人事総合ソリューション リシテア シリーズの導入事例
清水建設株式会社様約11,000名の利用規模で、建設業界特有、清水建設ならではの体系・制度をカバー。
創業200年の歴史を誇り、「子どもたちに誇れるしごとを。」というコーポレートメッセージを掲げるスーパーゼネコン、清水建設。
今回の「従業員フロントソリューション リシテアシリーズ」導入は、約11,000名の利用規模で、建設業界特有とも言える多種多様な勤務時間、清水建設ならではの代休制度、海外勤務者350名への適用などを実現した事例です。
この事例に関するソリューション・商品
従来からの課題
手作りに近いシステムで、月々の就業情報が"ぶつ切り"のような状態。
竹内 秀夫 氏
清水建設では、2002年より日立ソリューションズの製品をベースとして独自開発したワークフロー系のシステムで勤怠管理を実施していました。もともと紙に記入し支店ごとに収集してパンチ入力していた勤怠管理の仕組みを、そのままシステム化したもの。手作りに近いシステムであったため、就業規則や労働基準法が変わると、一つひとつプログラム修正して対応していました。
また、特殊な勤務については、システムとは別に、各種手当を算出するための管理帳票を使用していましたが、それらの内容の照合などにも手間がかかっていました。
「蓄積した月々の就業情報が"ぶつ切り"のような状態でしたので、たとえば1年間の有給休暇の取得日数を見ようとすれば、その都度計算しなければなりませんでした。
そういう面で、従業員やその上司からも、わからないから何とかしてほしいという声も出ていて、常に改善したいと考えていました」(竹内 氏)
そうした頃、これまで使用していたシステムが、サポート終了となることを受け、新しいシステムへの刷新を決定。これを機に、清水建設の就業情報管理システム刷新のプロジェクトがスタートしました。
選定のプロセス
1万人規模で使用できるパッケージ製品と、信用できるベンダを選定。
稲垣 欽之 氏
プロジェクトは、2011年から調査を開始。
まずは、支店の勤怠管理担当者に、旧システムの使い勝手や改善要望などをヒアリング。各種手当との連携や、休暇の残日数管理、リフレッシュ休暇など特別な休暇の対象者の簡便なピックアップ、休暇取得状況の閲覧など、実務に関する様々な要望があがってきました。
また、同時に実施したのが、同業である建設会社、いわゆるスーパーゼネコンと呼ばれる4社へのヒアリング調査です。
「同業のみなさんが、どんな取り組みをし、工夫されているのか、参考にさせていただきました。4社のうち3社が、パッケージ製品の就業管理システムを導入していることなどもわかり、非常に参考になりました」(竹内 氏)
これらの調査をもとに、次の段階として、システムをスクラッチ開発で構築するか、パッケージ製品を適用するかを検討。それぞれのメリット、デメリットを洗い出し、コストや所要期間の面で優れるパッケージ製品を選択することに決まりました。
「次は、どのパッケージ製品を選択するか。まずは、インターネット上で調べたのが最初ですね。あとは普段お付き合いのあるベンダさんからの情報収集。様々な製品が流通していますが、1万人規模の使用に耐えられる就業情報管理システムというものは、実はそんなに多くはないため、かなり早い段階で数製品に絞り込むことができました。そのうちの一つがリシテアでした」(稲垣 氏)
その後、製品を取り扱うベンダ数社に声をかけ、技術や仕様に関する詳細な確認を数ヵ月にわたって実施。
「その結果、選んだのがリシテアであり、日立ソリューションズでした。実は2009年にも、日立ソリューションズからリシテアの導入を勧められていたのですが、ちょっとタイミングが合わなかったこともあり、見送っていたんですね。
数製品に対して機能や使いやすさの適合度、コストや工期などの比較を行いましたが、さらに採用のポイントとしてあげたいのは日立ソリューションズの対応です。
リシテアについて、これはできます、これはカスタマイズになります、これはできますが非常に難しいカスタマイズになります…といったことを明確に示してくれた。そして、実現方法も具体的に提示してくれました。提案内容もしっかりしているし、こちらから投げかけた疑問への回答も早くてわかりやすい。誠実で、信用できると判断し、お願いすることになりました」(稲垣 氏)
「そして、当然と言えば当然なのですが、日立ソリューションズは弊社の制度を理解している。また、リシテアは日立ソリューションズの自社開発パッケージなので細部にわたり熟知している。弊社の体系や規則に適用させていくには、とても重要なポイントだと考えました」(赤木 氏)
導入時の取り組み
独自の代休制度、海外勤務者350名の取り込みを実現。
赤木 和彦 氏
次に取りかかったのは、勤怠管理に関わる業務フローの洗い出しです。
洗い出した一つひとつの業務について、リシテアが持つ機能と照合。そのまま適用できない部分については、どのようにカスタマイズするか、また、カスタマイズしないものについてはどのように運用するかを協議。こうしたフィット&ギャップの調整を、毎週1回半日の時間を取り約3ヵ月にわたって実施していきました。
これにより、清水建設ならではの代休制度、そして数十通りに及ぶ海外現地カレンダーの運用方式を構築することにより、旧システムではカバーできなかった海外勤務者350名への適用を実現していきました。
「最終的には、既存の就業規則などに手を加えることなく、カスタマイズや運用方法の変更により、すべての要件をクリアすることができました」(横山 氏)
「フィット&ギャップの調整は、私個人としては、そう大きな問題を感じることなく、順調に進んでいったという印象ですね。こういうこともできるんだとパッケージ製品の良さを実感しましたし、日立ソリューションズさんの経験・実績によるさまざまな機能が備えられているので、進捗を安心して見守っていました」(竹内 氏)
「細部の調整にあたった人たちは、やるべきことが多くて大変だったと報告を受けていましたが(笑)」(赤木 氏)
プロジェクトは順調に進み、カットオーバーを目前に控え、ユーザサイドの準備態勢を取ることになりました。
まずは人事スタッフを集めて、説明会を実施。次に、各支店の勤怠管理担当者を集めて、説明会を実施。その後、各部門ごとに説明会を行い、各従業員が自由に使える練習環境を用意しました。
こうした準備作業の中で、特にユニークな取り組みとなったのが、清水建設 情報システム部がリシテアの基本的な操作方法について独自に作成した、短時間で理解度を高めるeラーニングです。
「約10分のeラーニングを見れば、ある程度システムを使えるというものを作成し、展開しました。国内勤務者用、海外勤務者用、承認者用の3タイプを用意しました」(西岡 氏)
こうした取り組みを経て、新しい就業情報管理システム リシテアは、当初の予定通り利用者約11,000名(海外勤務者350名含む)を対象に一斉に稼働を開始。
「運用開始の直後は、各支店人事にかなり問い合せがありましたが、それも最初の1か月だけ。翌月から、問い合わせなどは激減しました」(稲垣 氏)
導入後の効果
入力段階で自動チェックされ、間違いなどが起こらない仕組みに。
西岡 直輝 氏
リシテア導入により、従来かかっていた手間がなくなる等、勤怠管理担当者の業務効率化が図られました。
「旧システムでは、入力した就業情報のチェック機能が弱かったため、法令や就業規則に則しているか、抜けや漏れがないか、すべて目視で確認していました。それがリシテアでは、あらかじめ情報やルールが設定されているため、入力段階で自動的にチェックされ、間違いなどが起こらなくなりました。そういった手間がなくなったのは、非常に大きいですね。」(横山 氏)
リシテア導入とともに刷新したサーバ環境も安定的に稼動。
「旧システムのAPサーバは4台構成でした。リシテア導入時、SEの方に現状の処理ピークの情報を提供し、利用者約11,000名でアクセスの集中も予想されますが、サーバは何台必要ですか? と尋ねたら2台で絶対大丈夫ですと言い切ってくれた。結果的には何の問題もなく、ピーク時も安定稼動しています」(稲垣 氏)
また、清水建設は、リシテア運用に有効なサービスプログラムについても高く評価。
「設定変更など、ちょっと手を加えたい時に役立っています。以前はソース変更のたび、費用が発生していたような部分まで、カバーしていますから助かっています」(西岡 氏)
「その変更はサービスプログラムでできます…という言葉を、私たちは"魔法の回答"と呼んでいます(笑)」(稲垣 氏)
今後の展望
新しい勤務パターン、半日代休などの新しい制度も、積極的に導入。
横山 智之 氏
清水建設としては、今回のリシテア導入を、労働環境や人事制度のさらなる充実の契機と位置づけています。
「リシテアにより、勤務体系や就業規則の変更に、柔軟に対応できるようになりました。これからは、新しい勤務パターン、半日代休などの新しい制度も、積極的に導入していきたいと考えています。
また、上司が部下の勤務状況を常に確認し、把握できるようになりましたので、休日の取得をもっと増やして、総労働時間をできるだけ短くしていきたいですね」(竹内 氏)
「今後は、勤怠管理担当者にヒアリングをして、意見や要望を吸い上げ、優先順位をつけながら、リシテアをさらに使いやすいシステムへと育てていきたいと考えています」(横山 氏)
「そのために、日立ソリューションズには、今後も継続して協力していただきたい。一緒に取り組んでいただきたいと思います」(赤木 氏)
「弊社は建設会社で、建物をつくり、お客様に提供することを生業としています。我々は数多くのビルを建てていますから、それは当たり前なんですね。でもお客様からしてみれば、たとえば会社の本社ビルを立て替えることなどは、ビッグプロジェクトです。数十年に1回という一大イベントなわけで、背景にはさまざまなドラマがあります。
この就業情報管理システムの刷新も、我が社にとっては、そんなビッグプロジェクトでした。ITベンダさんにしてみればOne of Themかもしれませんけど、我々にしてみれば相当大きなイベントで、いろいろ考えながら取り組んできました。日立ソリューションズには、そういったところに寄り添って、真摯に取り組んでいただいたと思っています。今後も、きっと寄り添っていただけるでしょう。これまでと変わらぬ対応をお願いしたいと思っています」(竹内 氏)
清水建設株式会社[SHIMIZU CORPORATION]
1804年に開業し、200年を超える歴史を誇る清水建設。「誠実に、お客様に満足いただける良いものをつくる。そのうえで健全な成長を確かなものにする」という姿勢は、ゆるぎない原点です。
ただ「建造物」をつくりあげるだけでなく、その「建造物」を利用し、生活する人々がいつまでも幸せであるような空間を創出していくこと。そして、地球環境や社会のあり方に大きな影響を与える「建設業」を行うものとして、次の世代の人々に責任ある事業を推進していくこと。それが、清水建設の使命。コーポレートメッセージ「子どもたちに誇れるしごとを。」には、そんな決意と意思が込められています。
本社所在地 | 東京都中央区京橋2-16-1 | |
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創業 | 1804年(文化元年) | |
従業員数 | 10,975名(2014年4月1日時点) | |
事業内容 | 建築・土木等建設工事の請負(総合建設業) | |
URL | http://www.shimz.co.jp/ |
パートナー企業プロフィール
株式会社トータルオフィスパートナー[Total Office Partner]
清水建設の人事、総務、広報のシェアードサービス企業です。今回の就業情報管理システム刷新においても、清水建設人事部と連携し、広範囲にわたる重要な役割を担っています。
本社所在地 | 東京都中央区京橋2-16-1 |
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事業内容 | ビル管理業務、広報広告業務、事務代行業務 |
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本事例の内容は2014年10月6日公開当時のものです。
最終更新日:2014年10月6日