この記事は、CAST AI社により公開されたブログ記事を元に翻訳・作成したものです。元の記事については以下をご覧ください。また、記載している価格は、CAST AI社のオリジナル記事の投稿時点のものであり、実際の価格とは異なる場合があります。

(記事最終更新日:2023年3月16日)

クラウド料金比較: AWS vs. Azure vs. Google Cloud Platform in 2023

公開日:2023年5月29日

更新日:2023年5月29日

パブリッククラウドへの移行や、次のプロジェクトのために、AWS、Azure、Google Cloud Platform、Oracleの中から最適な選択を検討することは大変な作業です。

いずれも柔軟なコンピュート、ストレージ、ネットワーキングを提供し、セルフサービス、即時プロビジョニング、オートスケールなどの、エンジニアが好むクラウドのすべてを兼ね備えています。

しかし、各プロバイダーは、クラウド料金に大きな影響を与える可能性がある重要な領域で違いがあります。

1つのベンダーを選ぶには、チーム、アプリケーション、ワークロードが何を必要としているかを把握する必要があります。クラウドの状況を探る前に、要件を充分に理解してください。

このクラウド価格比較では、トップ3のクラウドプロバイダーであるAWS、Azure、Google Cloud、およびOracleのストレージとコンピュート価格をカバーし、クラウドプロバイダーごとのニュアンスの違いをお伝えします。

今のクラウド事情:AWS、Azure、Google Cloud Platformの独自の強みは何ですか?

AWS

A企業がAWS上でアプリケーションを構築することを選択するのは、そのサービスの幅広さと深さが理由です。データベース、アナリティクス、管理、IoT、セキュリティ、エンタープライズアプリケーションなど、豊富なツールがそろうAWSは、多くのチームにとって最適なソリューションとなります。AWSがクラウド市場で最も重要な部分を占めているのも不思議ではありません。

Azure

Azureは、利用する企業の割合がAWSをわずかに上回っています(Azure 80% vs. AWS 77%)。1

Azureは企業向けのさまざまなサービスも提供しており、マイクロソフトはこのセグメントとの長年の関係から、一部のお客さまにとって選択しやすいです。Azure、Office 365、Microsoft Teamsは、企業が従業員に企業向けソフトウェアを提供するだけでなく、クラウドコンピューティングリソースの活用も可能にします。

Google Cloud Platform

AzureとAWSも強力な機械学習機能を提供しています。しかし、Google Cloud Platformは、ほぼ制限がない内部研究と専門知識により、機械学習機能が際立っています。このことは、検索エンジンの巨人を長年にわたって動かしてきた魔法によるものです。

GCPがほかと違うのは、さまざまなオープンソース技術を開発する役割を担っていることです。特に、コンテナーについては、オーケストレーションのためのKubernetesやIstioサービスメッシュなど、今日では実質的に業界標準の技術を構築するうえでGoogleが中心的な役割を担っています。

Googleのイノベーションの文化は、そのようなアプローチや技術を優先するスタートアップや企業にとって、とても良い影響を与えています。

ワークロードに最適なインスタンスタイプを見つけよう

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AWS vs. Azure vs. Google Cloud Platform:課金について

AWS、Azure、Google Cloudでは、分単位の課金に加え、各種サービスで秒単位の課金にも対応しています。AWSは2017年にEC2 LinuxベースのインスタンスとEBSボリュームに秒単位の課金を初めて導入し、現在ではほかの多くのサービスにも適用されています。

秒単位の課金は、AWSでは最小60秒の制限で機能します。Azureは、そのクラウドプラットフォームで秒単位の課金ができます。しかし、この課金モデルはすべてのインスタンス(主にコンテナーベースのもの)で利用できるわけではありません。

Google Cloudは、AWSに続いて秒単位の課金を導入し、Linuxベースのインスタンス以外にも提供するようになりました。この課金形態は、すべてのVMベースのインスタンスに適用されます。

クラウドストレージの価格比較

これら主要クラウドプロバイダーは、ストレージの価格については、どのような違いがあるのでしょうか。

以下はほぼ同等のリージョンでの価格比較です。

AWS US East (Northern Virginia)、Azure East US、Google Cloud PlatformのNorthern Virginia (us-east4)

クラウドプロバイダー ストレージ (GB/月)
Amazon S3 $0.023
Azure $0.021
Google Cloud Platform $0.023
Oracle Object Storage–Standard $0.0255

これらのクラウドサービスプロバイダーは、互いに緊密に競争し、ストレージサービスの価格帯を同じように設定していることは明らかです。ただし、ストレージサービスを選択する前に、データ転送やオペレーション料金など、ほかのコスト面も必ず確認してください。

また、価格改定に対するプロバイダーの考え方にも注目してください。

Google Cloud Platformは最近、ストレージを中心としたさまざまなコアサービスで大幅な値上げを実施しました。値上げは、世界的に高騰しているインフレーション率やサプライチェーンの問題など、現在の課題を考えると、ほかのサービスやクラウドプロバイダーにも影響を与える可能性があります。

コンピュート価格の比較

クラウドの請求書に記載されることが多いコンピュート(計算機)は、コスト最適化の最大の対象となります。そのため、クラウドの価格比較には欠かせない要素となっています。

コンピュートコストを最適化することで、お客さまの収益に大きな影響を与えることを示すために、このケーススタディを用意しました。

クラウド料金の比較―この例の設定

価格差をより理解するために、同じリージョン内で同じOSの仮想マシンを比較することにします。

分析対象としたサービスは次のとおりです。

  • AWS–Amazon Elastic Compute Cloud(EC2)
  • Azure–Virtual Machines
  • Google Cloud Platform–Compute Engine
  • Oracle–Virtual Machines

この例の設定

  • リージョン:AWS US East(Northern Virginia),Azure East US,Google Cloud Platform Northern Virginia(us-east4)
  • オペレーティングシステム:Linux
  • vCPU:4

分析するインスタンス/VMのタイプ

  • 汎用(General purpose)
  • コンピュート最適化(Compute optimized)

4つのvCPUと同程度のRAMを持つインスタンスを選択しています(Google Cloud Platformのコンピュート最適化マシンだけは例外となります)。

クラウドの価格比較のために選択したインスタンス/VMは次のとおりです。

クラウドプロバイダー インスタンスタイプ vCPU RAM(GB)
AWS汎用 t4g.xlarge 4 16
AWSコンピュート最適化 c6a.xlarge 4 8
Azure汎用 B4ms 4 16
Azureコンピュート最適化 F4s v2 4 8
Google Cloud Platform汎用 e2-standard-4 4 16
Google Cloud Platformコンピュート最適化 c2-standard-4 4 16
Oracle標準 VM.Standard3.Flex 4 16
Oracle最適化 VM.Optimized3.Flex 4 8

AWS vs. Azure vs. Google Cloud Platform:オンデマンド価格比較

AWS、Azure、Google Cloud Platformで、各クラウドサービスの時間単位オンデマンド価格は以下のとおりです。

オンデマンド料金に基づくクラウド料金

汎用

クラウドプロバイダー インスタンスタイプ 価格
AWS t4g.xlarge $0.1344
Azure B4ms $0.166
Google Cloud Platform e2-standard-4 $0.150924
Oracle VM.Standard3.Flex $0.1840

コンピュート最適化

クラウドプロバイダー インスタンスタイプ 価格
AWS c6a.xlarge $0.153
Azure F4s v2 $0.1690
Google Cloud Platform c2-standard-4 $0.2351
Oracle VM.Optimized3.Flex $0.2280

ポイント

  • Azureは汎用インスタンスとしては最も高価な選択肢です。また、コンピュート最適化インスタンスとしては最も費用対効果が高い選択肢の1つです。
  • Google Cloud Platformは、コンピュート最適化インスタンスで最高価格となっていますが、このマシンは、AWS、Azure、およびOracleの同等品に比べ2倍のRAMを搭載しています。

チップとプロセッサーについての注意点

プロバイダーは、さまざまなハードウェアとパフォーマンス特性を持つ仮想マシンを展開しています。その結果、チームが実際には必要としないほど強力な(そして高価な!)パフォーマンスを提供するインスタンスタイプを使っていることもあります。

各マシンで同じワークロードを実行し、そのパフォーマンス特性を確認するベンチマークは、実際に支払う金額がどの程度かを確認する方法の1つです。

このアプローチは、何か面白いことを発見するのに役立つことがあります。実際、次のようなことを見つけました。下のグラフは、AWS(t2.2xlarge、8仮想コア)のCPU動作を、数回のアイドル時間の後、さまざまな時間帯で示したものです。単一のクラウドプロバイダー内で、このような予測不可能なCPUの挙動を期待できるでしょうか?

出典:CAST AI

CockroachLabsの2022年クラウドレポートでは、この方法でAWS、Azure、Google Cloudのマシンを評価しています。2その結論の1つが、GoogleはAWSやAzureよりもパフォーマンスが高いというものでした。GCPインスタンスは、価格対性能で上位10インスタンスのうち6つを占めています。

AWS vs. Azure vs. Google Cloud:1年間前払い契約による割引価格の比較

3つのプロバイダーどれも、最低1年間の利用をコミットすることで価格割引が適用されます。この価格モデルは、AWSではReserved Instances、AzureではReserved Savings、Google CloudではCommitted use discountsと呼ばれています。

次の表は、AWS、Azure、Google Cloudの各クラウドサービスのうち、コミットメント期間が1年で、全額前払いの場合の割引価格を比較したものです。

1年契約のクラウド料金

汎用

クラウドプロバイダー インスタンスタイプ 価格 割引
AWS t4g.xlarge $0.084 41%
Azure B4ms $0.1118 32%
Google Cloud Platform e2-standard-4 $0.095092 37%
Oracle VM.Standard3.Flex $0.1564 15%

コンピュート最適化

クラウドプロバイダー インスタンスタイプ 価格 割引
AWS c6a.xlarge $0.1010 38%
Azure F4s v2 $0.1143 32%
Google Cloud Platform c2-standard-4 $0.14072 41%
Oracle VM.Optimized3.Flex $0.1938 15%

ポイント

  • 1年コミットメントの汎用インスタンスでは、AWSAzureで、同じような割引率で提供されます。少しだけAWSの方が割安です。
  • 汎用インスタンスとコンピュート最適化インスタンスの両方で、Google Cloud Platformは最大の割引を提供していますが、最安値ではありません。注:今回選定したコンピュート最適化GCPインスタンスは16GBのRAMを搭載しており、ほかのインスタンスの8GBとは異なります。

リザーブドインスタンスの仕組みや、本当に割安となるのかを詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。Do AWS Reserved Instances and Savings Plans really reduce costs?

CPUバーストによるコストダウンを実現する方法を紹介します

今回、対象のクラウドプロバイダーはすべて、バーストできるパフォーマンスインスタンスを提供しています。これらのインスタンスは、ベースラインとなるCPU性能を提供し、ワークロードが必要となったときに高い性能に上限が上昇するオプションを持ちます。

バーストできるパフォーマンスインスタンスは、低遅延の対話型アプリケーション、マイクロサービス、中小規模のデータベース、または製品プロトタイプに適しています。

AWSのバーストできるインスタンスについて調べたところ、1日平均4時間以上インスタンスに負荷をかける場合は、費用対効果を考えると、バーストしないものを選んだ方が良いことがわかりました。一方で、時々大量の訪問者が来る可能性があるEコマースビジネスを運営するような場合は、バーストできるインスタンスがマッチすることが多いようです。

AWS vs. Azure vs. Google Cloud:スポットインスタンス/プリエンプティブルVMの比較

クラウドの料金を安くするもう1つの方法は、現在誰も使っていないキャパシティを利用することです。クラウドプロバイダーは、余剰キャパシティをおどろくような割引価格で販売しています。AWSのスポットインスタンスはオンデマンド料金の最大90%オフ、GoogleのプリエンプティブVMは通常のものより80%も安くなります。

以下は、USイースト(バージニア州北部)リージョンで、これらのインスタンスを使用した場合の、削減額のポテンシャルです。

スポットインスタンス/プリエンプティブルVMを使用したクラウド料金

汎用

クラウドプロバイダー インスタンスタイプ 価格 割引
AWS t4g.xlarge $0.0436 ~68%
Azure A4 v2 $0.0638 ~67%
Google Cloud Platform e2-standard-4 $0.045272 ~70%
Oracle VM.Standard3.Flex $0.0920 50%
  • マシンのタイプを今までとほぼ同等である4vCPU、8GB RAMのものに変更していることにご注意ください。BsシリーズのAzureのマシンはスポットインスタンスとして利用できないためです。

コンピュート最適化

クラウドプロバイダー インスタンスタイプ 価格 割引
AWS c6a.xlarge $0.0768 50%
Azure F4s v2 $0.0295 ~82%
Google Cloud Platform c2-standard-4 $0.054 ~77%
Oracle VM.Optimized3.Flex $0.114 50%

ポイント

  • AWSは、割引率が最高ではありませんが、汎用マシンで優れた価格で提供しています。
  • Azureは、コンピュート最適化インスタンスに対して最大の割引を提供します。コンピュート最適化F4s v2の価格は非常に魅力的です。
  • Oracleは、プリエンプティブルVMを一律50%割引で提供しています。

スポットインスタンスを活用するためには、アプリケーションが中断に対応できるようにする必要があります。そのためのステップバイステップガイドはこちらです。スポットインスタンス:AWS、Azure、GCPのコストを90%削減する方法

クラウドコストの最適化は、リアルタイムな活動です

スポットインスタンスの価格は、1分ごとに異なることがあります。そのことから、我々が提供する独自のプラットフォーム(CAST AI)を使ってこの設定を分析してみました。このクラウドツールは、パフォーマンスを犠牲にすることなく、コスト削減の可能性を見出すのに非常に有効です。

8CPU、16GBのマシンで、最もコスト効率が良いスポットインスタンスの選択肢を探してみました。

CAST AIは、INF1というインスタンスでワークロードを実行することを提案しました。しかし、このパワフルなGPUインスタンスは通常、多額の費用がかかります。しかし、なぜCAST AIはINF1を選んだのでしょうか?

価格を確認したところ、次のようになりました。

その時点で、INF1は、通常の汎用インスタンスよりも安かったのです。もし、標準的なやり方に固執していたら、このカテゴリーを探すことは思いもよらず、この素晴らしい宝石を見逃していたでしょう。

このことは、クラウドプロバイダー側が共有する種類の知識ではありません。

だからこそ、クラウドコストを最適化するための自動化が必要なのです

このクラウド価格比較により、主要なクラウドサービスの違いをご理解いただけたでしょうか。

クラウド費用の管理をDevOpsFinOpsの専門家に委託している場合でも、必要な費用の2倍はかかっていると考えることができます。自動化されたソリューションでクラウド費用を管理する時期が来ているのです。

CAST AIは、Kubernetesを扱うチームであれば、コスト削減への道を歩み始めるのに最適な場所です。このソリューションは、お客さまのエンジニアが手動で反復作業することなく、節約を保証する戦術を自動的に作成し、実行します。

CAST AIは無料のKubernetesコスト監視から始められ、クラスター節約レポートの実行や、CAST AIが管理するクラスターに自動的に実装されるインスタンスのタイプやリソース量の確認も可能です。

Laurent Gil
Laurent Gil
CAST AIの共同創業者兼CPOであるLaurentは、製品および事業開発を担当しています。
2018年にオラクルに買収されたZenedgeの共同創業者兼最高製品・事業責任者を務めました。
Laurentは、2012年にGoogleに買収されたViewdleのCEO兼共同創業者でもあります。

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