人事総合ソリューション リシテア/人財戦略の導入事例
パナソニック株式会社様パナソニックの経営に貢献する調達人材の育成を加速
創業者である松下幸之助氏が定めた「経営の根幹は人なり」を社是に掲げる総合エレクトロニクスメーカーのパナソニック。
調達人材の育成を強化するため、人材情報管理の効率化が求められていました。
社内カンパニーのグローバル調達社は、日立ソリューションズの「リシテア/人財戦略(以下、リシテア)」を導入して人材情報をデータベース化。
人材育成へ直結する人材管理システムを構築しました。
この事例に関するソリューション・商品
従来からの課題
全社横断で「調達改革」を推進、人材育成業務のシステム化が急務
廣田 哲理 氏
パナソニックは、家庭用電子機器から電化製品、FA機器・情報通信機器、住宅関連機器、車載向け製品・エナジー製品機器まで、幅広い分野の生産・販売・サービスを4つのカンパニーの下で事業展開しています。
その中で重要性を増しているのが、調達業務です。同社の調達部門が扱う年間調達金額は数兆円規模を占めており、経営に与えるインパクトは極めて大きいものです。言い換えると調達部門が優れた成果を上げることで、企業の経営状況に大きく貢献できます。
同社では2015年から調達部門の改革を行ってきました。同年、実行組織として新たに設立されたのが、社内カンパニーであるグローバル調達社です。
「グローバル調達社は、各カンパニーで分散していた部品や資材の調達業務を一元化して、調達コストを低減させます。また、在庫の削減、重複業務の効率化も求められていました。それまでカンパニー別に行われていた人材育成を横断的に行うことで、調達業務の知見の底上げにつなげ、優秀な人材の活躍の場を一層広げるメリットも期待されていました」(廣田氏)
パナソニックでは国内約2,200人、中国、アジア、欧米、中南米などの拠点で約2,400人の人材が調達部門で業務に携わっています。グローバル調達社の調達人材育成部では、こうした人材を対象に、調達人材育成プログラムを提供していました。
「受講者数が年々増え、カンパニーの枠を越えた受講生同士の自主的な情報交換が活発になる中で、私たち調達人材育成部では、さらなる研修内容の充実に力点を置きたいと考えていました。そのため統一されたシステムを活用して事務作業を効率化する必要がありました」(川口氏)
導入の経緯
稼働までのスピード感を重視、リクエスト実現の対応力が決め手
川口 貴嗣 氏
グローバル調達社では、調達人材育成の全体設計を行う中で、めざすべきゴールの一つとして「調達社員のデータベース化」を掲げていました。どのプログラムを受講したかという研修運営管理にとどまらず、社員のスキルもチェック。「この案件に対応する知見やスキルを備えた社員は組織に何人いるか」「個人個人のキャリアや所属を一覧表示したい」といった人材検索を可能にするデータベースです。将来的には、「こういう要件を備えた人材が必要だが、それにはこの人材がマッチしている」といったタレントマネジメントも行いたいと考えていました。
「また、研修を受けた受講者の声をフィードバックし、研修内容のさらなる充実に注力したいという思いもあり、人材情報管理のシステム化の検討を開始しました」(川口氏)
調達部門の改革は同社にとって急務の課題であり、システム立ち上げまでのスピード、開発に投じるコストを重視。短期導入が可能なパッケージ製品の選択を軸に2016年5月から検討を始めました。とはいえ、細かな部分で対応してほしいリクエストが生じる可能性もあります。
海外ベンダーも含めて10製品程度を検討し、製品の操作性や汎用性、業務知識、グローバル展開時の海外拠点の情報管理や留意点のノウハウ、サポートのきめ細かさなどを評価し、日立ソリューションズの「リシテア」を選定しました。
導入時の取り組み
業務フローを徹底的に改善、全社共通の価値観が後押し
「パッケージ導入の利点である開発のスピードを生かすため、『リシテア』のベストプラクティスを取り入れて、当社の業務で変えるところは徹底的に見直し、改善していきました」(川口氏)
基本方針として、多数の企業での採用実績を基に拡充してきた「リシテア」の標準機能に、グローバル調達社の業務を極力合わせるほぼノンカスタマイズでの導入としました。ただ、業務フローのほうが優れていると判断した場合は、柔軟に「リシテア」の機能を調整。タイトな開発期間で本番稼働にこぎ着けました。
従来の業務フローを変えることに対して現場担当者から要望・改善依頼は挙がったものの、人材育成を社是としている全社共通の価値観だったことも、スムーズな導入を可能にしました。人事部門が管理する人材プロフィールや総務部門が持つ連絡先などのデータなど、調達人材育成に必要な情報を結びつけるデータ連携では、グローバル調達社とともに日立ソリューションズも部署間の調整を行いました。
「日立ソリューションズには各部署の要望にもきめ細かく対応してもらったおかげで、導入に当たってコミュニケーションが円滑に取れました。ユーザー向けのレクチャーもゼロベースから実施していただいたので、初めて利用するユーザーもすぐに操作を習得できました」(川口氏)
2016年8月の提案を経て、第1次フェーズである、国内の調達人材の情報を対象とするデータベースが完成しました。2017年4月から稼働を開始しています。
導入の効果
自動化・省力化により工数半減、育成業務にリソースを移行
グローバル調達社の調達人材育成部では、研修運営管理などの業務効率が大きく改善しました。従来、4~5人で行っていた手作業中心の業務は「リシテア」によって自動化、省力化され、約半分の工数で対応可能に。人材育成業務に注力できるようになりました。
また、煩雑だった他部署などからの転籍者の登録作業も随時行える環境が整いました。データの蓄積により、スキルや経験などをキーワードとして横断的に検索できる人材ビューアのさらなる活用も見込まれています。
一つのシステムで運用する効果も実感しています。
「情報共有を迅速に行えるようになり、情報精度も向上しました。人手を介する作業でミスが生じていたところ、『リシテア』に移行して人的ミスをなくせたのは大きいですね」(川口氏)
「研修コンテンツの充実化や集合研修の運営など、より注力したかった調達人材育成に直結する業務にリソースを移すことが可能になりました」(廣田氏)
今後より一層研修が充実して優秀な人材が育ち、調達人材がよりダイレクトに同社の経営に貢献していくことが期待されています。
今後の展望
グローバル対応を推進、職務と人材のマッチングも検討
2017年度からグローバル調達社では、グローバル対応を目標とする第2次フェーズのシステム開発を進めています。すでに「リシテア」を活用し、中国、台湾、アジア6カ国およびインドでの調達スキルチェックを実施しています。欧米、中南米といった他地域にも展開を検討。世界を舞台に活躍するグローバル社員を育成することを視野に入れています。
「言語や時差の違いなどは日立ソリューションズと一緒に解決していきたいと考えています」(川口氏)
同社では2018年度から個人のキャリアプランを策定する「個人別人材育成計画」の機能をリリースする予定です。教育訓練計画も個人に応じたオーダーメイドで作成できるようにしていく構想です。
「近い将来、当社の基幹システムとの情報連携を行いたいという展望も持っています。研修運営管理やスキルチェックに加えて、グローバル規模で調達人材と職場をマッチングする、タレントマネジメントも検討しています。今後、車載機器分野に事業の力点をシフトしていくなど、経営を取り巻く環境が大きく変化しても、調達人材の適切な異動を可能にしたいと考えています」(廣田氏)
同社の人材育成は仕事を通じて行うものであり、組織責任者の最も重要な責務です。創業時から人づくりを社是として取り組んできたパナソニック。その人材育成の取り組みを「リシテア」が今後も支えていきます。
パナソニック株式会社
本社所在地 | 大阪府門真市大字門真1006番地 | |
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設立 | 1935年12月15日 | |
従業員数(連結) | 25万7,533人(2017年3月31日現在) | |
事業内容 | 部品から家庭用電子機器、電化製品、FA機器、情報通信機器、および住宅関連機器等に至るまでの生産、販売、サービスを行う総合エレクトロニクスメーカー | |
URL | http://panasonic.jp/ |
グローバル調達社
4つのカンパニー(アプライアンス社、エコソリューションズ社、コネクティッドソリューションズ社、オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社)からなるパナソニックの部品・資材などの調達業務を一本化するために2015年2月に設立
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本事例の内容は2018年5月8日公開当時のものです。
最終更新日:2018年5月8日