この記事は、CAST AI社により公開されたブログ記事を元に翻訳・作成したものです。元の記事については以下をご覧ください。また、記載している価格は、CAST AI社のオリジナル記事の投稿時点のものであり、実際の価格とは異なる場合があります。
(記事最終更新日:2023年8月3日)
2023年、スポットインスタンス価格の変動
公開日:2023年9月28日
更新日:2023年9月28日
最近、スポットインスタンスの価格が高騰しているように感じますか?そう感じているのは、あなた1人ではありません。そこで、過去12カ月間、AWS、GCP、Azureのすべてのパブリッククラウドリージョンからデータを取得して、スポットインスタンスの価格に関する詳細な分析を実施しました。私たちの調査結果は、スポットインスタンスの価格設定で、現在の動態に関する興味深い考察を提供します。

私たちは、AWS、GCP、Azureですべてのパブリッククラウドリージョンの記録に基づいて調査しました。CAST AIは、価格を取得するためのクラウドプロバイダーのAPIを使用して、すべてのクラウドリージョンで、スポットインスタンス価格について一定の情報を保持します。私たちはこの1年の変化に注目しましたが、私たちが気づいた違いは驚くべきものでした。
調査結果を読んで、スポットインスタンスの価格設定で何が起きているのかを明らかにしてください。
AWS、Azure、GCPの比較分析
3つの主要なクラウド全体を見ると、ワールドワイドでの集計では次のようになります。
Azure:108.01%
AWS:21.09%
GCP:-25.95%
AzureのスポットVMの価格は、2022年から2023年にかけて108%と最も上昇しました。
2番目はAWSの21%の上昇です。GCPはこの傾向に逆行し、スポットVMの価格を26%近く引き下げました。
各クラウドをさらに深く掘り下げ、これらの増減がどこから来たのかを確認し、支出への影響を軽減する方法を検討してみましょう。
Azureでのスポットインスタンスの値上げ
Azureの結果をさらに詳しく調べて、これらの価格上昇が地域ベースでどこから来たのかを見てみましょう。
スポットインスタンスの価格が最も大幅に値上げされている上位10のリージョンを以下に分類しました。
germanywestcentral:150.01%
australiaeast:131.83%
eastus2:131.14%
southeastasia:130.36%
westeurope:130.13%
southcentralus:128.92%
westus2:128.70%
northcentralus:128.22%
uksouth:127.58%
northeurope:127.14%
これらの多くは小規模なリージョンです。スポットインスタンスの価格引き上げは、クラウドユーザーが大規模なリージョンから離れ、より小さなリージョンでより低い料金を求めていることに起因する可能性があります。この流入によってさらなる需要が生まれ、価格が上昇する可能性があります。
増加率が最も大きい地域は、依然として有力な選択肢である可能性があります。ただし、最も際立っているリージョンはgermanywestcentral(ドイツ西部中央)です。これは、スポットインスタンスで、Azureにおける世界で3番目に高価なリージョンです。
さらに、これらの変化に最も影響を与えたインスタンスタイプは次のとおりです。
Standard_Dpds:1011.15%
Standard_Dplds:1009.28%
Standard_Dpls:1005.91%
Standard_Dps:961.96%
Standard_Eps:950.78%
Standard_Epds:857.69%
Standard_M-s:542.48%
Standard_NVas:443.86%
Standard_NV:413.03%
Standard_NVs:340.29%
過去1年間、戦略を変えずにこれらのインスタンスタイプのいずれかを運用していた場合、支出が大幅に増加した可能性があります。これらの変化は、時間の経過とともに、スポット価格が変動したことによるものです。
別の興味深い例として、D-ファミリーについて見てみましょう。スポットインスタンスの値上げ率に大きな違いが見ることができました。
Standard_Dads_v5:31.36%
Standard_Das_v5:32.94%
Standard_Das_v4:53.35%
Standard_Da_v4:64.07%
Standard_Ds_v5:73.21%
Standard_Dd_v5:75.54%
Standard_Dds_v5:77.11%
Standard_Dds_v4:78.61%
Standard_Ds_v4:80.93%
Standard_Ds_v3:86.25%
Standard_Dd_v4:91.47%
Standard_Dps_v5:961.96%
Standard_Dpls_v5:1005.91%
Standard_Dplds_v5:1009.28%
Standard_Dpds_v5:1011.15%
値上げ率の最低値と最高値の間の差は980%でした。
また、特定の機能が必要なこともありますが、非常によく似たDas_v5とDas_v4の違いは20%です。
これらは同じスタイルのマシンで、世代が異なるだけです。昨年Das_v4用にノードプールを構成した場合、現在必要な金額より20%多く支払っているかもしれません。
スポットインスタンスの選択をより柔軟に行うことができれば、高価なインスタンスをより安価なものに変更できます。それを実現する方法については後ほど説明しますが、その前にほかの2つのクラウドプロバイダーについて見てみましょう。
AWSでのスポットインスタンスの価格変動
AWSで、スポットインスタンスの価格上昇が高かったリージョンの上位10は次のとおりです。
af-south-1:24.98%
ap-southeast-4:24.81%
ap-northeast-3:23.19%
us-gov-west-1:22.74%
eu-south-1:22.60%
ap-east-1:22.46%
eu-north-1:22.39%
ap-northeast-2:22.26%
ca-central-1:22.03%
me-south-1:21.80%
また、AWSで最も大きな価格変更の影響を受けたインスタンスファミリーに関しては、興味深いパターンがありました。
価格上昇が最も高かったのは、非常に古いインスタンスタイプや、I3やI3enなどのオンボードNVMeのような、特定の高性能要件があるインスタンスタイプでした。
p4d:180.23%
trn1:143.51%
f1:127.84%
t1:100.91%
x2iezn:100.20%
i3en:73.85%
r3:65.70%
i3:65.54%
r4:59.83%
trn1n:57.95%
比較のために、一般的に使用されるインスタンスタイプであるCファミリーを見てみましょう。これらのインスタンスは、Gravitonマシンを除いて、ほとんど互換性があります。
このファミリーにしぼって、価格の上昇幅の変動を見てみると、次のようになります。この結果もマシンタイプを柔軟に変更することの利点を示しています。
c6a:-11.82%(decrease)
c1:-6.71%(decrease)
c6g:-3.15%(decrease)
c7g:-2.07%(decrease)
cc2:0.00%(nochange)
c6gd:0.02%
c5a:3.24%
c6id:5.37%
c3:8.41%
c5ad:10.91%
c5:12.47%
c6gn:15.95%
c6i:17.41%
c5d:17.87%
c4:20.35%
c5n:20.61%
c6in:28.44%
c7gn:49.58%
2022年にc5の使用で固定していた場合、今年はスポット価格が上昇に対して動的にc6aに変更する方法よりも平均で24%多く支払ってしまうことになります。
その方法については、後ほど説明します。
GCP:スポットインスタンスが値下げされた唯一のクラウド
Google Cloudは興味深い特長があり、スポットインスタンス価格の総計が上昇したリージョンが1つもありませんでした。それどころか、GCPは1年前と比較して、すべてのリージョンでスポットインスタンスの価格を引き下げました。
スポットインスタンスを値下げしている唯一のプロバイダーであるGCPは、一時的なワークロードにとって間違いなく、優れた選択肢となります。
GCPでスポットインスタンスの価格変動はとても興味深いものでした。価格上昇率は最も高かったリージョンであっても依然として…マイナスでした。
2022年と比較して、GCPはすべてのリージョンでスポットインスタンスの価格を引き下げました。
northamerica-northeast2::-20.24%
australia-southeast2:-20.34%
europe-west6:-23.73%
me-central1:-23.79%
asia-southeast2:-24.45%
southamerica-west1:-24.52%
europe-west1:-24.73%
us-south1:-24.77%
us-east4:-24.77%
asia-east1:-25.14%
しかし、このパーセンテージに惑わされる前に、もう1つ興味深い例を考えてみましょう。
2023年3月に発売されたC3タイプは、C2シリーズの妹分シリーズです。
コンピューティングコアあたりのコストを比較すると、次のようになります。
- c2-standard:$.023/コア
- c3-standar:$.016/コア
2022年7月にc2-standardスポットインスタンスで実行するようにノードプールを設定した場合、パフォーマンスが低いマシンに対してはCPUコアあたり30%の余分に料金を支払うことになります。
今年、初めにGCPがc3インスタンスタイプを開始したとき、CAST AIは自動的にこれらの高性能で低コストのスポットインスタンスのプロビジョニングを開始しました。ユーザーはこれらの新しいインスタンスタイプを登録する必要はなく、何もしなくても利用可能になりました。
ある顧客は、2月から3月にかけて、CAST AIがc3インスタンスタイプを使用したことにより、前月比12.5%のコスト削減を実現しました。
答えは自動プロビジョニングです
これまでの例のすべては、スポットインスタンスの価格設定が常に変化していることを示しています。これらのダイナミクスを認識することで、クラウド戦略についてより多くの情報に基づいた意思決定を行うのに役立ちます。
そして、柔軟に対応できる自動プロビジョニングツールを使用することで、このような変更に対応し、クラウド費用を大幅に節約することができます。
CAST AIのスケジュールドリバランスと呼ばれる機能は、こうした価格変動を監視します。そして、市場でスポットインスタンスの価格が上昇すると、スポットインスタンスをより競争力が高いインスタンスに自動的に置き換えます。
その結果、低価格でありながら、より優れたパフォーマンスとワークロードのニーズへの適合性を得ることができます。
スポットインスタンスの価格変動に関する最終見解
私たちの分析によって、主要クラウドプロバイダーの価格戦略で、いくつかの興味深い傾向が明らかになりました。AWSでは、リージョンとインスタンスタイプが混在して価格が大幅に上昇しましたが、GCPでは多くの分野で価格引き下げの傾向が見ることができました。
今回の調査結果は平均値に基づいており、グループ内の個々のインスタンスタイプについては異なる可能性がある点に注意してください。そのため、どのクラウドプロバイダー、リージョン、インスタンスタイプを選択するかを決めるときには、ユースケースの具体的な要件を考慮することがとても重要です。
また、これらはクラウド価格データの詳細な分析から得られるインサイトのスナップショットにすぎません。より詳細なデータがあれば、リザーブドインスタンス、スポットインスタンスの影響、オペレーティングシステムごとの価格の変動など、より詳細な洞察を掘り下げることができます。
多くの場合、コストパフォーマンス比が直接コストよりも重要であるため、将来に対する分析では、さまざまなインスタンスタイプのパフォーマンス特性を考慮する可能性があります。
クラウドの価格動向という魅力的な世界を探求する今後のアップデートにご期待ください。

彼は、QA、DevOps、ソフトウェア開発など、ソフトウェア展開内でさまざまな役割を果たしてきました。そのため、彼はクラウドネイティブアプリケーションのライフサイクルについて包括的な理解を深めました。
副業としていくつかの中小企業を所有し、小さな農場を経営しており、ほとんどの時間を家族と過ごします。
タグ一覧