データベース参照・更新ソリューション MasterInfinityの導入事例
トヨタ自動車北海道株式会社様マスターメンテナンス画面の開発費を8割圧縮。システムオーナー部署がマスター管理でき、責任が明確化
北海道で自動車部品を製造するトヨタ自動車北海道株式会社では、日立ソリューションズのデータベース参照・更新ソリューション「MasterInfinity」を活用し、約200種類のマスターメンテナンス画面の構築を短期間、低コストで実現しました。エンドユーザーが自らマスターメンテナンス可能なシステム構造を実現し、活用範囲と効果が拡大しつつあります。
この事例に関するソリューション・商品
背景と課題
基幹システムの再構築をきっかけにマスターのメンテナンスを効率化
千葉 俊則 氏
トヨタ自動車北海道株式会社は2010年から基幹システムの再構築を開始し、その一環としてマスターデータのメンテナンスの見直しに取り組んでいました。それまで同社では、エクセルやアクセスを使ってメンテナンスをしていました。
「しかし、これでは手間もかかりますし、データ形式のミスも多発します。誰がいつ修正したのかもわかりません。また、専用のメンテナンス画面を開発するには時間も費用もかかります」(千葉氏)
基幹システムの再構築ではマスターメンテナンスに大きなコストを割くことはできません。
一方で、社員マスター、部署マスター、取引先マスターなどメンテナンスしたいマスターテーブルは50ほど存在しました。
千葉氏は「どこかにマスターを効率的にメンテナンスできるツールがあるはずだ」と考え、インターネットで「マスター」「メンテ」「パッケージ」といったキーワードを入れて検索しました。その時にヒットしたのが「MasterInfinity」でした。当時、他には比較検討するような製品はなかったといいます。
それまで日立ソリューションズなど日立グループとの取引はほとんどありませんでしたが、このツールを使えば基幹システム再構築のプロジェクトにとって大きなメリットがあると千葉氏は感じました。ツールをベンダーに使ってもらうことで、マスターメンテナンス画面構築部分のスケジュールを大幅に短縮できるからです。
選定と導入
必要な機能が標準で装備。短期間化、コスト低減に期待
同社が「MasterInfinity」を導入したのは、2011年12月でした。
「『MasterInfinity』には、各種データベースとの連携機能やデータ入出力の機能が標準で装備されていて、簡単にマスターメンテナンスの画面を作ることができます。禁則文字のチェックや修正ログの記録など、必要としていた機能が一通り提供されていました。これならすぐに使えると判断して導入することにしました」(千葉氏)
この時、基幹系システムの再構築は各業務システムの単体テストのフェーズに入っていて、マスターも含めた全体設計に取り掛かるタイミングに来ていました。開発を担当していたベンダーに「MasterInfinity」を利用してもらい、単体テストと並行してマスターメンテナンス画面の構築を進めていきました。2012年5月には新しい基幹システムの実運用が始まりました。
「これまで通りマスターメンテナンスをベンダーにお願いしていると、費用も時間もかかりますが、『MasterInfinity』であればエンドユーザーが直接メンテナンスできます。そこで実運用が開始されてからは、直接エンドユーザーに使ってもらおうと考えました」(千葉氏)
早速、基幹システムに関係する経理、調達、生産管理、情報システムの4部門の担当者(約20人)を集めて勉強会を開催。1日のレクチャーですぐに運用を開始することができました。項目によっては数字だけしか入力できないような制御を加え、余計なところは見えないように制限。ITリテラシーの高くないエンドユーザーでも簡単に使えるようになりました。
「最も便利なのが検索機能です。マスターデータは何十万件もあって、以前はエクセルのフィルター機能で選択していました。『MasterInfinity』の簡易検索機能を使えば、必要なデータを細かく絞り込んで検索できます。しかも、検索条件を個人用に保存できて、いつでも呼び出して再利用できます」(千葉氏)
作業を効率化するために、エクセルとの連動も行っています。絞り込み検索をしたデータをCSV形式でダウンロードして、エクセル上でメンテナンス作業を行います。完了したところで再びCSV形式でアップロードするというバッチ処理的な方法です。この方法と組み合わせてメンテナンスを行っているケースも多くあります。
「また複雑なマスターとの切り分けも重要です。マスターメンテナンスだけの作業で済むものは『MasterInfinity』で行い、構造が複雑なものはスクラッチで開発して、システムの一部に組み込むようにしています。業務に合わせてパッケージをカスタマイズするのではなく、パッケージに合わせて運用を見直すことで、本来のメリットが引き出せました」(千葉氏)
成果と今後
導入してすぐに効果を発揮。利用ユーザーを5部門に拡大
当初、「MasterInfinity」の導入目的は、基幹システム再構築のスケジュール短縮と開発コスト削減にありました。その部分だけでも大きなコストメリットをもたらしました。「一つのマスタメンテナンス用の画面開発に数十万円かかると考えると、最初の50のマスターにかかったはずの費用の8割はコストを圧縮できたはず」と千葉氏は指摘します。
メリットはそれだけではありません。マスターメンテナンスをエンドユーザーに解放して、業務の流れの中でメンテナンスしてもらうことで責任も明確になり、禁則文字のチェックによって入力ミスを防止するなどデータの品質も向上しています。
「操作ログが取れることも大きなメリットです。一見して修正の意図がわからない場合には、ログをチェックして操作した本人に確認できます」(千葉氏)
また、「MasterInfinity」は業務システム全体のシステム権限マスターにも利用されています。これがシステム監査上でも大きなメリットをもたらしています。
「システム監査で権限リストの提出が求められても、すぐに対応できます。以前は毎回ベンダーに依頼していたので、手間もコストもかかって、ストレスになっていました」(千葉氏)
こうしたメリットから、「MasterInfinity」の活用範囲は広がっています。2014年に生産管理システムを刷新したタイミングで、物流部門のマスターにも適用し、現在は5部門で利用されています。対象となるマスターテーブルの数は当初の50から120、160と増え続け、利用ライセンスの上限も当初の100から200に拡張してきました。千葉氏は今後の見通しをこう語ります。
「現在、ライセンス数のキャパシティーを使い切った状態に近づきました。最新版へのバージョンアップも進行中です。より便利になれば、さらに利用範囲は拡大していくはずです」(千葉氏)
「MasterInfinity」の広がりとともに、日立ソリューションズグループとの付き合いも広がりつつあります。
「『MasterInfinity』自体は問題なく使われているので、導入後に問い合わせることはほとんどありません。日立ソリューションズグループは、導入前のレクチャーもその後の対応もよかったと思います。今はさまざまな追加提案をいただいています。日頃からお付き合いしているベンダーの中でリーダークラスに位置付けられ、ますます期待されています」(千葉氏)
日立ソリューションズグループは、今後もデータベース管理を効率化するソリューション展開を進め、企業の業務効率化を支援していきます。
トヨタ自動車北海道株式会社
「トヨタの北の拠点」として生産を開始。北海道苫小牧市に約31万坪の敷地を持ち、オートマチックトランスミッションや無段変速機(CVT)、トランスファー、ハイブリッドトランスアクスルなど駆動系部品を製造。苫小牧から日本国内だけでなく、南米やアジア、アフリカなどの工場に製品を直接出荷している。
本社所在地 | 北海道苫小牧市字勇払145-1 | |
---|---|---|
設立 | 1991年2月8日 | |
従業員数 | 3,200人(2019年3月1日現在) | |
事業内容 | 自動車部品の製造 | |
URL | http://www.tmh.co.jp/ |
この事例に関するソリューション・商品
導入事例ダウンロード
本事例の内容は2019年6月6日公開当時のものです。
最終更新日:2019年6月6日