この記事は、CAST AI社により公開された記事を元に翻訳・作成したものです。元の記事については以下をご覧ください。
Kubernetes現状レポート:コンテナー化されたアプリケーションでのオーバープロビジョニングの実態
公開日:2023年1月30日
更新日:2023年1月30日

無駄なクラウド支出の主な原因の1つは、アプリケーションの需要が低下してもスケールダウンできないことです。
データは、この種のオーバープロビジョニングを排除することで、組織が毎月のクラウド支出をほぼ50%削減できることを示しています。

さらにスポットインスタンスも追加することで、組織はクラウド支出を平均60%削減できています。1

この最も効率的なコスト削減方法を紹介する前に、現在のクラウドコスト管理の状況を見てみましょう。
クラウドへの支出が従来のITハードウェアを追い越しました
2022年に支出が最も増加するプロジェクトはどれか、という質問に対してCIOはまずクラウドコンピューティングを挙げています。2
組織は、2022年の第1四半期にクラウドコンピューティングに183億ドルを費やしました。費用は前年比で17.2%増加となり、パブリッククラウドサービスはそのうちの125億ドル(68%)を占めています。3
IDCは、クラウド支出が2021年と比較して22%増加し、2018年以来最高の年間成長率である902億ドルに達すると予測しています。4

世界のクラウド方針決定者とユーザー753人を対象とした調査では、37%の人達が年間支出1,200万ドルを超えたと報告しています。5
なお、チームは増大するクラウドコストのコントロールに苦労しています
クラウドの予算編成と計画は難しいものです。
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平均13%のクラウド予算超過
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クラウド支出の32%が無駄に浪費
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2022年第1四半期だけで40億ドル相当のリソースを浪費
企業はクラウド予算を平均13%超過しています。6同時に、平均してクラウド支出全体の32%を浪費しています。7つまり、2022年の第1四半期だけで、40億ドル相当のクラウドリソースが無駄でした。
クラウドの浪費の背景にある主な理由は
- クラウド使用状況とコストに対する可視性の欠如
- オーバープロビジョニング
- アイドル状態のままのクラウドリソース
- チームや部門間での利用の断片化

CAST AIを使用している数千ものクラウドネイティブアプリケーションの、クラウドコスト削減効果を分析しました。データは、いくつかのコスト最適化戦略を用いて達成された平均的な節約を評価しました。調査からは得てはいません。最も効果的だったのは、クラウドネイティブアプリケーションで使用されていないCPUをリアルタイムに削減し、純粋なサイズへ適正化することでした。
オンデマンドインスタンスとスポットインスタンスの比率を同じにしたまま、高コストのVMを同等の低コストのマシンに変更するようエンジンにリクエストすることで、価格差を考慮した変更をしています。最後に、ワークロードをスポットインスタンスに移行した場合の影響を分析しましたが、スポットインスタンスの使用は、ステートレスで高レプリカコンテナなど、スポットに適したものだけに限定しています。
データは、以前の業界調査と比較して、サイズ適正化の影響が大きいことを示唆しています。クラウドネイティブアプリケーションのCPUの37%は、平均してまったく使用されていません。クラスターを最適化し、不要なコンピューティングリソースを削除することで、CAST AIはサーバーの負荷を37%削減し、これらのリソースをより効率的に使用できるようにします。

価格差の考慮をサイズ適正化に加えた影響で、クラウドコンピューティング料金はほぼ半分になります。サイズ適正化とVMの費用対効果が高い選択をした場合、合計への影響は、ドル換算で46%になりました。
また、該当するワークロードにスポットインスタンスを追加することで、平均して金額ベースで60%もの大幅な節約を実現します。
これらの数値は、プロバイダー間で+/-5%の変動がありますが、Amazon Web Services、Google Cloud Platform、および Microsoft Azure、で類似しています。また、それらはアプリケーションのサイズに依存しませんでした(月額1,000ドルの小規模なアプリケーションと月額10万ドルの大規模なアプリケーションの差5%未満であることがわかりました)。このことは、適切なサイジングの問題が普遍的であり、クラウドネイティブアプリケーションの管理方法と密接に関連していることを示していると思考えられます。

浪費された資源は、環境に重大な損害をもたらします
オーバープロビジョニングとリソースの浪費は、自然環境に直接的な影響を与えます。2015年の段階で、データセンターで消費される電力が30%減少すると、全世界では124.86TWhの節約に相当します。このことは、米国全体が31.99年間の電力を賄うのに、充分な電力になります。9現在のデータセンターのエネルギー消費量と照らし合わせると、その浪費の規模は想像に難くありません。
クラウドで仮想マシンを運用する場合の環境コストは、データセンターを設置する地域の選択にも関係します。地域により、持続可能性が低い電力源に依存しているからです。
CAST AIや同様のエンドツーエンド・プラットフォームは、消費電力が少ないCPUを搭載した新しいタイプのマシンを選び、マシンのエネルギーフットプリントを削減するため、環境負荷をさらに軽減することが可能です。
クラウドの無駄を省き、数百万ドルを節約する組織の方法
コストをリアルタイムで可視化
54%の組織が、クラウドの無駄の背景となる主な理由は、クラウドの使用状況と効率性に関する可視性の欠如であると述べています。10
上記の問題を解決するには、ほとんどの場合、サードパーティのソリューションを使用する必要があります。なぜなら、クラウドプロバイダーが提供するコスト可視化ツールは、異常検出のために、リアルタイムでコストデータを表示し、データの並べ替えするための充分なオプションを提供しないためです。
先進的な FinOps、エンジニアリング、およびDevOpsチームは、クラウドのコストを完全に可視化するサードパーティのコスト監視ソリューションを使用しています。カスタム監視ツールを社内で構築すると、社内リソースが無駄になります。
クラウドリソースの使用率の向上
前述のように、企業は実際に使用するよりも37%多くのクラウドリソースをプロビジョニングしており、金銭的にも環境的にも大量の無駄を生み出しています。11
オーバープロビジョニングは、プロビジョニングされたCPUと要求されたCPUとを比較することにより追跡できます。それらの差が大きければ大きいほど、チームはより多くの無駄を生み出しています。

この無駄を削減するソリューションは、コンテナー型アプリケーションであれば、すぐ手が届くところにあります。CAST AIでは、オーバープロビジョニングをなくすだけで、クラウドにかかる費用を月々50%近く削減し、さらにスポットインスタンスを追加することで、さらに10%削減させた企業を見てきました。12
上記の節約傾向は、実際のケーススタディに見られるように、業種や企業規模を問わず持続しています。
より多くのスポットインスタンスを使用する
スポットインスタンスまたはスポットVMは、オンデマンド料金の90%にも達する割引で、大きなコスト削減のチャンスを提供します。
スポットインスタンスはどれくらい使われていますか?

スポットインスタンスの使用はコスト削減にどれくらい影響しますか?

スポットだけの節約率は、前回(2022年1Q)に実施したKubernetes現状レポートでの分析結果より大幅に高くなっています。当時の結果では、スポットだけの場合は、65%の節約率でした。
クラウドインフラの場合は?
チームがKubernetesを使用しているなら、平均値に頼らなくてもクラウドコスト削減がどれだけ可能かがわかります。
最後に
クラウドネイティブエコシステムの急速な拡大により、チームがリソースをより効率的に使用するのに役立つ恒久的なソリューションが求められています。
Kubernetesは優れたイノベーションです。しかし、Kubernetesだけでアプリケーションのコスト効率が向上するわけではありません。組織が必要としているのは、クラウドリソースの浪費をやめ、節約した資金をビジネスに再投資するための先進的なアプローチとソリューションです。

参考文献
- 1―オンデマンドリソース、スポットリソース、およびその両方が混在して稼働するクラスターが含まれます。
- 2― AlphaWise for Morgan Stanley, 1Q21 CIO Survey – Data Suggests IT Acceleration.
- 3,4―International Data Corporation, Worldwide Quarterly Enterprise Infrastructure Tracker: Buyer and Cloud Deployment.
- 5,6,7―Flexera 2022 State of the Cloud Report.
- 8―Wanclouds, 2H 2022 Cloud Cost and Optimization Outlook.
- 9― 2015年、データセンターは全世界で416.2TWhの電力を消費しました(出典: eceee, the European Council for an Energy Efficient Economy,https ://www.eceee.org/all-news/news/news-2016/2016 -01-23/)。米国の総エネルギー消費量は3.902 TWhとなります(出典: WorldData.info)。
- 10― Anodot, State of Cloud Cost Report 2022.
- 11,12―CAST AI data.

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