が混在している医療機関ならではの環境に適用させた事例です。
この事例に関するソリューション・商品
従来からの課題
看護職はナーススケジューラ、他の職員は勤務表を用いた紙ベースの管理。
中村 隆子 氏
がん研究会では、現所在地に移転した2005年、電子カルテ、人事システム、給与計算システムなどを導入してIT化を推進。しかし、勤務管理については、勤務体系が複雑な看護職を対象としたナーススケジューラ※(看護師勤務管理支援システム)が導入されたものの、他の職員については、勤務表を用いた紙ベースの管理を行っていました。
勤務表による管理の具体的な流れは、以下の通りです。
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■職員(看護職を除く約1,000名)
- 人事部が、毎月、個人名と所属部署を記載した勤務表を印刷して、各部署に送付。
- 各部署の職員が、勤務表に手書きで記入し、月初に前月分の勤務表を人事部へ提出。
- 人事部が、勤務表の内容を目視でチェックしながら、1ヵ月分の時間外勤務と当直出勤などを手作業で集計。
- 1ヵ月分の勤務情報を給与計算システムに手作業で入力。
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■看護職(約700名)
- 看護部が、ナーススケジューラに入力された情報を勤務表に印刷して人事部に提出。
- 人事部が、ナーススケジューラから時間外データを抽出して人事給与システムにインプットするが、それ以外の当直や夜勤などの各種手当については、目視でピックアップして手作業で計算。
- 1ヵ月分の勤務情報を給与計算システムに手作業で入力。 こうした仕組みの中、様々な面で、問題が起こっていました。
- 各職員の勤務表記入段階で、人為的なミスが頻発。
一部の部署や、秘書のいる役員などを除き、内部チェックが十分でない部署が多かったため、勤務表の不備が増大。記入漏れ、誤った記載、計算ミスなどが、頻発していました。 - 人事部のチェック・計算・入力段階で、訂正作業が増大。
集められた勤務表に不備が多かったため、人事部で行う訂正作業が増大。また、もともと時間外勤務や休日出勤などのルールが職種ごと、雇用形態ごとにあり、それぞれが複雑であったため、業務が煩雑化。これらをすべて手作業で、限られた期間内にこなさなければならないため、ミスを誘発する要因となっていました。 - 各部署の所属長や秘書の検算・検証が大変。
スタッフを管理する所属長や検算する秘書にとっては、月ごとの検算・検証が大きな負担。一部の部署では、独自に、スタッフが入力すれば自動計算できるシートをExcelを作成・利用するなどの取り組みはあったものの、有給休暇の残日数などは、把握しづらい状況になっていました。
「人事部として一番深刻に捉えていたのは、ミスによる支払給与の間違いでした。また、その修正対応に多くの時間をとられ、人事部としてやるべき制度の見直し・整備などに、手をつけられない状態になっていました」(中村氏)
こうした状況を危惧する声が上がり始め、2009年頃から、解決に向けて取り組むことになりました。
※ナーススケジューラは、看護師・介護師など、看護業務の管理、看護師の勤務管理を支援することを目的とした富士通株式会社の製品です。病院向けのさまざまな他のシステムとの連携実績があります。
選定のプロセス
信頼関係、協力関係を築く姿勢を評価し、リシテアを選定。
小暮 昌孝 氏
まず、解決策となるシステムの選定を開始しました。Webで情報を収集し、6~7製品をピックアップ。そこから、機能、操作性、導入実績、コストパフォーマンスを重視して、3製品に絞り込みました。各ベンダからプレゼンテーションを受け、ユーザ先を訪問し、利用状況を視察しました。
「各製品の比較は、◎○△などで記載するチェックシートで評価し、検討していきました。視察では、ユーザさんの本音を知りたかったので、ベンダの方に席を外していただき、直接話を伺う場を設けてもらいました」(小暮氏)
こうしたプロセスを経て、役員や実際に利用する職員に向けたプレゼンテーションを実施。関係者やプレゼンテーションを見た方々の評価なども踏まえ総合的に判断。その結果、選定されたのが日立ソリューションズのリシテアでした。
「人事部は、リシテアを推していました。見やすく、使いやすいので、評判が良かったですね。また、他の製品は、私たちが自ら作りこみを行う必要があることもネックでした」(児玉氏)
「リシテアを推したもう一つの理由は、信頼関係、協力関係を築けそうな印象を与えてくれたことですね。日々の業務に追われている私たちの事情を理解し、親身になって助けてくれるベンダさんであること。構築・導入が済めば終わりというわけではなく、システムを使っている限り、お付き合いは続くわけですから、営業の方も、SEの方も、信頼できる人たちであること。そうでないと、やっていけないだろうと考えていました。実は、これが、私たちの最大の要望であり、リシテアを推した最大の理由です」(岸氏)
導入時の取り組み
既存の就業規程・給与規程等の見直し・整理から着手。
児玉 百合子 氏
日立ソリューションズでは、プレゼンテーションの段階から、医療機関へのリシテア導入について、経験・ノウハウが豊富な日立ソリューションズバリューのSEを加えたプロジェクトチームを編成。選定後は、そのまま構築プロセスへと移行していきました。
最初に着手したのは、既存の就業規程・給与規程等の見直し・整理。がん研究会は、医師、看護師、看護助手、診療放射線技師、臨床検査技師、薬剤師、栄養士、調理師、医療事務、研究者…といった専門職の集まりであるため、いろいろな勤務体系が存在し、雇用形態も多岐に渡ります。また、給与や手当の計算方法についても、金額だけでなく、代休日数のカウント方法など、職種によって、あるいは日にちによっても異なります。これらをすべてSEがヒアリングし、明確化していきました。
「これまでは、ひとりの担当者が一手に引き受けて、自分の中で処理して…という感じでしたので、この機会にすべてを明らかにしていきました。後から思い出して訂正を入れることもあり、SEの方は大変だったと思います」(中村氏)
こうした取り組みを経ながら、システム構築を推進。結果的に、既存の就業規程・給与規程等を整理し、変更することなく、リシテアに適用することができました。
また、併せてナーススケジューラとの連携の仕組みも構築。
「ナーススケジューラについては、がん研究会独自のカスタマイズを入れていたこともあり、いろいろな事象が出て、SEの方々は苦労されたようです。他の部署より時間がかかりましたが、データを連携できるようになりましたので、良かったです」(中村氏)
導入後の効果
各所の問題を解決し、副次的な効果も発揮。
松丸 貴裕 氏
リシテア導入により、各所で発生していた従来の問題が解決されました。
- 勤務表がなくなったため、各職員の人為的なミスが激減。
記入漏れ、誤った記載、計算ミスなどは、システムで自動的にチェックされるため、大きく削減されました。 - 人為的ミスが減ったことで、各職員の負担が軽減。
勤務表の人為的なミスが激減したことで、その後の訂正作業はほとんど不要に。人事部ひとりあたりの残業時間は、導入前に比べ多い月で1ヵ月に一人20~30時間削減されました。 - タイムリーかつ一元的な勤務情報管理を実現。
勤務状況や有給休暇取得状況などの把握が容易になりました。
また、これらの問題解決により、副次的な効果も現れました。
- 就業規則の運用の把握。 「職場では、それぞれの部署が独自の判断で就業規則の一部(始業・終業時間など)を運用しており、人事部への報告が事後になるケースが数多くありました。しかし、リシテア導入後は、システムを扱う人事部でなければ設定を変えられないため、事前の相談・報告が行われるようになりました」(松丸氏)
- 人事部として取り組むべき課題を明確化。
「就業規則の無断運用などは、36協定を含めた労働基準法への理解不足が根本にあるんですね。だからこそ、人事部としては、きちんと理解してもらい、遵守してもらうよう働きかけなければなりません。そのために、取り組むべき課題はたくさんあります。今回は、それを明確にする良い機会になりました」(中村氏)
リシテア導入は、自治体による監査の際にも、効果を発揮しました。
「従来の紙ベースでの管理では、勤務表を見せるだけでしたが、勤務管理をどのようにしているかについてはリシテアの画面を見せながら簡単に仕組みを説明することができました。印刷には少し時間がかかりましたが、以前の手書きに比べ見やすく、見栄えも良くなったと思います」(中村氏)
今後の展望
リシテアで業務効率化を、人事部は人でなければできないことを。
今後は、操作性をさらに高めるため、画面デザインの微修正などを予定しています。
「人事部としては、リシテアをうまく活用することで、日常的な業務の効率化をさらに推進していきます。そして、私たちは人でなければできないこと、つまりは、人対人の仕事、規程を作る・改定する、経営的な部分で今後の方向性を考える…といったところに注力していきたいと考えています」(中村氏)
「おかげさまで勤務情報管理が、正確かつ迅速になりました。ありがたいと思っており、本当に高く評価しています。病院という特殊な業態で、しかも当院ならではの事情もありましたので、いろいろとご苦労されたと思いますが、よくご対応いただいたと感じています。今後もご苦労かけると思いますが、よろしくお願いします」(小暮氏)
私たちが担当しました
「テーマは業務改革。」
当会様は、勤務管理を始め、様々な問題を抱えており、規程の見直しや業務そのものの見直しなどを検討されていました。その見直しの第一歩として、勤務管理システムの導入となり、就業規則・勤務管理業務にメスが入ることになりました。
システム導入のはじめ、規程として纏まったものが見当たらないという問題があり、現場からの情報収集から着手していただくこととなりましたが、現行の勤務管理業務に月の半分ぐらいを要する状況下でシステム導入に望まれた当会様の本システム導入にかける覚悟は並大抵のものではありませんでした。
我々もそれに応えるべく、現行業務の分析では、担当の方による業務過多を感じれば、それに関して率直に改善事項として申し上げ、担当の方の意識改善も促すなど、改革路線を意識してシステム導入を進めました。
システム導入期間中に規程の改定が何度かあり、当会様はもちろん、我々も苦労しましたが、都度、柔軟に対応し、無事、当初の本稼働予定を迎えることができました。
当会様と苦労を分かちあい、協力して作り上げたシステムだと実感しています。
今後も、期待以上に応えられるよう、技術力・営業力の向上を図り、一緒に成長していきたいと思います。
株式会社日立ソリューションズバリュー(写真左から)
プロジェクトリーダー 井上 和哉
開発リーダー 尹 沃棠
プロジェクトマネージャー 渡辺 生海
サブリーダー 大貫 雄
株式会社日立ソリューションズ
チャネルビジネス営業本部 営業第3部 中沢 礼
公益財団法人 がん研究会[Japanese Foundation for Cancer Research]
100年以上の歴史を誇る、日本最初のがん専門機関です。 昭和9年、研究所と附属病院を設置し、本格的な研究を開始。以来、基礎研究と臨床研究が一体となった活動により、日本のがん研究と診療をリードしてきました。
近年の研究所の研究活動はめざましいものがあり、先に米国の科学専門誌「サイエンス」が行った"日本の科学"と題する特集において、生物科学の分野で世界的にトップのレベルにあるとの評価を得ています。有明病院では、優れた医療スタッフや先進の医療機器をそろえ、がん及び関連疾患の診断や治療に優秀な成績を挙げると共に、研究所と連携した臨床研究によって、新しい治療法の開発などに意欲的に取り組んでいます。
本社所在地 | 東京都江東区有明3-8-31 | |
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創立 | 1908(明治41)年4月2日 | |
理事長(代表理事) | 草刈 隆郎 | |
職員数 | 1,700名 | |
事業内容 | 1. がんその他の腫瘍に関する基礎から臨床までの体系的研究 2. がんその他の腫瘍に関する先進的な医療の推進 他 |
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URL | http://www.jfcr.or.jp/ |
株式会社日立ソリューションズバリュー (現 株式会社日立ソリューションズ・クリエイト)
日立ソリューションズバリューでは、お客様が抱える問題の本質を見極め、具体的な解決策を提供するソリューションプロバイダとして、金融・公共・社会・製造・流通などあらゆる分野でシステム開発・構築を中心に事業を展開しています。
本社所在地 | 〒140-0013 東京都品川区南大井6-21-12 (大森プライムビル5階) |
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設立 | 1986年11月21日 |
代表者 | 取締役社長 橋本 順治 |
従業員数 | 875人(2012年4月現在) |
事業内容 | 1. コンピュータシステムに係るシステムエンジニアリング及び運用・保守 2. コンピュータシステムに係るソフトウェアの開発及び販売・保守 3. コンピュータシステムに関る関連機器・関連ソフトウェアの販売・保守 |
URL | http://www.hitachi-solutions-create.co.jp/ |
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本事例の内容は2012年9月28日公開当時のものです。
最終更新日:2012年9月28日