この記事は、CAST AI社により公開されたブログ記事を元に翻訳・作成したものです。元の記事については以下をご覧ください。また、記載している価格は、CAST AI社のオリジナル記事の投稿時点のものであり、実際の価格とは異なる場合があります。

(記事最終更新日:2023年12月13日)

クラウド料金比較:AWS vs. Azure vs. Google Cloud Platform in 2024

公開日:2024年2月28日

更新日:2024年2月28日

パブリッククラウドへの移行や、次のプロジェクトのために、AWS、Azure、Google Cloud Platform、Oracleの中から最適な選択を検討するのは簡単な作業ではありません。

いずれの選択肢であっても、柔軟なサーバー、ストレージ、ネットワーキングを提供しており、セルフサービス、即時プロビジョニング、オートスケールなどの、エンジニアが必要とするクラウドの要素を備えています。

ただし、各プロバイダーは、クラウド料金に大きな影響を与える可能性がある重要な領域で違いがあります。

その中から1つのベンダーを選ぶためには、自らのチーム、アプリケーション、ワークロードが何を必要としているかを把握している必要があります。クラウドの状況を検討する前に、自分たちの要件を完全に理解しておく必要があるでしょう。

この記事の価格比較では、トップ3のクラウドプロバイダーである AWS、Azure、Google Cloud、そしてOracleのストレージとサーバー価格をカバーし、クラウドプロバイダーごとの微妙な違いをお伝えします。

現在のクラウド事情:AWS、Azure、Google Cloud Platformの独自の強みは何か?

AWS

企業がAWS上でアプリケーションを構築することを選択する理由として、提供するサービスの幅広さと深さが挙げられます。データベース、アナリティクス、管理、IoT、セキュリティ、エンタープライズアプリケーションなど、豊富なツールがそろうAWSは、多くのチームにとって最適なソリューションとなり得ます。AWSがクラウド市場で最も大きなシェアを占めていることも不思議ではありません。

Azure

採用する企業の割合では、AzureはAWSをわずかに上回っています(Azure 80% vs. AWS 77%)。1

Azureは企業向けのさまざまなサービスも提供しており、マイクロソフトはこのセグメントとの長年の関係から、一部のお客さまにとって選択しやすいものになっています。Azure、Office 365、Microsoft Teamsによって、企業は従業員に対して、クラウドコンピューティングリソースの活用と、企業向けソフトウェアの提供ができます。

Google Cloud Platform

AzureとAWSも強力な機械学習機能を提供しています。しかし、Google Cloud Platformは、ほぼ制限がない内部研究と専門知識によって、これが際立っています-これはまさに検索エンジンの巨人を長年にわたって提供してきた魔法と言ことができるでしょう。

GCPがほかと違うのは、さまざまなオープンソース技術を開発する役割を担っていることです。特に、コンテナーについては、オーケストレーションのためのKubernetesやIstioサービスメッシュなど、今日では実質的に業界標準の技術を構築するうえでGoogleが中心的な役割を担っています。

Googleのイノベーションの文化は、そのようなアプローチや技術を優先するスタートアップや企業にとって、とても適しているということができるでしょう。

AWS vs. Azure vs. Google Cloud Platform:課金について

AWS、Azure、Google Cloudでは、分単位の課金と、一部サービスで秒単位の課金に対応しています。AWSは2017年にEC2 LinuxベースのインスタンスとEBSボリュームに秒単位の課金を初めて導入し、現在ではほかの多くのサービスにも適用されています。

AWSでは秒単位の課金は、最小60秒の制限があります。Azureは、プラットフォームとして秒単位の課金に対応していますが、すべてのインスタンス(主にコンテナベースのもの)で利用できるわけではありません。

Google Cloudは、AWSに続いて秒単位の課金を導入し、Linuxベースのインスタンス以外にも提供するようになりました。この課金形態は、すべてのVMベースのインスタンスに適用されます。

クラウドストレージの価格比較

主要クラウドプロバイダーのストレージ価格は、どのような違いがあるでしょうか?

以下はほぼ同等のリージョンでの価格比較となります:AWS US East (Northern Virginia)、Azure East US、Google Cloud PlatformのNorthern Virginia (us-east4)

クラウドプロバイダー ストレージ(GB/月)
Amazon S3 $0.023
Azure $0.021
Google Cloud Platform $0.023
Oracle Object Storage–Standard $0.0255

これらのクラウドサービスプロバイダーは、互いに緊密に競争しており、ストレージサービスの価格は同じような設定となっていることが明らかです。なお、ストレージサービスを選択するときには、データ転送やオペレーション料金など、ほかのコスト面についても必ず確認してください。

また、価格変更に対するプロバイダーのアプローチにも注意してください。

Google Cloud Platformは過去に、ストレージを中心としたさまざまなコアサービスで大幅な値上げを実施したことがあります。世界的に高騰しているインフレーション率やサプライチェーンの問題など、現在の課題を考えると、ほかのサービスやクラウドプロバイダーでも同様の事象が発生する可能性があります。

サーバーの価格比較

クラウドの請求書に記載されることが多いコンピュート(サーバー)の価格は、コスト最適化の最大の対象となります。そのため、クラウドの価格比較には欠かせない要素となっています。

サーバーコストを最適化することが、お客さまの収益に大きな影響を与えることを示すために、次のようなケーススタディを用意しました。

クラウド料金の比較―今回の例の設定

価格差をより理解するために、同じリージョン内で同じOSの仮想マシンを比較することとします。

分析対象としたサービスは次のとおりです。

  • AWS–Amazon Elastic Compute Cloud(EC2)
  • Azure–Virtual Machines
  • Google Cloud Platform–Compute Engine
  • Oracle–Virtual Machines

この例の設定:

  • リージョン:AWS US East (Northern Virginia),Azure East US,Google Cloud Platform Northern Virginia(us-east4)
  • オペレーティングシステム:Linux
  • vCPU:4

分析するインスタンス/VMのタイプ:

  • 汎用(General purpose)
  • コンピュート最適化(Compute optimized)

4つのvCPUと同程度のRAMを持つインスタンスを選択しています(Google Cloud Platformのコンピュート最適化マシンだけは例外となります)。

クラウドの価格比較のために選択したインスタンス/VMは次のとおりです。

クラウドプロバイダー インスタンスタイプ vCPU RAM(GB)
AWS汎用 t4g.xlarge 4 16
AWSコンピュート最適化 c6a.xlarge 4 8
Azure汎用 B4ms 4 16
Azureコンピュート最適化 F4s v2 4 8
Google Cloud Platform汎用 e2-standard-4 4 16
Google Cloud Platformコンピュート最適化 c2-standard-4 4 16
Oracle標準 VM.Standard3.Flex 4 16
Oracle最適化 VM.Optimized3.Flex 4 8

AWS vs. Azure vs. Google Cloud Platform:オンデマンド価格比較

AWS、Azure、Google Cloud Platformの各クラウドサービスの時間単位のオンデマンド価格は以下のとおりです。

オンデマンド料金に基づくクラウド料金

汎用

クラウドプロバイダー インスタンスタイプ 価格
AWS t4g.xlarge $0.1344
Azure B4ms $0.166
Google Cloud Platform e2-standard-4 $0.150924
Oracle VM.Standard3.Flex $0.104

コンピュート最適化

クラウドプロバイダー インスタンスタイプ 価格
AWS c6a.xlarge $0.153
Azure F4s v2 $0.1690
Google Cloud Platform c2-standard-4 $0.2351
Oracle VM.Optimized3.Flex $0.120

ポイント:

  • Azureは汎用インスタンスとしては最も高価な選択肢ですが、コンピュート最適化インスタンスとしては最も費用対効果が高い選択肢の1つです。
  • Google Cloud Platformは、コンピュート最適化インスタンスで最高価格となっていますが、このマシンは、AWS、Azure、およびOracleの同等品に比べ2倍のRAMを搭載しています。

チップとプロセッサーに関するメモ

プロバイダーは、さまざまなハードウェアとパフォーマンス特性を持つ仮想マシンを展開しています。その結果、チームが実際には必要としないほど強力な(そして高価な!)パフォーマンスを提供するインスタンスタイプを使っていることもあります。

各マシンで同じワークロードを実行し、そのパフォーマンス特性を確認するベンチマークは、実際に支払うことになる金額がどの程度かを確認する方法の1つです。

このアプローチによって、面白いことを発見するのに役立つことがあります。実際我々は次のようなことを見つけました。下のグラフは、AWS(t2.2xlarge、8仮想コア)のCPU動作を、数回のアイドル時間の後、さまざまな時間帯で示したものです。単一のクラウドプロバイダー内で、このような予測不可能なCPUの挙動を想像できるでしょうか?

出典:CAST AI

CockroachLabsの2022年クラウドレポートでは、この方法でAWS、Azure、Google Cloudマシンを評価しています。2その結論の1つは、GoogleはAWSやAzureよりもパフォーマンスに優れているというものでした。GCPインスタンスは、コストパフォーマンスがよい上位10インスタンスのうち6つを占めています。

AWS vs. Azure vs. Google Cloud:1年間の前払い契約時の割引価格の比較

3つのプロバイダーどれも、最低1年間の利用をコミットすることで割引価格が適用されます。この価格モデルは、AWSではReserved Instances、AzureではReserved Savings、Google CloudではCommitted use discountsと呼ばれています。

次の表は、AWS、Azure、Google Cloudの各クラウドサービスのうち、コミットメント期間が1年で、全額前払いの場合の割引価格を比較したものです。

1年契約時のクラウド料金

汎用

クラウドプロバイダー インスタンスタイプ 価格 割引
AWS t4g.xlarge $0.084 41%
Azure B4ms $0.1118 32%
Google Cloud Platform e2-standard-4 $0.095092 37%
Oracle VM.Standard3.Flex $0.1038 1%

コンピュート最適化

クラウドプロバイダー インスタンスタイプ 価格 割引
AWS c6a.xlarge $0.1010 38%
Azure F4s v2 $0.1143 32%
Google Cloud Platform c2-standard-4 $0.14072 41%
Oracle VM.Optimized3.Flex $0.1198 1%

要点:

  • 1年コミットメントの汎用インスタンスでは、AWSAzureで、同じような割引率で提供されます。それでも、少しだけAWSの方が割安です。
  • 汎用インスタンスとコンピュート最適化インスタンスの両方で、Google Cloud Platformは最大の割引を提供していますが、最安値ではありません。注:今回選定したコンピュート最適化GCPインスタンスは16GBのRAMを搭載しており、ほかのインスタンスの8GBとは異なります。

リザーブドインスタンスの仕組みや、本当に割安となるのかを詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください:Do AWS Reserved Instances and Savings Plans really reduce costs?

CPUバーストによるコストダウンを実現する方法を紹介します

今回、対象のクラウドプロバイダーはすべて、バーストできるパフォーマンスインスタンスを提供しています。これらのインスタンスは、ベースラインとなるCPU性能を提供し、ワークロードが必要となったときによって高い性能に上限が上昇するオプションを持ちます。

バーストできるパフォーマンスインスタンスは、低遅延の対話型アプリケーション、マイクロサービス、中小規模のデータベース、または製品プロトタイプに適しています。

AWSのバーストできるインスタンスについて調べたところ、1日平均4時間以上インスタンスに負荷をかける場合は、費用対効果を考えると、バーストしないものを選んだ方がよいことがわかりました。一方で、時々大量の訪問者が来る可能性があるEコマースビジネスを運営するような場合は、バーストできるインスタンスがマッチすることが多いようです。

AWS vs. Azure vs. Google Cloud:スポットインスタンス/プリエンプティブルVMの比較

クラウドの料金を安くするもう1つの方法として、現在誰も使っていないキャパシティを利用する方法があります。クラウドプロバイダーは、余剰キャパシティを信じることができないほどの割引価格で販売しています。AWSのスポットインスタンスはオンデマンド料金の最大90%安く、GoogleのプリエンプティブVMは通常のものより80%も安くなります。

以下は、USイースト(バージニア州北部)リージョンで、これらのインスタンスを使用した場合の、削減額の可能性です:

スポットインスタンス/プリエンプティブルVMを使用したクラウド料金

汎用

クラウドプロバイダー インスタンスタイプ 価格 割引
AWS t4g.xlarge $0.0436 ~68%
Azure A4 v2 $0.0638 ~67%
Google Cloud Platform e2-standard-4 $0.045272 ~70%
Oracle VM.Standard3.Flex $0.0520 50%

※マシンのタイプをほぼ同等品である4vCPU、8GB RAMに変更している点にご注意ください。これはBsシリーズのAzureのマシンはスポットインスタンスとして利用できないためです。

コンピュート最適化

クラウドプロバイダー インスタンスタイプ 価格 割引
AWS c6a.xlarge $0.0768 50%
Azure F4s v2 $0.0295 ~82%
Google Cloud Platform c2-standard-4 $0.054 ~77%
Oracle VM.Optimized3.Flex $0.06 50%

ポイント:

  • AWSは、割引率が最大というわけではありませんが、汎用マシンの中で優れた価格で提供しています。
  • Azureは、コンピュート最適化インスタンスにおいて最大の割引を提供します。コンピュート最適化のF4s v2の価格設定は非常に魅力的です。
  • Oracleは、プリエンプティブルVMを一律 50%割引で提供しています。

スポットインスタンスを活用するためには、アプリケーションが中断に対応できるようにする必要があります。そのためのステップバイステップガイドをこちらで提供しています。:スポットインスタンス:AWS、Azure、GCPのコストを90%削減する方法

クラウドコストの最適化はリアルタイムのアクティビティです

スポットインスタンスの価格は、1分ごとに異なることがあります。そこで、我々が提供する独自のプラットフォーム(CAST AI)を使ってこの設定を分析してみました。このクラウドツールは、パフォーマンスを犠牲にすることなく、コスト削減の可能性を見出すのに非常に有効です。

私たちは8CPU、16GBのマシンで、最もコスト効率がよいスポットインスタンスの選択肢を探してみました。

CAST AIは、INF1というインスタンスでワークロードを実行することを提案しました。しかし、このパワフルなGPUインスタンスは通常、多額の費用がかかるはずです。では、なぜCAST AIはこれを選んだのでしょうか?

価格を確認したところ、次の結果が得られました。

その時点で、INF1は、私たちが使っていた通常の汎用インスタンスよりも安かったのです。もし、私たちが標準的なやり方に固執していたら、このカテゴリーを探すことには思いもよらず、この素晴らしい宝石を見逃していたでしょう。

このような情報はクラウドプロバイダー側から、あなたに共有される類の情報ではありません。

だからクラウドのコストを最適化するために自動化が必要です

この記事のクラウド料金比較は、主要なクラウドサービス間の違いを理解するのに役立ったでしょうか。

クラウド費用の管理をDevOpsFinOpsの専門家にアウトソースしたとしても、おそらく本来必要な費用の2倍はかかっているはずです。自動化されたソリューションでクラウド費用を管理する時期が来ているのです。

CAST AIは、Kubernetesを扱うチームであれば、コスト削減への道を歩み始めるのに最適な場所となるでしょう。このソリューションは、お客さまのエンジニアが手動で反復作業を行うことなく、節約を保証する戦術を自動的に作成し、実行します。

CAST AIは無料のKubernetesコスト監視から始められ、クラスター節約レポートの実行や、CAST AIが管理するクラスターに自動的に実装されるインスタンスのタイプやリソース量の確認なども可能です。

Laurent Gil
Laurent Gil
CAST AIの共同創業者兼CPOであるLaurentは、製品および事業開発を担当しています。
2018年にオラクルに買収されたZenedgeの共同創業者兼最高製品・事業責任者を務めました。
Laurentは、2012年にGoogleに買収されたViewdleのCEO兼共同創業者でもあります。

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