この記事は、CAST AI社により公開されたブログ記事を元に翻訳・作成したものです。元の記事については以下をご覧ください。
(記事最終更新日:2023年6月13日)
Azureコスト管理ガイド:クラウド料金を削減する3つのステップ
公開日:2024年3月30日
更新日:2024年3月30日
Azureは企業がクラウドサービスを検討する場合の有力な選択肢となりますが、ほかの主要なクラウドプロバイダーと同様にコスト管理は複雑になりがちです。クラウドコストはどのように管理し、そして削減していけばよいでしょうか?この記事では、Azureコスト管理で3つのベストプラクティスと、それを始める場合に役に立つツールを紹介します。

Azureコスト管理ツールの概要
ほかの主要なクラウドサービスプロバイダー(AWSやGoogle Cloud Platform)と同様に、Azureはクラウドコストを管理するためのいくつかのツールを提供しています。これらのツールには、予算設定、コスト分析、便利な価格計算ツールなどが含まれます。
クラウドコストを予算内に収め、より適切な財務になるように管理するためにこれらを活用しましょう。もしかしたら、ほかにもいくつかの無駄な出費や、クラウドコストの節約が可能なほかの領域も見つかるかもしれません。
Azureは、クラウド料金をより適切に管理できるよう、複数のコスト管理ツールをユーザーに提供しています。これらのツールには次のようなものがあります。
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Azure料金計算ツール
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コスト分析ツール
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予算(Budgets)
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Azureコスト管理のアラート
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Azure Advisor
ただし、クラウドの利用量が大きい場合や、リアルタイムでコストに関するインサイトが必要な場合には、これらのツールだけでは充分ではないこともあります。
この記事を読み進めることで、各ツールがどのように機能するかを学び、ツールがどのように、より詳細なビューを提供するかがわかるようになります。そして、クラウド料金支出について毎秒何ドル発生しているかまで分析できるようになるでしょう。
Azure料金計算ツール
Azure料金計算ツールを使うことで、仮想サーバーやストレージ、データベース、そしてAzure Kubernetes Service(AKS)のようなマネージドサービスなど、Azureサービスとリソースの料金を見積もることができます。
使い方は調べたい製品を選択して、各サービス/リソースに必要な要素(たとえば想定しているインスタンス数、リージョン、仮想マシンの数など)を入力するだけです。初期費用とAzureの毎月の費用の両方を含めた見積もりが表示されます。
まだAzureを利用していない組織であっても、料金計算ツールを使うことで、プロジェクトを開始する前から、選択したパッケージの価格見積もりを確認できます。
ただし、すでにAzureのサービスとリソースを使用している場合は、コストをより適切に管理するために、コスト分析ツールなどのほかのツールを試してみるのがよいでしょう。
コスト分析ツール
コスト分析ツールは、Azureクラウドプラットフォームで発生した費用の詳細な内訳を提供します。リソース、タグ、そのほかの機能ごとにグループ化して、費用が何に使われているかを確認できます。これは、Azureのコストをより深く理解するのに役立ちます。また、その過程でプロセス内の異常がいくつか見つかることもあります。
クラウド請求額が想定よりも高額だった場合は、最初の確認先として、Azureコスト分析ツールを使用するべきでしょう。
予算(Budgets)
クラウドコストを管理することは、目隠しをして熱い小石のうえを歩いているようなものです。しかし、予算を設定しておけば、Azureへの支払いを要件に合わせることができるようになり、想定外の支払いは1円たりとも無くすことができます。
予算を設定する場合は、まず「Scope」を開いて、「Budget」メニューをクリックします。次に、予算の名前を付けて、予算額と期間 (月、四半期、年など)を決定します。予算には必ず名前を付けて管理してください。どの予算がどのプロジェクトで使われたのかわからなくなるような事態は避けておくべきです。
Azure予算の優れた機能に、通知機能があります。支出が予算の指定された割合に到達したとき、またはリソースが予算を超えたとき(全体または月ごとに、特定の割合に基づいて)通知を設定できます。
予算とアラートを使えば、支出制限を超えないという確信を持つことができるでしょう。また、特定のリソースやほかのAzureサービスに実際に支払っている金額がわかるようになり、Azureのコストを把握することに役立ちます。
Azureコスト管理のアラート
Azureには、先に述べた予算アラートだけでなく、支出を把握する場合に役立つほかのコスト管理のアラートも提供されています。
たとえば、クレジットや部門ごとの支出の割り当てに対してアラートを設定できます。残高が90から100%に達したら、クレジットアラートを自動的に通知することで予算オーバーを防ぐことができます。
また、部門ごとの支出の割り当てに対してしきい値を設定しておけば、しきい値を超過したときに、適切な部門の責任者(またはほかの従業員)にアラートを通知できるようになり、Azureのコストと支出をより適切に最適化できます。
Azure Advisor
最後はリソースの使用状況を分析するための便利なツールAzure Advisorです。このツールは、クラウドのパフォーマンス、セキュリティ、費用対効果の向上に役立つ代替ソリューションも提案します。
カスタマイズレコメンデーションを使えば、さらに貴重な洞察を得ることができ、お金がどこに使われているかをよりよく理解できます。リソースの支出を明確にし、どこが節約できるかを知ることは、今後Azureのコストを最適化していくうえで最善の道となるでしょう。
クラウド料金を削減する3つのAzureコスト管理戦略
1.まずはコストの可視化から
現在のクラウド支出を明確に把握することは、チームの支出パターンと実際にプロビジョニングするクラウドリソースの利用状況を理解するための重要な第一歩です。
この3つの指標は必ず追跡しましょう
コスト監視ソリューションにお金を払う前に、次の指標が含まれていることを確認しましょう。
- リアルタイムのコスト-クラウドプロバイダーは通常、遅れてコストデータを提供します。それは、Azureも例外ではありません。しかし、チームがKubernetesのような動的なクラウドネイティブなアプローチを利用している場合は、コストデータにリアルタイムでアクセスする必要があります。
- 1日ごとのクラウド支出-この指標は、予算の消化率を素早くチェックして、月ごとの予算を達成できるか、それとも予算を超過しそうなのかを把握するために欠かせません。
例:毎月の予算が2,000ドルだとします。1日の平均支払額が90ドル近くになっており、66.6ドル(30日×66.6ドル=1998ドル)を超えているのであれば、クラウド請求額は計画よりも高くなるでしょう。

- CPU1個当たりのコスト-プロビジョニングされたCPU vs リクエストされたCPU-これら2つの数字の差を分析して、リクエストされたCPUの1個当たり実際にいくら支払っているかを計算することで、コスト調査の精度を高めることができます。
例:実際にプロビジョニングされたCPUのコストは1個当たり2ドルです。しかし、クラウドアプリケーションが最適化されていないため、アプリケーションからのリクエスト数でCPU単価を計算すると、コストは10ドルになりました。これは計画よりも5倍の価格でクラスターを運用していることを示唆しています。
- 過去のコスト配分-クラウド予算を超過した場合は、その原因を調べなくてはなりません。その場合、このレポートは、追加コストがどこから発生しているかを確認するのに役立ちます。
予算のアラートと通知を設定しましょう
もう1つの重要な点として、クラウドのコストは、すぐにコントロールから外れてしまう可能性があることを念頭に置いてください。あなたのクラウドアプリケーションが設定されたしきい値に到達または超過した場合にアラートと通知をするよう設定しておけば、すぐに対策する機会を得ることができます。
Adobeの、あるチームは過去に、あるワークロードをチェックしないで放置していたため、50万ドルを超えるクラウド料金が請求されたことがあります。たった1つのアラートを設定しておけば、これを防ぐことができたでしょう。
タグ付けとリソースの整理をしましょう
タグは、クラウド環境のコストを把握するための唯一といってもよい仕組みです。また、クラウドのタグ付けは、ガバナンスとセキュリティ面から見ても非常に重要です。
そのため、クラウドのタグ付け方針を考え、チームが従うべきルールやプロセスを説明し、実施することが重要です。タグの効果的な使用方法(適切なフォーマットを含む)、タグを作成する人、タグ付けの決定方法について、方針を説明する必要があります。
タグ付けについてもっと詳しく知りたい場合は、このガイドを参照してください。:Build A Cloud Tagging Strategy In 5 Steps
2.クラウドリソースのサイズを適正化
まずはアプリケーションの要件を定義することから始めましょう
アプリケーションの最小要件を特定して、選択するインスタンスタイプがCPU数(またはGPU)、メモリー、SSDストレージ、ネットワーク・アーキテクチャなど、すべての要素にわたってそれらを満たすことができることを確認してください。
低コストのインスタンスは価格的に魅力的かもしれませんが、CPU負荷が高いアプリケーションを実行した場合に、パフォーマンス上の問題が発生する可能性もあります。
Azureは、コンピュート最適化、メモリー最適化、機械学習アプリケーションのためのアクセラレーテッドコンピューティングなど、ワークロードのさまざまな用途に最適化された仮想マシンでの幅広いオプションを提供しています。
アプリケーションに最適なタイプを決定したら、次は適切なサイズのマシンを選択する必要があります。Azureが提供する650種類のVMに対して、すべてを手作業で行うことを想像してください。ヒント:自動化エンジンを使えば、この作業を代行してくれます。
ストレージの性能要件を調べましょう
コスト削減を最適化する場合に考慮するべき、もう1つの項目は、データストレージです。
アプリケーションごとにストレージの要件は異なります。仮想マシンを選択する場合には、アプリケーションが必要とするストレージスループットとIOPSを備えていることを確認してください。
また、広範囲に使用するつもりがないかぎり、プレミアムSSDなどの高価なディスクを選択しないでください。
ネットワークの帯域幅を考えましょう
大規模なデータ移行や大量のトラフィックを扱う場合は、インスタンスとそのインスタンスに割り当てられているコンシューマー間のネットワーク接続のサイズに注意してください。
転送速度を10Gbpsや20Gbpsに引きあげることもあります。しかし、そのようなネットワークトラフィックを維持できるのは、先に挙げたようなインスタンスだけです。
3.スポット仮想マシンを活用
クラウドプロバイダーからアイドルキャパシティを購入することは、オンデマンドリソースを最大90%節約できる可能性がある賢明な判断です。しかし、AzureはいつでもスポットVMを取り戻すことができ、その場合、アプリケーションを実行するための別の場所を見つけるのに与えられるのは、わずかな時間です。Azureの場合、それはほんの30秒です。
チームがスポットインスタンスを使用する場合には次のような順序で進めることになります。
- ワークロードがスポットVMに対応できるかの確認-インスタンスの中断に耐えられるでしょうか?プロジェクトが完了するまでどれくらい時間がかかりますか?これは時間に制約がある仕事ですか?
- スポットインスタンスの選択-利用できるスポットインスタンスを精査して、中断される可能性が低く、より長い時間実行できる(interrupt frequency rate)人気がないインスタンスを探します。
- スポットインスタンスの入札-使いたいスポットインスタンスに対して支払ってもよい最大金額を設定します。経験則としては、これをオンデマンドの価格と同レベルの価格で設定することです。
- スポットインスタンスをグループで管理-これによって、同時に多くのインスタンスタイプをリクエストができ、スポットインスタンスを確保できる可能性が高まります。
- 中断に対する備え-スポットインスタンスが再利用されたときに備え、アプリケーションのバックアップ計画を作成します。
ご覧のように、スポットインスタンスを運用するには、設定、構築、メンテナンス作業に多くのエネルギーと時間を費やす必要があります。朗報:これらは自動化できます。モバイル・マーケティング企業のBranch.ioは、スポットインスタンスの自動化を活用することで、年間数百万ドルを節約しました。
Kubernetesのスポットインスタンスの自動化がどのようなものかを理解する実際の例はここで確認できます。

適切なツールでAzureのコスト管理を強化する
Azureのコスト管理と最適化は、決して1回かぎりの作業ではありません。これらはどちらも定期的に実行する必要があるプロセスです。
ワークロードを削減するために、リソースの選択やスポットインスタンスの自動化などのタスクを処理する自動化ソリューションが注目されています。
この形式の最適化は、エンジニアによる追加の労力を必要とせず、24時間体制でコストを節約するため、Azureの構築を手動で最適化する仕事をすでに行っている優れたチームであっても価値があります。
Kubernetesを使用していて、自動化がAzureのコスト管理の課題解決にどのように役立つかについてもっと知りたい場合は、以下から当社のエンジニアによるデモンストレーションを予約してください。Azure Kubernetes Serviceを使ったプラットフォームのデモンストレーションをご説明します。
よくある質問

2018年にオラクルに買収されたZenedgeの共同創業者兼最高製品・事業責任者を務めました。
Laurentは、2012年にGoogleに買収されたViewdleのCEO兼共同創業者でもあります。
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